僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717254

感想・レビュー・書評

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  • 社会に出て就職することに対して多かれ少なかれ疑問をいだく8人の若者たちを取材し、彼らの内面にくすぶっている思いを明らかにした本です。

    共感をおぼえることもけっしてすくなくはなかったのですが、このような「働くこと」を取り巻く問題について、それではどのように考えればよいのか、という問いに対して、本書はなにも答えてくれません。「働くこと」について著者自身がいだいている一定の主張を示すことが目的ではなく、むしろ「働くこと」についてのさまざまな人びとの意見を紹介するルポというべき内容なので、こうした不満は筋違いではあるのですが、こうした状況を個々人の内面へと還元してしまうことに対する違和感を拭うことができずにいます。

  • 八人の若者にインタビューを行い、その人生経験を元に作成された本書。ルポルタージュ。
    本書が出版されたのは、10年近く前、単行本で言えば15年も以前のものなのだが、読んでみると、とても現代的と言えるだろう。一流の大学を出ても就職出来ない人や、高校へ行くことに疑問や違和感を抱き中退しニートやフリーターになったり、就職できたとしても苦痛な環境(所謂ブラック企業)であったり、当時よりも今の環境そのものに苦しむ人が多いように思う。
    人生という大きな縮図からすれば、生まれてから取材を受けるまでのそれぞれのインタビュアーの日々は人生の総合的に見ればほんの短い一時でしかないため、このインタビューはその過程を示すなどといったことがあとがきが書かれており、とてもしっかりとまとまって一人ひとりを描いている印象を受けた。

  • 【速読】爽快に読み飛ばしても不思議と内容がしっかり頭に入るんですね。それは本書が無駄なことばかり書いてある悪書、というわけではなく、事細かに描写される土地の風景、社会を組織する人々の所作など一見読まなくてもいいような場面も、インタビューを受けた当事者が要所で目に焼きつけたものとして重要なポイントになるのでしょう。レールに乗るか乗れないかでその人の人生が語られるのは実に異常な事態でして、茂木健一郎も嘆いておるぞ。

    【内容メモ】ひきこもりから普通のサラリーマンまで8人にインタビュー。職に就いて数年で若者が辞めていくご時世ってことで、はたから見れば成功者のような人もこのまま生きることに真剣に苦悩している。手厳しい意見もあるようですが、本書で数少ない働き続けている人の言葉「働くとは続けること」はその意見を補完するものにはなりません。色々手を出しそれでも生活が定着していかない人々との対比として「続けること」があるのですが、そこに肯定的な意味合いは見いだせません。「死ぬ自分が生きること」への苦しみに対し退行的な処方箋として「続けること」を行使しているだけで、その日を乗り越えるため毎日飲み続けるアル中患者みたいなものなんじゃないでしょうか。我々はパラノイドに生きています。

  • 学校に馴染めず、高校中退した人々を取材し、内面を描く。

    アトピーの話や、「勉強は楽しくなかったが、友達も少く休み時間に話をすることもないので、むしろ休み時間の方が手持ちぶさた」等、私の高校時代もそうだったよなあと思いながら読む。

    引きこもりの項は興味深く読む。まあ想像していた通りがだ、色々な心の葛藤を読むと、私の回りの彼等もそういう気持ちで過ごしていたのかなぁと思う。

    色々な価値観を知れることは楽しいが、一様に根底には「ゆとり」なのか、甘え、若いがゆえの軽率さが見てとれる。豊な日本で働かなくても何とかなる現状への甘え。
    彼等の現状がどこに続くのか?と憤る。やりたくないことはやらず、嫌だと思うことは、色々負の面ばかり見て、言い訳する。どんな形であれ一人で生きていく事の重要さを思う。

  • 20代の著者が、同じ年代の若者8人にインタビューした内容が小説風にまとめられている。

    社会学的な考察等は一切なく期待していたものではなかったが、サクッと読めた。

  • 著者がインタビューした8人の若者達の人生が書かれています。読みやすく、自分自身に投影でいました。
    ニート・フリーター・引きこもり・登校拒否・就職 を経験したことのある人は、読んでみるといいかも。

  • 請求記号 366.2/In

    学生さんにぜひ読んでほしいなあ...。
    といいますか私ももっと早く読んでおけばよかったと思いました。

    インタビュー/取材結果の書き方が、ノンフィクション小説のような表現で風景描写がぎこちなかったりする点に違和感を覚えます。

    が、著者の目を通して加工されたものだとは十分承知しつつも、まるで自分で直接体験を見聞きしたかのように感じてしまう。どの若者の体験からも、そこにしかないリアリティが感じられます。ステレオタイプな若者像を思い描いていた自分の視野の狭さをこれほどまでに思い知ることはなかったです。

    「エピローグ」や「あとがき」は、本書を最初から通して読むとより心に響くでしょう。

  • 2007年67冊目

  • 就職や進学等、道に迷ったときに読みたい本。
    若さだけではどうすることもできなかった葛藤、いい言葉が連なっている。
    第一章はフリーターでもいいやと思う大学2〜3年生に読んでもらいたい。

  • 人間の活動っていうのはすべて文化そのもの。たとえば、性欲や食欲などの欲望を学問や芸術に昇華するのも人間だし、ただお腹を満たすだけではなくて、そこに文化を求めるのは人間だからでしょ?
    だからこそ一流の料理は文化になる。そして、食欲や性欲が満たされても、何かを知りたい、どうしても解き明かしたい、っていう欲は残る。人間は最終的に知識欲を満たしたくなる動物ってことね。
    だから、まずはあらゆる欲を満たして、それからさらにその上にある知識欲を本当に追求していったら、君は学問に関して成功するよ

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