僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由 (文春文庫 い 65-1)

著者 :
  • 文藝春秋
3.41
  • (9)
  • (6)
  • (26)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 166
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717254

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 8人の若者の「今」のルポルタージュ、
    今から18年前に単行本が出たのであるが
    この実態は 今でも十二分に
    そのままであるように 思える

    ここに 登場した
    その若者たちも 今や40を超えた
    いわゆるアラフォー世代になっているはず

    どうなんだろう?
    巷にあふれている
    いろいろな 困り感を抱いている
    人たちの実態を 見聞きする限り
    あまり 楽観的に考えられない

    もし 可能ならば
    ここに登場している8人の
    18年経った「今」を
    読んでみたい

  • 社会に出て就職することに対して多かれ少なかれ疑問をいだく8人の若者たちを取材し、彼らの内面にくすぶっている思いを明らかにした本です。

    共感をおぼえることもけっしてすくなくはなかったのですが、このような「働くこと」を取り巻く問題について、それではどのように考えればよいのか、という問いに対して、本書はなにも答えてくれません。「働くこと」について著者自身がいだいている一定の主張を示すことが目的ではなく、むしろ「働くこと」についてのさまざまな人びとの意見を紹介するルポというべき内容なので、こうした不満は筋違いではあるのですが、こうした状況を個々人の内面へと還元してしまうことに対する違和感を拭うことができずにいます。

  • 八人の若者にインタビューを行い、その人生経験を元に作成された本書。ルポルタージュ。
    本書が出版されたのは、10年近く前、単行本で言えば15年も以前のものなのだが、読んでみると、とても現代的と言えるだろう。一流の大学を出ても就職出来ない人や、高校へ行くことに疑問や違和感を抱き中退しニートやフリーターになったり、就職できたとしても苦痛な環境(所謂ブラック企業)であったり、当時よりも今の環境そのものに苦しむ人が多いように思う。
    人生という大きな縮図からすれば、生まれてから取材を受けるまでのそれぞれのインタビュアーの日々は人生の総合的に見ればほんの短い一時でしかないため、このインタビューはその過程を示すなどといったことがあとがきが書かれており、とてもしっかりとまとまって一人ひとりを描いている印象を受けた。

  • 【速読】爽快に読み飛ばしても不思議と内容がしっかり頭に入るんですね。それは本書が無駄なことばかり書いてある悪書、というわけではなく、事細かに描写される土地の風景、社会を組織する人々の所作など一見読まなくてもいいような場面も、インタビューを受けた当事者が要所で目に焼きつけたものとして重要なポイントになるのでしょう。レールに乗るか乗れないかでその人の人生が語られるのは実に異常な事態でして、茂木健一郎も嘆いておるぞ。

    【内容メモ】ひきこもりから普通のサラリーマンまで8人にインタビュー。職に就いて数年で若者が辞めていくご時世ってことで、はたから見れば成功者のような人もこのまま生きることに真剣に苦悩している。手厳しい意見もあるようですが、本書で数少ない働き続けている人の言葉「働くとは続けること」はその意見を補完するものにはなりません。色々手を出しそれでも生活が定着していかない人々との対比として「続けること」があるのですが、そこに肯定的な意味合いは見いだせません。「死ぬ自分が生きること」への苦しみに対し退行的な処方箋として「続けること」を行使しているだけで、その日を乗り越えるため毎日飲み続けるアル中患者みたいなものなんじゃないでしょうか。我々はパラノイドに生きています。

  • 学校に馴染めず、高校中退した人々を取材し、内面を描く。

    アトピーの話や、「勉強は楽しくなかったが、友達も少く休み時間に話をすることもないので、むしろ休み時間の方が手持ちぶさた」等、私の高校時代もそうだったよなあと思いながら読む。

    引きこもりの項は興味深く読む。まあ想像していた通りがだ、色々な心の葛藤を読むと、私の回りの彼等もそういう気持ちで過ごしていたのかなぁと思う。

    色々な価値観を知れることは楽しいが、一様に根底には「ゆとり」なのか、甘え、若いがゆえの軽率さが見てとれる。豊な日本で働かなくても何とかなる現状への甘え。
    彼等の現状がどこに続くのか?と憤る。やりたくないことはやらず、嫌だと思うことは、色々負の面ばかり見て、言い訳する。どんな形であれ一人で生きていく事の重要さを思う。

  • 20代の著者が、同じ年代の若者8人にインタビューした内容が小説風にまとめられている。

    社会学的な考察等は一切なく期待していたものではなかったが、サクッと読めた。

  • 著者がインタビューした8人の若者達の人生が書かれています。読みやすく、自分自身に投影でいました。
    ニート・フリーター・引きこもり・登校拒否・就職 を経験したことのある人は、読んでみるといいかも。

  • 請求記号 366.2/In

    学生さんにぜひ読んでほしいなあ...。
    といいますか私ももっと早く読んでおけばよかったと思いました。

    インタビュー/取材結果の書き方が、ノンフィクション小説のような表現で風景描写がぎこちなかったりする点に違和感を覚えます。

    が、著者の目を通して加工されたものだとは十分承知しつつも、まるで自分で直接体験を見聞きしたかのように感じてしまう。どの若者の体験からも、そこにしかないリアリティが感じられます。ステレオタイプな若者像を思い描いていた自分の視野の狭さをこれほどまでに思い知ることはなかったです。

    「エピローグ」や「あとがき」は、本書を最初から通して読むとより心に響くでしょう。

  • 2007年67冊目

  • 就職や進学等、道に迷ったときに読みたい本。
    若さだけではどうすることもできなかった葛藤、いい言葉が連なっている。
    第一章はフリーターでもいいやと思う大学2〜3年生に読んでもらいたい。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

稲泉 連(いないずみ・れん):1979年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部卒。2005年に『ぼくもいくさに征くのだけれど 竹内浩三の詩と死』(中公文庫)で大宅賞を受賞。主な著書に『「本をつくる」という仕事』(ちくま文庫)、『アナザー1964――パラリンピック序章』(小学館)、『復興の書店』(小学館文庫)、『サーカスの子』(講談社)などがある。

「2023年 『日本人宇宙飛行士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

稲泉連の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×