終戦日記 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.44
  • (3)
  • (1)
  • (12)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 61
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717353

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 昭和19年9月から翌20年10月まで、闇値の変化をできるだけ詳しく書き留めるとして作家の書いた戦中・後の日記。比較的恵まれた環境にあってこの不自由さなら、一般の人々や焼け出されてしまった人々はどんなに苦しかったことか。また、原爆の情報伝達の遅さ、あやふやさ。戦争中のリアルが回想記と違って美化されることなく生々しい。貴重な記録に、感謝。

  • 終戦前年の9月から終戦後の45年9月まで。鎌倉に住む文人たちの生活がリアルに表現されている。大佛の冷静な情勢分析。日本が科学を軽んじて結果という表現まで既に前年11月に出てくる。その頃から既にドイツの敗色濃厚であることも明らかだし、日本各地での空襲のこと、広島・長崎への新型爆弾の投下による被害のこと、3月10日の東京大空襲による悲惨な状況、沖縄での戦闘など、その中でも特高が目を光らしている様子…。このようなことまで見えていた人はいたんだ!こんな中でも大佛たちが集まってビールを飲む姿、5月の異常な雰囲気の中での結婚式、44年秋の紅葉など興味深かった。そんな危機迫る中でこの人はトルストイの戦争と平和、アンナ・カレーニナなどを読んでいる。モスクワの火の海になる様子は東京を思い起こしていたに違いない。

  • 戦時下の情報統制と、その統制を強いた者たちの情報開示の杜撰さは、国民に真実を知らせる必要などない、との勝手な思い込みによるものであり、それは一面では国民に真実を知らしめることの結果とその影響に対する恐怖心がもたらしたものであったろう。
    広島や長崎に投下された原爆の損害が「若干」だの、原爆に対しては「壕へ入っていれば大丈夫」だの、「新型爆弾は我が方にもある」だの、挙げればきりがない虚報のオンパレードで、終戦後には「将校がさかんに物を持ち出して自宅へ運び込む」ことが話題になるなど、戦争遂行を請け負っていたはずの軍人の腐敗ぶりが記されている。
    つまりは、その程度の人間たちが国を戦争へと駆り立てたのである。
    昨今、情報統制や隠蔽が話題になっている。太平洋戦争下の繰り返しにならぬよう、わたしたち国民一人一人はしっかりとアンテナを高くしておく必要があろう。

  • 山田風太郎、山本周五郎、大佛次郎 の三氏とも 戦争中も 次から次と 読書を続けている。そして、なぜか 虫歯によくなる

    文豪の日記というより、普通の人の日記。政治批判なし、社会批判なし、自己批判なし、熱いメッセージなし、喜怒哀楽も少ない、盛り上がりもない

    名前の おさらぎ は 覚えにくい

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    文庫&新書百冊(立花隆選)102
    あの戦争

  • 戦争が終わりつつあるとき、知識人っていわれる人はどんな感覚で日々を過ごしてたんだろう。
    わかったのは、混沌とした情報の中で、ただ生きてたってこと。私は8月15日をクライマックスに読んでしまうけど、著者にとっては、今までと連続した一日なんだって、何か不思議な感覚。歴史は今でどんどんできてく。

  • 大仏次郎は久生十蘭の仲人である。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1897-1973。横浜生まれ。東大法学部卒業。教師、外務省嘱託のかたわら小説を発表し、「鞍馬天狗」のシリーズが好評をはくし、作家専業に。代表作に「赤穂浪士」「乞食大将 後藤又兵衛」「帰郷」「パリ燃ゆ」「天皇の世紀」等多数。芸術院賞、朝日文化賞、文化勲章を受章。実兄は星の学者として名高い野尻抱影。鎌倉の自宅は一般公開され、港の見える丘公園内には、大佛次郎記念館がある。また、74年、朝日新聞社主催で大佛次郎賞が創設された。

「2014年 『猫のいる日々 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大佛次郎の作品

終戦日記 (文春文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×