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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167717391
感想・レビュー・書評
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・「生まれる前は、どんなところにいたの?」
「どこでもないところ。でも、ここなの。同じだけど違う。近くだけど遠いの。そこは通り道であっちでもこっちでもないの」
・「おばあちゃんのガンは、どうしてお花になったの?」
「お花になりなさい、って言ったから」
「それだけ?」
「うん。だって、なんだって何にでもなれるんだよ。最初はみんな同じものだったんだ。だから、なんだって、なりなさいって教えてあげれば何にだってなれるの。あの子たちは、自分が何になるかわからなくなってしまったの。ときどき、そういうことがあるの。だから、花になりなさいって教えてあげた。元に戻るのは難しそうだったから」
・「僕は長いこと、自分はとても取るに足らないつまらない人間だと思ってきました。僕には僕の感じ方で見ている世界があったけれど、それを他人に話すこともできないし教えることもできない。ましてや共有することなんてことはもちろんできない。だから、僕はいつも他人に合わせているしかなかったし、他人に長いこと合わせていると自分がゾンビみたいになって、なんだか本当に魂が抜かれたような状態になっちゃうんです。ところが、あるとき偶然に、一枚の写真と出会いました。それは特別な写真で、ピンホールカメラというとても原始的なカメラで撮った写真だったんです。僕はその写真に魅了されました。なぜなら、その写真の世界は僕が感じている世界ととても似ていたからです。自分がなんとなく感じている世界が、目の前にあった。すごくうれしかったんです」
・「写真というのは、とても不思議なものです。写真は人間の手によって描かれた画像ではなくて、モノが発する光によって、モノが自分自身を映したものです。撮っているのは人間だけれど、でも、どう撮られるかは、モノが決めているんです」
「モノが?」
「そうです」
「どうやって?」
「自分の意志で」
・シャクだけれど、彼の言う通りかもしれない。問題は常に私にある。私は何を表現し、何を世界に伝えたいのか。それを見失っていたのかもしれない。表現は私の裡なる光であるのに。
・「これ以上、わかりやすくどう説明したらいい。この世界は大きな二つの渦巻きによって成り立っている。右回りと左回り、広がるものと集まるもの、それらがバランスをとりながら約束のもとに永遠に踊っている。すべては偶然であるし、すべては決まっている。その自然の力を、蘇生の池の水は人間に蘇らせる」
・「思い出せば・・・、の話だ。思い出した者だけが変えられる。この世界には過去も未来もない。すべてが重なって存在する。ただ絶妙の、バランスがあるだけ。それが神だ。未来を変えるためには傲慢を捨て、そのバランスを知ればいい」
・「着物はね、呪術なんです」
「え?呪術ですか?」
「そうです。最高のシールドです。着物というのは、人間を梱包するように紐で結ぶでしょう。あの結ぶという行為がすでに呪術なのです」
「ほうほう」
・「私ね、実は、田口さんが私のことをどう書いてくれるか、それを読んでみたかったの」
「へ?」
「書いてくれって言ってるんじゃないんですよ。田口さんのエッセイに出てくるお友達って、田口さんの視線で編集されてて、それがとてもいいなあ、うらやましいなあと思っていたんです。だから、私も田口さんの視線のなかに入ってみたかったんだと思う。そして、私がどんなふうに見えるのか、田口さんの世界の登場人物になってみたかったんだと思う」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死の世界と生の世界の境界、夢と現実の境界線を滲ませるような、不思議な13の物語。
複雑な気持ちになる。 -
不思議で切ない13の物語っていう解説通り。
別の大きな世界があるような気がしてきた。
とてもいい作品。 -
私小説風の短編集。田口ランディらしいオカルティックなテーマも交えた切なさを感じる13編を収録。田口ランディのエッセイとかで読んだことのあるようなテーマが多く、可もなく不可もなしで、普通かな。
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嘘か真か 真か嘘か・・・
語り手は中年の小説家「私」
短編集ですが 主人公はずっと「私」です。
「私」はランディさん自身なのか まったく別人なのかは 深く考えずに、入り込めます。
現実にありそうでない不思議な体験。
描写や心理のたとえが、吸い込まれちゃうのよね。
やっぱりランディ先生は短編が面白い。 -
夢か現か、、、。
フワフワした感じ。
このフワフワ感がなんとなく懐かしい感じ。
☆ピエロ男
☆シェルター
☆闇の中の女
☆読書
☆肉の花
☆ゾンビの写真
☆生け贄
☆ウタキの青い蝶
☆トイレの神様
☆繭のシールド
☆私に似た人
☆指
☆不知火の夜 -
やっぱりランディさんが好きだ。
てか、これってエッセイだっけ?って思ってしまう。
フィクションとノンフィクションが入れ代わり立ち代わりに混ざってて、っていう感じ。
ややや。
しばらくはランディさんに持ってかれそう。 -
やっぱり田口ランディはいい。死者との交流するシーンとか、生者が一歩踏み出すための後押しだったりする。先が何にも見えない中を歩き出すとき、人生の帰路で、こうやって我々生きている者たちは救われたりする。
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短編集。一番初めに収録されている「ピエロ男」の話がすごく良かった。泣きそうになった。
後半の霊的な話、沖縄の神についての話などはあまり共感できるところもなく、ピンとこなかった。
読みやすく、不思議な世界観を書いてあるなあと思った。 -
生と死とか、魂だとか、その辺のテーマを重くなく読ませる。
暗いようで暗くない描写が私は好みで読みやすかった。 -
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シェルターという思考実験が面白い!
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不思議な、人の死やあの世やこの世や神様やらを繋いだ13つの短編集。
ドリームタイムというタイトルに惹かれた。
本編とは全く関係ないが、オーストラリアのアボリジニの話を思い出した。
ドリームタイム。
『生け贄』の蘇生の池の水を飲んだ賢造のように、人間の心によって忘れさせられたものを思い出して、クリアになった感じ。
『肉の花』のマナちゃんが好き -
ランディ節
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生。死。肉体。魂。苦悩がテーマの短編集。
夢と現実の間をふわふわする感じ。 -
不思議で切ない13の物語からなる短編集
フィクションの中に事実を織り交ぜながら書く
この人の文章が感覚的に好き -
生贄の話が好き。
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xx asaka xx
#bookoff -
ピエロ男、トイレの神様、フリーダ・カーロの女が現われ…。この地球に起っている、言葉では絶対に説明できない13の夜の物語。『文学界』連載に書き下ろし1編を加えて単行本化。
フシギな感覚におちいりますね。
いい意味で。。。
もしかしたら、こうかもしれない・・・
そうだったら面白い。
など色んなことを想像してしまいます♪ -
13のストーリーからなる本書。
「私」を名乗る主人公がランディさん自身の体験記なのか、
はたまたフィクションなのか・・・
現実と虚構が入り混じる不思議な世界に引き込まれます。
特に「シェルター」がいいね♪ -
現実と虚構が入り雑じった不思議な物語。
生。死。肉体。魂。苦悩。
田口ランディーらしいテーマの短編集。
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