ナラ・レポート (文春文庫 つ-15-1)

  • 文藝春秋 (2007年9月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784167717414

感想・レビュー・書評

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  • 作者がキャリアで大事にしてきた母と子の繋がりを、どこまでも強固な主題にして書き上げた一作。
    ただこの作品、文学的な業績や主題の明快さには頷きつつも、説明不足から精神的にかなり読み進めづらい構造になっている。
    前半の映像的で静謐な奈良の章(この辺りは非常に好み)から一点、突如の時代逆光と偏在するかのような記憶を保つ親子に置いてけぼりを喰らう読者も多いのでは無いか。
    とはいえ、主題さえ理解出来ていれば、大江健三郎や中上健次にも通ずる、執着力の成す骨太の力作。

  • 奈良を舞台に、時代を越える輪廻の中、繰り返し語られる母子の苦しみと絆の記憶。
    悲惨な世界がいっそう二人の情愛を深く描かせる。

    男性である自分と大仏様には考えせられる物語だ。

  • p179
    恋しとよ 恋しとよ ゆかしとよ
    逢はばや 見ばや 見ばや 見えばや…

    芸術的で文芸色の強い本。
    二歳の子を残して亡くなった母とその子の、言葉や行動にならない関係を、言語に置き換えたような物語。愛や絆というには特異で普通のお母さんたちが怒り出しそうだし、あまりにも非現実的だし。

    なぜ唐突に中世に戻るのか、とか大仏を破壊する理由は、とか論理性や解釈をいちいち考えてはいけなくて、各話を一枚の絵巻として、(ところどころの唄をBGMと想像して)読み解いていく感じだった。死を挟んだ母子は、時空と記憶すら超越しつつお互いに呼び交わす、その詠嘆が全編を貫いている。特に「ヨシノ」の凍りつきながら歌うシカの子供が心に残った。語尾に「!」が多かったり、妄執的な思いつきが気になるけど、哀しく狂おしい思いは伝わってきます。
    奈良の地、大仏、耳を切り落としたシカというモチーフがまた独特で考えさせられるところ。

  • 現代日本女流文学の金字塔だそうですが…そうかなぁ、溶けた食えない金平糖にしか思えないんだけど。ヤマネコドームが理解できずのリターンマッチだったのだがやっぱり読みにくいし理解不能でした。
    奈良においては神の使いである鹿を殺してしまう意味は?そして大仏まで破壊しようという冒涜は許されるのか、それほどまでに大胆な振る舞いをするのであればそれなりの読み応えと納得させるだけの結果が欲しかった。
    偉大なる父上のDNAはどこにも感じられず多分この人の本はもう読まないと思います

  • 目が回りそうになる小説。とにかく凄い。
    気になって「梁塵秘抄」まで買ってしまった。
    「恋しとよ 恋しとよ ゆかしとよ」
    「逢はばや 見ばや 見ばや 見えばや」

  • 時代を超えて続く母と子の愛と哀しみ・・・とでもまとめればいいのか。なんとも言えない、異色の作品。
    ナラ・シカ・大仏。

  • 2009/10/14購入

  • 読むのに、とても体力と精神力がいる本でした。生まれ変わりの物語とも言えず、ただ一言に過去と未来が錯綜する物語とも言えず、読み終わった後、不思議な体験をしたなと思ってしまいました。ただ、母と子がひたすらに、互いを求め続ける姿には、目が離せない痛々しさがある。

  • 2008.1.20

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著者プロフィール

津島 佑子(つしま・ゆうこ) 1947年、東京都生まれ。白百合女子大学卒業。78年「寵児」で第17回女流文学賞、83年「黙市」で第10回川端康成文学賞、87年『夜の光に追われて』で第38回読売文学賞、98年『火の山―山猿記』で第34回谷崎潤一郎賞、第51回野間文芸賞、2005年『ナラ・レポート』で第55回芸術選奨文部科学大臣賞、第15回紫式部文学賞、12年『黄金の夢の歌』で第53回毎日芸術賞を受賞。2016年2月18日、逝去。

「2018年 『笑いオオカミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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