介護入門 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2007年9月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784167717438

みんなの感想まとめ

介護をテーマにしたこの作品は、独特の文体で語られる感情の叫びが印象的です。著者は、祖母の介護という個人的な体験を通じて、介護に伴う悲しみや葛藤を美しく描写しています。その中で、Cabin Manの楽曲...

感想・レビュー・書評

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  • Cabin Manの曲、結構よかった。I WANNA RISEのところは、本当にいい叫びだと思う。悲しみがあるというか、この作品にぴったりだ。映画化して、エンディングに流す曲としてばっちりで、この小説の世界観と完璧にあっている。
    P94~95
    【《己が恵まれ過ぎていることに気づく者は、恵まれぬ我が身を嘆く者より、感謝の情に恵まれる。》――YO、誰の言葉か覚えておいてくれ、俺が今思いついた言葉だ、朋輩。言葉だけで祖母の幸福を考える真似などしたこともない俺は、より快適に尿パッドと尿フラットを重ね敷く理想のポジションを発見し、尿を拭うタオルに注ぐ湯の熱さに気を遣る、祖母の食指が伸びぬ時にはガーゼで裏漉しした擦り胡麻の風味を粥に付ける、祖母の喉の渇き具合を舌と唇の音からそれがあのぴちゃぴちゃに変化する前に判断する、泣き濡れた祖母の瞳に向かって語りかける、その時々の俺の頭に幸福の二文字なんぞがよぎるはずもないが、それが俺の身体が探求し続けている原理的課題だという自負は忘れたことはない。おそらくは、誠実に祖母に接することだけが嘘臭いその二文字の幻影を霧散させる祖母の笑顔を俺にもたらし、逆説的にもその瞬間祖母の幸福がここにあると信ずるに足る経験を俺はするのだ。そう、こうして語る瞬間ではなく、その経験の瞬間を幾度となく再演する以外、俺と祖母に生きる道はない。二時間の眠りを裂いて祖母の陰部を拭き、また二時間眠って朝の襁褓を仕替える、そのために一日の残り時間は滅茶苦茶に荒み果てる、日々俺死ぬ、故に我あり。我が人生に価値なし。これが俺の生活になった。俺の二人分も濃い祖母の血を持つ祖母の実子らは、ねぎらいの言葉すら穢らわしいと撥ねつけたくなる俺の心を知らない。心は必ず行動で表れる、否、それを行動で表すことが可能だと信じねば、俺は此処にいない。】

     最後に絶叫していたのは、そう叫ぶしかないからだ。祖母から自由になったとか、そういうものでもないだろう。ゆめにっきの終わりに似ていた。ゆめにっきの終わりも、飛ぶしかないから制作者は飛ばした。それと同じだろう。しかし、美しい。介護をここまでかっこよく書いているのは、本当に驚いた。

  • YO、朋輩

  • 2004年上半期芥川賞受賞作。怨念饒舌体、あるいは破滅型饒舌体といった独特の文体。文庫本にして100ページ余りをひたすらに叫び続けるのだ。誰に向って?「朋輩」すなわち読者にだ。この叫びを、あるいは祖母の介護の体験を、我々は彼と共有できるのか?できはしないことを、彼も、そして私も、あるいは君も知っている。この斬新な語りのスタイルに、選考委員の中にも「評価しない」と言う人や「全く意外だった」と言う人も。私の心配は、後が続くだろうかということだ。この文体は維持することも、捨てることも難しいのではないだろうか。

  • こういう文体の小説を読むのは初めてでしたし、
    こういう本が芥川賞をとったのも衝撃的でした。

    文体に好き嫌いがあるかもしれませんが、私はかなり面白かったです。

    けっこう介護に役立つことも載っています。小説なのに。

    ただ、内容は、介護してない人には共感できないのかもしれません。
    私自身、親の介護をしてからこの本を手にとったので、胸を打つものがあったのかもしれない。

    介護の経験がない人にも読んでもらいたいですが、介護の経験がある人、これからそういう仕事に携わる人にぜひ読んでもらいたいですね。

  • いいじゃないか!!
    すっげーーーー余韻。
    いいじゃないか!!

  • 音楽的な軽い文体と介護という重いテーマ、本人のキャラの組み合わせで面白く感じそうだが、冷静に読むとつまらない。

  • 2023.5.18読了

    表題の「介護入門」は第98回文學界新人賞、第131回芥川龍之介賞受賞作。
    他に「市町村合併協議会」「既知との遭遇」を収録。

    小気味の良いラップ調の一人語りがやがて思考のグルーブとなりうねりながら奔流のようにダイレクトに流れ込んでくる快感に酔う稀有な読書体験となった。

    筒井康隆氏の解説がとても良い。著者の「えた非人」の表記を巡る編集とのやりとりに触れ共感を示すあたりに筒井氏の断筆宣言辺りのあれこれをリアルタイムで知る身としては、解説を書かせてくれてありがとうとの言も頷けるし、泣けた。

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/151790

  • 介護入門 4
    市町村合併協議会 2
    既知との遭遇 3

    あとがき
    解説(筒井康隆)

  • 介護の真髄。
    イカれてる葉にイカれてる脳の癖に、やけに真ん中に響く。
    一人称で延々と。
    読みづらいのに、回りくどいのに、ふと出てくる言葉に、想いに、共感する。
    いるよ。
    たまに来て、自分は分かってます。
    苦しいねぇ。うんうん。
    みたいなやつ。
    たまに見る一瞬が、それこそ全てだと思うやつな。
    それこそ本物の一瞬だよ。

  • 中島 八十一 先生

    介護という終末医療における切実な現場をユーザー側の視点からラッパーの乗りで描いた小説。
    芥川賞受賞

  • 「介護入門」「市町村合併協議会」「既知との遭遇」

    正直なにが評価されたのかぴんとこない。
    単線的でない語り? YOニガー式のおふざけ?
    こういうだらしのない饒舌体はどうにもキモチワルイ。
    町田康のような端整さもないし。

    そして題材としてはすでに古い、ということなのかもしれないとは感じた。

    他の収録作に「なんで村上龍みたいな喋り方してんだよ」という台詞があってそこだけくすっときたが。

  • 物凄く面白くてびっくりした。今年に入って読んだ本の中で一番脳天にヒットしてきた小説かもしれない。というか、文庫本を何度も読み返したのが久しぶり。購入後2日で現在既に再読したくなった。

    この小説における介護はあくまで思想を具体化するための「モチーフ」であって「テーマ」ではない。矢継ぎ早に語られる介護の具体的な話題はむしろ、人間の普遍性をこれでもかと示してくる。
    自らの手は汚さぬまま偽善を振りまくことで自己満足感を得て酩酊する親族。出口が見えぬ永遠。部屋から流れてくる曲は、橋の上から叫ぶ自殺志願者を歌う洋楽。橋の上にいる奴と、橋の下から彼に声をかけている奴は、どちらがより人間らしいのだろか。

    いま介護が社会問題として取り上げられる中、その社会問題化、とりわけ介護ニアイコール地獄、という(傍観者による)記号的概念。そこに『介護入門』は真っ向から突進し、アンチテーゼを高らかに叫ぶ。

    「《介護地獄》、おお、なんと哀れな貧しい言葉か! (中略)使い古された言葉によって、読者を事件の生産者候補として養殖し、新たな商材を開発しているのだろ?」(p71)

    芥川賞受賞作。

  • 作者の写真、自分の爺様の写真と合成してた。
    バンドやってるかな。

  • どこかの書評でも見たし、友人も言っていたけど、「作った」感が強い。でも多分、それだけの事をしないと書けないことなんだろうと思う。

    主人公の心の叫びは「そうなんだろうな」と思うが、実際、自分が介護する立場になったら、どうなるんだろう?きちんと家族の襁褓を替える事が出来るだろうか?なんて聞くまでもなく、今の答えは、正直、否だ。もちろん、まだまだ自分の事ではないという余裕もあるのだが、いざその日が来たら、隣の部屋へ逃げるんじゃないだろうか。というか、逃げられるのなら逃げたいYO.

  • 語りは新しいが、内容は極めてシンプル、ベーシック。王道です。

  • mob。奇をてらった文体だけど、「同じ言葉を繰り返す」、「同じ言葉をすべらす」(表現を変える)進行は評価。蝉の読経と<核>の使用目的は喜欢。

  • 第98回文學界新人賞、第131回芥川賞受賞作。

    「食事の機械よりも祖母の孫であり続けたい俺」
    人の心はそういう風にできている。

  • 芥川賞作品ってことと、独特の文体に最初抵抗があったけど、予想外に深くて鋭く、いろいろ考えさせられてしまった。

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