イタリア的恋愛のススメ シモネッタのデカメロン (文春文庫 た 56-2)

著者 :
  • 文藝春秋
3.66
  • (17)
  • (37)
  • (49)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 335
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717643

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • イタリア語通訳30年の著者が、これまでに見聞きしたとっておきの色っぽいエピソードを面白おかしく紹介してくれます。
    女の子にも読めるエロ小話というか。

    イタリア人は陽気で女好き。
    男達は自分なりのやり方や自慢話もたっぷり聞かせてくれる。
    日本人男性とは全く違う口説き方をして女心を掴むため、日本に来るたびに必ず若い女性とお近づきになる豪傑もいたとか。
    シモネッタと異名を取る冗談好きな彼女には、皆いろいろと内輪の話もしてくれます。

    夏のバカンスは3ヶ月もある。
    学校が休みになるので、妻と子は1ヶ月先に7月から避暑地などへ出向く。
    夫はさすがにまる3ヶ月は休めず、8月の途中で合流するので、妻子が出かけた後の一人生活は浮気の大チャンス。この時期にどんな女性と浮気したいかというアンケートが人気投票のような国民的行事になっているそうです。
    北欧やドイツなど男性があまり情熱を示さないお国柄のところからは、イタリア男性との浮気目当ての女性も南下してくるとか…
    子ども連れで先に避暑に行った妻の方も、その地での浮気があったりするとか!
    最近は、イタリアもやや様変わりしているそうですが…

    バブルの香りがするお金持ちのエピソードも。
    そんな著者が若いときに、初めてイタリアに行ったときには決死の覚悟だったそう。
    イタリア人は女の子をすぐにもてはやしてくれるものと期待していたら、見向きもされない雰囲気で、しかも言葉が聞き取れず大ショックだったとか。
    それはスラングというか罵り言葉だったからなんだけど。
    さかのぼって~大学に入って初めて東京に出てきたときのエピソードは、さらに初々しく。同じようなスタートラインを切った人は多かっただろうに…

    ロシア語通訳でエッセイストでもあった米原万理との対談が最後に。
    「1冊にまとめてしまうのはもったいない、何で皆が貴女にはこんなに話をしてくれるのか」と感心している。
    「やっぱり私のフェロモンのなせるわざ」と言う著者に対して、「いやフェロモンがないからでは」と応じる。
    こちらはまた「エ勝手リーナ」と著者が名付けている豪の者。
    仲良さそう…
    亡くなってしまったのが惜しまれます。

    本人も口説かれたことぐらいはもちろんあるけれど、今から考えると富豪夫人になれるチャンスをものにしなかったのが残念と語るのが、何だかほんとに悔しそう。
    でもちゃんと夫と子どもがあり、この本ではネタのついでに出てくるだけの存在だけど、実は超優秀な息子で、そのことを書いた本も別に出ているそうです。

  • シモネッタのオンパレードだったけど、面白かった。
    文体や文末の自虐的なオチなど著者親友の米原万里に似ている。米原万里の方がもっと毒舌で、燃えていて、私好み。
    それにしても、英語以外の翻訳者はユニークで個性的な人が多いと思う。
    日本は治安も良いし最高だが、多少退屈だ。
    イタリアに今すぐ飛んでいきたくなる。
    わたしは生まれる国を間違えた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「多少退屈だ。」
      それは、余裕があるってコトで良いじゃないですか!

      私は青山南、柴田元幸、鴻巣友季子は好きですし、渡辺佐智江や岸本佐...
      「多少退屈だ。」
      それは、余裕があるってコトで良いじゃないですか!

      私は青山南、柴田元幸、鴻巣友季子は好きですし、渡辺佐智江や岸本佐知子はサイコー
      2014/02/25
    • クマコ・ヘンリーさん
      そうかもしれないですね!
      退屈なんて贅沢な憂鬱ですね!!

      『青山南、柴田元幸、鴻巣友季子は好きですし、渡辺佐智江や岸本佐知子はサイコ...
      そうかもしれないですね!
      退屈なんて贅沢な憂鬱ですね!!

      『青山南、柴田元幸、鴻巣友季子は好きですし、渡辺佐智江や岸本佐知子はサイコー』

      おもしろいのですか。興味わきまくりです。
      2014/03/01
  • イタリアの男女がいかに「お盛ん」かということを書き記したエッセイです。情熱的な恋をしたいなぁという気持ちになりましたが、イタリアの伊達男になるには気配りが必要だということもまた、痛感した次第です。

    ロシア人の「週16回」(何のことかはあえて言いません)という話に度肝を抜かれていたのもつかの間、イタリア語通訳の第一人者と言われる彼女のこのエッセイにはいたりあの男女が織り成す恋愛悲喜劇とその「お盛んぶり」が全篇にわたって描かれていて、さすが、「エッ勝手リーナ様」こと故米原万里女子からシモネッタ・ドッジのお名前をいただくだけのことはあるなと、思わずのけぞってしまいました。

    しかし、民族を越え、国境を越え、宗教を超える普遍のお話である男女の艶笑話、および「下ネタ」は僕もはっきりいって嫌いではないので、ページをめくるたびにニヤリと笑ったり、イタリア人の性に対するおおらかさや、一人の日本人男性をめぐって、イタリアの美人が路上でここには掲載を差し控えるような言葉で相手を罵倒しながら殴り合いをしていたりと、「激しい」愛情表現の数々に国民性の違いと、パンツェッタ・ジローラモのようなイタリアの伊達男になりたいなぁ、という少しの憧れを僕にくれた本でございました。

    イタリア男の情熱的な口説き文句は身持ちの固いイタリア女性とのセットだ、という筆者の言葉にもあるように男女をめぐる土地柄や民族性の違い、というのもうかがえます。

    僕が最も目を引いたのは筆者が韓国から日本に来る四人のイタリア人観光客で、よくよく話を聞いてみると、その一人の叔父があの「コーザ・ノストラ」で知られるジョン・ガンビーノ氏で、自身も映画「ゴモラ」で一躍有名になったナポリの巨大犯罪組織「カモッラ」の幹部であるというエピソードを読んだときにはっきりいいます。ドン引きでした。

    別れ際にガンビーノ氏が
    「君にはいろいろ世話になった。何か僕にできることがあればやるから遠慮なく言いたまえ」
    という言葉に筆者はもちろん冗談で
    「えー、実は殺してもらいたい男がいるんですけど」
    というと彼は笑いもせず、即座に
    「お安い御用だよ。そいつをイタリアに連れてきてくれたら、いつでもOKだ」
    といったそうです。通訳という職業の奥深さとともに本旨とは少し外れますが、こういう世界もあるんだ、という意味で一番印象に残っています。

    個人的に恋愛エッセイは日ごろ読まないんですが、この本は面白かったです。でも、あまり艶笑話が好きではない、という方にはお勧めしません。

  • シモネタの面白さ万国共通。
    イタリア人も日本人も、どこの外国人も結局同じ人間だなぁ〜と気持ちがおおらかになる。

  • 再読。この文庫版あとがきは何度読んでもやられる。

  • めちゃくちゃ内容詰まってる。
    この人の人生楽しそう〜
    本っていいなあ

  • 気楽に読めるイタリアの小話

  • イタリア語通訳の仕事している著者田丸公美子さんのエッセイ集。イタリア人の一面がかいま見ることができる。しかもおもしろい。ちょっとセクシーなお話も満載。イタリアに行ってみたくなる。

  • 2008(底本2005)年刊行。◆伊語通訳者から見たイタリア男女の恋模様を集めたエッセイ。感動あり、笑いあり、よくもまぁ、これだけ振幅の激しい生き様を集められたものだ、と感心。文章がうまいのかなぁ、ほんとにゲラゲラ笑いながら読み進められた。その一方、生前の米原万里氏との対談、闘病の事実を微塵も感じさせない米原氏のみならず、これを暖かく見つめる著者に涙、そして、逝去後に書かれた本文庫のあとがきに涙…。

  • 図書館で。米原さんの本で紹介されていたので読んでみました。イタリア人ってマメだなあ…と思いました。混浴でイタリア美女が入ってきたらそりゃあ老人は拝むよね(笑)そういうなんていうのかあっけらかんとしたエロ話なので読みやすかったです。

    そしてあとがきに泣かされました。対談を読んで米原さんとは仲が良かったんだろうなあとは思ったのですが…。側に居た方はさぞ無念だったんだろうなあなんて思いました。

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

(たまる・くみこ)
広島県出身。東京外国語大学イタリア語学科卒業。イタリア語同時通訳の第一人者であり、エッセイスト。大学在学中から来日イタリア人のガイドを始めた。著書に『パーネ・アモーレ―イタリア語通訳奮闘記』『シモネッタのデカメロン イタリア的恋愛のススメ 』『シモネッタの本能三昧イタリア紀行』『 シモネッタのドラゴン姥桜』『シモネッタの男と女』イタリア語通訳狂想曲 シモネッタのアマルコルド』などがある。軽妙で味わい深いエッセイのファンは多い。

「2014年 『シモネッタのどこまでいっても男と女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田丸公美子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×