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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167717698
感想・レビュー・書評
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著者の博士論文であり、『万葉集』から近松秋江までを扱った『〈男の恋〉の文学史』(朝日選書)に続く内容で、明治期の「家庭小説」から現代までの文学史をひもときながら、近代以降の日本の恋愛観の変遷を追っています。現代では忘れられた流行小説なども幅広く取り上げられており、著者の本領が発揮されている本です。
本書は雑誌『文学界』に連載された記事をまとめたもので、「あとがき」には「なるべく多量の資料に目を通すようにしたが、いかにせん、十年がかりといった仕事ではないので(残念ながらそれだけの根気は私にはない)、さまざまな見落としがあるだろうと思う」と述べられています。雑誌連載がもととなっているので、本書全体を通じて一つの結論が導かれているわけではないとはいえ、旺盛な執筆活動をおこないながら、毎回の締め切りに間に合わせてこれだけ綿密に恋愛というテーマに関する資料を渉猟してその諸相を明らかにしていく手並みには、舌を巻くほかありません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小谷野敦の恋愛論は面白い。
しかしこの本は「もてない男」のような軽いタッチのものでなくて、学術的な部分もかなり占めておりやや難しい内容となっている。
だからそれなりの覚悟をもって読むべきだろう。
タイトルが「恋愛の昭和史」となっているが、「近代文学から導き出される恋愛史観」というテイスト。
小谷野氏の博学ぶりが十分に発揮されている。
今となっては殆んど読まれなくなったマイナーな文学作品がこれでもかと登場する。
それだけで小谷野氏の凄さが分かると思う。
圧倒的な知識と読書量は流石の一言。
ただしあまりのマイナーぶりで読者を置き去りにしている部分も否めないかもしれない。
全然聞いたこともない作家・作品が登場する。
なので序盤辺りは読んでいてもあまり現実感がないかもしれない(それに現代の恋愛観からすると退屈かも)。
ただその性質上、文学作品の再評価・批評としても優れたものとなっている。
文学作品から恋愛観を導き出すっていうのはどうも当時の市井の感覚とは乖離しているのではないかと思ったりもするのだけど、その辺のフォローもキチンとなされていると思った。 -
第十章まできて、ようやく書いてあることを多少は解読できそうな雰囲気。前半は (仕方ないにしても) 明治・大正の話が多すぎかな。当時の大衆文学とやらを知らないとちんぷんかんぷんですね。最後になってようやく知った文献に出会うものの、全体的に私には難しすぎました。見解を事実のごとく記しているように思えるのは気のせいか?
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小谷野先生の目配りの広さを堪能。
石坂洋次郎とか立原正秋とか石川達三とか、もう滅多に読む人もいないであろう作家群の作品をかなり読み込んでいて、圧倒されます。
小説作品の博捜に基づく深くて広い読書量、「文学界の吉田豪」と呼びたい、っていうか、小谷野先生の文章、特に、こうした「恋愛」をテーマにした文章には、良い意味での「ライター」っぽいケレン味的な魅力がある気がします。
第十五章、恋愛小説と飛行機の関係についての指摘とか速水健朗みたい!と思いました。 -
数え切れないほどの本を読んだ上で、『恋愛の昭和史』を書いているはずで、その情報量に圧倒される。
文学についての部分は、慣れていないと難解に感じる。 -
この人は思想的なものを書かせるよりも、やはりこうした文学論の方がフェアな気がする。菊池寛の「真珠夫人」なんかが長々と書かれているところが細かな拘泥を見せている。
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