ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 221
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717728

作品紹介・あらすじ

キスカ島に残された四頭の軍用犬北・正勇・勝・エクスプロージョン。彼らを始祖として交配と混血を繰りかえし繁殖した無数のイヌが国境も海峡も思想も越境し、"戦争の世紀=20世紀"を駆けぬける。炸裂する言葉のスピードと熱が衝撃的な、エンタテインメントと純文学の幸福なハイブリッド。文庫版あとがきとイヌ系図を新に収録。

感想・レビュー・書評

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  • 途中挫折。

  • イヌ達の駆け抜けた壮絶な20世紀を描く物語。
    ベルカとストレルカ。その他のイヌたちが描かれます。

    イヌに思い入れの大きい人は逆に辛いかも。
    兵器として人間のエゴのために使用されるイヌ達。

    それでも、生きようとする気持ち、意志の強さに驚きます。
    この作品を最後まで書ききった作者が本当にすごいと思います。

    あとがきで爆弾を書きたかったと書いていましたが。
    爆弾としてではなく、純粋にイヌたちの物語として読みたいです。

    今のペット化されているイヌたちも元は野生のものもいて。
    数十年前とは全く違う状況になっているけれど。

    本当にイヌたちにとって住みやすい世の中になっているんかな。
    イヌを飼ったことはないけど、買う人には覚悟を持ってほしいと思います。

    ただ、この話は戦争が主な話に関わってくるので。
    イヌの話と思って読むと結構痛い目にあうと思います。

    それでも、久々に本気で頭を使って読み込んだ話でした。
    こういう本にあたるから、読書はやめられないんですよね。

    告白や悪人を読んだ時のような背中に刃物を突きつけられる感じと。
    蒼穹の昴やテンペストのような何代も続くストーリーに引き込まれました。

  • 運命と、それに導かれる犬たち。硬質な、少し稚拙にも思える力強い文体が独特。あちらで交じり、こちらで交錯し、どんどん読み進めていった。

  • 想像力がもつ破壊力に、完敗

    トヨザキさん激推し、の印象が強かった本。
    その記事から何年経つんだ、と調べると8年ですね。
    8年気になっていて、ようやく手に取りました。

    世界を、歴史を、自分の中で知り、解釈し、その凝縮で
    自分の世界を本の上に作り出している。
    余りにも独特な文体で。

    イヌに語り掛け、イヌが「うぉん」と答え、
    語りはじめ、また、文章が、単語と、句読点と、独特なリズムで連なる。
    例えば

    それでも雪が残るのは峰々においてばかりで、
    谷には清冽な真水がほとばしり、地面には草が
    いちめんに繁った。つねに露に、びっちょり、濡れながら。

    といったかたちで。
    それが様々な時代、20世紀を生きたイヌの場所、時代を
    行き来していくので
    巻頭のイヌたちの系図をどれだけ見返したことか。

    最後、文庫版のあとがきを見て驚愕。
    この本を、「想像力の圧縮された爆弾」として創るにあたり、
    歴史に挑んだのだという。
    元々歴史の知識が多分にあって(もちろん、おありには
    なったのでしょうが)
    その得意分野だから、書くのではなく、創作のために
    歴史に挑むという姿勢。

    想像力がもつ破壊力に、完敗しました。
    古川さんの本はgiftに次いでまだ2冊目なので、
    次は「聖家族」読もうかな。

  • 近代史、冷戦時代。
    時代に、運命に翻弄された人と「イヌ」の物語。

    世界のパワーバランスが変わる複雑怪奇な時代を、軍用犬にスポットを当てて総ざらいに洗い直した意欲作。
    イヌへの語り掛けを多用したハードボイルドな文体は、どこか後ろ暗いこの時代を描くのにとても合っていると思う。
    調査・構想も綿密で、大きな史実と絡めてリアリティたっぷりに描かれるため、もはやどこまでがフィクションなのか分からない。
    構成・ロジックの完成度は相当に高いと思われる。

    が、しかし。
    読後感としては、「で?」というのが率直なところ。
    何が言いたかったのか分からない。
    支離滅裂で陳腐な歌詞のロックンロールみたいだ。

    具体的には少女・ストレイカの存在と扱いがストンと来なかったことが大きいのかな。
    邪推するなら「狙いすぎ」か。


    荒廃した雰囲気。あくまでもハードボイルド。どこまでも硬派。なんとなく知的。
    そんな空気が味わえれば充分というなら傑作と呼べるかもしれない。

  • ハードボイルドなお犬さん達の物語。
    途中まで苦しみながら読みましたが、文体が
    肌に合わず断念しました。

    古川氏の別作品も読んでいて辛かったので、
    私と相性が合わないようです。…無念^^;

    作品としては1/3程しか読んでいないので、判断は
    つきかねます。

    ただ表紙はインパクト凄いですね^^ 
    アゴはずれないのかな(笑)

  • 1990年代? 森の中の狩猟小屋に老人が住んでいる。道に迷った若者が一人その小屋を訪ねた。しかしそれはただの若者ではない。

     1945年、キスカ島から島を占拠していた日本軍が去り、正勇、北、勝、エクスプロージョンら軍用犬が取り残される。正勇とエクスプロージョンの間に子犬が生まれ、アメリカ軍が島に戻ってくる。勝を除いた犬達はアメリカへと旅立つ。
     
     ソビエトはライカ犬を乗せたロケットを打ち上げ、次のロケットで雄牝二頭のライカ犬 ベルカとストレルカを乗せ更に帰還にも成功した。

     ソ連軍のエリート青年将校(少佐)はKGBにスカウトされされる。

     1990年代? 日本のヤクザは組長の娘を人質に取られ、犯人に脅されてロシアマフィアの幹部を襲い始める。

     組長の娘は監禁された町で老人が調教している多くの犬達に出会う。


     犬の半世紀。
     何とも個性的で力強く、雄々しく誰も彼もが懸命に生きている。人も犬も。
     こういうのを読むと背筋がピンとすると言うか、ゾクっとするというか。

     まさに作者は憑かれているようで……。

     語りが独特なのも相まって(二人称小説ってこういう小説を言うのかしら?)とても印象に残る本。
     最初驚いたけれど、全く読みにくくはないです。リズムがあります。

     同じ作者の「アラビアの夜の種族」も今度是非とも読みたいです。

  • 古本屋で見つけて、完全にジャケ買いした作品。

    第二次世界大戦の軍用犬達の運命が、様々な時流のうねりに翻弄されながら、それぞれの時代/場面を生き抜いていく犬達の骨太な歴史書。

    歴史書と表現するに相応しく、とにかく多種多様な犬達がクローズアップされて話が錯綜する為、休み休み読むとまったく理解出来なくなってしまう短所もある。

    犬達の視線を通して、人間達の作り上げてきた歴史を振り返ると、人間ていう生き物は昔も今も同じ事を繰り返しているんだなと。軍用犬として犬を「利用」しようとする人間達が、犬達からすれば滑稽で間抜けな猿回しのように映っているんだろう。

    フィクションとわかっていても、実は世界に本書の犬達がウロウロしているんではないかと思わせる、それくらい精緻で丁寧に犬歴史を綴った作者の凄さは、やっぱり賞賛に値します。

    が、人に気軽に薦めるには躊躇する、くらい複雑。

  • 日本の終戦からソ連がロシアになるまでの歴史を復習。
    年表を見直さなくては。
    犬の歴史はドイツの軍用犬(シェパード)からスプートニクのライカ犬、そして無人島で犬の国が出来上がるのか?
    見たもの感じたことをメモするような語り口に、本を読んだ気があまりしない。歴史の授業を受けたような感じ。

  • 「ベルカ、吠えないのか?」
    私はなんと言ってもこの犬の表紙に惹かれてこの作品を読みました。また題名の「ベルカ、吠えないのか?」というのも個人的には良かったです。


    「ベルカ、吠えない」とあるので「犬のことか?」とも思いましたが、ベルカという名前が人間の名前ということもあるし、「吠えるが指す意味も犬が吠えるの吠えるではないかもしれない」とも思いました。つまりはこの題名に色々な想像を掻き立てられたということになりますw


    物語は1990年代ある冬の日シベリアの森の中で、防寒具に全身を固めた若い男が人里離れた一件の人家に辿り着くことから始まります。主人公は犬です。どんどん犬が出てきます。そして犬の生き様が強烈です。


    また、犬の視点から進む物語では人間の様々な面が浮き彫りになっています。そんな所が私が想像していた「ベルカ、吠えないのか?」では無く、とても刺激的でした。作品では当時の時代背景(事実)と犬の物語が絡んでいてとても現実感があり、主人公が犬ということをいい意味で忘れることが出来ました。


    この作品はどういうジャンルになるのでしょうか?私はそういうのはわかりませんが非常に面白く読むことが出来ました。

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著者プロフィール

1966年福島県生まれ。2002年『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞と日本SF大賞、06年『LOVE』で三島賞、15年『女たち三百人の裏切りの書』で野間文芸新人賞と読売文学賞(16年)を受賞。

「2017年 『非常出口の音楽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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