食がわかれば世界経済がわかる (文春文庫 さ 42-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167717872

感想・レビュー・書評

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  • 社会科の教科書とかだとこういう話も合っていいのかもしれない。

    経済学者の書いた本なので、そりゃそうか。

  • 世界にゆきわたる「日本食ブーム」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=072599

  • 西葡の植民地経営と、英国のそれはかなり違う、という第一章が一番面白かった。
    西葡は収奪的に植民地を経営し、そこで産業が育たなかった。
    一方、英国は植民地で衣食に関わる農産物作りを行い、宗主国の富を蓄積した。
    これにより、世界の覇権を握るのはイギリスになった、という件だ。

    世界の後進地であった西欧が、近代に入ってなぜ豊かだったアジアまで支配する力を持てたのかの説明は、ダイアモンドの本を読んだ方が刺激的。

    著者、榊原さんは、フランスのように、日本も食を外交の武器にすることを目論んでいるらしい。
    世界の要人をもてなすのに使え、と。
    日本食は確かに海外でも評価する人は評価しているが、果たしてどれくらいの広がりを見せているのか。
    原著は2006年、もう10年も前に刊行されている。

    日本の高付加価値な農作物を輸出産業にという議論も、この十年でどれくらい現実化してきたものやら。

  •  期待が高かったので、物足りなかった。確かに食と経済という軸はあったが、世界史のおさらいのように読めた。もっと掘り下げれば絶対面白いテーマでしょう。

  • かつて世界の"食"の生産と流通を押えたことで覇権を握ったイギリス。そして、加えて大量生産、大量消費を立ち上げることで、それに代わったアメリカ。両国に共通するのは、"食"を"資源"と考え、徹底的な効率化、合理化を図ったことであった。しかし、強大なまでに工業化された"食"は、世界に新しい脅威(狂牛病、O-157等)をばらまき、ファストフードと、ジャンクフードは子供たちの糖尿病予備軍を増やし続けている。ここにきて、"食"を"文化"と考える、アジア・ラテン系、特に日本の"食"に注目が集まっている。世界勢力図が大きく東に回帰する現在、安全、健康を志向する"食"もまたリオリエントの潮流の中にある。簡潔ながらも興味深い論考。

  • あのミスター円と呼ばれた元財務省財務官が書いたのが今回の本だ。驚いたのが、最初の方で、パリにあるフランス大蔵省で交渉していた時に、食堂でフランス料理を食べていた時のエピソードだ。
     
     あるアメリカ政府の高官が、なんとダイエットコークを注文した。それに対して、シェフは、食後に持ってきますので、食事中はワインか水をお召し上がりくださいと対応したとある。ダイエットコークとフランス料理のコラボなんて想像もつかない。コーラと合うのはジャンクフードぐらいなものだ。ざるそばとコーラ、炊き込みごはんとコーラ、考えるだけでぞっとしてくる。

     今でもどうかわからないが、この本が発行されたのが2006年なのでその当時のアメリカのエリート層はダイエットコークを飲むと健康に気を使っている善い行いだと思っていると著者は書いている。コーラで免罪符とは恐れ入った。免罪符の本家のローマ法王庁も思い浮かばないアバンギャルドな発想にたまげだなあ。

     フランス料理には日本が大いに貢献していると書かれているのを見てフムフムと思った。というのも、先月の2日に、NHK総合テレビで「和食が世界遺産?~おいしい日本 1万5千年の旅~世界遺産登録を目指す日本の文化「和食」その魅力と広がりを発見する」と題して、フランス人シェフが京都の老舗料亭で修業をする傍ら、昆布とは何かを追求する番組だった。昆布パワーの威力を思い知った。

     テレビ番組でもうひとつ。テレビ東京系列で放送されている「日系スペシャル 未来世紀 ジパング」で、昨日放送されていた「日本式ファストフード」で、あの丸亀製麺とゆで太郎が取り上げられていた。丸亀製麺はロシアに進出し、ゆで太郎は台湾に進出して、大勢の客でにぎわっていた。日本の庶民が食べるものが世界で大いに受けるといいなあと思った。

     その他にも著書では、食を巡る様々な話題が取り上げられていた。食を通して経済を見るのも面白い。

    番組サイト

    http://cgi2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=12f6020130102

    http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/backnumber/20130204/

  • 経済は工業だけでなく食物でも動いているんだというごく当たり前なのに案外軽視されがちなことが良く分かる一冊。
    西洋と東洋の食文化、また食と歴史の深いつながり、大航海時代より以前に世界で圧倒的な豊かさを誇っていたのは中国など、興味深いテーマがいくつもあり楽しんで読むことが出来ました。

    ただ、著者は中国に寛大過ぎるように感じるのと、持ち上げ過ぎと思える箇所も多々あります。

    食に興味がある人は特にお勧め

  • 2012/6/24読了

  • 経済の潮流を、「食」という観点から捉え直し、
    食と経済の世界史から今日のグローバリゼーションへの流れ、
    今後のアジア回帰の可能性まで分かりやすく解説している名著。

    大雑把な捉え方であるとは思うが、

    「食は『資源』なり」とする、アングロサクソン的な発想と、
    「食は『文化』なり」とする、日・中・仏・伊などの発想とを対比し、

    食の歴史と経済の歴史を重ね合わせ、
    また今日に繋がる工業化・産業化・グローバル化と、
    日本やフランスなどの食文化への見直しなど、
    示唆に富む内容だと思う。

    アメリカが推し進めてきた、いわゆるグローバリゼーションが行き詰まり、
    ポスト工業社会のモデルの目途が立っていない今日において、
    日本がどのように国家を作っていくか、
    また、モデルとなるべきはどのようなものなのか、
    一考を促してくれる良書であると思う。

    歴史・文化と経済を絡めているので、文章としては大ぶりかつ概論的。
    また、雑学的であり、教養的な内容なので、
    各論や厳密な議論をするには堪えないが、
    200ページ程度の文庫本としては、十分な内容だと思う。


    「グローバリゼーション」「食文化」といったキーワードに関心がある方には面白いと思われます。

  • さらっと読んでしまった。そんな記憶。

    豆知識的に面白い。

    アメリカ人はコークをどこでも飲む。
    フランス料理ででもだ。

    フランス人はこういう『食い物のまずい国の人間は信用できない』

    世界を食で捉えるとは面白いかも。
    食=文化、文化というと肩苦しいけど、食といえば身近でわかりやすい。

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著者プロフィール

1941年生まれ。東京大学経済学部卒業。65年に大蔵省入省。財政金融研究所所長、国際金融局長を経て97年に財務官に就任。99年退官。2010年より青山学院大学特別招聘教授。著書に『「今日よりいい明日はない」という生き方』『書き換えられた明治維新の真実』など。

「2018年 『AIと日本企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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