- 文藝春秋 (2008年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167717919
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みんなの感想まとめ
社会の深い闇に迫るノンフィクションで、著者はアジアの障害者たちの現実を生々しく描写しています。カンボジアやネパールなどの国々で、物乞いを余儀なくされる人々の背景には、地雷による事故や麻薬中毒、さらには...
感想・レビュー・書評
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カンボジアの地雷障害者やネパールの麻薬売人、幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織。アジアの最深部に分け入ったノンフィクション。
アジア諸国で物乞いをする障害をもつ人々について、なぜ物乞いをするに至ったのか、なぜ手足を失ったのか知りたいと思った著者が、現地で実際に人と触れ合いながら知った現実を書くノンフィクション小説です。
先天的な障害、地雷による事故、薬物中毒の症状、憐みを誘いより多くの金銭を得るために手足を切り落とされた子供達。障害を持つに至った経緯は様々ですが、理不尽で辛い話ばかり。全体的に置かれている状況に対して本人たちも著者自体も諦めの雰囲気が強いのもより気分を落ち込ませます。
そんな中、産婆の女性の話や呪術師の話など、前向きで希望の持てる話がわずかに救い。
話を聞くため、真実を知るためと言いつつ、個々の語りたくない事情を問い詰めたり、その結果相手を精神的・状況的により辛い状況に追い詰めたりしているので、そこまで踏み入って良いものか、それこそ先進国と呼ばれる国に生まれた人間のエゴや歪んだ好奇心だけではないのかと、そんな本を読んでいる自分自身に対してもだんだんと嫌悪感が強くなっていきます。ジャーナリズムの闇というか。
とはいえ、誰も知らなければ変えるための一歩すらも踏み出せないわけで、そのあたりの気持ちの折り合いはなかなか難しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アジアの仏教国の身体や精神に障害を持った物乞い・乞食の人達に取材をしていく。違う国の人という立場だからこそできることなのかも。著者も話を聞いてもどかしい気持ちかもしれないが、悲しい辛いを表す言葉を引き出すべく質問を投げかけ、結局救いがないのが辛い。それでも前向きな気持ちを持ってる人もいるからすごい。最後のインドでの話は衝撃で、これは何とかしないとならないし、世界の機関は何とかできないものか。
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著者が東南アジアから南アジアにかけての国々でホームレスのような障害者と出会ってのルポ。先天的な身体障害者、知的障害者もいれば、稼ぐために手足を切断されたような子どもたちも出てくる。子どもたちの手足をほんのいっとき稼がせるために奪い、使い捨てのように扱うようなことがこの世の中で起こっている不条理。「物乞う仏陀」という美しいタイトルとしっかり練られた文章と構成にぐんぐん読んでいけるのだが、それだけにちょっとあざといような感触も。
何かというと売春したりスケベ話をすることで男どうし渡りをつけていくのって、それが真実なんだろうけど嫌悪感。実際そうなんだからしょうがないじゃん的にしっかり利用している感じが嫌だ。しかもこの本、障害者のことは気の毒だ何だといっておきながら、買われる女性には無頓着なんだもの。そういうところにもあざとさを感じるのだろうな。
この本に限らずなんだけど、読みながらふと思ったので書いておくと、最近の世界放浪ルポって著者の言葉が陳腐だし感じがするんだよね。どこかで聞いた、誰かも同じようなこと言ってるって印象。たとえば、「無論、このような利用する利用されるといった構図は肯定されるべきものではない。しかし、それによって絶望と悲嘆に暮れる者もいれば、喜ぶ者もいる。あらゆる人間がひしめき合っている。それが都市の姿、バンコクの真の姿なのではないだろうか。」(p.125)みたいな感じ。「だろうか」って、ふんわりと保険をかけて言い切らないのも何だかね……。 -
インパクトが強い。
世界の状況(そっくりそのまま真実かはさておき)がわかる本。
貧困から抜け出せない人々が仏陀の輪廻転生を信じる。それは、死をもってしか貧困から抜け出すことができないからなのだと思う。
宗教になじみの薄い日本人には印象的な本だと思う。 -
世界の物乞いと障害者。貧困層にとって、障害者が産まれるとだいたい更に貧困になり、生活が苦しくなる。なかなか海外の障害者にスポットを当てている本に出会ったことがなかったので、知らないことばかりだったが、情景が浮かぶとなんだか辛くなってくる。
カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、ネパール、インド。
インドはずば抜けてエグい。赤子をさらい、レンタルチャイルドとして乞食に貸し出し、5才になって使えなくなったら、手足を切断し、物乞いさせる。マフィアももともとストリートチルドレンや、さらわれた過去を持ち、加害者であるが被害者でもあり、どうしようもない。どうしようもできない事実、現実に筆者も苦しむ。読んでいる方も苦しい。
自分の想像を超える現実があるが、どうしようもできない。大抵の人はどうしようもしない。
そして、どこにでもいる娼婦…。 -
石井光太さんの本をあれこれ読んだので、最初に発行した本に手をつけた。
やはり日本で暮らしていては想像もできない暮らし……。あまりにも衝撃的すぎる。
そして日本にいても忘れがちだが、当然障害者はどこの国でもいる。
厳しい世界で医療に頼ることもできない国での障害者は、本当に生きていけるのかと思う。だからこそ著者は調べにいったんだけど。
身体的にある障害で同情を得ることによって物乞いで稼げるお金は、健常者とあまり変わらないことにも驚き。
物乞いしかできない国なのはわかるけど、物乞いでお金をだす人がいるってことだ。
どんな人がお金をだすのだろう?裕福な人たち?旅行者?物乞い同然の人が物乞いにお金を出すのでは?
むしろ豊かな日本のほうが物乞いしてもお金は得られないのではないか。
赤ちゃんのころに誘拐されて5歳まではレンタルチャイルド、それ以降は腕や足を切断されたり目をつぶされたあと障害者の物乞いになるなんてとても信じられない話だ。もちろん女性は娼婦へ。
貧困な国ってここまで悲劇が当たり前なのか…。
一番気になったのは、麻薬中毒者と仲良くなるために、著者がマリファナやハッシシを吸うところ。どっちも大麻だよね。知識ないので想像だけどまだ安心(というのも変だけど)な麻薬なのか?(タバコも麻薬みたいなもんだよね)身体は大丈夫なのかと心配。もちろん大丈夫な範囲で納めているんだと思うけど。
私「異国の障害者を調べて本で稼いでいる」とは思えない。危険も多いし…。興味本位なのはあるだろうけどそれがあるからこそこうして踏み込めるのではないかと思う。興味本位だったらいけないのだろうか?本にすると日本に現実を知らせることができるし、売れればお金がはいってくるのは当然のことだ。
まだまだ若い著者なので、これからも頑張ってほしいな。 -
衝撃でした。20年前の事だけど、今はどうなっているのかな?
貧富の差は、益々広がっていて、日本もそんな風にならないようにしないと。 -
キツかった。でも読むことができて良かったと感じた
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最終章のインドは特に衝撃的。
前章の諸国も強烈だったけどどこか希望めいたものがあって暖かい気持ちになれたけどインドに関しては絶望しか無かった。
この本は15年前に書かれたものだけど今はどうなんだろうか。
いずれインドも含め東南アジアはゆっくり旅したいと思っているけど、石井氏ほどは無理としてちょっと踏み込んだ旅にしたい。 -
内容
アジアの路上で物乞う人々と触れ合い、語り合ってみたい―。そんな思いを胸に、著者の物乞いや障害者を訪ねる旅が始まる。カンボジアの地雷障害者やタイの盲目の歌手、ネパールの麻薬売人らと共に暮らし、インドでは幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織に潜入する。アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。 -
メディアマーカー・読了コメントRSSで興味。
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神経をえぐられるような、重要な作品。
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内容が内容なのでなかなかヘビー。ゆっくり読んだ。
読み進めているとなんだか夢見心地になってくる。『本当に起こっているのだろうか?』とすら思ってしまう。
それだけ今が恵まれている証拠だろう。日本の場合、ストリートで生活する人たちは地方で生きることはほぼ困難で、都会に住む場合が多いように思える。それ故に、その景色を目の当たりにしたことが無い人達がたくさんいる。
最も印象的だったのが『出来ることが物乞いしかなく、それを仕事にしているだけ。それがどうして恥なのか?』というフレーズ。培ってきたレッテルが剥がれかける瞬間であり、言葉では説明がつかない感覚だった。
どの章からも、悲痛な叫びが今にも聞こえてきそうで、辛かった。それでも読んでよかったと思う。知らずにいることは出来ないと思うから。時には命をかけて取材を続けた著者に感謝したい。 -
2008-00-00
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読み始める
どうしても
つらいところで
立ち止まってしまい
…
しばらく
他の本に手を出して
しばらくしてから
また
読み進める
そして
過酷なルポに
ついつい考え込んでしまって
しばし ページを伏せて
また
他のモノに手をだして
の繰り返しを
しながらも
結局
最後のページに至って
ほっ
と ため息をついている -
本当にこれは現実のこのなのか疑ってしまうような内容。特に最後のインドの話は、マフィア物のフィクションを読んでいると思い込みたくなるような内容だ。しかし、そんな現実も実際にあるのだということ。自分が生きているこの時代に場所を変えれば、日本でだってそのような非情なことは沢山あるのだろう。それを知ったところで私がなにを出来るわけではない。しかし、知らないで良いということにはならない。
知ったからと言ってどうにもできない、、、。う〜ん堂々巡り。 -
図書館で。
昔、アメリカ人の教授が学生時代にアフリカに旅行した時、初めて「貧困」というものに接した、と言っていたことをふっと思いだしました。
社会的弱者である障害を持った方や孤児が東南アジアの国でどのような扱いを受け、どうやって生き延びているのか。中々重たい事をよく見聞きしようと思ったものだなぁと読んでいて思いました。
ベトナムに行った時、道路の側にバナナがなっているのをみてのっぴきならなくなったらここに来たら飢え死にはしないで済むかなぁなんてぼんやり思ったことを思いだしました。いや、そんな甘いもんじゃないだろ、とも思うけれども気候が暖かいって大事。でもここにマフィアなどの組織が絡むと…弱者はさらに虐げられるんだなぁ…つらい。
カンボジアの青年は同じような経験をした仲間が居るという事と外国人の案内とかそれなりにする仕事があることが希望なのかなぁと思いました。する事が無い、奉仕される、施されるだけの生活では…未来も見えないだろうし。
でも作者さんの立ち位置がよくわからなくてその辺りはん?と思う所もありました。各地に日本のNPOが社会的弱者に手を差し伸べているのを感謝された、とありましたがきちんと訪れる先の福祉対策や制度を調べるならその辺りのプロから話を聞けばいいのにとかその活動を紹介したらいいのに、と思いました。お膳立てされたインタビューじゃ無くて現場の生の声を聞きたいんだ、ということなのかもしれないけど… でもそれだって全体のほんの一部の声だし、嘘か本当かも判断でき兼ねる。それに、行き当たりばったりでいきなり訪ねてきた怪しい外国人にそんな自身の生活の辛さや本心は見せないよねぇ…とインタビューを受けた人にちょっと同情しました。
ただ知りたいというだけで行動できるのはすごい。でも知ってどうするんだ?次のアクションは?という辺りがちょっと曖昧すぎて… モニョっとしながら読み終えました。 -
著者である石井光太さんがアジアの国々の物乞いや障害者を訪ね歩き、その体験をまとめた本。
東日本大震災の被災地を訪ねた「遺体」を読み、深く心に刺さったので彼の本を他にも読みたいと手に取ったが、読みながら何度もつらさに手が止まった。
彼が出会う人々は実に様々だ。
戦争によって障害を負っていたり、先天的に障害を持って生まれたり、そして貧しさ故に障害を負わされた場合もある。障害を仕方のないものと受け入れる人もいれば、これは自分の業が悪いのだと諦める人、乞食という仕事にさえ誇りを持つ人もいる。
特に胸がつまったのは、インドのレンタチャイルドの実情だった。
彼らは幼い頃に誘拐され、物乞いする大人たちがより自分を可哀想に見せるために貸し出される。そして、子供としての商品価値が無くなれば腕や足を切断されるなどして、次は自分が乞食をさせられるのだ。
こんなことが世の中に起こっているのかと、衝撃だった。
もちろんもしかすると今現在では状況は多少なりとも良くなっているのかもしれない。ただ、わたしにはそうして暮らしていくことが普通になってしまった場所がそう簡単に変わるとは思えない。
日本で普通に暮らしていて想像する「障害者」とはまったく違う彼らの暮らし。
いつか世界中の人々が、普通にやりたいことをやり、幸せに暮らせる時代はくるのだろうか。そもそも幸せな暮らしってどんなものなのだろうと途方に暮れた。
著者プロフィール
石井光太の作品
