シャイロックの子供たち (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167728038

感想・レビュー・書評

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  •  シャイロックとは、シェークスピア作「ヴェニスの商人」に登場するユダヤ人金貸し。借金の担保に1ポンド(約470g)の人肉を切り取ることを条件に出したり、自分の娘が駆け落ちした際には、娘のことより彼女が身につけている金品を心配したりと、とにかくあくどく描かれていることで有名なキャラ。


     この作品は、池井戸さんお得意の勧善懲悪ものじゃなかった。みんなそれぞれに正義や野望を持つ。しかし、ある人が持つ正義は、別の人から観ると悪になり、その逆もまた然り。


     しかし、このシャイロックは、視点を変えれば、キリスト教徒に迫害され続けたユダヤ人の代弁者である。「キリスト教徒だってやられたらやり返すだろう。俺たちもそうだ」と口にした人間としても知られる。

     人は完全なる善にはなれないし、また完全なる悪にもなれない。

     西木は正義感あふれたヒーローだったのか、はたまた私欲にまみれた悪者だったのか。その結論は出されないまま、幕を閉じる。


     誰だって、最初からこうなりたかったわけじゃない。ちょっとしたボタンの掛け違えがあれば、こういったことは起こりうる。たかがフィクション、たかが作り話、という感想で終われない作品だと思った。

    • b-ryuf-bさん
      初めまして m(_ _)m 池井戸さん作品の推薦、ありがとうございます♪ ^^ 「いいね」まで押して頂いちゃって恐縮ですw ぜひ「下町ロケット」以外の作品も読んでみたいと思います♪
      2013/05/31
  • 重いナリ。
    何が重いかと言うと、状況。
    ミステリなのでメインの事件がおきますが、ソレではなく、ソレもそうなんですが、キャラクタたちの置かれている状況。
    みんな銀行で働いている人たちですが、そのひとりひとりの状況が。
    「サラリーマンの良くある辛い部分」のオンパレード、それもみんな上級で。
    上司からの圧力や下からの圧力や客からの圧力や家族からの圧力などなど。。。
    ミーもサラリーマンの端くれなので、読んでいて少し辛くなったナリ。
    「本を読んでるときくらい、楽しくありたい」なんて思っちゃうくらい。
    一番特徴的だなと思ったのはそんな所。
    総評としては、「面白い」。

  • つづきが気になり、さくさく読み切った。
    もっとはっきりと事の真相がわかるのかと思ったけど、最後は匂わせるだけで終わってしまい、想像するしかないのが、ちょっぴりモヤっと。
    でも章ごとに短編小説のようなちゃんとしたストーリーがありつつ、1冊を通して1つの事件がだんだんと見えてくる展開は面白かったです!
    池井戸さんの他の作品も読んでみたくなりました。
    あとは銀行マンってあんなにしんどい仕事なんですねぇ。学生時代なにも考えずに、就活でたくさん銀行を受けてた自分が恐ろしいです。笑

  • 前半は銀行内でおこる出来事が短編のように続くので、
    そんな感じで話がすすむのかと思いきや、

    後半、名前をふせて「彼は」と話がすすむ章があり、
    章のラストでその「彼」が誰なのか判明させたり、

    前半の色んな話が結び付いていったり、

    とにかく後半からの夢中度MAXでした。

    そして、ラスト・・

    ここで終わるのー!?
    と叫びたくなりました。

    このラストで色んな想像をさせられます。

    モヤモヤで終わるけど、
    だからこそ面白いのかもしれません。

  • 銀行という独特の社会で生きる人々を1つの支店を通じて、誰かの目線で繰り広げられる短編集。
    かと思いきや…ある日、100万円という札束が忽然と消えたことから巻き起こる奇妙な事件…。それぞれが別物だと思っていた話しが微妙に絡み合って謎を呼ぶ。
    新規開拓・顧客管理・癒着・ノイローゼ・栄転・昇進・行員の疾走…。
    昇進をかけた男たちのヒューマンでありながら、隠れた汚職の実態を暴いていくミステリ。

  • 作者お得意?の銀行員たちを書いたミステリー。
    基本的な雰囲気はどんよりしており、同じサラリーマンとしては銀行内のエースの嘘とそのエースの嘘の活躍により精神を病んでしまった話は面白く感じた。
    しかし、個人的には最後はスカッとした終わり方を期待していた。。。

  • 最初は銀行を舞台とした、ショートストーリー集なのかと思いながら読んでいたのだが、それらの話が混ざり合い、絡み合い、複雑な展開を見せてきて… 最後は一気に読み切った。

  • 銀行という組織の中の人間模様を描いた短編集。いくつかの編はストーリーが繋がっていて、ミステリー要素もあり面白かった。

    お金という魔の力に翻弄されているのか、銀行という組織によって心が蝕まれていくからなのか・・・
    組織人としての苦悩が、リアルに伝わってきた。
    銀行マンを見る目が変わりそう。

    池井戸潤氏の他の小説には、苦悩しながらもカッコいいスーパー企業戦士が出てくる物語が多いが、本書はそういったスーパー企業戦士ではなく極普通の銀行マンが登場人物。なだけに、よりリアル感を感じた。

    創作の世界とはいえ、銀行の側面を見ることができる一冊。

  • 銀行にまつわる短編集と思いきや、それぞれの主人公の物語が繋がって、出来事は色々な側面を見せる。
    事実が明らかになるが、どの話も一人のそれぞれの主人公の視点で語られるため、全容はやはり曖昧なまま。
    そこに、色んなことを想像して、推理して…。
    現金紛失の事件が、まさかそんな風な事態に繋がってゆくとは…!
    銀行という過酷な世界で、上に上がるために、それぞれの人がそれぞれの形で何か壊れていったり失って行く姿をみると、キャリアとか仕事とか人生とか、そういうものについて考えてしまう。

  • 七つの会議のベースのような作品。それぞれの短編が一つの軸に繋がっていて一気に読める作品。この作品の主人公たちの生き方はバラバラだけど普通に働くこと、暮らすことを考えさせられる一冊。

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