シャイロックの子供たち (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 4082
レビュー : 497
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167728038

感想・レビュー・書評

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  •  シャイロックとは、シェークスピア作「ヴェニスの商人」に登場するユダヤ人金貸し。借金の担保に1ポンド(約470g)の人肉を切り取ることを条件に出したり、自分の娘が駆け落ちした際には、娘のことより彼女が身につけている金品を心配したりと、とにかくあくどく描かれていることで有名なキャラ。


     この作品は、池井戸さんお得意の勧善懲悪ものじゃなかった。みんなそれぞれに正義や野望を持つ。しかし、ある人が持つ正義は、別の人から観ると悪になり、その逆もまた然り。


     しかし、このシャイロックは、視点を変えれば、キリスト教徒に迫害され続けたユダヤ人の代弁者である。「キリスト教徒だってやられたらやり返すだろう。俺たちもそうだ」と口にした人間としても知られる。

     人は完全なる善にはなれないし、また完全なる悪にもなれない。

     西木は正義感あふれたヒーローだったのか、はたまた私欲にまみれた悪者だったのか。その結論は出されないまま、幕を閉じる。


     誰だって、最初からこうなりたかったわけじゃない。ちょっとしたボタンの掛け違えがあれば、こういったことは起こりうる。たかがフィクション、たかが作り話、という感想で終われない作品だと思った。

    • b-ryuf-bさん
      初めまして m(_ _)m 池井戸さん作品の推薦、ありがとうございます♪ ^^ 「いいね」まで押して頂いちゃって恐縮ですw ぜひ「下町ロケッ...
      初めまして m(_ _)m 池井戸さん作品の推薦、ありがとうございます♪ ^^ 「いいね」まで押して頂いちゃって恐縮ですw ぜひ「下町ロケット」以外の作品も読んでみたいと思います♪
      2013/05/31
  • 重いナリ。
    何が重いかと言うと、状況。
    ミステリなのでメインの事件がおきますが、ソレではなく、ソレもそうなんですが、キャラクタたちの置かれている状況。
    みんな銀行で働いている人たちですが、そのひとりひとりの状況が。
    「サラリーマンの良くある辛い部分」のオンパレード、それもみんな上級で。
    上司からの圧力や下からの圧力や客からの圧力や家族からの圧力などなど。。。
    ミーもサラリーマンの端くれなので、読んでいて少し辛くなったナリ。
    「本を読んでるときくらい、楽しくありたい」なんて思っちゃうくらい。
    一番特徴的だなと思ったのはそんな所。
    総評としては、「面白い」。

  • 前半は銀行内でおこる出来事が短編のように続くので、
    そんな感じで話がすすむのかと思いきや、

    後半、名前をふせて「彼は」と話がすすむ章があり、
    章のラストでその「彼」が誰なのか判明させたり、

    前半の色んな話が結び付いていったり、

    とにかく後半からの夢中度MAXでした。

    そして、ラスト・・

    ここで終わるのー!?
    と叫びたくなりました。

    このラストで色んな想像をさせられます。

    モヤモヤで終わるけど、
    だからこそ面白いのかもしれません。

  • つづきが気になり、さくさく読み切った。
    もっとはっきりと事の真相がわかるのかと思ったけど、最後は匂わせるだけで終わってしまい、想像するしかないのが、ちょっぴりモヤっと。
    でも章ごとに短編小説のようなちゃんとしたストーリーがありつつ、1冊を通して1つの事件がだんだんと見えてくる展開は面白かったです!
    池井戸さんの他の作品も読んでみたくなりました。
    あとは銀行マンってあんなにしんどい仕事なんですねぇ。学生時代なにも考えずに、就活でたくさん銀行を受けてた自分が恐ろしいです。笑

  • 最近よく読んでいる池井戸さんの小説。
    元バンカーの人に勧められ、読んでみました。

    銀行の支店内で起こる数々の短編ストーリーを
    繋げていくと一つの大きなストーリーになるというお話。

    最後はあっと驚く結末になっていますが、
    個人的には分かりやすくて単純な「バブル組み」の方が好み。
    こちらは、ちょっとピリリと山椒が効いた
    ツウ好みの小説って感じでしょうか。

    池井戸さんの小説を読んでいると、
    大企業で働くことのしがらみとか難しさを
    ひしひしと感じてしまいます。

  • 銀行という独特の社会で生きる人々を1つの支店を通じて、誰かの目線で繰り広げられる短編集。
    かと思いきや…ある日、100万円という札束が忽然と消えたことから巻き起こる奇妙な事件…。それぞれが別物だと思っていた話しが微妙に絡み合って謎を呼ぶ。
    新規開拓・顧客管理・癒着・ノイローゼ・栄転・昇進・行員の疾走…。
    昇進をかけた男たちのヒューマンでありながら、隠れた汚職の実態を暴いていくミステリ。

  • 銀行という組織の中での様々な立場を短編形式で見せていきつつも終盤に本題にもっていく手法がよい。最終章、春子の夏はただの幕引きの章だと思いきや、最後のどんでん返しが用意されており読了感がよい。しかし、なぜ舞台はバブル崩壊後なのだろうか。作者が現代の業界を知らないのかそれとも今日では今回のような手口の犯罪ができないようになっているのか。作者の作品は少し前の時代背景が多いですね。
    土日の休みで読んだのですが、平日の仕事のことが度々心をよぎるような、サラリーマンの悲哀を読むのは週末を避けたいと思った。きっと春子と同じ気持ち。

  • ここ最近、池井戸潤の作品にハマっている。


    理由はリアルな銀行員の背景、家族関係、組織の理不尽に立ち向かい諦めない登場人物の姿に胸を打たれ、勇気付けられるからだ。


    この「シャイロックの子供たち」は最近読んだ中でも、一際"重たい"印象だった。


    最初はリアルにパワハラ紛いを繰り返す上司の叱責の話から始まり、隠蔽工作や銀行内部での不祥事などの話が繰り広げられていく。

    そのどれもの登場人物に背景があり、ついつい感情移入して読んでしまう。

    理不尽な上司と報われない行員の正義と悪の構図は流石だと思う。

    中盤以降、話は犯罪へと進み、一気に大掛かりなミステリ小説へと変化する。

    その中で、犯罪に加担し一気にエリート行員から転落する男の話があるが、その家族とのやり取りを描いた章では何か正しいのか、出世とは働くということとは考えさせられる話だった。


    そして、この話はいつもの様などんでん返しで幕が閉じるわけではなく、真相は闇の中で終わる。


    登場人物にそれぞれの事情があるため、心の中で応援しながら読み進みていける反面、人の良い人物が殺害されたり過去に不祥事を隠蔽していたり、人間の内面にまで深く掘り下げて描かれている。


    今まで読んだ池井戸作品の中では個人的に一番、重たく感じた作品でした。

  • 作者お得意?の銀行員たちを書いたミステリー。
    基本的な雰囲気はどんよりしており、同じサラリーマンとしては銀行内のエースの嘘とそのエースの嘘の活躍により精神を病んでしまった話は面白く感じた。
    しかし、個人的には最後はスカッとした終わり方を期待していた。。。

  • 最初は銀行を舞台とした、ショートストーリー集なのかと思いながら読んでいたのだが、それらの話が混ざり合い、絡み合い、複雑な展開を見せてきて… 最後は一気に読み切った。

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著者プロフィール

池井戸 潤(いけいど じゅん)
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部および法学部を卒業。子供の頃から本に親しみ、作家を志すようになる。『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。以降、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』で直木賞をそれぞれ受賞。他の代表作に、半沢直樹シリーズ『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』、花咲舞シリーズ『不祥事』、『空飛ぶタイヤ』『民王』『ルーズヴェルト・ゲーム』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』など。多くの作品がドラマ化・映画化されており、特に「半沢直樹」と「下町ロケット」は非常に高い人気を誇った。 2019年6月21日、人気作『陸王』が文庫化される。2019年7月開始の大泉洋主演ドラマ『ノーサイド・ゲーム』原作を担当し、6月14日に単行本化。

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