まひるの月を追いかけて (文春文庫 お 42-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 4450
感想 : 399
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167729011

感想・レビュー・書評

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  • 以外な結末に何かすっきりとはしないまま終わってしまい、もやもや感と重たい気持ちのまま読み終えてしまった。テーマは人の愛なのかな?救われない感じ。
    ただ解説が佐野史郎さんで帯に書かれているコメントが素敵で。
    役者さんが読むとまた違う世界が見えるのかな。

  • 静は異母兄の元カノである優佳利から、兄を探しに行くと誘われて二人で奈良に向かう。が、その旅が始まって間もなく、一緒にいるのは優佳利ではなく、その友人の妙子だとわかる。なぜ、自分を騙してまで、奈良に同行させたがるのか。
    その後、奈良でついに兄の研吾に会えた静は、妙子と研吾の話から、少しずつ、優佳利と妙子と研吾の相互に依存することで保っていた関係や、研吾に別に愛する人ができたことでその関係が崩れたことを知る。

    奈良の町を歩きながら話が展開していくので、橿原神宮や明日香を始め、途中で出てくる奈良のあちこちの地名に、それぞれの景色を思い浮かべ、自分も奈良を歩いているような気分を味わいつつも、旅の途中での妙子の急死や、最後に明かされる研吾の愛した人など、想像を超えたストーリー展開にぐんぐん引き込まれた。恩田陸はやっぱりスゴイ!

  • 振り返ってみたら
       夜のピクニック
       木漏れ日に泳ぐ魚
       六番目の小夜子
       木曜組曲
       夏の名残の薔薇
       中庭の出来事
    この作品以外も6作品よんでる。
    なのに、分からない。
    好きが嫌いかで言えば好きではない、ほんとわからないのです。どなたか教えて!
     旅が絡んでるから、奈良「飛鳥」もっとときめくでしょう。例えば行きたいとか。

    なんか肌が合わない?
    ここで引き返すわけにはいかないので
    まだ他の作品を読んではみるが〜

    何が魅力なのか、
    どこが賞を取る所以かなど

    感性不足、読解力不足〜

  • 恩田さんデビューなう☆ミステリーツアーに織り込まれる奈良の空気や気配に、頷けるところもあり、こういう風にみえるんだっていうところもあり。あっというまに読了。
    この人間関係の構成も、ひょっとしたら恩田さんの奈良のイメージなのかなぁってふっと感じました。
    品のある文章でとても読みやすかったです。ただ、その動機や展開にはちょっと無理を感じます。ちょっとコナンくんのようです。

  • 恩田作品を何冊か読んできたけど、自分は多分旅をしながら語りながら物語が終わるという話が苦手なんだな。
    これは恩田作品だからなのかはわからないけど「黒と茶の幻想」も駄目だった。「夜のピクニック」は好きだったんだけどな…何が違うんだろう。
    隠された真実が徐々に明らかになる、と言われても衝撃的というわけでもなく(登場人物にとってはそうだろうけど)ただ寺を巡って話をして飯食って煙草吸って…の繰り返しが苦痛だった。人の旅行ってこんなにつまらないものだっけ…
    登場人物の誰のことも好きにはなれず、妙子の死でさえなんだかなぁと思ってしまう。
    恩田さんって理瀬とか実邦とか才色兼備な女性を書くのは上手いのに、静みたいなどこにでもいるタイプの平凡な女性を書くと途端に…と感じてしまった。

  • 2003年作品
    恩田作品には珍しく、閉じた話であった。
    得意の異母兄妹、兄の恋人?2人、妹の母で構成された中年の物語。兄はモテ男?で2人の同級生に愛されていて、1人の同級生と長年付き合っていたが、別れてしまう。
    兄が本当に愛した人は・・・。マザコン?シスコン?1人の同級生が真相を探るが、不摂生がたたる。

    これは登場人物の心を読み取る話のようである。
    男も女も年を重ねても、それぞれの心をわかったようでわからないものであるというのが私感である。

  • ん~、つまらん。
    奈良や神社に興味のある人ならガイドブックになるかもしれんが、私は興味なし。
    登場人物も魅力ナシ。
    「上と外」のパワーはどこ行った?

  • 「彼は奈良が好きだったわ。たいてい、ふらっと二、三日いなくなる時は奈良に行ってたみたい。奈良だと、一人でいても平気だとよく言っていたわ」  

    家族との溝を基軸にしてもたらされた、それぞれの孤独と依存の脆すぎた均衡とその崩壊、纏わり付く不安、息苦しさ、諦観を持ってしても消えない孤独を、早春の奈良を舞台に描いた作品です。  

    ある日突然消息を絶った異母兄「研吾」を追って、二度しか会ったことのなかった彼の恋人「優佳利」と早春の奈良を旅することになった異母妹の「静」。  

    優佳利の強引さによってなかば無理やり実現した旅は、奈良で失踪した研吾を探すためだけのモノの筈でしたが、研吾と優佳利の共通の親友である「妙子」の策略や、縁遠い存在だった筈の兄妹の接触により、事態は二転三転していきます。  
    研吾の失踪直後に「自殺」していた優佳利と妙子の奇妙な連帯感と執着。  
    その契機となった研吾の過去と、決断と、秘密の最愛の人の存在。  
    彼らにとってはキーパーソンであった静が抱えていた虚無感と孤独、そして、反発。

    人の孤独と執着と逃避が絡まりあう先は、決して幸せでも不幸でもなく、そして、発展も解決もなく、ただただ、時間は進み、物事は展開していくしかない、とでもいうような、静けさと無意味さに覆われているような印象を受けました。  

    何かを受け入れることも拒むこともしない奈良の静謐にして存在感のある遺物と風景、人間の本質を暗示するかのような、各章の最後に挟み込まれる短くて不可解な童話が、そんな物語に、一層の不安定さと不気味さを添えています。  

    彼らの抱える問題は結局何一つとして解決することなく、それどころか、新たな問題の露呈を滲ませる終焉には賛否両論あるでしょうが、二転三転していく展開の速さと、奈良や童話などの装置の使い方による雰囲気の演出に心惹かれた作品でした。

  • 二度しか会った事のない異母兄の恋人と、その異母兄を奈良に探しに行く話。

    あらすじを見ると面白そう、といつも思うんですが、内容がよく思い出せない。
    飛鳥に行きたい、と思った事や、ラストがもやっとしてたような事は覚えてるんですが、中盤何してたとかは思い出せない。。


    という訳で久しぶりに読み返してみました。
    なぜ途中の事をあまり覚えてなかったのかが分かりました。
    異母兄を探しに行く、というシナリオや登場人物の役割が「実はこうでした」と種明かしされ、そうだったのか!と思うのに数十ページ後には「それは嘘で、実はこうでした」というのが何度か繰り返されるため、誰がどういう立場で何を意図して話してるのかが分からなくなって来るんです。
    で、2回くらい騙されると実は〜となっても「またすぐ覆されるんじゃないの?」と疑心暗鬼になって内容をちゃんと把握しようとしなかったのが良くなかったようです。

    最後も別にもやっとしてなかったし。

    重苦しい話ではあるけど、心理状態の変化などが面白かったです。
    「ギョっとする」「ゾッとする」という描写がやたら多かった。

    再読しても、やはり春の奈良に行きたくなりました。
    おどろおどろしい場所もありそうだけど、千年以上前からある建物や建造物を見てみたいと思いました。
    ずっっっと同じ場所にある、って事が本書を読んでいたらなんか怖いと感じました。

  • 失踪した兄を、兄の恋人と探す旅。
    なのに、2転3転する関係!
    ライターの兄が取材で出かけたまま失踪。
    異母兄なので接点はほとんど無かったにも関わらず探す旅に出ることに。
    奈良のガイドブック的な要素もあり、旅してる気分になります。
    小学校の遠足で行った明日香、友達と出かけたならまち。
    情景がすぐに思い浮かぶのは良いです。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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