木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.17
  • (89)
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  • (220)
  • (40)
本棚登録 : 4353
レビュー : 529
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167729035

作品紹介・あらすじ

舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿-共有した過去の風景に少しずつ違和感が混じり始める。濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。不思議な胸騒ぎと解放感が満ちる傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 舞台はアパートの一室。別々の道を歩むことを決めた男女が、引っ越し前夜、最後の夜を徹して語り合う。
    男女が関わるひとつの死亡事故、そして複雑な過去。
    濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。

    たった一晩の物語なのに、近い過去から遠い過去まで行ったり来たりして、しかも展開が一転二転して、濃いミステリ小説だった。
    時々頭のなかで相関図を整理しながら読まないとややこしくなるかも知れない。
    ミステリの感想はうっかりネタバレしたらまずいからあんまり詳しく書かないけど。笑

    恩田陸さんのミステリってたまに伏線を回収しないまま終わることがあるけれど、この小説はすっきり終わる。

    禁じられるから強く求めてしまう、という心理って実際ある、と頷いた。駄目と言われるとどうして欲しくなるんだろう。
    それが“駄目”じゃなくなったら興味を失う、という人間のおかしな心理。
    その関係にこだわるのは、愛情なのか執着なのか。目が開けてそれが分かったあと、果たしてどうするのか。

    お互いを疑いながらの関係は、どれだけ騙し騙し過ごしたとしても長くは続けられない、苦しすぎて。
    そんなことを、改めて思った。

  • 敢えてミステリーではないと書いておきます。
    あるアパートの一室を舞台に、翌朝には別々の道を進むことが決まっている男女の最後の夜の話。
    二人にはある気掛かりがあって、それだけは最後に明らかにしておきたいらしい。
    それが何かと言うと、登山中に起きた山岳ガイドの死。互いに相手がガイドを殺したのではないかと疑っている。
    この心理戦が繰り広げられる中で、様々な新事実が明らかになる…。

    と思いきや、明らかになるのは『事実』ではない。互いの曖昧な記憶を繋ぎ合わせて行き着いた『結論』でしかない。
    しかもその、『事実』とも『真実』ともわからない『結論』を元に新たな一歩を踏み出すという、置いてきぼり感。

    私は恩田作品を少ししか読んでいないので、もしかしたら恩田作品を読み込んだ方々からすれば、『これが恩田作品じゃないか』『だから恩田作品は面白いのじゃないか』ということかも知れない。そう言われればそれまでなのだけど。

    しかしこの『いったい誰から聞いたのか、どこから聞いたのか、今となってはあやふや』な情報から端を発したこの事件は、その元々の設定すら『事実』かどうか分からないのに、事件の真相に行き着こうとするのは無理があるし、ましてや二人が苦しみ抜いた恋愛感情というものも、そもそも『真実』なのか怪しい。

    正直男女二人ともキャラクターが好きになれなかったので二人がどの道を選ぼうが途中からどうでも良くなったのだが、とりあえず結末は知りたいと思って読み進めた。

    身を捩るほどに苦しみつつ互いに執着していたその拠り所が虚構だった(或いはだったかもしれない)という『結論』に行き着いただけでこれほどアッサリと瓦解するというその瞬間はなかなか興味深かった。
    その『結論』は『事実』でなくとも良いのだ。自分がそう気付いただけで、百年の恋も醒める瞬間が訪れる。

    • chuckさん
      レビュー共感しました
      恩田陸は5, 6冊読みましたが、この本は正直微妙でした…
      でも何故か書店で推されてるんですよね…
      あくまで私感で...
      レビュー共感しました
      恩田陸は5, 6冊読みましたが、この本は正直微妙でした…
      でも何故か書店で推されてるんですよね…
      あくまで私感ですが「光の帝国」「蜂蜜と遠雷」「ドミノ」あたりが幅広い層が楽しめる作品かなと思います〜
      2019/07/13
    • fukuさん
      コメントありがとうございます。
      「ドミノ」はだいぶ前に読みました。面白かったのを覚えてます。
      オススメ作品、メモさせていただきます。
      コメントありがとうございます。
      「ドミノ」はだいぶ前に読みました。面白かったのを覚えてます。
      オススメ作品、メモさせていただきます。
      2019/07/13
  • 舞台は終始アパートの1室。登場人物はそこに住んでいた男女。二人は恋人同士ではなく、幼いときに生き別れた双子の兄妹。引っ越し前夜から明け方にかけ、男性目線、女性目線が切り替わりながら話が進みます。
    はじめは登山に行った際に起きた死亡事故の真相を、お互いがお互いを犯人ではないかと疑いながら話していきますが、途中からは話がずれていきます。
    なんだかな~。
    妄想力豊かな彼女の思い込みの推理のみを事実としています。何の解決にもなっていません。彼女のピアスだったり、彼のナイフだったり、ばら撒いた伏線が全然回収されず。部屋の片隅に置き去りだった写真立ては、最初から引っ張る必要があったのだろうか。最初に「実は1つだけあるものが残されている」と書いてあったとき、死体かなくらいに思っていたのに写真立てかよと突っ込んでしまった(笑)
    出だしの期待感は見事に裏切られます。
    心理戦を繰り広げていますが、大袈裟だなという印象。タイトルはステキなのに、なんだかほんと残念。

  • いつも聞いてるラジオで推してたし本屋にもズラっと並んでたから読んでみた。期待高まってたし設定が面白そうだったから最初はワクワクしながら読めたけど、中盤から微妙に…。明らかになる事実にいろいろ無理あるような(しかも想像なので真実はわからない)。公園で遊んでる記憶辿るとことか、なんじゃこりゃと白けてしまった。エンタメ小説としても微妙だし、恋愛小説の切なさとかリアルもなかった。欲目ありで入ってもつまんなかったです。ガッカリ度大きかったので辛口で…。

  • 2019.2.5
    ミステリを読みたい訳ではないけども
    全てが憶測だと物足りなく感じてしまった。
    とりあえず女性の心変わりは恐ろしい。。

  • 構成としては好き。

    ある一夜を巡る、双子の男女。
    でも、既に一緒に住んでいた部屋は片付けられていて、二人はお互いに「相手が殺人を犯した」ということを切り出そうとしている。
    そのことに怖さもあるのだけど、それが本当であれば、二人を繋ぎ続ける枷にもなるという、かなり危険な悦びを匂わせる。

    面白いなあと思うのは、交互の視点で話は展開しているはずなのに、少しずつ場の重力がアキ側にシフトしていく所だ。
    一方でヒロは、どんどん真実からもアキからも置いていかれてしまう。
    ま、アキから逃げようとしながら、アキの気持ちの端っこも掴んでおきたい、なんて考えているのだから、全然構わないけどね。

    結局のところ、二人の父親がどういう末路を辿ったのかは、アキの推測でしかない。
    それを言うなら、その夜の思考は全て、裏付けがきちんと為されたものでもない。
    けれど、思考し、整理されることで、アキに物語の重みがかかる反面、彼女は夜から軽くなってゆく。
    それでいいんじゃないかな、と素直に思わされる。

  • 奇妙な題名の通りの作品。
    直接登場するのは兄と妹という双子の男女二人だけで、その二人の視点が章ごとに入れ替わる、たった一晩の出来事を綴ったユニークな傑作長編。
    この二人の関係も、何やら裏がありそうで、さらに殺人か事故かという事件も絡むようで、題名と相俟ってミステリアスに物語は進み、読者もその謎に引きずられながら頁を捲ってしまう。

  • 恋が一方的なら相思相愛より長く燻る。
    相思相愛なら燃え尽きる。
    私が彼を好きだったのは、彼が私をすきだったからなのであって、彼をすきだったから付き合ったわけではい。
    なるほど、私が経験したことはそうだったのかと鋭い主人公の分析によって理解できた。
    小説でこんなにも読み手の理解を深めるものってなかなかないんじゃないかな。
    その点で感動した。

  • 2人の主観が交互に話されてるが、男側の方は結局女の話に動かされているような気がした。
    全ての憶測に筋が通っている訳では無いのがモヤモヤ。

  • 賛否両論だけれど、基本私は好きです。
    ただラストは嫌いです。

    • Motoi Kitagawaさん
      ラストはパッとしませんでしたねー
      ラストはパッとしませんでしたねー
      2019/04/06
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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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