リピート (文春文庫 い 66-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167732028

感想・レビュー・書評

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  • おもしろかったー。出来すぎてるくらいに良く出来たストーリー。『時間旅行』というテーマが良かった。たった10ヶ月前にしか遡行できないけど、その裏に隠された事実は驚きでした。夢のある話でワクワクさせてくれた。
    一方で、謎があり残虐で切ない部分もあり、簡単に『リピート』は楽しいものとは言えないのだが…。こんな夢のような事があるんだと想像を膨らませていたが現実は…。ショック、謎解き、そして夢と現実を行き来してるような気分が味わえました。

  • 私の中でタイムトリップ&大どんでん返しの王道「リピート」を再読。大学生の毛利にかかる一本の電話から始まる。10人が過去の10か月前に戻ることができる。人間の欲というのは果てしない。やはり一番に思いつくのは金銭欲であり性欲である。ただ10人が次々と死んでいき、お互いを信じられず疑心暗鬼になる。実は10人が集まった理由はリピートしないと死を迎える者であり、死の運命を変えられない。その時から金銭欲、性欲と相まって、生存欲が複雑に絡まってゆく。最後のオチからこの手の話にはハッピーエンドはないということね。

  • "この人の小説は初めて読む。ネットに掲載されていた書評を覚えていて古本屋で購入した。面白かった。タイムトラベルとミステリー。
    昔見たことのある映画を思い出す。(毎日毎日同じ1日を過ごす羽目になる主人公。主人公以外の人はその1日が繰り返されていることに気がついてすらいない。主人公だけが毎日毎日同じ行動をする周りの人とつきあいながら、このループから抜ける方法を模索する。)

    意識はそのままで、過去に戻れるという話。つい、自分が同様の経験をできるなら、どうしようか考えながら読み進めてしまう。

    現実はこの本のようにはリセットが効かない。今この瞬間瞬間を生きていくことが大切なんだなぁ。作者はそんなことを言いたかったのかもしれない。"

  • 結末が読めず、どんどん読み進められた。


    ある日、無作為に選ばれた9人に風間という男から地震を予言する電話がかかってくる。

    彼の予言を疑いながらも状況から見て信じるしかなく、
    彼の言うタイムトラベル(リピート)の話にのり、
    実際に時間を遡るという話。

    遡る時間は約10ヶ月。
    決まった時間に空の空間にオーロラのようなスポットが産まれ、そこに飛び込むと過去の決まった時間に戻る。

    この9人とも半信半疑ながらこのリピートに参加する。
    リピートの条件は、決して他者にリピートのことを知られないこと。そして前の生活と大きく違う行動を出来るだけとらないこと。

    そしていざ、R10という過去に戻ると、リピートをした仲間たちが次々と不可解な死を遂げていく。

    残されたメンバーが知恵をしぼりさまざまな案を出し合うが、なかなか答えには辿り着けず、自分も狙われているのではないかという不安とともに過ごす日々が続く。

    そんな中、元彼女の由子に秘密を知られ、脅された毛利は、彼女を殺してしまった。
    彼女のカバンには包丁がしのばされており、彼女は彼を殺す気だったことをあとから知る。
    このことにより、毛利はR11の世界に過去にどうしても戻らなければなはない理由ができた。

    しかし、毛利はおなじリピート仲間である鮎美と付き合うことになり彼女は妊娠することになる。
    そしてR11には行きたくないという。
    記憶をもったまま心だけが過去の体に戻るというリピートなので、戻るとお腹の子の戻るところがなくなってしまうからだ。

    そんな中、毛利は風間と池田に呼び出される。
    そして事件についての謎解きを聞くことになる。
    なんと池田も風間と同じくR0からのリピーター(常連)だったのだ。

    そして、R10に一緒にきた仲間たちはR8までの世界では全員死んでいたとのことだった。
    なんと彼らは、R9の世界で未来を知っている風間と池田が助けた命だった。
    こうして2人は計20名近くの命を救い、R10に戻る前にこの生還者を10名一緒に連れて行くことにした。
    連れていかなければせっかく助けたのにまた死んでしまうからだ。

    謎に迫りながら少しずつ未来を変えて行く。
    されど、結局死んでしまう人もいる。
    それはそれでやむなし。
    そんな模様をゲームのように風間と池田は傍観していたのである。

    毛利は強い憤りを感じたが、R11にはどうしても戻らなければならないためじっとこらえる。
    そして、鮎美の死の期限を知らされる。
    20分後と言う。
    彼女を救うも殺すも毛利次第。
    毛利は悩み、なかなか結論を言い出せなかったが気持ちは固まっていた。
    そして彼女を見殺しにしてしまった。

    R11ではまた彼女に出会うことはできる。
    自分を知らない彼女に。
    それで果たして同じように愛せるだろうか。見殺しにしてしまったことは記憶から消えることはないのに。

    そんな葛藤もまたリピートするからこその思いであり、面白く描かれていた。

    結局、最終的にはこの謎にたどり着いた天童と共に風間と池田に一泡吹かせる計画を立てる。
    風間は死に、池田と天童は刺し違え死ぬ。
    リピート寸前、残された毛利は必死でヘリを操縦し、見事1人でリピートに成功する。

    やっと念願のR11に来れた。
    みんなを助けよう。次はうまくやろう。といろいろ考えを巡らせ、R10では足がすくんでこけてしまった反省を活かし、しっかり足を踏み出した。

    その時、目の前が明るくなり、車とぶつかり亡くなった。


    衝撃のラストだった。
    せっかく戻れたのにあっけなく死ぬ。

    過去に戻れることに対するメリットを活かそうとどれだけあがいても、
    死ぬときは死ぬ。
    こればっかりは予測できない。
    人間の欲もうまく描かれており、この欲にかられた天罰のようにも見えた。

    異世界なのに非常に現実に迫っていて、最後の謎解きまで真実が分からず、結末も分からず、面白かった。
    最後は5時間ほど一気に読んだ。
    イニシエーションラブよりも断然こっちが面白かった。

  • 主人公が段々とクズになっていくところにモヤモヤした。結末は納得。

  • 面白かったー
    こういう少し不思議のSFは自分にストライクでした。読み易くお話の展開も良かった。
    他の作品も読みたいと思います。

  • 今まで読んできた本の中でダントツ一番後味悪かった。私だけが後味悪い思いをするのもなんか腹立つと思って弟妹にも読ませて同じ思いをしてもらった。

  • タイムトラベルもの好きとしてずっと読みたかった本。個人的には登場人物たちが読み手の考え得る様々な可能性を考えるに至るところが良かった。つまり、自分が実際そういう立場になったらという視点が盛り込まれているので、臨場感溢れる作品に感じられた。
    タイムトラベルものやミステリー好きにはページをめくる手が止まらなくなるような展開になっており、少なくはない分量だが飽きることなく最後まで楽しめた。
    乾くるみさんの本は初めて読んだので、是非これから他の作品も読んでいきたい。

  • 面白かった( ´ ▽ ` )ノ
    「イニシエーションラブ」には恐れ入ったけど、ああいう技巧的なものは一発限り? 他になんか書けるんだろうか?……と思って本書を手にとってみたんだけど、なかなかどうしてしっかりできてて、「イニラブ」が決してまぐれでないことが分かった( ´ ▽ ` )ノ

     リピート前の小理屈で退屈した方もおられたみたいだけど、あれは定番ネタ(本作ならタイムトラベル)を扱ったSF作品のお約束なんだよね( ´ ▽ ` )ノ
     横綱土俵入りというか、特撮の変身ポーズというか、儀礼の一種( ´ ▽ ` )ノ
     先人の偉業に敬意を評しつつ、自分の立ち位置(その作品での時間旅行の定義)を明確化するという( ´ ▽ ` )ノ

     まあ、そこさえ越えたら後は一気呵成( ´ ▽ ` )ノ
     人生を繰り返せるという思いがけないチャンスを、リピーターたちはどのように活用するのか?
     予想通りの展開あり、意想外のハプニングあり、各人の本性・人間性がだんだん明らかになってきて目が離せない( ´ ▽ ` )ノ
     結果としては、天網恢恢疎にして漏らさず、って終幕になるけど、どいつもこいつもクズばかりってことが分かったから後味はそんなに悪くない( ´ ▽ ` )ノ
     
     大森先生の解説、本格ものからラノベからテレビドラマまで、タイムトラベルSFの代表作をみっちり紹介してて感嘆( ´ ▽ ` )ノ
     けど、なんで(意識だけタイムトリップするSF代表作の一つ)「ある日どこかで」が漏れているのか?……(´ェ`)ン-…
    「リプレイ」だって、もともとは「ある日」のバリエーションとも思われるんだけど……(´ェ`)ン-…
     あと、全体のストーリーはたしかに「そして誰もいなくなった」ではあるけれど、それ以上に映画「ファイナル・デスティネーション」シリーズそのものだよね( ´ ▽ ` )ノ
     ネタバレになるから、あえてあそこでは触れなかったのかな?(´ェ`)ン-…

     ほか、本書を読んでて気になったのは、(「イニラブ」もそうだったけど)話し言葉がくだけすぎて少々見苦しいところがあったこと、篠原さんが終盤いきなり理屈っぽいセリフを並べるとこ、そしてやっぱりリピートするまでのくだりがいくら何でも長すぎるとこ、かな?( ´ ▽ ` )ノ
    (死体処理とかピストル入手とか、雑な描写は山ほどあるけど、あえて目をつぶる)

    「そして誰もいなくなった」はともかく、「リプレイ」はぜひ併読しておきたい( ´ ▽ ` )ノ
     面白いよ( ´ ▽ ` )ノ
     そして、読後「ファイ・デス」シリーズを見れば、うふふ気分にひたれると思うよ( ´ ▽ ` )ノ

     天童さんの解決した「事件」ってくるみんの他作で扱われているのかね? いずれ探して読んでみよう( ´ ▽ ` )ノ


     ……「乾くるみ」(おっさん)って「ぬいぐるみ」のもじりなんだってね( ´ ▽ ` )ノ

    2017/11/05

  • 過去の自分に戻れるという不思議なタイムリープ現象に招待された主人公たち。ところが次第に仲間が次々と死んでいき・・・

    前半はタイムリープに関する考察、思考実験でやや退屈(といっても非常に深く考えられています)しましたが、中盤に主人公がまさかの行動に出て本性が明らかになり、そして終盤にタイムリープ現象の真相が明かされ・・・と、どんどん面白さが加速していきます。

    っていうかほとんどの人物が下種というか、自分のことばから考えていて、ヒロインが可愛そうに思えてきました。

    話の展開の加速性と意外性、タイムリープに関する深い考察と緻密な構成が重なって、非常に面白い作品です!

著者プロフィール

静岡県大学理学部卒業。1998年『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。著者に『イニシエーション・ラブ』、『スリープ』など。

「2020年 『本格ミステリの本流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乾くるみの作品

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