いっしん虎徹 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2009年10月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784167735029

みんなの感想まとめ

実在の刀鍛冶、虎徹の生涯を描いた物語は、刀作りを通じての人間の成長や情熱を深く掘り下げています。主人公の興里は、病を抱える妻との絆を大切にしながら、理想の刀を求めて試行錯誤を重ねます。その姿勢は、ただ...

感想・レビュー・書評

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  • 実在の人物 刀鍛冶の虎徹の一生を描いた物語
    恥ずかしながら、虎徹という人が実在とは巻末資料を読むまで知りませんでした(笑)
    本書では製鉄、さらに刀の作り方が学べます(笑)

    ストーリとしては
    越前で、甲冑鍛冶だった長曽祢興里は重病の妻ゆきと一緒に江戸にあがり、刀鍛冶を目指します。
    自分の作った兜をたたき切る刀を作るために。
    折れない刀、切れる刀を作ろうと、鉄を知り尽くした興里は、自らが一番の刀が作れるはずと打ち込みますが、その鼻っ面は見事におられてしまいます。

    しかし、刀を作るということに対して真摯に向き合う姿、プロとしての矜持を感じます。

    様々な試練の中、刀を作ることをあきらめず、刀に向き合う姿は熱くなります。
    一方で、妻ゆきへの暖かい想い。さらにゆきの興里への想いが刺さります。

    そして、刀を鍛えることで自らを鍛え、刀鍛冶として、人間として成長していきます。

    虎徹と銘うった刀
    その刀を作るまでの執念、常に上を目指す考え方、工夫と技術。あきらめない心、己の道を究め、貫いた男の生涯の物語でした。
    ぐっときた。格好いい

    お勧めです

  • 生きるために刀を鍛えることと、刀を鍛えることこそが生きること、というのでは結果としての刀にどう違いがでるのか。

    働くことが手段だとしても、自分自身がそこには必ず写り込む。
    サラリーマンだって手は抜けないぜ、と哀しい感想。

  • 刀という珍しい視点からの小説。
    最初はとても面白かったが、終わってみると単調。

  • いい仕事をするには、
    "志を高く持ち決して満足せぬこと。自分をごまかさず精進すれば必ずたどり着ける。それを信じること。"

    "自分で考えず、人の話を鵜呑みにする連中が世の中には多い"



    自分にできることは
    ・常に目標を高く設定しておごり高ぶらないこと
    ・何事も自分で経験し肌で感じること
    ・支えてくれる家族を大切にする

  • 長曾根興里、後の虎徹だ。元は甲冑鍛冶であったが、関が原の後は平和な時代になり、甲冑はもはや甲冑入れの肥やしになるだけでり、虎徹はそれがいやだった。江戸で天下の名刀を打つ。それだけを心に決め、出雲や備前の鍛冶屋に弟子入りするなどして、自分の求める刀を明確にし、江戸で自分の鍛冶場をこしらえた。
    本書では、虎徹の妻、ゆきと虎徹の相手を思いやるくだりが非常によい。ほろっとくるような、微妙なゆきの言動がよい。
    良い仕事をするには、なによりも、志を高く持つことだ。志を高く持ち、決して満足せぬことだ。自分を誤魔化さず精進すれば、いつかはかならずそこにたどり着ける。それを信じることだ。
    刀は人をあやめる道具だ。しかし、ただ、殺めるだけではない。刀を手にした男はまず、刀を見つめ、そして考える。刀は斬る前に考えるための道具だ。死と生。刀は死生の哲理を極める道具だ。殺すべきか、生かすべきか。死ぬべきか、生きるべきか。さらに言えば、人はなぜ生き、なぜ死ぬのか。刀を手にしたものは必ず死と生を考えるのだ。
    ただ斬るだけなら美しい姿など必要ない。実際に人の生き死にを司る道具だから、姿にも刃文にも、気品が必要なのだ。尊厳が必要なのだ。

  • そんなに有名な刀匠だったのか。
    あとがきを読んで初めて知る。

    妻ゆきの存在が圧倒的だ。
    刀がこてつなら、ほとこそゆきだ。

    心を鷲づかみにされっぱなしの一書であった。

  • 刀が好きなので、名高い虎徹の名に惹かれて手にとってみた。

    初期の傲慢さやわがままさにちょっとイラッとしたりもしたけど、結局はやり遂げる直向きさは感動ものだった。
    しかし、鍛冶場って、今の猛暑よりも暑いんだろうなあ。
    本当に、大変な仕事ですね。

  • 江戸時代初期、越前の甲冑師であった長曽祢興里(ながそねおきさと)が30代半ばで刀工に転身し、虎徹という名刀を生み出すに至るまでを描いた小説。鉄にまつわる知識を得る場面や鍛える場面が中心で、全体として鉄の教科書かと思うほど詳細に描いている。自分の作った最高傑作の甲冑を割る刀、折れず曲がらず切れる刀を作ろうという信念を貫いていった先に、生と死に向かい合う清らかな心が生じるのは、わかる気がする。その境地に至った技術者は尊敬に値する。

  • 鋼づくりや刀鍛冶の工程、商品として出すまでの研ぎや目利きなど、歴史小説として必要な下調べが丁寧にされていてわかりやすかった。虎徹と奥さんとの夫婦愛はフィクションですね。こういう夫婦愛もいいけど、奥さんの病の進行に気づかない虎徹。ひたすら尽くす奥さん、そして病に倒れるという筋のほうが、虎徹の業がさらに出る気がしました。

  • 己の道を貫いた炎の生涯を描く傑作長編

  • 江戸初期の刀鍛冶、長曽禰虎徹の生涯
    男の生き様を見せてくれます

  • 刀鍛冶の話は初めて読みました。以前、根津美術館で刀剣展をみる前に読んでおけばよかった。

  • 「銘刀を打ちたい」という願いだけを追うような“無欲”な境地に至るまでの心境の変化…活き活きと描かれる江戸時代の製鉄や刀鍛冶の仕事…そして「30代半ばに至っての転身」という、「極めて不利?」を跳ね返す「強い意思の力」を陰に陽に発揮する虎徹の生き様…何もかもが痛快だ!!

  • 虎徹という名でパッと思いつくのが
    新撰組の近藤勇。
    所持していたのが、贋作なのか本物なのかわからないけども。
    そんな名刀虎徹を作ってきた
    匠、長曽禰興里の話。
    甲冑作りの匠だけど平和な江戸時代は甲冑売れない…
    そうだ!刀を作ろう!みたいな。
    この作品本当に素晴らしい。
    なんか現代の30代半ばで
    脱サラしたサラリーマンが
    新しい分野で技術を磨いていくような。
    そして嫁もこれまた素晴らしい。
    何度も挫折するけど決して諦めないという
    なんかこう大和魂みたいなのを感じた。
    職人ってこうあってほしいし、職人に限らずこうあってほしい。
    簡単に手に入れることが出来る現代、こういったモノづくりの技術って
    やっぱすごいなと思うわけで。
    終わり方も清々しいので文句なしの満点

  • 武士にとって刀とは。その疑問を解決する何かが少しでも掴めるんじゃないかと手にした本。あまりに有名な刀鍛冶、長曽禰虎徹の生き様に胸が震えた。
    単純に疑問が生まれたのは、稽古の時に道場でうっかり木刀をまたいでしまって注意されたからなのだけれど、一振りの刀に費やされる時間と材料と職人の心意気、それを思えばぞんざいに扱うことなんて到底出来ないなぁと痛感した。そんな当たり前な気持ちより、手にした刀に恥じない品位を備えて気高く生きてこそ帯刀を許されるのだと身に沁みた。言ってしまえば単なる鉄、その刃ごしに生と死を見つめ、鞘の中にあっても人を生かし己を生かす。まだまだ精神鍛錬に努めなければ。
    格好良いなぁ、志高く駆け抜ける姿。才市が亡くなってからの興里は特に鮮烈だった。志、生きる値打ち、凛と屹立するもの、矜持、そういうものを自分もいつか見つけたい。

  • 戦争反対の気持ちはあるのに兵器・武器の類にはなぜかひかれてしまう矛盾ってありませんか?

    この小説は刀鍛冶の長曽祢虎鉄を主人公とした物語、名刀虎鉄と言えば近藤勇の愛剣としても有名だか、その刀を鍛えた鍛冶師の物語である。

    鉄(かねと呼ぶ)と刀の職人として、矜持を最後までもち、刀を鍛えると同時にその矜持も徹底的に研ぎ澄ませていくその過程が実にカッチョよい。こだわりの逸品、あくなき完成度への執念、固執妄執と呼んでもいいほどのその思いが一文一文から伝わってきて熱い。

    職人ってこうだったんだよなと、刀に限らずこういう人が作った品物だったからこそ、100年眠った道具には物の怪や神様が宿るとされていたんだと思う。道具って言うのはこうして作られて、使う側も徹底的に愛着をもって使い続けていくことが凄く大切なのだと、エコとかロハスだとか洒落た言葉が使わなくても、基本的なそういうものへの向き合い方を熱く諭された小説だった。

    鍵職人の叔父が冤罪で処刑されるに際し吐いた言葉と主人公の敵役の一人が大量生産の必要性について一言モノを申すシーンがあるのだけど、それぞれ真実なんだよなぁ。難しいけど、やっぱり気に入ったものだけを買って、徹底的に手入れして長く使うっていう、高度成長とバブルの時に捨ててしまい今になって思い出しつつある生き方はやっぱり正しいのだろうなと再認識した次第。

  • (欲しい!/文庫)

  • 江戸初期の鍛冶屋、虎徹の話。
    江戸初期の日本に於いて技術にこだわり抜いた人生が美しく描かれている。
    文書は淡々と描かれているのに、飽きさせない文章。

  • 名刀虎徹をつくりあげた長曽祢興里という刀鍛冶職人の話。刀作りに半生をかけ、納得いくまで作り続ける職人とそれを支える妻のけなげな様子に感動した。すばらしい作品を読めてよかった。

  • 名刀「虎鉄」で有名な刀鍛冶・長曾根虎鉄の話。山本兼一はストイックな主人公の時代小説が面白くて好き。虎鉄が小説の途中でプライド丸つぶれになってから、創意工夫をしながら立ち直っていく過程が面白い、将軍の前で、全国の選りすぐりの名刀による試し切り大会?をするクライマックスは読みながら「叩ききったれ!」って応援してしまった。

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著者プロフィール

歴史・時代小説作家。1956年京都生まれ。同志社大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てフリーのライターとなる。88年「信長を撃つ」で作家デビュー。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞、2001年『火天の城』で松本清張賞、09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞を受賞。

「2022年 『夫婦商売 時代小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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