夏の椿 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2008年1月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784167744014

みんなの感想まとめ

江戸時代の難解な事件を背景にした物語は、主人公周乃介が甥っ子の死を追い求める中で、深い人間ドラマと社会の闇を描き出します。科学捜査が未発達な時代における事件解決の難しさがリアルに表現され、登場人物たち...

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    昔は死人を判別するのも、誰に殺されたのかも見つけるのは難しかったんだろうな。今日の科学捜査の凄さを思いながら読む。

    大体女が攫われて助けに入って、悪はお上にうやむやのまま捌かれるお決まりパターンかな


    あらすじ
    江戸で何でも屋をして生計を立てている周乃介は、ある日甥っ子の定次郎と見られる死体が上がったとして、下手人を追う。

    持ち物は定次郎のものであったが、実際の人体を確認したので定かではない。定次郎の死を調べるうちに米問屋の柏木屋が地上げまがいのことをやり、それに絡んだ人たちが不審死を遂げていることを突き止める。

    柏木屋の周りでは、強盗や放火の疑いが何件もあることが分かる。定次郎が懇意にしていた遊女が周乃介の元に転がり込み、幸せな生活を送っていたが、柏木屋との争いに巻き込まれて命を落とす。

    柏木屋は結局、弟たちは闘争の上死に、自身は米騒動で店が打ち壊しにあった上に、様々な疑惑が持ち上がったことでお上に捌かれて死を遂げる。

  • 解説:池上冬樹
    雨◆越後◆守護神◆沙羅の花

  • 北重人さん初読み。
    重層的で読みごたえのある作品だった。シリーズのもう一冊も読んでみたい。



    【校正もれ】
    破れ長屋になっても、天水桶だけは痛んだといえばすぐに手入れがなされた。(P319)
    →……天水桶だけは傷んだといえば…

  • 時代ものでこんなにミステリー仕立てになるなんて。
    とても良くできた映画を見たような気分です。
    最後は、主人公がどうにかするのだろうなと思いつつ読むも、いわゆる手垢のついた勧善懲悪、大団円にならず、切ない気持ちがやるせなくなりました。
    今頃読んだのかよと言うなかれ。未読の方には、強くオススメしたくなりました。

  •  岡っ引きでも、同心でもないのだから「捕物帖」とは呼べないのかな。
     時代推理小説?推理時代小説?

    車も電話もない時代。事件の調べも難しい。
     それを補って余りある筆の力。
     巧みに入り組ませた糸が絡み合い、最後の頁まで導かれる。

     事件の回りに描かれた、江戸の町の生活も味がある。
     人物もいい。
       
     50歳近くなってから取り組んだ作家仕事と聞けば、それも頷ける。 

  •  天明6年の江戸。時代小説。夏の宵に咲いた白い花。匂いたつ香りに、一瞬のやすらぎがあった。主人公は、旗本の三男坊である立原周乃介。刀剣の仲介、一刀流道場の師範代、そして万調べ事を生業にしている。斬殺された甥・定次郎の謎を追う。調べを進めるうちに出会った遊女、沙羅。彼女が本書のタイトルである「夏の椿」である。彼女を知る坊主が言った。「陽射しにあらがうような白い花でね。可憐だが、華やかでもある。陽が翳ると、どこか悲しげだ」沙羅双樹のことだそうで、ぴったりの名をあてたものだと思った。定次郎、周乃介を惹きつけた、華やかで悲しい女性だった。この作品は北 重人のデビュー作で、第11回松本清張賞の最終候補だったそうだ。ミステリー色は薄いが、誠実さを感じさせる文章は落ち着きがあり、人情溢れる長屋の人々をはじめ、風情にみちた江戸の町をきれいに浮かび上がらせた。なにより沙羅が壊れそうに美しく、色香を漂わせた。切なく儚い物語に、人生を思った。人生、「あざなえる縄のごとし」

  • 北さん、初めてです。
    かなりお年を召されてからデビューされた模様。
    解説(池上冬樹)には藤沢周平との比較があるけれど、かなりタイプは違うと思います。でも、そういう比較すること自体が、この人に対する評価の現れなのだと思います。
    しっかり構成され、描写も良く、力を感じさせます。全体にトーンが重く暗い感じ(こう書くと周平さんの初期作品との類似を思わせますが)がある中で、ヒロイン・沙羅の存在が儚い光を与えています。
    個人的な好みからすれば、捕り物色が強過ぎるのですが、もう何冊か読んでみましょう。

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