死神の精度 (文春文庫 い 70-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • / ISBN・EAN: 9784167745011

感想・レビュー・書評

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  • H29.4.20 読了。

  • 第57回日本推理作家協会賞
    短編部門受賞作品。


    クールでいて、
    どこか憎めない死神のキャラが
    なんとも魅力的で
    大好きな小説です♪


    まるでサラリーマンのように
    調査部員として
    人間界に派遣されてくる死神(笑)。


    死ぬべき候補に挙げられた人間を
    1週間にわたって観察し、
    死ぬことを『可』とするか、
    または『見送り』とするかを判断し、
    『可』なら、
    8日目に来る死を
    見届けるのが彼らの仕事。


    死神の千葉が
    人間界で働く日は
    決まって雨が降る。


    また人間界の生活習慣や
    しきたりに慣れてないので
    変なツッコミや
    ズレた会話が
    面白い効果を生んでるし、

    死神のクセに(笑)
    音楽を聴くことが
    なによりもの楽しみという設定が
    また微笑ましくていい(^^)


    人間の死には興味はないが、
    人間が死に絶えて
    ミュージックが
    なくなってしまうことだけは、
    つらいと言う
    変な死神(笑)


    この死神のキャラは
    伊坂の作る
    歴代の味のある登場人物の中でも
    特に異彩を放ってるし、
    桜や黒澤に次いで
    個人的にも
    お気に入りキャラです(^_^)



    物語は
    時代も登場人物もバラバラな
    連作短編集で
    6つの人生を見届ける死神の話で構成されています。


    一つ一つの物語には
    すべて軽い謎解きが用意されていて楽しめるけど、
    一度出てきた登場人物が
    時を越えて
    この本の中でまた
    意外な形で登場するという仕掛けも
    緻密に構成されていて、
    読む者をアッと驚かせてくれます♪
    (そしてお約束のリンクゲストは(笑)
    『重力ピエロ』の
    あの人が出てきます!)


    死を扱いながらも
    どこか軽やかで
    清々しい読後感は、
    どんなに重く暗い話の中にも
    『希望』の光を潜ませることを忘れない
    筆者だからこその味わいかな。



    短編集なので
    かなり読みやすいし
    伊坂初心者の方にも
    オススメです(^_^)



    あっ、そうそう、
    CDショップで
    一心不乱にヘッドフォンを耳に当て、
    なかなか立ち去ろうとしない客がいたとしたら、
    それはおそらく
    死神なので
    ご注意を(笑)(^_^)

  • 生真面目で、比喩表現がわからず言葉を文字通りに受け取る千葉さん。
    無機質だけど、どこか温かみのある千葉さん。
    「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、もっとも醜いのは、渋滞だ」な千葉さん。
    「死神」からは連想できないような千葉さんの性格が面白い。

    最後の章「死神対老女」を読むと、おっ!
    となる。

  • あっさりとしています。
    “死”という重いテーマを扱っているにも関わらず穏やかに書けるのは、ある意味すごいのでは。

    1週間、特定の人間について調査をし、死ぬべきか否かの判定を下すのが、主人公である死神の仕事。
    基本的に“死”という決断を下すのだけど、だからといって冷酷でも残酷でもなく逆にほのかな温もりが感じられました。

    個人的に好きだったのは「死神と藤田」。

    この作品を読むと
    「棺桶の釘を打たれるまで
     何が起こるかなんてわからない」
    という台詞の意味が分かるような気がします。

  • やっぱり上手いなぁ・・伊坂さん。

    本書は、死神の“千葉”と、彼と出会う人間たちを描いた連作六話が収録されています。

    小気味好いストーリー展開と伏線回収の巧妙さは勿論、何といっても千葉さんのキャラが良かったですね。
    基本クールな彼ですが、雨男でミュージック(音楽)が好きすぎるところや、人間の習性や言葉の意味を理解できていなくて、とんちんかんなやり取りをしてしまう等・・。そして何気に人間界をエンジョイしている様子が好ましいです。
    各話それぞれシチュエーションが異なっていて、例えば第三話「吹雪に死神」は、“ベタなミステリ仕立て”で、謎解き部分が<オリエント急行の殺人>を彷彿とさせて思わずニヤリでした。
    第四話「恋愛で死神」も好きですね。若い二人の微笑ましさと彼らを待ち受ける運命の切なさが、絶妙な余韻となっており、さらに第六話「死神対老女」に繋がっているのも良いです。
    余談ですが、伊坂さんのワードセンスって抜群だと思うのですが、実は十数年前に彼の作品を読んだ当時は、そのセンスあふれる文体が何故か鼻について、読まなくなっていたのです。今は素直に“上手いな・・”と感心しながら楽しめるようになったので、ボチボチ“伊坂復活”していこうかなと目論んでいます。封印期間が長かったので、まだ読んでいない作品が沢山あるかと思うと結構楽しみです。因みに、虐待ネタやいじめネタは鬼NGなので、そうではない“後味良い系”をチョイスしたい所存です。(お勧めあれば教えて頂きたいです!)

    • 111108さん
      あやごぜさん こんばんは

      昨年はいいねやコメントありがとうございました。今年もよろしくお願いします♪

      実は私も〝伊坂復活〟したい派です。...
      あやごぜさん こんばんは

      昨年はいいねやコメントありがとうございました。今年もよろしくお願いします♪

      実は私も〝伊坂復活〟したい派です。死神シリーズ大好きで初期の他の作品もいくつか読んで楽しんでたのですが、何故かパタリと読まなくなってて‥今何から読んだらいいのかわからなくてオススメとかは無いんです(←無いんかい!ってスミマセン)けど、ドロドロしてない系の見つけたら教えてほしいです。レビュー楽しみにしてます。
      2022/01/02
    • あやごぜさん
      111108さん。こんばんは♪

      こちらこそ、昨年はいいねやコメントありがとうございました。今年もよろしくお願い致します~(^^♪

      ...
      111108さん。こんばんは♪

      こちらこそ、昨年はいいねやコメントありがとうございました。今年もよろしくお願い致します~(^^♪

      おお♪是非共に〝伊坂復活〟しましょう!
      確かに、“何から手をつけるか問題”ですよね・・。結構リンクされている話とかも多そうなので、“これを読む前に、これ読んどいたほうがええかな・・?”とか迷っちゃう感じです。とりあえずは“安パイ”の続編『死神の浮力』からボチボチ読んでいこうかなと思っています~(^^)
      2022/01/03
    • 111108さん
      〝安パイ〟続編からね、なるほどなるほど〜
      少ーしずつ手をつけてきますね(^O^)
      〝安パイ〟続編からね、なるほどなるほど〜
      少ーしずつ手をつけてきますね(^O^)
      2022/01/03
  • 旧い映画だが、先日、先に映像を観たばかり。

    本作も最後の老女の正体は…ということらしいのがブクログレビューでわかっていたので、映像通りなのだなと思って読んでいた。

    映像と違った。
    そっちかい!?



    原作…「人間とはこういう生き物だ」ということがちょいちょい提示されるのだが、なるほどなぁと感心する。

    伊坂氏作品の黒澤や陣内と同様に、この死神も好きなキャラクターだ。

  • 死神が人間を査定して
    生きるか死ぬかを決める物語

    たった一週間の出来事で査定をする死神と
    査定されていることを知らない人間との
    ちょっとズレたやりとりがクセになる

    生きている中のたった一週間
    もしも自分のそばに死神がいたら

    生きていること死んでいくこと
    悲しくならずに読める短編集


  • 初めの短編でグッと伊坂幸太郎の世界観に引き込まれた。もしかしたら千葉のような死神が本当に存在するのかもしれない。

  • 死神が人の死を決める理由は「仕事だから」
    人間の姿をした死神はその人の死が「可」なのか「見送り」なのか6日間で判断し、7日目にその人間は死ぬ

    恐ろしいものの代名詞でもある死神だけど、その中身はミュージックが大好きで、痛みや恐怖を感じず、味覚もない、ズバズバと聞きたいことをきく!そして死神にもそれぞれ個性がある

    最後には愛着すら湧いてしまう

    こんなに素敵なキャラクターを描けるなんて本当にすごい!そこらじゅうに心にささる言葉が散りばめられている

    死神の千葉を中心とした短編なんだけど、それぞれの話の終わり方がいい!

    オススメは殺人犯の森岡
    死神と森岡のやりとりは本当おもしろい
    まるで漫才を見ているみたいで笑えた!

    最後には鳥肌が!!

  • 恋愛で死神が好きだった。死神のキャラクターが魅力的で、人間に寄り添いすぎず、突き放しすぎずいい距離感だった。私は人間だから人間に感情移入しすぎてしまった。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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