赤い長靴 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2008年3月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167748012

みんなの感想まとめ

結婚生活の中での孤独感やコミュニケーションの乏しさを描いた物語は、日常の中に潜む不気味さを浮き彫りにしています。夫婦の間にある微妙な距離感や、言葉が通じないことの恐怖が、読者に共感を呼び起こします。主...

感想・レビュー・書評

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  •  う~む…私には難しかったです。

     会話もろくにせず、衣服を脱ぎ散らかしたり、バナナの皮を床にポイッと捨てる。こんな夫、耐えられない。絶対に嫌です。

     日和子さん、あなたの人生それで良いのですか?最後に夫へ離婚届を突きつけるのかな?と期待し、我慢しながら読み進めましたが、最後の最後まで、そんな夫を許し、クスッと笑う日和子さん…。

     ひと昔前の夫婦の姿?なのかな。

     恋愛小説でもなく、私にとってはストレス小説でした。(個人的な感想です)

  • 結婚して10年、子どものいない夫婦、日和子と逍三。

    「私と別れても逍ちゃんはきっと大丈夫ね」
    人の話を聞いていない夫。どこにも属さない夫。
    可笑しそうにくすくす笑う日和子。

    夫婦の中でありがちなことがたくさん含まれている。
    日和子の言葉がぐさりと突き刺さる。驚きと恐怖に満ちてる。けれど何かが起こるわけでもなく…

    あぁ、この二人夫婦なんだなって、確実に思える。

  • 夫婦2人一緒にいるのにどこか孤独で、会話がちぐはぐで笑う日和子がいたいたしくて、読んでいて悲しくなった。

    それぞれの前に誰か別の異性が現れて、とかそういう展開は全くなくて、淡々と2人の日常が描かれるのだけど、二人一緒に居ない時の方が、お互いを強く求めるっていう矛盾した感情と距離感が不思議と好もしかった。

  • 曇り空が切れ目なくどこまでも続いていくような日常で、誰一人ピントのあっていない、ぼやけた日常を送っているよう。
    どこか不気味だった。
    居心地の悪さが自分を自分たらしめている。
    あの時感じた、じめじめとした風、匂い、人の存在は夢だったのではないか。

  • 幸福なような、不幸なような… この帯の、"二人なのに、ひとりぼっち"が本当にしっくりくる、"話が通じない"夫とその妻の話。
    ここまでではないけどうちの父も似たような感じなので、世の中の男性は結構こういう人いるのかな?と思うとますます結婚が怖くなってしまう…
    話が通じないことも怖いし、それを幸せと思わないといけないのかなぁと思うとさらに怖かった。
    めちゃくちゃ体調が悪い時に読み始めたのだけど、疲れて気分が落ちている時に読む本としては最適だった。
    江國香織の独特なアンニュイさが出てるのも素敵。
    まぁ日常を切り取った淡々とした短編集なので、すごい良かった!ってほどではなかった。

  • 結婚して10年、子供のいない夫婦の物語

    江國さんの作品の中で、とある会話を探していて再読
    まぁ、この作品の中にはなかったわけだけれども

    日和子と逍三の夫婦
    江國さんはよく「会話が成り立たない夫」を描く作品が多いけど、これはその傾向がより強い

    バザーで「いらない」と言っているものを勝手に買いまくってプレゼントするというあたり、かなり怖い

    読む人によってはサイコホラーに感じるんだよなー

    妻の不在の心配事がまずは自分のご飯の事というエピソードは
    実際の夫婦生活を綴ったエッセイ「いくつもの週末」でも描かれていた

    もしかして、江國さんの旦那さんも会話の成り立たない人なのかと邪推してしまいますよね

  • 108頁 煙草 の章あたりから面白くなってきた。

    とある夫婦の日常なんだけどその妻は、よく知りもしない人との会話では"言葉が通じる"のに結婚12年目になる夫とのそれでは"言葉が通じない"と感じている。

    夫に話しかけても応答がなかったり、何度も同じことを聞かれたり、まるで会話が成り立たない。暗にカサンドラ症候群みたいな状況を描いた小説かと思ったけどそうでもなさそう。
    読んでいて息苦しくなるようなところもあったけれどそれでも続いていく二人の生活風景。

  • 主人公は、無口な夫と暮らす女性。子供はいない。
    夫へ話しかけてもほとんどが通じない。
    注意しても聞いてもらえない。
    結婚当初は自分の「ほんとうの」感情を夫にぶつけていたが、
    今では諦め、その世界を受け入れている。

    「ほんとうのこと」は言ってはいけないのだ。
    と、いつも自分の気持ちをコントロールする。

    主人公は絶対に納得してはいない。
    でも、外の世界より内の世界が落ち着く。
    その「内の世界」を壊したくないから、夫を受け入れているのではないだろうか。

    何かを守りたいから我慢する。
    読んでいて、同感できるところもあるので、かえって胸が苦しくなった。

    気になったフレーズ↓

    気温差に鈍感な人間は、ほかのことにも鈍感なのだ

    ほんとうのことは言ってはいけないのだ、という真実

  • 今まで読んだ江國作品の中で一番好き。結婚10年を過ぎて子供がいない夫婦の日常を描いている短編集。出来事ともいえない出来事、ほんの少しの揺らぎ。これってどういう言葉になるんだろう、って日頃感じているような些細な気持ちの動きが最小限の言葉でつづられている。
    最初は幸せだなと思いながら読んでた。
    でも悲しくなった。そのあと悲しいだけじゃない微妙な暖かい気持ちになった。

    作家の耐用年数とはよく聞く言葉だけど江國さんって最近になって急に技巧派になった気がする。

  • 『赤い長靴』 江國香織
    起承転結のない本と言っていいのだろうか
    結婚って何なのだろうなと思う時に読み返してみるといい本、と言ってもいいのかもしれない。
    男女の性愛だけではない、夫婦としての睦合いが事細かく描かれている。「意味のない」会話は怖くて、「ほんとうのこと」をいつも知りたい日和子(クスクス穏やかに笑う癖がある彼女には、とっても似合う名前だと思う)と、いつも何かの「膜」を張って不機嫌な道三。

    「いきなり熊が入ってきたみたいな違和感が、苦痛なのか幸福なのか。」

  • 夫婦間の心情を奇妙な形で表されているように感じた。が、読むにつれて引き込まれていき共感する場面が多々あった。

  • いないときのほうが、すき。
    結婚の前後が思い出せない。
    くすくす笑ってしまう。
    わかるかもしれない、私におどろく。

  • 子どもがいない結婚10年目の夫婦の日常。
    価値観が違うというか、日和子が夫に歩み寄ろうとしても夫はそんなことに全く気付かずにいて、そんな夫に読んでいてずっとイライラした。日和子はもうそれを通り越したからずっとクスクス笑っていられるんだろうか。

  • たぶん、どこの夫婦もこんな感じなんだと想像する。「夫婦あるある」
    うちの母も、日和子みたいな思いをして、父の文句を言ってることがある。何を言っても、生返事なときとか。
    でも、二人は仲が良いし、お互いいなくてはならない存在なのだ。
    だけど!独身の私は…こんな夫婦になりたくないな。結婚に、夢見すぎかな?
    逍三みたいな旦那さんと結婚したら、毎日いらっとして、ストレスたまりそう!
    非常に不愉快!
    ***************************
    というか…読み進めていくうちに、逍三のあまりに会話ができない様子はもう、何か名前のつく生まれつきの病気なんじゃないかと思えてくる。傘の差し方が下手でびしょぬれ、ってエピソードで強く感じた。
    「夫婦あるある」で済まされるのか?世の中の旦那さん、ここまではないでしょ?って…信じたい。
    とにかく、逍三の著しくコミュニケーションが取れない様子は、長年連れ添った夫婦の“慣れ”とは違う気がする。
    異常。
    逍三目線のパートもあるけれど、彼がなんでそうなのか、納得できるわけではない。
    妻だけでなく、誰の話も聞いていないらしい。

    読後感は悪いけど、私にここまで感想を書かせてくれる小説は、秀逸。

  • 話自体はなんて事ない夫婦の日常を描いているが少ない会話のなかで二人はものすごく考えたりしていた。今の在り方だとこの夫婦な典型的な男尊女卑の夫婦で批難の的になるようなもので不満が出てきそうなものであるが、この夫婦はその空間を好み、心地の良いものだと思っていて、愛とは違う安堵を求め合う夫婦を描いていた。江國作品の事象や景色に対する描写や考え方が好み。

  • 2人の空気感、2人の習慣、2人の常識、小さいそれらの組み合わせで夫婦の形が構築されるのではないかと思った。
    時に不気味だけどお互いに離れないには意味があるんだろうなあ

  • 再読⭐️
    言葉の通じない夫との夫婦の日常の話だがずっと一緒いると言葉ではない何かが生まれている感じが良い夫婦とまでは言い切れないが悪くない夫婦だと思います。

  • 夫から離れて学生時代の友人等と楽しんでいても、帰りたくなる気持ち、そして、我が家に帰ってくると帰るまでに感じてたほどの夫への愛おしさは感じないけど、安心するという点は共感した。
    夫婦になるまで感じたことのない感情だった。
    ずっと一緒にいるから自分のいるべき居場所にいないことへの違和感なのか。
    はたまた2人だけの阿吽の呼吸、予定調和から外れることへの不安なのか。
    夫婦って不思議な関係性なのかも。
    そして知らず知らずのうちに共依存していくのかも。

    逍三の言葉の通じなさは異常だし怖さを感じるけど、たとえ会話が成り立ったとしても完璧にお互いを分かり合えるって、どんな関係性においても不可能だと思う。その意味での孤独はわかる。
    そして分かり合えなかった時、1人でいた時より余計に孤独に感じるのも。
    でも、子供がいるとそれどころでなくなるからそうした孤独は減ったかな。
    かといって、それはまやかしで子が巣立った後、場合によってはより深刻な孤独を感じるのかもしれないが。

  • 江國香織作品はだいたいどれも好きなのですが、これは登場人物があまり好みじゃなかったせいか、読むのに勢いが必要でした。

  • つまらんダンナとの生活の何が楽しくて、一緒にいるのか、日和子の気持ちがよく知れんなあ。こういう夫婦というものも、世にはあるのだろうか?

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著者プロフィール

江國 香織(えくに・かおり):1964年東京生まれ。1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文学賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞など数々の文学賞を受賞。他の小説作品に『つめたいよるに』『神様のボート』『東京タワー』『抱擁、あるいはライスには塩を』『彼女たちの場合は』『去年の雪』『ひとりでカラカサさしてゆく』『シェニール織とか黄肉のメロンとか』『川のある街』など多数。『絵本を抱えて部屋のすみへ』『いくつもの週末』『雨はコーラをのめない』『旅ドロップ』などのエッセイ集や詩集・童話・翻訳など多彩なジャンルで活躍。 

「2024年 『読んでばっか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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