名著講義 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 217
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167749033

作品紹介・あらすじ

偉大なる先人たちの「名著」を毎週一冊読み続け議論しあうことによって、「昔の人は無知蒙昧、自分達現代人が当然ながら歴史上一番偉い」と教えられてきた学生達の多くが、江戸や明治の人々は人間として自分たちよりはるかに上だったことを認識するようになっていく…。読書の愉悦をめぐる「師弟問答」の数々。

感想・レビュー・書評

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  • 『国家の品格』での熱い想いにに非常に共感を抱いた、数学者・藤原正彦氏。
    そんな藤原さんの、お茶の水大学での"読書ゼミ"の様子を綴った一冊になります。

    講義で取り上げている本は、全部で11冊+2冊。

     『武士道』(〇)
     『余は如何にして基督信徒となりし乎』
     『学問のすゝめ』(〇)
     『新版 きけ わだつみのこえ』(〇)
     『逝きし世の面影』
     『武家の女性』
     『代表的日本人』
     『山びこ学校』
     『忘れられた日本人』
     『東京に暮す』
     『福翁自伝』(〇)
     『若き数学者のアメリカ』(〇)/『孤愁』

    明治期の著作が多いのは、この時代の日本人の活力が高かったコトの、
    証左の一つにもなるのでしょうか、、あらためて興味深く感じました。

    なお、自身の既読は末尾に"〇"を付けてみましたが、初めて目にする本が多いなぁ。。
    学生時代、内村さんは史料として目を通した覚えはありますが、何気に通読までは至らず。

    ん、日本に民主主義が根付いたのは戦後との印象が強いですが、、
    実際には戦前に既に、当時の国際社会と比べても高水準な民主主義が実現されてました。

    なんてことは、確かに小中の歴史教育の中では教わらなかったのを思い出しました。
    高校ではその辺り大分フラットだった覚えもありますが、、それでも偏っていた記憶が残っています。

    戦後、GHQや日教組などの赤い連中によって塗りつぶされてしまった価値観、
    そんな日本人の芯を、どうにか次世代に伝えていきたいですが、、

    リアルタイムでこういった講義を聴きたかったですね、、学生時代に。
    ん、イロイロと考える時期なのかな、不惑までにはなんとかしたいところ、なんて。

  • 著者が指定する本(主に岩波文庫)を題材に学生たちとディスカッションしていく様子をまとめた本です。
    著者の数学者としての活動についてはわからないのですが、知識量と言葉の選び方に関しては素晴らしいと思いました。
    また、学生たちの純粋な疑問や感想も新鮮さが溢れており、この本自体に堅苦しさをなくす効果が出ているようです。

    ただ一つ気になるのは、何かに付けて「かつての日本人は素晴らしかった。それに比べて今の日本人は…」のような話の展開に持っていこうとするのが残念でした。
    日本が西欧の自由主義を積極的に取り入れたせいで、日本人はだめになった(もしくはだめになりつつある)と述べていますが、西欧というのも幅が広すぎますし、
    題材本内で日本人の素晴らしさを褒め称えている箇所を挙げて、「このように当時の日本人は素晴らしく、西欧の人はだめだった!」といったような話をしていますが、
    その当時の日本人というのも江戸自体から昭和までと幅が広いのも気になります。

    昔の日本と今の日本を比べると、今はより個人が尊重されるようになりその分横の繋がりが薄くなったというのはその通りだと思いますが、
    それを個人主義が日本のマイナス点のように持っていくのはなかなか厳しいのでは。

    素晴らしい行動をしている日本人と、豊かな生活をしているが精神的には野蛮(のように見える)な西欧人を比べるのであれば、
    その逆の、素晴らしい行動をしている西欧人と、豊かな生活をしているが精神的には野蛮(のように見える)な日本人についても考えなければフェアではないですし、結論への過程が足りないのではと思いました。

    面白い本であることに違いはないので、面白く読ませていただきました。

  • 流し読み程度なので何とも言い難いのですが、学問ノススメを改めて読むきっかけとなりました。

  • 2019年5月頃

    「国家の品格」や「国家と教養」には、納得する点は多いものの内容が浅いところがあったのであまり期待してなかったけど、これはメモが止まらない良い本だった。

    明治〜昭和初期に書かれた古典に初めて触れるお茶大生の様子がリアル。
    高校で学ぶような、温もりのない事実の羅列に終始する日本史のなかではどうしてもイメージできない生の歴史ー当時の情景や空気ーを古典のなかに感じ、そして思いを馳せる学生たち。時には戦没学生の手記に触れて涙を流すことも。

    近代化の波に飲みこまれながらも、まだ日本人のなかに刻み込まれていた「日本人らしさ」の健気で純粋な美しさに胸が詰まる。もちろん良いことばかりではなかったはずで、安易に思い出補正に捉われるべきではないが、忘れてはいけないものがこの国には確かにあったことを思い出させてくれる。

    大学にいると、社会的地位やカネ、他者からの賞賛といったものでしか幸せを維持できない人が多いように見える。東京カレンダーとかを立ち読みしてると自分は圧迫感と息苦しさを感じるが、そういう感じの。
    しかし、ここで取り上げられる本のなかで生きている100年前の日本人たちは等身大の幸せのなかで生き生きと描かれている。そこには大切な人との繋がりや物事に忙殺されない余裕のある時間からくる心の豊かさがあるように思う。

    また、歴史や文化に触れることで自分という人間の生きる文脈を知り、戦争や差別といった過ちを繰り返さないことが一人一人の人間にとっていかに大切かということを感じる。

  • "お茶の水大学で教える藤原正彦さんの読書ゼミを書籍化したもの。
    私は、毎朝トイレ(失礼!)で1作品づつ読んでいった。眠気を覚ますのにちょうどよく、刺激も受けるし1作品読み切る時間もトイレ時間的にもぴったりだった。
    ここでゼミのテーマとなった本11冊が紹介されている。
    全ての書物を読みたく(読み返したく)なる。日本国を近代化に導いた人々に触れることで、現代社会を見つめなおすことになる。
    江戸後期から明治時代を生きた人の書物が中心にテーマ本に選ばれている。読書ガイドとしても秀逸。"

  • 著者が、お茶の水女子大で行った、読書ゼミの講義録。全12回で、新渡戸稲造「武士道」、内村鑑三「余は如何にして基督信徒となりしか乎」、福沢諭吉「学問のすすめ」、日本戦没学生記念会編「新版 きけ わだつみのこえ」、渡辺京二「逝きし世の面影」、山川菊栄「武家の女性」、内村鑑三「代表的日本人」、無着成恭編「山びこ学校」、宮本常一「忘れられた日本人」、キャサリン・サンソム 「東京に暮す」、福沢諭吉「福翁自伝」を取り上げて、感想を受講生と話し合っている。

    著者が学生に伝えたかったのは、戦前の日本、あるいは明治以前の日本の庶民が、貧しくとも明るく陽気で謙虚、お互い助け合って幸せに暮らしていた(決して、庶民が封建領主から奴隷のように搾取されたて困窮していた未成熟で野蛮な国ではなかった)ということ。そして著者は、その古きよき日本の伝統が、終戦後の米国による占領政策と、その後の日教組の洗脳によって壊され、半ば失われつつあることに警鐘をならしている。要するに、綻びかけている西洋資本主義(弱肉強食の過当競争)からそろそろ脱却し、日本の伝統・文化・社会の良い面を復活させよ、と言っている。物言いはかなり過激だけれども、確かに一理あるよなあ。

    既読は福翁自伝のみ。「武士道」と「逝きし世の面影」は買ってあるのにまだ読んでない。さっそく読まなきゃ。

  •  お茶の水大での授業の本。著者が新田次郎のご子息であることは知っていたがお茶大の先生とは知らなかった。は、さておき、講義自体をもし聴講したら、恐らく「古い昭和のおっさんやな」と思うだろう。それが最終講義で一変。これがダントツで面白い。数学と文学の対比は実にぐっときた。
     あと若干気になった点としては氏が何とか?場を和ませようと笑いをいれてくるのだが、これがまだ土屋氏には及ばないようだ・・というところか。

  • 学問のすゝめやわだつみのこえなど,名前を聞いたことはあるけど読んだことはない,そういう明治~昭和時代に書かれた名著を大学生が読んで討論した授業をまとめた本。
    学生の臆面なく言う若々しいアイディアと,それを受け止めて返答する先生の知識量に圧巻。
    難しくて読みづらいものもたくさんあるでしょうに,この本読んでみたい!と思わせるものがいくつも出ました。

  • 社会人なら読んでおく必要がある。

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