あなたのそばで (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2008年8月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167750015

感想・レビュー・書評

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  • ぐるっと一回りする物語たち。そばにいる人は誰ですか。そばにいて欲しいと思う人は。

  • 短編が集まってるんだけど、ひとつひとつの物語が糸みたいに繋がってる感じ。お話にちょっと登場した男の子が、次のお話の主人公、みたいな感じで。
    まんなからへんのお話がよかった。イノセンスとか。

    なんか、ところどころでそうだなぁ、って思うような普遍的な言葉が散りばめられてる。
    それを言うために、その他の部分は語られているのかなぁと思った。
    普遍的な言葉自体はとても丁寧に書かれていて、あぁそうだよなぁって思うことが多かったのだけれど、その他の部分がちょっと雑な感じがした。

  • 少しせつない恋物語6編。連作短編集と書いてあったけれどつながりがあるのは最初の2編だけか。
    久しぶりにドストレートな恋愛小説を読んだ感。
    どれも今は亡きティーンズハートにありそうな話だった。
    「だから何」って思ってしまうのは恋心だけを描いた話では物足りなくなってしまったからかもしれない。


    『オニオングラタンスープ』
    16歳で自分の父親よりひとつ年上の三十男と結婚した主人公。
    周囲の陰口も気にせず幸せな新婚生活を送っていた。
    初めての結婚記念日に、両親と夫と食卓を囲んだとき、自分だけが子供で仲間はずれにされた感に襲われる。

    『光』
    オニオングラタンスープの主人公の担任である女教師と、生徒会長の恋愛。

    『イノセンス』
    手軽な恋愛ばかりしているバーテンダーの女の恋愛。

    『片恋』
    兄の妻に恋する男の話。
    煮え切らないのだが、人間相関的に一番おもしろかった。

    『運命のひと』
    結婚9年目の夫婦と夫の愛人の話。

    『さくら咲』
    再婚直前に母が死に、血の繋がらない男に育てられている主人公の可愛らしい恋物語。

    年齢も性別もバラバラな登場人物なのだが、書き分けができていないな。
    どれも似たような話に感じた。
    文章と構成も上手じゃない。
    こういう60点ぐらいの本を読むと、いかにうまい作家がクオリティ高い作品を書いているかがわかる。

  • 中身はすごく良いのに、裏表紙の作品紹介が「あんまり面白くなさそう」っていう風に期待感をそいでしまう。「ひと言で説明するなら確かにそういう話だけど、なんだか違う!」って、読んでから裏表紙を見ていると本当に思う。
    食べ物がおいしそうでいいなあ。

  • 野中柊さんは恋人との食べ物の描写がピカイチな作家さん。
    悲恋よりもいちゃらぶの話が好みです。
    今回は登場人物が次回予告みたいなかんじでちらっと出てきて次の話へつながる構成で、少女マンガを読んでるみたいでした。

    ●オニオングラタンスープ
    菜名(高校生)と春生さん(菜名の父より2個上)の結婚記念日1年目。
    じぶんよりも、料理上手でチャーミングな母と春生さんのほうがお似合いに見えてしょんぼり。
    【共感】
    ・バージンロードで父とどこまでも歩いていきたい気持ち
    ・焼きたてのパンの香りを日当たりのいいベランダで吸い込む幸福感

    ●光
    生徒会長の松本一樹くんと恋に素直な美人教師の雪絵先生の、今。
    未来も共にしたいと相手に夢中の少年と、今このときを大事に考える年上の彼女。
    先のことを考えずに、「今正しいと思うことをする」適切さ。
    【共感】
    もちろん未来を考えて建設的に生きることは大事だけど、恋と趣味は「今」を大事に積み重ねていけばいいだなって思う。 

    ●イノセンス
    バーを経営する恋多き瞳子の、少女時代に亡くなった妹で癒しの手を持つ瑛子に馳せる思い。
    【共感】
    ・死んだら、化けて出るのは怖いけど、何かで合図をしてほしい。桜を咲かすとか雪をふらすとか、素敵。

    ●片恋
    緒方勇輔が、兄の嫁である衿子と惹かれあってしまった冬。
    【共感】
    ・クリスマスツリーを囲んでうちで二人で過ごす豊かな夜の素敵さ。
    ・揺らいでいるときに占いで確定されて何かが壊れることに対する怖さ。

    ●運命のひと
    デザイン事務所を夫婦で営む沢村恭子と俊。大きな犬のような恋人の吉田くんや俊と関係のあるバイトの椿ちゃんがいて、かつての楽園の時期が過ぎたのだとしても運命のひとであるという思いは揺らがない。
    【共感】
    ・椿の恭子に対する憧れと嫉妬。すきだけどそれがじぶんではないという失望感。
    ・恭子の、夫と関係があると分かっても抱く椿に対する愛情。慕ってくれているかわいい女の子って憎めないものだ。

    ●さくら咲く
    聡の、美也に対する愛が溢れてとまらない話。笑
    義父の診療所を経営する明信と、千鳥のマイペースな両思いを歯がゆくてくっつかせようとするのがほほえましい。
    【共感】
    ・やっとキスができるね
    ・目に映るすべてのものを魂に刻み付けておこう。

  • 登場人物がさりげなくリレー式になっていて面白かった。
    短編集であるけれど、ひとつの本としてのまとまりがあり、なおかつ詰め込まれたストーリーはバラエティーに富んだ恋物語で申し分のない作品だった。
    どのストーリーも短篇だからさらりと読めるのに、心に響く『何か』があった。お気に入りの一冊がまた増えて嬉しい!
    しばらく野中柊さんにハマる予感♪

  • 短編集です。
    全部読み終わると、いろいろな人の恋愛模様がリンクされ、思わずもう一度読み返したくなります。
    「オニオングラタンスープ」「光」「さくら咲く」が特に好き。
    オニオングラタンスープの「少女」の心境や、
    「光」の「少年」の心境、読んでいてかわいいなあと思ってしまう。
    「さくら咲く」は読んでいてホッとする。
    性的なニュアンスがほとんどない小説で、読み終わったときに心が温かくなる一冊。
    文章は女性的で、やさしい印象です。

  • オムニバス
    恋愛

  • #bookoff

  • 読んでいる私にやさしくなれと言っているような作品だった。連作短編集の本だったのでとても読みやすかった。

  • これと言って特筆すべきことがないのにも関わらず、読み進めていくほどに胸がチクチクと痛む。

    それほどに自然に読み手の心に入り込んでくる作品なのかもしれない。

  • 1話目の年の差の恋がとってもいい感じ。
    野中柊初めて読んだのがこの作品。
    独特の世界観を持っていて、読んだ後ほっとする。
    登場人物が皆優しくて、世界が優しくなったような気がする。

  • 恋愛にまつわる6つの連作短編集です。
    ひとはどうして恋するんでしょう?ドキドキしたり、キュンキュン胸が痛んだり、苦しかったり、せつなかったり、悲しかったり。。。。。でも、そのもどかしさがイイんでしょーネ。きっと♪

  • もうこれは完全表紙買い
    少しずつ登場人物がつながってる

  • 恋は、いい。良いね。

  • すてきなすてきな恋愛短編小説集。それぞれ、前の短編で脇役として出てきた人が次の短編の主人公で、最後に一周、という趣向。こういうの好き。それを抜かしても、なんか素敵な恋愛小説でした。

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著者プロフィール

野中 柊(のなか ひいらぎ)
1964年生まれ。立教大学卒業後、ニューヨーク州在住中の1991年に「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞して作家デビュー。小説に『ヨモギ・アイス』『小春日和』、『銀の糸』、『公園通りのクロエ』、『波止場にて』『猫をおくる』など、エッセイ集に『きらめくジャンクフード』など、童話に「パンダのポンポン」シリーズ既10巻(長崎訓子 絵)、『ようこそ ぼくのおともだち』(寺田順三 絵)、「本屋さんのルビねこ」シリーズ既2巻(松本圭以子 絵)、絵本に『赤い実かがやく』(松本圭以子 絵)など著書多数。『すてきなおうち』(マーガレット・ワイズ・ブラウン 作/J.P.ミラー 絵)など翻訳も手がける。

「2020年 『紙ひこうき、きみへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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