ハルカ・エイティ (文春文庫)

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 292
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167753092

作品紹介・あらすじ

大正に生まれ、見合い結婚で大阪に嫁ぎ、戦火をくぐり抜け、戦後の自由な時代の波に乗り…。人生の荒波にもまれつつも、平凡な少女は決して後ろ向きになることなく、その魅力を開花させ、みんながハルカの天真爛漫なキャラクターに引き込まれていく。ヒメノ式「女の一生」、直木賞候補の傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • こんな80歳になれるのなら歳を取るのも悪くない。
    女三界に家なし、だの、男尊女卑、だのという薄く暗い女の人生はここにはない。そんな時代に生きていたはずのハルカの、どこまでも前向きで明るい人生は、20××年の今を生きる女にとってもうらやましくて仕方がない。

  • 戦争って悲惨で暴力的で血みどろで悲哀なことばかりだけど、戦時を生きる人の生活と日常をちゃんと書いた本はあまりないと思う。

    小さな喜び、友達を思う気持ち、困惑などだってあるはず。
    一日100パーセント戦争のことじゃない。

    空襲のあと、義母とちらし寿司を手掴みで食べて、美味しいなと思うシーンが好き。

    ハルカさんは、楽しみやユーモアをより強く感じて素直に生きるのが人生のメインで、不倫や夫婦の危機は添え物みたい。
    それなりに不幸もある普通の人生なのに、普通じゃなく芯からエンジョイしている。

    昭和の女性の人生をスキップで駆け抜けるハルカさんは素敵です。

  • 長編としては、2003年度下半期直木賞候補となった「ツ、イ、ラ、ク」角川書店2003/10/31)以来二年ぶりの作品。丹念な取材を元に描かれた作品としては「整形美女」(新潮文庫2002/10/01)以来、約六年ぶりの作品。取材の対象は、本書では特定の女性。著者初のモデル小説です。ただし、モデルは有名人ではなくて、一般人。大正生まれの女性。
    歴史に名を残すでもなく、またマスコミに登場するでもない彼女の半生です。が、しかし、彼女の人生は僕にはうらやましい限りの個性的な人生として映りました。
    もちろん、現代とは違って選択肢が限られた彼女の人生には、たとえば自分がしたいことを選んで進路を決めるような自由さはありません。逆に時代に流され、状況に身をゆだねざるを得なかった事の多い、彼女の人生です。それでも、僕が彼女の人生をうらやましく思えたのは(僕の読書に偏るかもしれないけれど)彼女が自分の個性を肯定し、限られた選択肢の中で自分の身の丈にあった選択をしてゆくところにあったように感じます。

    自由と言われる現代にあって、僕は、本当は何をしたいのだろうかと考える事も多く、また、思うようにいかなくて悩む事もあります。でも、たとえば、ハルカのように生きることもできるのだと思えば、僕も、僕なりに、自分らしく生きる事ができる、そのヒントを与えられたように感じた一冊でした。

  • 大正九年生まれ、小野ハルカさんのお話
    80才のハルカさんはヒルトンホテルの35階のティーラウンジで一人でお茶を飲むことを好む
    こんな素敵なお婆ちゃんの少女時代からの物語なのですが、ビックリするような事件も事故もなく、その時代に生きた女性なら、そう珍しくもない内容です

    ただ、いくら職業婦人とはいえ、この時代にからだの関係を持つ異性の友達が三人もいるというのは…フシギかな

  • #bookoff

  • ホテルに泊まるのが新婚旅行の代わりだったり
    その時代の状況下がよくわかる。

    恋愛に対する男女の考え方の違いも面白い。
    けれども
    男は時間を蒐集する
    というのは言葉としては美しいけど、
    やや正解ではないような気もする。
    男性は女性よりも想い出を大切にするのは事実だけれど
    それは基本的にもう取り戻せない失われた時間に限って、
    女性こそ記念日など進行形で続いていく時間を大切にするのでは。

    あとは不倫を重ねて夫婦の愛情に決着するのはどうなのだろう。
    娘の描写があまりに少ないが、このような夫婦の元に産まれたことで
    何か心煩うものはなかったのだろうか。

    大切なものが書き漏れているのではないか、
    そんな気持ちにさせる本でした。

  • 初の姫野カオルコさん。

    とても前向きに生きるハルカの姿に励まされる。
    生きてるように生きてるなぁ。
    そしてなぜか関西弁に色気を感じる。

  • 人生大きく変えちゃうような大事件やドラマティックなことは起こらない「女の一生」。
    でも私はすごくよかったなー。
    こんな「ふつうに生きている人たちの上にも爆弾はふった」という戦争の描写も、ずーんときたし…。
    戦争に行った大介が変わっていくのもなんだか悲しかったな……でもそれで恨んだりしないハルカの淡々とした感じがかっこよかった。
    最終的には、ステキなお姑さんに恵まれ、伊達な大介のおかげで、ずっとかっこいいハルカでいられたんだよなー。
    「昭和の犬」より、好きな作品だな、と思いました。
    後書きを読んだら、おばさんがモデルだったんだね!とっても人間的な魅力にあふれた人だったんだろうな~^^♪

  •  1章のハルカさんが格好良すぎる。最終章まで読み終えたら、1章に戻ること間違いなし、です。
     姫野カオルコ氏のキャラクター小説的なものを初めて読んだ。あっさりとした抑制のきいた物語もかけるのだなぁと思う。これは骨子がしっかりしているからか。(他の作品も骨子しっかりしてるけどね)

     ハルカと時子の確執というか…………………、時子の存在感のみに、通常運転が見え隠れするのみというべきか。
     ハルカさんと大介さんは素敵です。

  • 冒頭に登場する主人公は、80代ながら異性の目を惹きつける魅力を持ち…とくると、なんだか現実離れしていて興醒めな気もしたが、彼女の幼少期、女学生時代、結婚、そして戦争、娘や夫との関わりを順に読み進むにつれて、ハルカという女性にそこまでの魅力があるのも納得できるようになる。

    何より彼女がそこまで魅力的な人物になれたのは、素敵な人たちに出会い、囲まれて生きてこれたという「幸運」にある。もちろん、「相対する人間の顏が笑顔にひかるのを見る」のがうれしいという、ハルカの気質がその幸運を増幅させてるのも間違いないけれど。

    これといった大事件もなく、ちょっとした恋愛沙汰はあるけれど、ごくごく普通の女性の一代記だけれど、たとえ普通の人でも、生き方・考え方次第で、時間をかけて読むほどの価値を持つ一生を送れるのだよ、というハルカからのエールを受け取った気がする。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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