北緯四十三度の神話 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2008年12月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167753207

みんなの感想まとめ

心温まる物語は、姉妹の心のすれ違いと修復を描いています。姉の菜穂子と妹の和貴子は、幼少期に両親を失い、祖父母に育てられた背景を持ちますが、ある男性の事故死をきっかけに、互いの距離が広がってしまいます。...

感想・レビュー・書評

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  • 姉妹が無意識に抱えるお互いへの嫉妬心にもがき、苦しみながらそれを解消するまでを書いた物語。嫉妬の対象は同一人物なのだが、その人が亡くなってしまったせいで、感情のやり場がなくなってしまったのかなと思った。一度負の感情を持つとその人と正面から向き合えなくなるのは、あるあるな気がする。
    舞台は札幌だが、物語上札幌でないとならない理由は特にないように感じた。

  • 心温まる物語
    姉妹の心のすれ違いと修復の物語

    ストーリとしては、
    姉菜穂子28歳の大学助手と妹和貴子27歳のラジオ局アナウンサー。
    二人は、幼いころ両親を事故で無くし、祖父母に育てられます。
    そして、ある男性の事故死を機に二人の距離が離れていくことに。
    お互いの心の中にあったもの。
    そして伝えられない思い。
    すれ違いな想い。
    姉は淡々と学問に打ち込み、妹は自分の番組ではじけるといった展開。
    二人の距離はどうなる?
    一番近い存在で、遠い気持ち..
    といった展開なわけですが、当然最後は...
    清冽な感動を呼ぶラストとコメントされていますが、まさにその通りでした。

    妹和貴子がラジオで話す本音・コメントがしみる。
    そして、それが伏線になっているのが素晴らしい。

    読後感もよいです。

    お勧め

  • 姉は姉なりに、妹は妹なりに、嫉妬や羨望を抱え、仮面のような人生を送っている。
    一人の男性が、もしかしたらそんな二人の歪んだ関係を元に戻してくれたかもしれないのは、昔の話。
    彼はもう、この世にいることすら許されていないのだから・・・

    喪失と、苦悩と、再起の物語(端折り気味)です。

    展開早いです。

  • 未読のまま売却

  • すれ違う姉妹がゆっくりと関係を修復していく物語。
    「相手を理解する」というよりも、「相手を鏡として自分を理解し受け入れる」過程がメインなのが興味深く、同世代の女性として共感できる部分も大きかったです。

    浅倉さんの文章はいつも繊細で優しく、すっと心にしみこみます。この作品では人に対して羨ましさや憎らしさを感じてしまうその気持ちが綺麗に言葉にあらわされていて、大人になる前に抱えてきた表現できなかった気持ちが今更ながら理解できた気がしました。

    北海道出身の自分には、ひとつひとつ丁寧な雪の描写にも魅力を感じました。
    (浅倉さんは札幌出身と聞いて納得でした)

  • 年子の姉妹のお話
    姉28歳大学の助手として研究に忙しく
    妹はラジオアナウンサーで週一深夜放送を受け持つ
    二人の思いが徐々に語られ
    人ってやっぱ大変だなと思いました
    しかもそれが姉妹ということでなおさら

    これは二人のその後も見てみたいなと
    特にお姉さんのほう

  • これ読む人は『北緯43度 日本』と検索しますよね?

    浅倉卓弥さんの作品は毎回プロットがせつない。

    今回も学者の姉とDJの妹で両親は早くに死に別れているというだけで、もうせつない。


    姉と妹の間にある蟠りの話です。

    人間関係に疲れている人にオススメです。
    そして、読む季節は今が良いんじゃないかなぁと思います。

  • 年子の姉妹、姉、菜穂子と妹、和貴子は中学生の時に両親を事故で亡くし、祖父母の家で生活していた。高校、大学は別々の道に進み、菜穂子は大学院に進み、そのまま大学の研究室に残り、助手として研究活動を行っている。和貴子は東京の大学に進むが、地元のラジオ局の深夜番組パーソナリティーとして活躍する。
    妹の婚約者だった樫村は、菜穂子の同級生で、一時は菜穂子に思いを寄せるが菜穂子は気持ちに応えることができず断ってしまう。和貴子と同じ大学で交際を進めているが、大学卒業後航空大学に進む道を選ぶ。しかし、グライダーの事故で亡くなってしまう。
    底ころから姉妹の間に見えない壁ができてしまい、お互いを理解できずに悩んでいく。
    ラストは感動的なストーリーとなっている。
    途中、和貴子の中学からの親友である沢村奈津子が娘、雪子を連れ、自宅を訪れるシーンがある。前作、「冬の夜話」に登場する人物であるが、ストーリーにほとんど絡んでこないのが残念だった。

  • 姉妹の複雑な思いを描いた作品。

    「体が生きているということと心が生きているということは実はまるで別々のことなのよ。同じ未知をたどって理解できることでは決してないの。肉体は仕組まれた命令にしたがって活動しているのかもしれない。けれど心は違う。それは全然別の理論の、全然別の体系
    の中で捉えて初めて理解できることなのよ」

  • 2人の姉妹の心のすれ違いと交流を描いた作品。
    少しミステリーっぽいところがあるのが独特で面白かった(別に殺人事件が起こるわけではないw)。

    2人の心の交流、と言うか、主に姉の気持ちの整理がポイントだと思うけど、わかるようなわからないような、、、俺が男だからかもしれないけど(ただ、著者は男性)。あるかもなぁ、と言う気はする。

    この方の作品を読むのは2作目だけど、文体が好きな人。優しい感じがとてもする。それは甘さ、かもだけど、そう言うのもあっていい、と思う。

  • 大切な人を失ったことで、姉妹がすれ違ったり絆を深めたりするお話。
    わたしも妹と語り合いたくなりました。…と言っても、いつもしているのですが(笑)仲良いことは幸せなことだと、改めて実感。

  • 地元の大学に残り、研究を続ける姉。
    東京の大学を卒業後、地元のFM曲でDJをつとめる妹。

    両親の死、そして大事な人の死。
    それらによって、わずかに、だけど確実に狂ってしまった
    姉妹の関係。表面的には問題なくてもなんだかぎくしゃく・・・

    仕事を通して、過去の見つめなおしを通して、
    二人は互いに歩み寄ろうとするのだが、、、というお話。

    男性作家のわりには、女性の心理描写が多かったな。
    わたくしには少し分かりづらくて共感できない部分が
    けっこうあったけど、女性が読んだらまた違うのかもな。

    家族関係や恋愛関係において、どうにかしたいと思ってるけど
    どうしてもその一歩が踏み出せない、そんな人にはオススメかも。

  • 文春は本当にいい仕事をしますね…。
    バイト直前の時間がない中、とりあえずで買ってみた本。
    著者名に見覚えがあると思ったら、本棚の肥やしにしていた『君の名残を』が浮かんで、「あちゃ~」と思ったものの購入(一般には『四日間の奇蹟』を書いた人と言ったほうが通りがいいかも)。

    いや~買うのをやめなくてよかった。
    素晴らしかった。
    基本的にミステリと歴史小説しか読まないけれども、いい、とてもいい。

    家族(姉妹)+恋愛モノと、いうことで、純文学的作品は感傷的になりすぎるか独善的かはたまたすんごい痛いか。
    でもこれは完璧です。


    学者の姉とラジオDJの妹。
    あらすじだけ見ると全く正反対の2人がぶつかりながら絆を深める物語と思いそうですが。
    いい意味でキャラの個性が強くない、嬉しい裏切り。
    ので、物語に集中でき、また『姉妹』と『女同士』であることがぎりぎりの力加減で引き合っている状況が過不足なく伝わってくる。

    姉の目線で日々を追いながら、妹のDJトークとしてもう一つの目線で物語がすすむ。
    姉の同級生であり、妹の恋人だった故人を挟んで、2人は向かい合うことになる。
    「あれ、いつこんな展開になったんだっけ?」
    と発端がわからないくらい、自然に物語りは核心に迫っていく。
    姉は妹に彼を持っていかれた気分でいる。
    そして妹は、死に際の彼の言葉から、彼は姉のことを好きだったのではないかと疑い、それを誰にも言えずにいた。もちろん誰も答えは知らないけれど。

    彼の言葉の真意にすぐに気付いてしまう姉が切ない。
    それはきっといつも彼女が周囲に言われてきて、そして母親の最後の言葉だったから。

    ある点ではベタな展開と言えるけど、期待を裏切らない安心感もある。

    別に特別感動的に書いてるわけじゃないのがいいのだ。
    あー、姉妹ってこんな感じなのかな、と思いました。

    もうこれは完全にツボでした。
    下半期ベストかもしれません。
    主人公2人はもちろん、脇役にも、エピソードにも全くの無駄がない。
    今の私にとって全て最高のさじ加減。
    長さもぴったり。
    姉への恋愛エッセンスがもう少しあったらきっと完璧でしたが、これくらいでいい気もする。
    自分でもなんでこんなに気に入ったかわからないけどこれはすごくいい。

    新刊なので、見かけたらぜひ。
    この本はゆっくり読んでみてください。

  • 浅倉卓弥さんの作品は作者が札幌市生まれのせいかもしれませんが、札幌が舞台になることが多く、この「北緯四十三度の神話」も舞台は札幌になっています(札幌って北緯四十三度に位置するんですね)。

    そして、作品全体に漂っているのは白く寒い札幌の冬を思わせるような、透明感があります。ただ綺麗なだけではなく人間の孤独や葛藤も丁寧に描かれています。

    物語の主人公は札幌に住む地元の大学の研究室で働いている姉の菜穂子と、地元のローカルラジオ局でパーソナリティを勤めている妹の和貴子の二人。

    両親との死別、和貴子が東京の大学に進学したため別離、その後帰郷した和貴子は姉菜穂子の元同級生と婚約、そしてその婚約者の事故死と二人を悲しい出来事が襲います。

    本来ならがここで姉妹が手に手を取って傷を癒しあうという展開になるのですが、本作の前半では姉妹がそれぞれに気を使いつつも、相手を本当の意味で「許す」ことができず、心に葛藤を覚えながら暮らしていく様が描かれていきます。

    特にキーになるのが亡くなってしまった「元同級生」の存在。その彼を表立って争ったことはないものの、彼を巡る「女の感情」が二人を素直な気持ちさせずに内側、内側に誘っています。。。

    しかも姉は冷静でありながらどちらかと言えば「陰鬱」に考えてしまう所があり、逆に妹は感情をどんどんと表に出して「発散」しているという対照的なところがあります(本質的な部分ではちょっと違うのですが、、、)

    また、その感情の起伏の書き方がとても丁寧に描かれていて、感情移入とは少し違ったものですがどんどんと物語の世界に引き込まれています。

    後半、和貴子が拘りに拘っていた「言葉」の真相が明らかになった場面では、亡くなった元同級生だけではなく、姉の愛情が一気に溢れ出てくるような印象があって、予想外に感動してしまいました(電車じゃなかったら泣いてたかも^^)

    エピローグも含めて、秀逸な感動ストーリーに仕上がっているので、ミステリーとかサスペンスばかり読んでいる自分にはグッとささりました。

    <余談>
    自分は3人兄弟の長男だったので、兄弟、姉妹であっても、、というよりも子供のころからずっと一緒だった分、思春期や作品にあるような数年離れてしまった後の「変化」に対応できない(大きな変化よりも小さな変化のほうがよりインパクトは大きい)ということはよくわかります。

  • 読んでいる途中で本をなくした…! 半分位読んだんだけどな…。

    という意味で続きが気になる。

  • すれ違っていた姉妹のこころが溶けていくお話。
    わたしも妹がだいすきで、だからこそすれ違った過去もあって
    そういうことを思い出しながら、懐かしい気持ちで読んだ。
    和貴子のラジオがところどころ挟まれているのが、小粋。
    この姉妹のこころの変化や距離が縮まっていく過程は
    とても良く丁寧に描かれていたと思う。
    だけれど、ラストが少し無理矢理すぎた感じも・・・。
    ことが上手く運び過ぎというか、なんというか。

  • 30歳一歩手前の2人姉妹のすれ違いと和解。
    もう変えられないこと、過ぎてしまったことに対し、どう自分の気持ちの折り合いをつけるかということがテーマでしょうか。

    「君の名残を」ほどの衝撃はないけれど、登場人物の女性たちの年齢と自分が重なるところもあって、興味深く読める。

  •  最近、兄弟とすれ違いが多い。という方に是非読んでいただきたい

  • 身近な人の死が姉妹に深い溝を作る。
    それぞれがあがいている。
    最後には分かり合えるのがなんだかうれしい。
    ラジオDJの妹が選ぶ曲がじっくり聴いてみたい。
    「大事な人の死は、たぶん決して忘れることはできません」
    本当にそう。
    そして、同じように感じることはたぶんできないんだろうなぁ。
    よりそうことはできても。

    姉妹それぞれの視点の章が繋がっていくので、ちょっと読みにくかったりもする・・・。

  • よい
    男の人が書いてるんだ
    すごいね

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著者プロフィール

作家・翻訳家。東京大学文学部卒。レコード会社洋楽部ディレクター等を経て作家に。
著書に『四日間の奇蹟』、『君の名残を』(以上宝島社)、『黄蝶舞う』(PHP研究所)ほか、訳書に『安アパートのディスコクイーン─トレイシー・ソーン自伝』、『フェイス・イット─デボラ・ハリー自伝』(以上ele-king books)、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、テイラー・ジェンキンス・リード『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社)など多数。

「2022年 『ボクのクソリプ奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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