昭和天皇のお食事 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2009年1月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784167753382

みんなの感想まとめ

料理人の視点から描かれた天皇家のお食事の世界は、興味深いエピソードや人間ドラマに満ちています。著者は宮内庁での経験を通じて、質素でありながらも贅沢な食文化を描写しています。特に、食材や料理の選び方、ス...

感想・レビュー・書評

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  • 渡辺誠「殿下の料理番」「昭和天皇のお食事」を読み返し。
    工藤極「陛下、お味はいかがでしょう。」初読。

    工藤極は渡辺誠の後輩に当たるようで、ノンフィクションはこういうことがあるから面白いなと思う。「麺麭(めんぽう/パンのこと)持ってこい」と言われて麺棒を手渡すのはルーキーあるあるらしく、どちらの著作にも自身のエピソードとして描かれていた。

    宮内庁に26年勤務していた渡辺誠を先に読んだため、工藤極の本の終盤で「約5年の奉職」と書かれていたのに「短っ!」という感想を持ってしまった。
    料理人は転職多いみたいだからこちらが普通なのかしら。

  • おいしいもののことを書いた本が読みたいと思い立って図書館で借りたうちの1冊がこちらでした。皇室の皆様も人間なのだから、お食事も召し上がるのは当然。だけどどんなものがお好きかなんて、私たちには分かりませんよね。表紙には美味しそうなお料理が…こんなのがお好きなのかしら?

    小さな子供の頃、私の憧れは皇太子殿下で、柔和なお話のされ方や、飾らないご様子に惹かれて、歳から言えば釣り合わないどころではないのに。「あんなひとが旦那様だったらいいな。お兄ちゃんでもいいな。」

    なんて言って、母に

    「おバカさんねぇ。とっても偉い方なのよ。それにもう綺麗なお妃様がおいでになるの。残念ね。」

    って笑われた私ですから。好奇心もあって読んでみたのです。そうしたら・・・。昭和天皇や今上陛下・皇太子殿下ご夫妻の、食にまつわるお話だけでなく、宮中の食文化や、日本のフランス料理の草創期を拓いてこられた、一流の方々の心意気までが語られていて、とっても興味深かったです。

    そんなに贅沢なものばかりを召し上がられるわけじゃなくおそばがお好きだったという昭和天皇。お手ずからパンを用意なさるという皇太子殿下。華美なことで尊敬を表されるのじゃなくて、妥協のない最高のコンディションのものを提供することでお仕えする大善のスタッフの方々の気概。努力してきた方だけがもつ、どっしりとしたぬくもりがある文章でした。

    やっぱり皇室の方々がおいでになるということは、ひとつの宝であって、変なナショナリズムじゃなくて善い存在と感じたし、私たちに敬愛の情というものを教えてくださるんだなって親愛の情を持ちました。皆様が、お仕えする方々に、感謝や優しさでお応えになっている。そのことが、何か私たちの国民性の良いところを端的に表している気がするんです。

    私たちの国は、食文化が豊かで、いろんな国のお食事が豊富に頂けます。お店に行けば誰もが、一流のお味を楽しむことができます。最近お正月に見る「菱葩餅」だって川端道喜さんが宮中にお納めしていたお正月の御祝のお菓子ですが、今なら私たちだって頂くことが出来るようになりました。

    でも、お食事って食べるだけじゃないんですよね。私たち自身も、お料理を理解できる感性とか作ってくださってありがとうって気持ちがあるか。食べ散らかさないで、吟味されたものに敬意が払えるか。
    そんなことも大事なんですよね。

    渡辺さんのご本の文章は、わかりやすくて親身です。読む人に対して、背筋が伸びてて、端正です。ちゃんとテーブルに迎えたお客様として、心は寄り添いながら、身は私たちに礼を尽くしている。そんな文章でした。

    読み手を尊敬する書きようが、そのまま天皇ご一家への深い尊崇と愛情につながっていて素敵です。それにしても、昭和天皇がいちごのジャムサンドが好物でいらしたなんて、なんてチャーミングな!おひげを生やした細身の昭和天皇が、そんな可愛いものをお好みだったなんて。

    読んでてクスッとなっちゃいました。

  • 宮内庁大膳としてお勤めのかたの著書は何冊か読みました。どんなものを召し上がっているのか、という話より皇室の方々とのエピソードや著者の小さいころからの話が面白かった。

  • 宮内庁の大膳として働いたコックさんの話。
    最近テレビで見た人かと思ってたら、
    大林監督の解説で既に物故者と知る。
    この解説が予想外にグッと来た。
    本編では今上天皇にはあまり触れてないけど
    皇太子のエピソードが微笑ましかった。
    ワインも選んでるとは。
    しかし慎ましいといいつつ、
    形が揃わなかったら捨てるとか
    端っこは使わないとか、
    ある意味贅沢の極みじゃないかと…

  • 20171201読了
    2009年出版。天皇家のお食事風景がたいへん興味深かった。高級なものではなくむしろ質素な内容。たくさんのスタッフによって支えられていること。晩年の秋山徳蔵さんの下で新人として経験を積んだ話。著者が料理番になるまでの修行の過程は凄まじかった。●巻末の解説にかえて は、親友の大林宣彦。50代半ばで急逝した著者との思い出。昭和天皇崩御後の2~3か月で、著者の髪の毛が真っ白になったというエピソード。●P91 はなびら餅のルーツである菱葩。白い丸餅を火で炙り、小豆で色を染めた菱形の餅を重ね、甘味噌と砂糖で味付けしたごぼうを入れて二つ折りにし、二枚の白い美濃紙ではさんだもの。丸餅は直径四寸八分(18.24cm)、厚さ二分(0.76cm)というのが意外に大きく感じる。このとき一緒に召し上がる雉子酒(宮中のお祝いごとに欠かせないもの)は、塩漬けにした雉の胸肉を焼いて短冊型の薄切りにしたものを炙り、熱々の日本酒を注いだもの。肉はかなり塩辛いので、和らげるために甘口タイプのお酒を使う。これは元旦の朝の儀式「御祝先付」の本膳・二の膳の前に召し上がるもので、菱葩を2つ→雉子酒→菱葩2つ→雉子酒、とお出しする。菱葩の濃密な甘さを雉子酒の塩辛さでバランスをとる。

  • 天皇家の食事の様子から人柄まで描かれていた。
    昭和天皇物語という漫画を読んでいて、昭和天皇について学んでいる最中だったので興味深い本だった。
    でも料理名は難しい名前のものが多くその点だけは読みにくかった。

  • 昭和天皇の食にまつわるエピソードでは好きなものがいくつかある。
    ふかし芋がお好き。それもサツマイモの皮の部分がお好きなのに、
    ある時、綺麗に皮をむいたふかし芋が出て来たら「美味しくない」と
    おっしゃられたとか。

    お皿に載せるものはすべて食べられる物でなければいけない。しか
    し、柏餅をお出ししたら餅をくるんでいる柏の葉っぱを桜餅と同じよう
    にお召し上がりになり、下げられたお皿の上には柏の葉の葉脈だけ
    が遺されていたとか。

    この2つのエピソード、大好きなのだけれどやらかしたのは本書の
    著者である渡辺氏だったのは知らなかった。

    ドラマにもなった「天皇の料理番」秋山徳蔵氏と、その秋山氏の跡を
    継いだ中島伝次郎氏に指導を受けた最後の世代の宮内庁大膳課
    の料理人である。

    昭和天皇、今上天皇、皇太子殿下に仕えられているのだが、本書の
    大部分は昭和天皇のお話だ。日常、お召し上がりになっていた献立
    の一部も掲載されている。

    高級な食材を使用しているのではないが、食卓に上るまでの手間暇の
    掛け方は一般家庭とはまったくの別物。だから、食材の切り方ひとつ
    でも非常に厳しい基準が設けられている。

    千切りにしろ、短冊切りにしろ、全部が全部、同じ大きさじゃなければ
    いけない。じゃがいもはまん丸でなければいけない。だから、どんなに
    切っても剥いても、形が少しでもいびつなら最初からやり直し。

    大膳課に入ったばかりの著者の修業時代の厳しいことと言ったらない。
    在位期間の半ばまで現人神でいらっしゃった昭和天皇の時代だから
    なのかもしれないけどね。

    昭和天皇の好物のひとつにイチゴジャムのサンドウィッチがある。この
    サンドウィッチもただ、イチゴジャムを塗ればいいってものではない。

    イチゴジャムを裏ごしして粒粒を取り除き、飴状になる手前まで煮詰め
    る。それをバターを塗ったパンに流し込むようにするのだとか。

    食べてみたいな、大膳のサンドウィッチ。皇居内でのお茶会や園遊会
    でも出されるよね。だれか私を園遊会に呼んでくれないだろうか。なん
    の実績もない一般市民ですけど…。

    日常のお食事以外にも晩餐会の支度、年始の儀式用のお食事の用意
    の話などもあり、「天皇家の台所」の一端を垣間見せてくれる。

    渡辺氏の生い立ちも一部綴られているのだが、ご両親が非常にモダン
    な人たちだったのだね。昭和20年代、30年代にご家庭でナイフとフォー
    クを使って洋食だなんて。

    惜しむらくは渡辺氏が54歳という若さで亡くなってしまっていること。皇室
    関係では本書のほかに『殿下の料理番』も残されているので、こちらも
    探して読んでみよう。

    渡辺氏と家族ぐるみでの付き合いのあった映画監督・大林宣彦の「解説
    にかえて」も素敵な文章だった。

  • よし、購入する。

  • 596.04

  • 皇室の食事風景を宮中「大膳」の料理人が記した話。
    予想通りと言えばその通りの厳しい仕込み風景から、昭和天皇や皇太子殿下のお人柄、大膳の料理人の豪胆なエピソードとバラエティに富んでいて面白かったです。
    レシピでも真似してみようかと思ったけど載ってないし食材の無駄を考えたら普通できない感じでした。でも、献立は載っていたので探せば作れるかも。

    なお、最後の大林宣彦さんの解説的な文章があたたかくて、心に沁みました。

  • 衛生管理が凄いし、料理に関する要求技術レベルが非常に高い。天皇の料理番ってこんなに大変なのか……と思った。意外に庶民的な献立が多いのにはびっくりしました。

  • 昭和天皇の厨房で洋食担当として働いていた著者。
    職人気質で天皇家の厨房担当としてここまで!?と思うぐらい神経を使っているエピソードが出てきます。
    その間には、昭和天皇の食事に関するエピソード(失敗もあり)もあり、楽しめました。

  • 昭和天皇に仕えてお食事を作りつづけた渡辺誠さんの著書。他の著書ではあまり触れられていない、ご本人の経歴に関する内容もあり興味深い。大膳の料理人は、皇室の方々にお仕えしているのだという意識がほんとうに強いのだなと感じる。

    修行時代はつらいことがたくさんあったはずだが、それも渡辺さんが語ると昔懐かしい大切な思い出のひとつのように聞こえる。彼の人柄のなせるわざなのだろうな。

  • 面白い本でした。

    天皇の料理人として活躍された方の手記。
    自慢話ではなく、素朴な目で宮中を見て感じたことを素直な気持ちでお書きになったという印象で、大変読みやすかったです。

    でも、読んでて、天皇陛下ってお仕事は、国民のために心を砕き続けることなんだなぁと感じたのでした。

  • この本、凄く面白かった。
    天皇陛下様のお食事の裏がどうなっているのか、なんて全然知らなかったから、凄い興味深かった。そして筆者の若い頃の失敗談が面白い。庶民の私にはわからない世界。

    柏餅の葉っぱごと陛下が食べてしまう、昭和天皇はサンドウィッチが好きだった、天皇家専用の牧場があって、外国要人が来るスケジュールにあわせて羊が出産される、女官は天皇陛下に聞かれるまで直刀してはいけない、など小話が面白い。

  • 仕える人と自分の道を、まっすぐ堂々と晴れやかに誇る職人の姿! エッセイはなんでも好きだけど、別の意味でも感動。大林監督によるあとがきも涙。

  • 間違いなく、私の方が贅沢してる!

    長く宮内庁勤めをしている人たちからみても
    昭和天皇はカリスマ性があったんですね、しかも優しい。
    微笑ましいと思えるエピソードもあって、よかったです。

  • 興味深い内容ではあった。

  • わたしは食エッセイが好きだ。
    そして、皇室も好きだ。
    なので、この本は素晴らしく好きだ。

    意外に質素で素朴な陛下の食生活が忍ばれます。
    結構泣ける……陛下ー!
    つまり、陛下が好きなんですよねえ。

  • メニューは、とりわけ豪華!といった風ではないけれど
    手間隙が恐ろしくかかっている。
    グリンピースの皮、剥いちゃうんだ・・・
    気が遠くなりそう。

    だけど、ダイレクトにしかも特定の人に喜んでもらえる
    仕事って羨ましいです。


    麺麭ってパンの事だったんだ。と目からウロコ。

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