完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫 や 43-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167753658

作品紹介・あらすじ

1970年を境に勢いを失った世界のプロレス。なぜ日本のプロレスだけが、その力を維持し続けたのか。その謎を解くべく、アメリカ、韓国、オランダ、パキスタンを現地取材。1976年の猪木という壮大なファンタジーの核心を抉る迫真のドキュメンタリー。単行本に大幅加筆し、猪木氏へのインタビューを含む完全版。

感想・レビュー・書評

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  • よくぞここまで取材して書き上げたものだ。知りたくなかった猪木の真実もあるが、作者の猪木愛が感じられた。猪木の、プロレスの歴史書。名作。

  • 昨日、猪木が死んだ。
    出先で確認し、なに事も無い風に土曜日を楽しみ、帰宅した。
    大量に所有しているが整理の悪い猪木本を漁りながら読みながら探したが、どうにも見つからず、電子版で完本と銘打たれた本書を買い直す。
    読みながら眠り、目覚めては読み、読了した朝。
    猪木の去った世界にも、朝はくるらしい。

    私達の知るアントニオ猪木の伝説が、一挙に成された驚異の1976年を切り取った本書は、辛辣で手厳しいところも多いノンフィクションですが、隠しようの無い猪木へのリスペクトに満々ている。
    だれもが一度は夢想するが、どうにも証明のしようが無い、そんな地上最強の幻想を、たとえ一瞬であっても現とせしめた偉大な男に魅了されたのは、誰よりも筆者なのでしょう。

    私達を置いて逝った、燃える闘魂の栄光と残照とを、よく映す傑作と信じる、そんな一冊なのです。

  • アントニオ猪木から感じる劇物的存在感はいったいなんなのか。
    1976年に起こった4つの事件を追いかけた。ノンフィクションです。

    有名なのは世紀の凡戦モハメド・アリ戦ですが、
    ウィリアム・ルスカ戦、パク・ソンナン戦の章も面白い!

    オランダ柔術界二人のメダリストの因縁は引き込まれますし、日本も韓国もプロレスは近代化・経済発展と共に歴史を歩んできた背景が勉強になります。昭和興行の裏歴史として楽しめるんですが、主人公の猪木はそれぞれのドラマの最後に出てきて、気持ちのいいくらいすべてを台無しにして幕を引きます。痛快。

  • [夢を見せた、馬鹿な男]日本のプロレス、そして格闘技のあり方を変えてしまうほどのインパクトを持ったアントニオ猪木と、彼が1976年に戦った「異常な」4試合にスポットライトを当てた作品。その道に詳しくない読者をも唸らせ、ノンフィクションの分野で今なお高く評価されている一冊でもあります。著者は、プロレスに関するノンフィクションを多数世に送り出している柳澤健。


    まだ2016年も半分を過ぎていませんが、面白さに関して言えば間違いなく今年のトップ10に入ってくるであろうレベル。ルスカやアリとの試合の描写が素晴らしいのはもちろんですが、それを取り巻く力関係や人間模様、そして何より物語の語り部としてのアントニオ猪木の「狡智さ」に舌を巻きました。(私もそうでしたが)アントニオ猪木に対して「ダーッ!!」と「デイッ!!」のイメージしかない人にこそぜひオススメです。


    〜猪木にとって、1976年に戦った4試合のことなどどうでもよかった。猪木はリアルファイトが好きだった訳でもなく、プロレスを超える総合格闘技を指向した訳でもなかった。にもかかわらず、ルスカ戦から始まった異種格闘技戦、アリ戦から続く3試合のリアルファイトは、確かに日本のプロレスを変えたのだ。〜

    大学院も終わりに近づき、ようやくこういった課目関係外の面白い本も読めるようになってきました☆5つ

  •  76年にアントニオ猪木が戦った4つのリアルファイト(?)を徹底的に追う。

     この読み応えはすごい。猪木や日本のプロレスを追うだけでなく、各対戦相手の人生も追っていき、壮大なドラマのように感じる。
     それはリアルファイトなのかプロレスなのか、誰が何の為に仕掛けたリアルファイトなのか。それを読み解いていくと、76年は確かに日本プロレス界、格闘技界にとって大きなターニングポイントだったことが分かる。
     作者は猪木の非常識さを批難している。でもきっと猪木に魅力も感じている。それこそがアントニオ猪木という存在を象徴していると思う。

  • 猪木の狂気とプロレスについて、よくわかった。

  • 単行本は読んでたので、増補になった猪木インタビューの為に購入。

  • 世界最強のプロレスラー アントニオ猪木
    最高

  • まずプロレスは勝敗の決まったショーだとはっきりと言ってのける作者の冷静な視点が良い。

    プロレスについて語る人って、プロレスをリアルであるかのように語る人ばかりで、興味がない人からするとその時点で聞く気が無くなってしまうから。

    でもこの作者はショーだと断言した上で、アントニオ猪木がいかに魅力的で凄いプロレスラーだったのかを伝えてくれるのが素晴らしかった。

    プロレスの知識がなくても(無いからこそかもしれないけど)分かりやすくて、面白かった。

  • 年末の格闘技すら見ない私が読んでもめちゃくちゃ面白かったです。

    長年ずっと思ってはいたけど、曖昧なままにしていた疑問が解けてスッキリもしました。

    アントニオ猪木氏の思惑と、4つの試合の対戦相手たちの思惑とが入り混じりながら話が進んでいくのでどの試合も読み応えがありました。

    この本に興味を持たせてくれた、とある図書だよりに紹介文を寄稿してくれた「ジャスティス・エンドー」氏に感謝です。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒。文藝春秋に入社し、「週刊文春」「Sports Graphic Number」編集部等に在籍。2003年に退社後、フリーとして活動を開始。デビュー作『1976年のアントニオ猪木』が話題を呼ぶ。他著に『1993年の女子プロレス』『1985年のクラッシュ・ギャルズ』『日本レスリングの物語』『1964年のジャイアント馬場』『1974年のサマークリスマス』『1984年のUWF』がある。

「2017年 『アリ対猪木』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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