悪いのはアメリカだ 日本は悪くない (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2009年1月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784167753665

みんなの感想まとめ

日本の国民経済について深く考察する本書は、昭和62年に刊行されたにもかかわらず、現代にも通じる新鮮な視点を提供しています。特に、自由貿易の影響やその背後にある国際的な力関係についての洞察が印象的で、読...

感想・レビュー・書評

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  • 大変面白く読ませてもらいました。元は昭和62年ごろに刊行されたということだが、内容はいたって新鮮。
    個人的には(あまり根拠なく)TPPをはじめとした自由貿易の枠組みは賛成していたが、自国の状況(国民経済)ももっと整理しておく必要があると痛感し、また他国の主張の背景も認識しておく必要があろうと考える。その上で最終的な結論を出せばよく、自由貿易=正義 という整理で拙速に答えは出していけないと認識を新たにした。
    マクロ経済の基礎的な考えを勉強した上で読む必要はあろう。

  • 元の本は80年代に書かれている。日本を肯定し、アメリカを非難している本だが、言っていることは間違ってはいない。

  • 今から30年以上前に書かれた本なのに、内容はいささかも古びていない。ということは、日本の経済をめぐる状況というのは、30年前と何も変わってはいないということだ(もちろんアメリカとの関係も)。
    それにしても、30年前にここに書かれているようなことを上梓するというのは、かなり勇気がいることだったのではなかろうか。それでもこのように主張せざるを得なかったということは、筆者がそれだけ切迫感を持っていたということであろう。
    同様の切迫感を今の経済学者は持っているのだろうか。

  • バブル真っ盛りの時期にこれだけの予測が出来ていたことに敬服する。

  • なるほど、と唸ること幾度。血の通った経済を語った名著です、これは。

  • TPPをきっかけに、世界と国家の経済というものについて考えさせられることが多い。自由貿易主義というものが正しい、という前提で議論がなされがちだけれども、本当なのか?池田内閣で所得倍増計画を実践するブレーンであった著者は、「経済の基本は国民をどう生きさせるかだ」と看破する。自由貿易主義の間違いは、「国民経済」という視点がすっぽり抜け落ちていることである。自由貿易はそれを推進する国〜アメリカ合衆国〜にとって有利な条件でゲームを行おうというだけのことであり、ほとんどの国が敗北するだろう。四半世紀前に書かれたこの本が今なお読むべき価値を持ち続けているのは驚くべきことである。

  • 平成になる前に書かれた本ではあるがTPPが叫ばれるようになった状況により文庫化。

    当時のアメリカとの貿易摩擦が主題に置かれた本なのでこんなタイトル。
    自由貿易は強国が弱国を支配するための格好の手段であると言い放つ様はとても力強い。
    原因と結果を読み違えないで見ていけばアメリカの言い分は間違いだらけだと見事に解説している。

    執筆された時代を考えると十分噛み砕かれたものもしれないが、現代だとやや読み辛い。
    また、過激な予言をしているがそれが完全に当たっているわけでもないのでこれを盲信せずに、どうして現状との違いが出たのかなど、考えて読む必要はある。

  • 自分だけが正しい、という思想がアメリカを間違いに導いている。
    株信仰がつくる株高現象はいつか崩れる。
    内需拡大論は日本経済を破滅させる。
    日米は縮小均衡から再出発せよ。
    1987年の刊の単行本を文庫化。

    下村治の名前にピンとこなくても、沢木耕太郎の「危機の宰相」の登場人物といえば、ピンとくる人も多いのではないだろうか。
    著者は、元大蔵官僚。池田勇人内閣の経済ブレーンとして高度経済成長の理論
    的支柱となり、戦後を代表するエコノミストとして活躍した。

    親本は、「ジャパンバッシングが盛んだった頃」に出版されたものであり、タイトルも当時の世相を反映したものとなっている。一見、きわもののようなタイトルではあるが、中身はいたって真面目な内容である。
    当時は、レーガン、中曽根時代で日米は蜜月時代であった。個人的には、中曽根内閣を高く評価するが、著者の見方は厳しい。

    日米貿易摩擦(アメリカの輸入超過)の原因を、著者は、レーガノミックス(大減税による経済活性化が柱)により内需が拡大したものの、国内産業が衰退していたため、輸入に頼らざるおえなかった事によるものとしている。
    逆に言えば、日本経済が強くなった訳ではなく、アメリカ経済の異常膨張に巻き込まれた結果、輸出が伸びただけであり、今後は、過剰設備が深刻な問題になる警鐘を鳴らしている。(当時がバブル時代だったこと、その後、不良債権処理に苦しんだことを考えると、卓見であったといえる)
    著者は、アメリカが財政赤字を減らすには、大幅な歳出削減と増税以外に道は
    ないとしている。二十年以上たって、同じ命題が、日本に突きつけられているのは、歴史の皮肉としかいいようがない。

    著者は、経済の根本は国民をどう生かさせるかにあるとしている。政治家や経営者は、「経国済民」の原点に立ち返って欲しいところであるが、自己責任の名のもとに、モラルを喪失した多くの現在人には、難しいのかもしれない。

  • 「現代の Apocalypse」とも言うべき、恐るべき一冊。本が書かれたのはバブル崩壊直前の 1987年だが、バブル崩壊、長期に渡るゼロ成長、サブプライム・ローンの崩壊を経験した 2012年の今読み返しても、なお下村治の洞察は 1987年当時と同じ価値を持って、否、それ以上の輝きを持って読者に迫ってくる。しばらく手に入りにくい時期が続いていたようだが、TPP 賛否の議論を受けて復刊され、現在は文庫で読める。

    下村は「経済の根本は国民経済」と解く。つまり、日本列島に住む一億二千万人の生活をどうするか、日本人によりよい就業の機会を与え、より高い生活水準を与えるにはどうするかが、経済、つまり経国済民の本質であると言うのだ。マネーゲームに一喜一憂する人々に対しては、「お金はアブクのようなものであって、経済の実体ではない。日本人は日本人らしく、平凡で堅実な生活設計を立てることだ」と諭し、買収による exit を狙うベンチャービジネスや、大量消費社会に対しては、「狂っている」と一言で判りやすく切り捨てる。

    米国主導の成長幻想に踊らされ、国民経済をないがしてきたツケは、今まさに具現化しつつある。いま一度、国民経済の、企業の、生活の根本に立ち戻るために、政治家や経営者はもちろんすべての日本人が手にとるべき一冊。

  • すごくまっとうなことが書いてありました。僕達は地に足を付けないといけないんだと腑に落ちました。

  • 非常に分かりやすい言葉で、身近な例にたとえながら経済を解説し、ものの見方を示してくれる良書。

    置かれている状況にかかわらず、どんな時でも通用する、経済に対するブレない視点を与えてくれるもので、何度も読み返したい。

    この視点をこれから大事にして物事に当たりたい。

  • 25年前に書かれた本。タイトルは扇情的だが、中身は感情を排してロジカルで筋が通っている。
    レーガノミックスによる双子の赤字に陥ったアメリカが日本に内需拡大を求めていた当時の状況に対して、原因は日本の構造でなくアメリカの国内需要の急増にあるので、アメリカの財政を引き締めるべきだというのが中心的な主張。
    あらわれている事象に対して、何が原因であるのかをクリアに説明し、自分の立ち位置を明確にして、プリンシプルについて語る、その語り口は爽快だ。

  • 12/01/12。17日から読み始め。バブル前の経済の話だが、経済を考える際の基本的視点を与えてくれる。
    移りゆく経済情勢を、より深く広く構造的にとらえること。出来る限りのあらゆる与件を考慮に入れること。
    かつ、政治の目的をどこにおくべきかを明確にしておくこと。政治の目的とは要するに自国の国民を幸せにすることに尽きる。

  • 何十年も前に書かれたとは思えない経済の本。見事現在を予測していました。

  • 【推薦】
     本書ではナショナリストが国際経済を論じている。1980年代の貿易摩擦において、一貫してアメリカに問題の根本があることを主張した反骨的官僚が存在した。そして筆者の主張がいかにスジの通った妥当なものであったかはアメリカの金融危機を見ると明らかである。歴史が下村博士に追いついた。そしてアメリカはとうとう自壊した。
     筆者は問題の本質を抑えることの重要性を指摘する。経済の本質とは何か?それは「国民をどう生きさせるかだ。」国内経済あっての国際経済であり、自由貿易は国民経済を支えるための一手段でしかない。この点から筆者は、必要次第でアメリカの保護主義政策も正当化する。なぜなら、歴史的文脈を有する国民経済こそが経済の軸であり、「世界経済の本質は国民経済の棲み分け」であるからだ。 
     国民を守らずして何が経国済民か。選択と集中から「国際競争力」を叫び、国民経済という視点を忘れたエコノミストへ捧ぐ、国士下村博士の警鐘の書。

    【書評】☆5
     本書を手に取ったのは、TPPについて国家や国力という側面から論じたものが少なく、経済学者とやらがこぞって賛成している事態を前に危惧を感じたからだ。彼らの視点の偏り、あたかも市場が国家政策によって形成されるという事実さえ見ようとしないように感じた。(ちょうどその際、内田樹氏のブログで取り上げられており興味を持った。)
     筆者の指摘の通り、今の「エコノミスト」は、曰く自由貿易、曰く市場競争と効率性、生産性だけを論じ、国民経済という視点を全く欠き、内実を欠いており、非常に空想的だと感じざるを得ない。正直彼らのいくらかは自らの地位のために弁を曲げる、曲学阿世の徒に見える時がある。本来、価値ある経済学者とは、その国の経済の歴史的文化的特徴を抑えた上で経済情勢を解釈し、いかに国力という全体をあげる政策を提言出来るかで評価されるべきだ。その点、筆者のいう「世界経済の本質は国民経済の棲み分け」という主張は非常に腑に落ちた。本書を読めば、経済学者を評価する際に、一定の軸を設けることがきるのではないか。
     経済関連の本は消費期限が短いと感じていた。しかし本書のように1987年に出版された本で、現在まで耐久性を有する経済の本は珍しいのではないか—ガルブレイスの『大暴落1929』に似ているかも。本書の警告に反して、それだけの間一貫してアメリカが経済の膨張を止めず、間違いを押し通して来たことはリーマンショックで証明された。
     読んでいて古さは全く感じない。内容については、いんちきエコノミストが指摘してこなかった分、新しい。経済用語も難しくはなく、米国が批判する日本の「貯蓄過剰 」や「輸出超過」の論点のウソを論理明快に暴いてくれる痛快な書である。本来の官僚は反骨心を有したものであって欲しい。

  • 20年以上前に書かれたもので、その時代を知らないと理解しにくい部分があると思うが、個人的には引きこまれた。異論反論はかなり出る(た)だろう。予測が外れているものも多々あるが、大枠としての著者の指摘は今振り返ってもっともだと思う。読んでいて痛快だった。

  • 蒙を啓かれました。
    あらためて経済学を学びたく思わせてくれました。
    有難う。

  •  内田樹さんが、唯一わかった経済学者の本ということで購入。

     確かに、経済学者としては異端だと思います。

     今、経済学者として立派な大学で教鞭をとっている人で、自由貿易を否定する人はいないんじゃないかと思います。その意味では、驚くべき本だけど、なんとなく、説得力あり。

     逆に、現在主流の市場自由主義を尊重する考え方が、自分のあたまにやっぱりすっきり入っていない気がする。

     下村説にひかれる点(従来の経済学者の主張の違和感)

    ①自由貿易を主張する前に、「国民の経済をいかに向上させるか、雇用をいかに高めるか、したがっていかに付加価値の高い就業機会をつるるのか」が基本。(p103)

     経済学者は、比較優位の法則をだして、自由貿易の方がウィンウィインだと主張するのは理解するのだが、それぞれが生産性の高い産業に特化することが、それぞれの国家、国民にとって望ましいのだという説明が足りないのではないか。

    ②農業のぬるまゆ問題について、「外国人がなんといおうと日本人が選択したことである。それを改善するべきであれば改善すべきである。しかし、外国人から強制されることはない。」
    (p181)

     これも結局世界の商品が入っていることは防げないので、日本の農業は農業で、切磋琢磨して、生産性を向上すると共に、特質を活かしていくということは大事。これを外圧との関係で議論するのはおかしいと思う。

    ③これは、下村先生が言っていることではないのだが、GDPといった貨幣換算の指標を用いて抽象的に政策を議論する経済学の手法自体が時代おくれではないのかと思う。

     われわれは、自分の生活がどう改善し、維持されるのか、なにをこれから我慢しなければならないのかという、身近な問題として理解し、それに対して、どう政策を立案するかという観点が必要。

     マクロで経済が成長するか、しないかといった枠組みで議論する手法自体に、あきを感じるのは自分だけか?

  • 書名は非常に煽情的で、なんかウルトラ・ナショナルな感じですが、内容は非常にまともで、また非常に論理的です。(だからちょっと取っつきにくいかも)

    著者は池田勇人首相がすすめた所得倍増計画のブレーンとして活躍された、元大蔵省官僚の下村治氏。

    以前読んでとても感動した、沢木耕太郎氏の著書「<strong>危機の宰相</strong>」で下村氏の存在を知り、本書を手に取ってみました。


    本書が描かれたのは1987年。アメリカはレーガン大統領の元、財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」に苦しんでおり、日本との間で貿易摩擦問題が顕在化した時期でした。(2011年現在の状況に似てなくもないですね)

    当時のアメリカはこの問題の原因を日本にあるとし、激しい圧力をかけてきており(アメリカの諸費者団体だったか自動車業界だったかが、日本車をハンマーでぶっ壊していた映像は当時かなりのニュースになりました)、当時の日本の政治家や経済学者もその意見に皆同調していました。

    そんな時に下村氏は本書を持って真っ向反論したのでした、「問題は日本ではなく、アメリカの経済にあるのだと」。

    2011年現在、アメリカと中国との間で同じような問題が起こっています。(日本の経済的地位が落ちたため、日本が矢面に立つことは今ではなくなっています。ちょっと寂しいですが・・・)


    「自由貿易」や「規制緩和」などの文言を金科玉条としていた当時の知識人たちに対して反論しています。それらを行う事によって国内の経済が衰退したりしては本末転倒だと。一体何のために貿易というものが必要なのかと。

    僕は馬鹿なので、「自由●×」とかいう、「自由」という文字が付いているとつい、それが善であると思ってしまう傾向がある(よって自由貿易も絶対善だと妄信していた)ので、この下村氏の反論は、まさに「目から鱗」でした。


    当時の状況や問題を知ることは、温故知新という意味でも、歴史から学び自身の未来への予想力を磨くという意味でも有用だと思います。

  • TPPをちょっとだけ考える。
    バブルの時代に縮小均衡を説くってすごい
    度胸。
    四半世紀前に今を見事に予言している。

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著者プロフィール

横浜市立洋光台第一中学校

「2020年 『グローバル化とインクルーシブ教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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