キぐるみ―(で、醜さを隠そうとした少年のはなし) (文春文庫) (文春文庫 て 8-1)
- 文藝春秋 (2009年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167755010
感想・レビュー・書評
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“かわいいか、かわいくないか”
美醜で人間の価値が決まる
「着ぐるみの街」に生まれた少年の物語。
D[di:]さんの代表作の文庫版です。
作り手の頭の中の景色
を
読み手に想像させてなんぼの小説
と
一寸の狂いもなく押し付けてなんぼの漫画
が
滲みあった文体なので
慣れるまで多少の読み難さはあるけれど
おびただしい数のキャラクター達の中に
自分を重ねられる者の多いこと多いこと。
読後感は正直しんどいです。
でもたたき込まれるそのしんどさは
何故だか不思議に魅力的。
自分の居場所や性的アイデンティティが
不安定で 壊れて 離れてしまいがちな故に
こじらせた自己愛を抱える種類の人達を
ピンポイントで惹き付ける作風だと思います。
ドラァグのママンの痛々しさはいっとう強烈。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『醜い住民は着ぐるみを着て生活し、街の収入源である観光に貢献したければならない。』と歪んだ感じの社会設定は好き。ゲイキャラをはじめ性的マイノリティーやトランスジェンダーが出まくりぶっ飛んだ感じも嫌いじゃない。だからこの物語も好きだと思うんだけど、何か物足りない。
ヌルい印象を与えるよう意図されているのかも知れないけど、どこか強烈な一撃が欲しかった気もしないでもない。
物哀しく終わる最期は悪くないけど。 -
ブサイクな人間は気ぐるみの着用を義務づけられている「かわいい」至上主義の観光都市に生まれた伏見トシハル(トシ)の物語。エログロ描写を含むすこしハードな寓話です。
トシは、不器用な父、ヤクザとの関係を持つ兄、狂った伯父夫婦、そして彼に不幸をもたらすカツコという女性から逃げ出すように、「町」を出て「外」の世界へと旅立つことを決意します。しかし、町長の娘だった花井アカネ(バニラ)が「中央」の学校に合格して彼から離れてしまい、トシと同居しているゲイの青年・浦瀬タカヤ(ママン)は生活に疲れていきます。さらに、空き巣に入られて貯金をほぼすべて失ってしまい、生活のためにトシは男娼として働くことになります。
そんななか、彼の友人だった古川伊佐夫から、町がGランドというアトラクション・パークに変貌してしまったという報せがトシのもとに届けられます。「町」のなかにも「外」にも希望はないということに気づいたトシは、彼が脱ぎ捨ててしまった「着ぐるみ」が、ひとを傷つける棘を生やした心にかぶせられた「気ぐるみ」だったのかもしれないと考えるようになります。
その後、青年となり片目をうしなった(らしい)彼は、カツコに伴われてGランドに支配された「町」を訪れます。
やや後味の悪さが残る作品ですが、それも含めて、著者のねらいが成功している作品だと思います。 -
この長いお話の半分以上は負の感情でできていそう。
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『右目を落として、左目を捩じ込む』
全体的に無駄な描写が多い。とても魅力的な設定、話なのにもったいない。フォントを変えたりするのも五月蝿かった。 -
こんな新感覚の小説を読んだのは初めてだった。
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あまり好みではない。
ちょっとコインロッカー的。 -
ぶさいくは着ぐるみを着なければならないという街の話。
イラストと設定自体は一見かわいらしいけれど、展開はとにかくえげつないというか、残酷。クセがあるけど、好きな人は好きだと思う。
文中にフォントが異常に大きい文字や太字、ひたすら絶叫とかがあったのが個人的に気になったというか、電車内で読んでいてそわそわしてしまった。 -
可愛くないひとは,着ぐるみ着用が義務づけられている,ふしぎなまちに住む少年が,まちを抜け出して…
んー,あらすじから想像できる話とはちがったかな。
ゲイの話がほとんど占めてる気が。
読後感微妙です…。 -
あんまりさくさく読み進められなくて途中でなげだしちゃった。
最後まで読みたいけど、かなり時間置いちゃったから、最初から読み直しかなあ。
内容と、文体があんまり好きじゃないかも・・・。
ある条件つきできぐるみをきなきゃいけないっていう設定は、おもしろそうだと思ったんだけど、思ってたのと違った。