まほろ駅前番外地 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 5037
レビュー : 478
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167761028

感想・レビュー・書評

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  • 便利屋多田啓介とその友人行天晴彦の織り成す物語「まほろ駅前」シリーズの第二作。
    今回は短編集で、主人公二人のほかにこの物語で活躍する曾根田のばあちゃん、ちんぴらの星良一、岡夫人、小学生の田村由良、そして新たに登場した未亡人亜沙子などにスポットを当てている。
    三作目のレビューですでに書いたが、本当に登場人物が魅力的だ。
    彼らの魅力を様々なエピソードで綴り、その輪郭をよりはっきりさせているこの二作目も出色の出来である。
    特に亜沙子夫人を登場させ、今後の多田にとって重要な意味合いを持つ人物になっていく過程が興味深かった。
    とにかく○の作品。
    今のところ、三浦しをん作品に外れなし。

  • 多田と行天が帰ってきた!
    あいかわらず行天のキャラが好きすぎる。
    実際こういう人と一緒にいたら困るだろうけど(笑)
    誰に対しても同じ態度、お客さんや子供、やくざ相手にしても変わらない。飄々としてる癖になぜか腕っぷしが強い。
    影があってどこまでもクール!
    まだまだ続きがありそう。
    多田の恋の行へも気になるし。

    ドラマ化もめちゃめちゃ楽しみ。
    映画はまだ観てないんだけど、観たいな。
    松田龍平の行天、似合ってそう。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ドラマ化もめちゃめちゃ楽しみ」
      未だ「番外地」に取り掛かってないのですが、ドラマを見ようかどうか悩んでいる(実はTV嫌い)。でも気になるな...
      「ドラマ化もめちゃめちゃ楽しみ」
      未だ「番外地」に取り掛かってないのですが、ドラマを見ようかどうか悩んでいる(実はTV嫌い)。でも気になるなぁ、、、
      「困るだろうけど」
      でしょうね、、、ハラハラするし、何考えてるか計りきれないし。。。
      2013/01/04
  •  「番外地」というだけあって、本書は「まほろ駅前多田便利軒」の外伝を集めた短編集となっている。

     「まほろ…」の主役は、便利屋・多田と居候・行天である。語り手は多田だが、二人主人公による両輪馬車、バンドで言えばドゥービーやクリエイションみたいなツインドラムの重さを軸に据えながら、実に庶民的な事件を扱う軽ハードボイルドの趣きが味わい深い。この二人のキャラクター造形だけで、直木賞賞受賞作の出来栄えは既に決定してしまった、と言っていいほどであった。

     さてその前作で扱われる様々な事件(というか出来事)に登場したキャラクターのそれぞれに再登場願って、それぞれに物語をまたひとつひとつ作り上げたというような本書、まほろ市の住民の一団がこうしてそれぞれの世界を語られることで、さらに究極の架空都市でありながら、どう見ても町田市をモデルにしたとしか見えない<まほろ市>は人間味と人情味とでより味わい深く捨て難い魅力溢れる三浦しをんの街になってゆくのである。

     卑しい街をゆく探偵という、ハードボイルドの軸はそのままに、冷血で血も凍るような87分署的なニューヨークではなく、天才男優・松田優作が主演した伝説的ドラマ『探偵物語』のあの街みたいに、あたたかな仲間たちでいっぱいの卑しくも魅力溢れる街を、三浦しをんは奇しくも別の形で再現し、さらに行天という印象的な主役の一人を優作の子・龍平がこれ以上なくフィットしたかたちで演じている不思議をこそ、エンターテインメントの極みそのものとしてぼくは素直に味わいたく思う。

     子供の世界、老人の世界、悪党の世界、などが、多田と仰天という両輪馬車を取り巻き、街を賑わす華麗なる人間模様を読むにつけ、思う。三浦しをんの作品世界の豊かさを。深みを。そして絡み合う人と人との運命の面白みを。

     不思議なことに前作の文庫解説を鴻巣友季子、本書の解説を池田真紀子、どちらも女流翻訳家として海外ミステリ読みには馴染みの深い人たちだが、こういう日本小説の解説を書くんだな、と改めて出版社の粋な計らいに驚きを感じる。翻訳家が国産小説の解説を書く、ということはとても珍しいからだ。

     さらに本書と同じタイトル『まほろ駅前番外地』がテレビドラマとして放映され、贅沢にも映画と同じ瑛太・松田龍平の二人キャスティングそのままに一話完結型式でDVD化もされている。すべて見たわけではないが、原作にはない物語ながら、多田と仰天のカラーやまほろの雰囲気はそのままにオリジナルで小説とは別個の映像化作品として楽しめるので、まほろファンには是非、お勧めしておきたい。

  • 『多田便利軒』で多田と行天が関わった人物たちの生活が描かれていて面白かった。

    三浦しをんさんは、「いろんな人生を何度も生きてきたのか?」と疑いたくなるほど、登場人物の人生にリアリティがある。実際に体験した人しかわからないような心の機微を全て知っているみたいだ。想像力の化け物だ。

    続編の『狂騒曲』は手元にないけれど、必ず読む。

  • 行天に仰天!
    ダジャレすみません。
    本編とは違う面を見せる行天。頼もしくもあり、悲哀を感じた。読後感が、本編よりも冷たかった。
    三浦さんの文章は、相変わらずきれいに流れるのだが、全体を通して冷えた、体温の低い感じがした。
    便利屋だから見えてしまう人生の裏側。たまらなくなる。

  • 多田と行天が帰ってきた!おかえりなさい。

    相変わらずの2人だけど、2人がそれぞれ抱える闇の深さがよりくっきりした気がします。平凡なありふれた幸せを誰もが望める訳じゃない。要領悪い人もいつかは幸せになれるのかな。

  • 前作が面白かったので、続けてこちらも読んだ。
    章ごとに主人公を替えて、愛すべきキャラクターたちが出て来て、前作とはまた違う角度で楽しめて、さらに愛おしい気持ちになった。
    さらなる続編を読みたくなってしまう。

  • 前作に登場した人や初登場の人たちが主人公となる愛のスピンアウトストーリー。多田と行天が脇役になっている物語の中にも、二人の過去や現在、変化がわかるように書かれている。

    危険な若者、星の清海に対する愛情は純粋。若い愛を育て、いつか‘砂糖売り’をやめる選択をして欲しいものだ。

    曽根田のばあちゃんの激しく燃え上がる愛の‘あの気持ち’に憧れはあるが、岡夫人のように温かい灯火が長く緩やかに続く愛情もいいかなと思う。長い時間一緒にいる事で愛情の‘愛’が取れ、ただの‘情’になった訳ではなくそれも愛情の形。灯火が消えず相手を大切だと感じる気持ちがしぶとく持続する、祈りにも似た境地はきっと深い深い愛情なのだろう。

    柏木亜沙子の登場により多田が再生するきっかけになればと。亡くなった子は決して帰って来る事はないし、多田の傷は一生消えないかもしれないが、子供が生まれて来た事が悲しい事だっただけに終わらせないためにも、多田の再生は必要。傷は消えなくてもいつかは癒える。一生、自分を責めなくても、子供を忘れなければそれでいい。
    美蘭に対する行天の行動、子供という生き物に敏感に反応しているのは、子供の時の自分と両親との関係性から来ているのだろう。親から受ける子供への影響は大きくて怖い。次回作で一応の決着を見るのだろうか。

  • *東京都南西部最大の町・まほろ市の駅前で便利屋を営む多田と、高校時代の同級生・行天。汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も承ります―。多田・行天の物語とともに、前作でお馴染みの星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリー七編を収録*

    前作を読む前にこちらを手に取ってしまったが、軽妙洒脱な文章、謎めいた登場人物たちがちらりと見せる人情身あふれる一面などに引き込まれて、一気読み。前作を読んでから再読したい。

  • 駅前で便利屋を営む多田と助手で居候の行天、そしてその依頼者たちにまつわる出来事を綴った短編集です。

    ここぞというところで鈍い多田とここぞというところで鋭い行天のコンビが絶妙のバランスであり、他の主要人物も心根の部分は安定しているので、読んでいて安心感があります。

    話のネタの部分では、多田の不得意分野である女性目線の話が多かったという印象でしょうか。

    外伝的な短編集と思っていたので、岡夫人の予言どおりに新たな展開があったのは驚きでした。

    しかし多田と亜沙子の関係も行天のトラウマも、ともに一筋縄ではいかないことが明白で、読者としてはやきもきしながら、続編に臨むことになりそうです。

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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