三年身籠る (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2009年1月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167762018

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

妊娠中の冬子が、出産を待ちながらも様々な人間関係に翻弄される物語が描かれています。彼女の周囲には不倫夫や妹、恋人など個性的なキャラクターが揃い、時にはファンタジーのような展開が繰り広げられます。冬子の...

感想・レビュー・書評

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  • まごうことなき妊婦の冬子。しかし腹の子は十月十日を過ぎても出てくる気配はない。
    不倫夫だった徹。冬子の妹のパンク娘・緑子。そして緑子の恋人で医学生の海くん。に、巻き起こるひとつの物語。

    私のいちばん身近な子持ちは姉で、ここ数年友人でも数人出産した人がいて思うのは、妊娠して出産するまでにたくさん心構えをしたつもりでいても、実際産まれてみなきゃ分からないことの方が多くて、悩んで辛い思いをして果てはノイローゼになりかけたりもして、少しずつ母親になっていくのだろうということ。
    私だってもう子どもの一人や二人いてもおかしくない年齢だけど、もし今妊娠したとして、手放しで喜べる自信はない。

    この物語に出てくる夫婦も、年齢的にはとっくに大人だけど大人になりきれていなくて、お腹に子が宿っても心の準備がしきれていなくて、周りも何だかがちゃがちゃしていて、そんな中お腹の子が空気を読んで(?)お腹にとどまってしまっているという、ファンタジーなんだけど現実めいた不思議なお話だった。

    著者の唯野さんは女優さんだそうで、検索してみたら「あ!観たことある!」と思った。キラリと光る脇役的な女優さん。
    女性特有の感覚で綴られた物語かもしれないけれど、からりと乾いていて女臭くはなかった。それがとてもよかった。
    何より妹の緑子がキュートだった。

    今で言うと…自分の置かれた状況とかは別にして、政治的な意味合いで、新しく子どもを産んでいいものかどうか悩んでしまう世の中になってしまったと思う。
    最初から色んなことが不安なのに、さらに不安要素が増えてしまっていることが悲しい。
    自分のなかの不安だけと闘える状況は、本当はとても幸せなのかも、と思った。

  • ある日、妊娠が発覚した冬子。しかし夫の徹は、堂々と別の女と不倫中。冬子はその出産に、不倫相手の美和を呼ぶことを思いつく。女系家族の姉妹として生まれた、性格は全く違う冬子と緑子のそれぞれの物語。

    純文学とはしたが、純文学かと言われると疑問の残る作品である。純文学っぽく、悪く言えば色々と読者に投げっぱなしで、淡々と妊娠して3年目に生まれるまでの話を描いていくのだが、文学と言うには言葉の選び方などは稚拙だし、上っ面で流れていく感覚がある。

    淡々と、今あるものを俯瞰して客観視し、受け身で生きているが、過去に付き合った男は暴力男だったり、ドラッグをやっていたりとメチャクチャな冬子。一方で運命的な出会いをした恋人と切れないまま、行きずりの男と関係を持つ、積極的でアグレッシブな緑子の視点で、概ね交互交互にえがかれていくのは、最初から作者の考えていた仕組みなのであろう。

    一方で、登場人物にいろいろと色付けをしなければならないという意味で、まずは妊娠、それが10ヶ月経とうが20ヶ月経とうが生まれてこないという、超常的な話を作る。次に育ての母親がまた破天荒であったり、緑子は青年海外協力隊でお金をためていたりと、それぞれが激動なのだが、そうやってあれこれ足し算で描いていくことで、冬子のキャラクターがどんどんわからなくなっていく。

    その反面、緑子はわかりやすいので、作者を投影しているのは緑子の方なのだな、と納得する。

    ぶっちゃけ、これを言うと身も蓋もないのだが、人間の関係が築かれたり壊れたりという部分を描きたいのだろうと思われたが、その中でタイトルにもある全然生まれてこない子供は、どれほどの意味を持っていたのかというのが、最後まで読んでもどうにも見えてこなかった。

    また、科学・医学的な観点から、1歳半になるまで生まれてこなかったら、体がどうなっていくのか、SF的に外の情報が子供に行くのも荒唐無稽だし、ましてや腹の中で声を出せるのは、作者はそういう部分に興味がなかったんだなと興ざめである。だったら妊娠いらなくない?

    作者の描きたいこと、例えば人生に何が大事で何がどうでも良くて、というのは、緑子の章にひねりも装飾もオブラートもなく直接書かれているので特に深いとも思えないし、小川洋子みたいな話が書いてみたかったんだろうなというのが最終的な感想である。結局のところ、緑子はセックスに、冬子は死に思いを馳せて、いや、逃げようとするんだよね。

    解説に、映画化され、主演がオセロの中島…。映画を作った人も、雰囲気を読み取る気がなかったんかね。まあ、思わせぶりな映像にしやすそうな純文学の手習い作品て感じ。

  • 三年身籠っている間子供はどうなってるのか?と思ったら、きちんと泣くし、笑うし、動き回るし、想像以上に元気。
    出産前の状態で大きくなっていくわけじゃないのね。

    2年目までは誰の気持も行動も納得できないような気がして、読みながらむずむずしたけれど、3年目まで読み進めるとようやくそれぞれがぴたりとはまった気がする。

    女同士の親族たちの会話、微妙な間、丁寧に用意される色とりどりの料理、お互いを受け入れきれない姉妹(冬子、緑子)、頼りにならない男性たち(徹、海)、
    面白かった。

  • 「BOOK」データベースより
    冬子29歳、ただいま妊娠9ヵ月。まごうことなき妊婦である。しかし十月十日を過ぎても子どもは産まれてこない。―個性的な女優が映画制作に先がけて初の小説に挑戦、不思議な傑作が誕生した。書き下ろし長篇450枚。

    これはアイディアも突飛でとっても面白いし、文章もかなり達者で川上弘美を思わせりるユーモラスさがある。ありえないファンタジーなんだけれども妙にリアルな手触りがある。うーん女優さんが書いたのかあなんて偏見かもしれないけれど大したものだと思います。

  • もう少しおどろおどろしい話かと身構えていたけど、ウイットあるいい話だった。
    歴代彼氏の描写など面白い。
    ラストの、冬子の反撃は迫力があってとても良い。
    格好よさが嫌味になっていった海くんが、よりによって女装してる時に病院へ駆け込まされるのもいい仕打ち。

  • 十月十日を過ぎても赤ちゃんが産まれず、三年が経過してしまうタイトル通りの話。京極夏彦のウブメの夏を連想してしまったが、こちらはミステリーではありません。それにしても食べ物の描写が多く、食欲をかきたてられてしまう。

  • 読み終わって冬子三年身籠る意味がわからなかった。普通に生まれるまでの間十月十日で物語れるんじゃないの?

    解説を読んで気がついた。周りの大人達に迎える準備ができていないということを。そこに気がつかないくらい、個性的なキャラが多かった。母親に対して辛辣な評価をする緑子が好き。

  • 身籠もった冬子から、十月十日たてども子供がいっこうに産まれてこない。
    そんな冬子と妹の緑子の物語。

    こういうぶっとんだ登場人物の話は苦手です。
    設定はおもしろいと思うけど。

    「個性を純粋に保つにはすべての不自然な情報を遮断すればいいのだ。」

    「お経は強烈な個性的なひとつの思考」

    「サンタクロースはノストラダムスが扮してるのではないかと自分は疑っている。地球滅亡に向けて未来を担う子どもたちに呪いをかけるため、贈り物には罠を仕掛けて、あたかも善行のようにみせかけて世界中を飛び回っているのだろう。なぜなら、わかり易い善行というものは、得てして悪を潜ませているものだから。」

    タイトルと、文庫のカバーデザインは好き。


  • 十月十日で産まれてくるはずの赤ちゃん。
    でも、主人公はタイトルの通り3年の間も身籠ったまま、、、。

    何というかなぁ、、、。
    親の気持ちの都合で、お腹の中の赤ちゃんが3年間頑張ったって感じ?(笑)

  • 途中から斜め読み。

  • 現代小説とSFがまじりあったような不思議な小説。

  • おっとりしすぎている冬子が身ごもった子供がいつまでも生まれこずに、
    浮気していた旦那は狂い奔走し、最終的には献身的な夫となったり、

    奔放な妹は医学生に激しい恋をし、だけど失うことを受け入れられず、
    輝きを失いかけつつも、女しか居ない歪みすぎて平和な家系の中で、
    それでもパンクを愛したり。

    登場人物が全員可愛くて、とても普通の感じで凄く面白かった。

    あと食事の内容が凄く丁寧に書かれていて、
    それがほっこりとする気持ちにさせてくれるのが凄いなー。

    でも、映画のキャストを見るとちょっと不思議だけど。
    この冬子の役を??って感じ。

    でも、なぜ人間はこれだけ進化しても妊娠期間はかわらず、
    こんなに長い間腹の中で子供を育てても、
    まだまだ未熟すぎる子供しか生まれてこないのか。とかさ。
    そういう着目点は良かったと思う。

    妹の話が凄く好きだったなー。
    医者ってとてもパンクだ。
    だって必ず訪れる死に向かって中指たてるって事だもん。
    みたいな台詞には笑えた。まさしく。
    恋人に対する描写とかも凄く好みで、
    この子の話が話全体にキラキラ感を与えていて、
    全体的にぼんやりとした夫婦と絶妙のバランスで良かった。

    最後のもたつき感を差し引いても星4つはかたい良い作品。

  • 身籠った赤ん坊が十月十日で出てこないなんて、
    普通に考えればとてつもないホラーなんだけど、
    あまりにも淡々とした文章なので、
    普通のことのように思えてしまった。
    動物と違って人間だけは本来”生理的早産”で生まれ、
    立つことも歩くことも出来ないわけで、
    とにかく親に面倒見てもらわなくては生きていけない。
    赤ん坊が生まれたがらなかった理由は、
    親としての心理的準備が出来ていない両親への反抗か?
    でも、文章の中では、
    主人公が妊娠を継続したがったからだと書いてあったかも?
    何とも曖昧なのだが、その曖昧さゆえに、
    不思議な面白さを醸し出してる本であった。

  • 映画化されているのは知っていた(西島さんが出演しているので)。
    ほのぼの系なんだろうな、と勝手に想像していたら、意外と壮絶?普通じゃないなぁという印象。
    なんで3年間妊娠していたかなぞ。意味あったの…?

  • 外見は双子のように似ていながら、性格は全く違う
    冬子と緑子の姉妹を中心に描かれた家族小説です。

    冬子は妊娠中ですが、夫の徹がずっと前から浮気をしている
    ことを知っていて、それでも黙っています。
    「この子に毒だから」と少しの物音を立てることも許さず、
    夫婦間はますますギクシャクするばかり。
    一方、妹の緑子は医師の卵である「海くん」と目下大恋愛中。
    まもなく生れてくるはずの冬子の子どもでしたが、
    十ヶ月を過ぎても生れる気配がなく・・・

    淡々とした文体ながらも、書かれている内容にときどき「えっ??」と
    驚かされました。自由奔放な妹・緑子よりも、一見おとなしそうな
    冬子の行動はコミカルと思う人もいるのかもしれませんが、私は
    「恐い」と感じました。サスペンスかな、これ、と思ったくらい。

    男は女を理解できないし、女は男を理解できない。でも共に暮らし、
    新しい生を誕生させていく。
    二転三転する徹の態度は、あまりに不安定で頼りなくはありますが、
    命の重要な局面において、そうなってしまう男性は多いのかも。
    実際、1歳半の子どもがお腹にいるなんてどんな状態なんだ??と
    こわごわ想像して、想像できませんでした。
    他に類を見ない小説だと思います。

    余談ですが「海くん」をずっと「うみくん」だと思って読んでいたので、解説を
    読んで「カイくん」だと知ってショックを受けました。

  • 夫婦関係の修復だったり、信頼関係を築いてゆく過程が3年間子供を妊娠する中で描かれてる。

    本の中に出てくる女の人たちは、とっても変わっているように見えるけど、
    実はどんな女の人でも持っている気持ちをはっきりあらわすだけの、普通の人なんだなと感じた。

    とっても不思議な話だったな。。

  • xx asaka xx

  • だたのダメ男が“父親”になる準備を整える瞬間。徹の変化にはちょっと涙を誘われた。
    文章が淡々としすぎていてどうかなと思ったんだけど わりと好き。

  • 何と言っていいのか、不思議なお話でした。冬子も夫の恋人も一緒に赤ん坊の誕生を祝って欲しいと恋人のもとへ押し掛けてみたり、過去の恋人達のもとを訪れ、あなたは宇宙人じゃないかとか、変な病気を持っていてうつしたということはないかと尋ねてて廻ったりしていて、十分風変わりでしたが、それにも勝って、妹、緑子の自由奔放なところが印象に残りました。

  • なかなかユニークな作品。妊婦を面白い角度から描いている。

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著者プロフィール

1973年東京生まれ。女優、映画監督、脚本家、作家。多摩美術大学在学中の97年、斎藤久志監督の映画「フレンチドレッシング」で女優デビュー(毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を受賞)。その後、「大いなる幻影」(監督:黒沢清)、「BULLET BALLET」(監督:塚本晋也)、「金髪の草原」(監督:犬童一心)「さゞなみ」(監督:長尾直樹)「『また、必ず会おう』と誰もが言った。」(監督:古厩智之)などに出演。その他の出演映画に「いたいふたり」「透光の樹」「血と骨」「それでもボクはやってない」「Sweet Rain 死神の精度」「ゲゲゲの女房」などがある。2006年「三年身籠る」で長篇映画監督・脚本家デビュー(高崎映画祭・若手監督グランプリ受賞)。映画の進行と同時に、同名の長篇小説を書き下ろし、小説家デビューも果たす。

「2018年 『彼女たちがやったこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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