戸村飯店 青春100連発 (文春文庫 せ 8-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167768027

感想・レビュー・書評

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  • 関西弁でテンポよく進むので読みやすい
    18歳の少年が何を考えどこに向かうのか?自問自答青春って素晴らしいけど大変!
    がんばれ!って応援したくなる作品でした。

  • 瀬尾まいこさんの作品が大好きだ。
    読んでる最中に「ああ、好きや!」って何度思ったことか。

    大阪の超庶民派中華料理店、戸村飯店の二人息子、兄ヘイスケと、弟コウスケの1年間。
    特に大きな事件や出来事があるわけじゃない、二人の日常。でも、読み終わった後すごく胸がぽかぽかしている。

    すれ違いながらもなんだかんだでしっかりお互い気に掛け合ってる所が暖かくて可愛い。男兄弟っていいね。

    戸村飯店の常連さんもクセのある人ばかりだけどみんな良い人で、ヘイスケとコウスケが愛されてるのが伝わってくる。The下町!な会話も、コッテコテの関西弁も読んでいて思わず笑ってしまう。
    1番のお気に入りは、竹下の兄ちゃんが旅行の下見に東京に電撃訪問するところ。ディズニーランドの場面は声出して笑っちゃった。


    春のぽかぽか陽気の下で読むのにぴったりな、暖かくて気持ちいい一冊だった。
    何回も言うが、私、瀬尾まいこさんの作品が大好きだ!

  • 兄弟、家族だからといって必ずしも波長が合う訳ではない。そんな趣味や性格の異なる2人が描かれている。弟は兄の態度や性格に不平不満を募らせていて、兄は家族・地元・店の常連客に対して居心地の悪さを感じている。2人は兄の進学を機に東京と大阪で離れて住む事となり、兄は家を出る事が出来た。
    この兄弟のように、人や土地その他なんでも物事に対してその人の見え方がある訳だけれど、近すぎると見えない事、気づかない事は多くて、離れてこそ見える景色があるし、そこで改めて感じた事こそが根底にある素直な気持ちなんだと気付かされた。
    物語の半ばくらいまでは、ただ兄弟仲良くなってハッピーエンドだろうと思っていたけれど、期待以上の終わり方で満足だった。

  • 瀬尾まいこさんは、「そして、バトンは渡された」にて一発で引き込まれてしまって先日オトナ買いをしてみた著者。「そして、バトンは渡された」の解説の部分に上白石萌音さんが推薦しているコメントあり、オトナ買いした中でも一番に読みたくなった。

    萌音さん、『読書家の知人から是非にと渡されたのが、「戸村飯店 青春100連発」だった。その日のうちに夢中で読み切り、明くる日には他の著書を探すべく最寄りの書店に走った。』『そして、わたしの「瀬尾まいこさん勝手に応援キャンペーン」は始まった。』とあったので、せっかくオトナ買いしたのなら、まずはこの本から読み始めよう(その後はまた改めて考えよう)と思って読むことにした。本日レビュのために改めて二回目を読み終えたのだが、読後感『家族に「ただいま」を言いたくなる。』まさに本の帯ってすごいなぁ、よく表しているなぁ、とも思いました。

    ストーリーとしては、戸村飯店という大阪の中華料理屋で育ったヘイスケとコウスケの兄弟が高校生、高校を卒業してというまさに青春真っただ中を成長していくストーリーなのだが、こういう小説にはやはり自分を重ね合わせて読んで感情移入してしまっています。僕も姉がいて、二番目の子供ながら長男で、(一番目の行動を見て考えるもあり)家を継ぐ・継がない、そうしたことがあったり、認められたい、という話があったり、お前は人の想いを裏切れんやつや、というくだりがあったり、「お前そんなに、そやけど、そやけど、言う男ちゃうかったやん」「お前はいっちょやったろかってやつやろ」があったり、順番めちゃくちゃだけど、自分が中学の時にめっちゃがんばった大地讃頌の指揮の話(これはバトン渡されたでもあったが)があったり、とにかく自分として感情移入する話がたくさんで、『からだと心に沁み渡る瀬尾さんの言葉』という萌音さんのコメントすごく伝わってきた。

    1章読んで2章読んで、あぁこれはよくある、二人のストーリー・視点がそれぞれ独立で動きながら、最後は交わっていく話だな、と思いながら、二人の成長・悩み・気づき合い・助けあい、が、心温まるストーリーだった。 また上記、自分のストーリーと当てはめて(「好きなことやれ!」と育ててくれた実家の両親に感謝しつつも)、少しでも「いっちょやったるか」となっていかなきゃいけないな、と自分に喝!を送りたくなってきました。


    抜粋というか残したかったフレーズ
    ==========
    P230 「お前は俺とはちゃうからどうしようもない」「役に立たん長男や」(中略)「考える気がないんとちゃう。俺とお前は立場も違うし、人間としても全然ちゃうやん。だからやで。」(中略)「お前は人の思いを裏切れんやつや。だから、その分あの店で好かれとるし、必要とされとる。俺とはちゃうやん」
     兄貴の言葉に妙な気持ちになった。自分が褒められているうれしさより、そういうことを当たり前のように言う兄貴が、寂しかった。
    (中略)「お前そんなに、そやけど、そやけど、言う男ちゃうかったやん」(中略)「お前はいっちょやったろかってやつやろ」

    P255 岡野の言葉はすごく素直に心に入ってきた。本当にそのとおり。ここでは、たくさんの人が応援してくれる。それはたぶん戸村飯店の息子だからだ。とれもありがたいことだけど、いつまでも戸村飯店の息子ってものに、頼っていてはいけない。

    P278 「えっと、ほんまありがとう。兄貴に礼言うのは恥ずかしくて死にそうやけど、やっぱり、ありがとうしか言いようないし、言うとくわ」
     コウスケはとてもまっすぐに頭を下げた。恥ずかしくて死にそうなのは勝手だけど、目の前で深々と礼をされて俺のほうが気持ち悪くて死にそうだった。

    P295 ウルフルズなんて今までちゃんと聞いたことがなかったのに、なるほどと思った。歌詞は関西弁なわけではない。でも、このまんまな歌。ストレートで何も手を加えてなさそうで、深くて熱い歌。心に率直に入ってくる歌。これは関西の人が作った歌だ。関西の人が歌う歌だ。そう思った。そして、それがわかったら苦しくなった。
     どうしてたまたま聞こえてきた曲に、こんな気持ちにさせられなくちゃならないんだろう。ふと流れてきた歌声に、こんな風になってしまうのだろう。十九歳にして生まれて初めて抱いた感情。さっさと消してしまおうと思うのに、どんどんこみ上げてちっとも止まらない情けない気持ち。(中略)
     認めたくないけど、どうしようもなかった。情けなくて格好悪いけど、仕方がなかった。
    ==========

    瀬尾まいこさん、楽しい食事と音楽の力で、みなさんにほっこり感を届けてくださる。 引き続きオトナ読みしていこう。

  • やはり、兄たるもの、なんやかんやで弟のことを考えてくれて、自分も妹がいるけど、お節介焼いてしまうよね〜と共感した。
    ハッピーエンドッッッ!!!

  • 兄貴が東京でウルフルズの曲を聞く場面で、共感した。私も関西の人間やさかい。

  • 初めまして、瀬尾まいこさん。
    本屋大賞おめでとう。
    それがあったから私はこの本を読む事になりました。
    うまい表現ではありませんが、人情話ですね。
    家族愛、兄弟愛、人間愛。
    読むうちに主人公と同じような青春体験をしたことがあるような気になって少々胸キュン感覚を覚えました。
    住み慣れた土地を離れ、異郷で暮らし、元の土地へ戻る。
    どれも寂しさが付いてくる。それぞれの地で濃い人間関係が育まれれば育まれるほど別れは辛い。けれど辛さを乗り越えて次のステップに進まなければならない時がある。
    青春ならではの悲しみであり特権である。

  • 超庶民的な大阪下町の戸村飯店。
    全てが筒抜けで常連客は妙に馴れ馴れしい。
    幼い頃から外面がいいと言われる長男ヘイスケはそんな町から早く出たいと願い、高校卒業後東京へ旅立つ。

    他人が評価する「自分」と自分が思う「自分」とのギャップとジレンマ。すごく分かる。
    どうしたらいいか分からずジタバタするよね…。

    一方次男コウスケは愛嬌のある愛されキャラなのにいつも兄を妬むばかり。
    東京と大阪で各々自分を見つめ直す兄弟。
    二人を見守る頑固親父の然り気無さが良かった。

    ラストの兄の渾身のギャグと頑固親父の温かい怒鳴り声に泣けた。

  • まず思うのは、この本は表紙とタイトルで損してるんじゃない?って事。
    瀬尾さんの作品じゃなければ、私なら手に取らないですね・・・

    だけど、これ読んでみるとすごく良かった!
    コテコテの大阪下町に住む兄弟のお話なんですが、2人ともいいねぇ。ザ・兄弟!って感じでした。

    このヘイスケ・コウスケ、どっちもいいキャラです。
    最初コウスケの語りで始まると、ヘイスケがいかにもいけ好かない感じなのですが、次はヘイスケの章になっていて「あぁそうなんだ~」とヘイスケに同情したりして。

    お互いに相手を認めているからこそ持つコンプレックス。
    大阪ではコウスケのように、面白くておちゃらけな子は受けがいいです。
    逆にヘイスケみたいな子は「ええ格好しぃ」とか言われちゃうんですよね~。
    弟に対抗して、新喜劇の桑原和男のマネを必死で練習するあたりに兄の悲しさが・・・しかも全然受けないし(笑)
    兄目線の私としては切なかったです。

    大阪弁で勢い良く読み進むうち、ジーンとしたりほっこりしたり、とてもいい本でした。私にとってはコテコテの大阪弁がすっごく面白かったのですが、このコテコテの大阪弁&内容は、関西人じゃない方には読みづらくないのかな?ってちょっと気になりました・・・
    濃いすぎて関西人以外には意味分からないんじゃ?って部分もありますし。

  • 兄弟の掛け合いにホッコリ。
    温かな大阪の雰囲気を楽しめましたー

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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