戸村飯店 青春100連発 (文春文庫 せ 8-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167768027

感想・レビュー・書評

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  • 人生に大事な物をメチャクチャ大きく2つに分けると【要領】【努力】になり

    そのバランスで人生は成り立っている
    という話を別の本の感想に書いた事がありますが…

    このバランスが極端に片寄ると駄目
    片寄ると【要領はズルに変わり】【努力は正直者は馬鹿を見るに変わる】

    この戸村兄弟は、それを上手く表現されている。
    長男は要領 次男は努力
    しかしその2つは両方とも大事だけど
    どっちも正解であり、やり方次第で不正解にもなる

    例えるなら
    ●長男はハケやローラーでペンキを塗る作業
    ●次男は瓦を1つ1つ貼ったり、タイルを1つ1つ貼る作業
    と言ったところか…

    ペンキは薄く塗って速く行動に移れる、何かあっても重ね塗りで手直しも塗りの制度はあがる。

    瓦など1つ1つコツコツ作業するのは、時間がかかるが、出来上がりは凄く強いものが出来上がる…しかし何か間違いがあると、殆どやり直しになる。

    人生の場面場面でこの2つのバランスをとり、その時その時にどっちを選択するようにするだけでも

    自分達の心の負担は減るはず

    ※だから結局話が変わるけど俺が何を言いたいかって言うと

    【何十年継ぎ足しのタレってよくリポーターが≪これが何十前のタレか!!≫と言ってるけど。実際継ぎ足ししてるからトコロテン式に古いタレは無くなる為、腐る事もない。だから正確に言うなら≪何十年から引き継がれた味のタレ≫って表現のが正しい気がするよ】って事!!

  • 好きなラジオ番組で紹介されていて、面白そうだったので読んだ本。

    タイトル通り、青春100連発。
    兄と弟のそれぞれの想い。
    それぞれの目線で一章ごとに語られていく。
    お互いがそれぞれの立場で成長していく。

    とってもいい話なのだけれど、それぞれの恋人はそれでよいのか??
    いやその世代にとって恋人こそがすべてでないのか??
    それとも二人とも大人なのか?
    恋愛経験の少ない私にはちょっと切ない。

  • まず、表紙の絵が気に入った。
    そしてタイトルが、そのフォントが面白そうな雰囲気。
    そんな理由で読んだ本。結果正解、面白かった!

    人が心の中で思っていることは、実は他人には正確に伝わってない。その時の態度だけで判断すると、意外に誤解が生じる。小さな誤解がどんどん積み重ならないように、お互いを理解するにはまずコミュニケーション。

    ...なーんて簡単にいけば、揉め事なんて起こらないよねえ。家族間だったら照れや恥ずかしさが先にたってますます言えないよねえ。でもね、年月が経って気付いたら、実はそうだったの?....っていうお話でした(ん?)。
    最後はもちろんきちんとほっこり。

    この本を読んで気付いたのですが、会話が関西弁のところはノリツッコミで読むので、読むスピードが異常に速くなるんですよー。そんなアホな。

  • のっけから「関西」全開で始まる。ついていけるのか少し不安だ。どっこい、へたすると本物の漫才より面白い。コメダ珈琲店でずっと下を向いて噴いている自分がいた。まずい、面白すぎる。誰かページをめくる手を止めてくれ、と。
    瀬尾さんがすごいのか、関西がすごいのか、いや、どちらもだろう。
    物語は進み、故郷を離れたからわかる故郷の人々や家族との絆、兄弟のあれやこれやもすっと心にはいってくる。
    兄弟が周囲の人々との出会いと別れの中、それぞれの明日を見つけていく。なんて爽やかな読後感なんだ。

  • 良かった。二人の友情(?)がいいなー、と思った一冊。

  • 大阪の中華料理屋の兄弟の話
    要領が良く大人しめに見えてしまう兄
    アホだけど責任感が強いタイプの弟

    料理屋を継ぐものだと考えている弟
    とにかく騒がしい大阪を離れ東京で暮らす兄の日々が描かれる。

    私にも弟がいるけど、この本で言うと逆で私は弟に似てて、私の弟はこの本では兄に近いかもしれない。

    出てくる人たちが良い人ばかりで、終わりに近づくとちょっと読み終わりたくないなと思ってしまった。
    ちょっとした会話が楽しく、大阪弁も心地よい。
    二人の視点から見てる風景の違い。自分の兄弟にもあるはずで、色々と考えてしまった。万年反抗期のような弟が、久しぶりに実家に帰ってきた時
    「お久しぶりです」とバカ丁寧に挨拶さした時のことを思いだし少し笑う。

    古嶋、良いやつだな…こんな友達欲しい。

  •  弟のコウスケ目線から始まる本作。次の章は兄のヘイスケ目線。そこで、最初に抱いたヘイスケの印象はがらりと変わりました。そこから各章、弟、兄の目線で交互に展開される本作。コウスケはザ、大阪人といった性格。逆にヘイスケは少し不思議な感じ。
     
     言葉を交わさないだけで、相手が何をどのように考えているのか分かった気でいるけど、実際には違う。それは他人だけではなく家族とでも…。男兄弟の関係は想像以上に複雑なのかも…と思えた作品でした。

     ヘイスケの最後の展開に少しだけ、うるっときました。

  • ヘイスケとコウスケ。
    器用なようで器用でない兄と、不器用なようでやっぱり不器用な弟が離れて暮らす時間でそれぞれ変わっていくさまが面白い。
    コウスケに感情移入したり、ヘイスケに感情移入したり忙しかったけれど、最後がよかった!
    コウスケと岡野さんもどうかうまくいってくれ!
    思うようにぬらないのが青春だとしても。

  • 上白石萌音ちゃんの解説を読んで。
    大阪の超庶民的中華料理店、戸村飯店の息子、ヘイスケとコウスケ兄弟の物語。
    面白い。大阪の笑いのシビア?さに、自分は生きていける気がしないけど、単純に面白くて。さらにきょうだいの距離感や心情に共感できるところもあって、のめり込んでしまった。
    きょうだいってなんなんだろう。味方のようなライバルのような、拗れてやっかいになることもあるけれど。ヘイスケ・コウスケ兄弟を見ていると、いいもんだなぁとしみじみ思う。現実は素直になれないし、大なり小なりいろいろあるけど笑。
    温かい気持ちになる物語。戸村飯店でご飯食べたいなぁ。

  • いい小説だった。
    私は関東人だから、東京と大阪の違いをそんなに意識してなかったが、この小説が言うように案外違いは大きいのかもしれない。
    体に染み付いた望郷の念を1年東京で暮らして思い出すノスタルジックな青春小説でした。

著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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