戸村飯店 青春100連発 (文春文庫 せ 8-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167768027

作品紹介・あらすじ

大阪の超庶民的中華料理店、戸村飯店の二人の息子。要領も見た目もいい兄、ヘイスケと、ボケがうまく単純な性格の弟、コウスケ。家族や兄弟でも、折り合いが悪かったり波長が違ったり。ヘイスケは高校卒業後、東京に行く。大阪と東京で兄弟が自分をみつめ直す、温かな笑いに満ちた傑作青春小説。坪田譲治文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 人生に大事な物をメチャクチャ大きく2つに分けると【要領】【努力】になり

    そのバランスで人生は成り立っている
    という話を別の本の感想に書いた事がありますが…

    このバランスが極端に片寄ると駄目
    片寄ると【要領はズルに変わり】【努力は正直者は馬鹿を見るに変わる】

    この戸村兄弟は、それを上手く表現されている。
    長男は要領 次男は努力
    しかしその2つは両方とも大事だけど
    どっちも正解であり、やり方次第で不正解にもなる

    例えるなら
    ●長男はハケやローラーでペンキを塗る作業
    ●次男は瓦を1つ1つ貼ったり、タイルを1つ1つ貼る作業
    と言ったところか…

    ペンキは薄く塗って速く行動に移れる、何かあっても重ね塗りで手直しも塗りの制度はあがる。

    瓦など1つ1つコツコツ作業するのは、時間がかかるが、出来上がりは凄く強いものが出来上がる…しかし何か間違いがあると、殆どやり直しになる。

    人生の場面場面でこの2つのバランスをとり、その時その時にどっちを選択するようにするだけでも

    自分達の心の負担は減るはず

    ※だから結局話が変わるけど俺が何を言いたいかって言うと

    【何十年継ぎ足しのタレってよくリポーターが≪これが何十前のタレか!!≫と言ってるけど。実際継ぎ足ししてるからトコロテン式に古いタレは無くなる為、腐る事もない。だから正確に言うなら≪何十年から引き継がれた味のタレ≫って表現のが正しい気がするよ】って事!!

  • 好きなラジオ番組で紹介されていて、面白そうだったので読んだ本。

    タイトル通り、青春100連発。
    兄と弟のそれぞれの想い。
    それぞれの目線で一章ごとに語られていく。
    お互いがそれぞれの立場で成長していく。

    とってもいい話なのだけれど、それぞれの恋人はそれでよいのか??
    いやその世代にとって恋人こそがすべてでないのか??
    それとも二人とも大人なのか?
    恋愛経験の少ない私にはちょっと切ない。

  • なんやねん、この本、むっちゃおもろいやん。こんな関西弁ばっかりの本、あんまりあらへんのちゃうか。笑いすぎたらあかんでぇ。

    狭いようで広い日本。交通網が発達したことで2時間もあれば、自分が暮らす世界とは環境、文化そして言葉もずいぶんと違うある意味別世界に行くこともできます。特に言葉の違いは歴然。東京から、もしくは新大阪から新幹線に乗ってそれぞれ反対側に降り立つと、特に感じる言葉の違い。これは他の都市間でも同じことでしょう。でも、不思議なのは小説の世界は標準語で書かれたものが圧倒的に多いこと。どうなんでしょう。方言を入れることで、そこに違う色が、もしくは世界が出てしまうことを敢えて避けようとしているのでしょうか。でもこの本はあくまでコテコテで勝負します。その土地を舞台にするならその土地の雰囲気にどっぷり浸りたい。

    『冗談抜きで、俺と兄貴は仲が悪い。』という兄・ヘイスケと弟・コウスケ。『全ての人が阪神タイガースをこよなく愛し、吉本新喜劇で爆笑し、オチがない話をすると、「それがどないしたん」と、戸惑われてしまう町』という大阪のど下町にある戸村飯店で育った二人の兄弟の一年が描かれます。

    6つの章から構成されていて、一章毎に弟兄弟兄弟兄と視点が変わっていきます。『親父は俺には手も足も出して本気で怒るけど、兄貴には声を荒げて怒鳴ることをしない。お袋は兄貴を大事にしているけど、困ったことが起きると兄貴ではなく俺に頼る。』全く性格の異なる二人。両親の二人への接し方も違っています。どんなに親しい間柄でも、その人毎に対峙するスタンスというものは変わるものです。この辺りの描き方がとてもリアルです。

    『先に出て行けるのって長男の特権やん。一つくらい特権あらへんと、長男なんかやってられへん』と一人東京に旅立つ兄。『兄貴の不在は二日で慣れた。』という弟。兄がいなくなったあと、高校を出たら自分が親父の店を継ぐことになる、それがまさか予想外の展開に…。東京の兄に相談に行く弟。『兄貴に相談ごとを持ちかけたことは、今まで皆無だった。相談どころか、兄貴には中身のある話をしたことがない。』でも、そんな弟の窮地に兄は…。兄と弟の-やっぱり兄弟っていいね-というあったかい繋がりが描かれていきます。

    戸村飯店の常連である広瀬のおっさんの『そやそや、恋愛なんてプッシュや。プッシュブッシュ大統領や』、元ヤンキー・竹下の兄ちゃんの『結局はコウスケ、案ずるより生むが横山やすしやで』などなど。もう最初から最後までコテコテの大阪を楽しませていただきました。

    また、瀬尾さんの作品ということで、『親父はエビチリとかカニ玉とか、ちょっとだけよそいきの中華をたっぷりと作ってくれた。』という戸村飯店の中華から、おはぎやビーフストロガノフまで、読み終えても食べ物が登場したシーンがとても印象的に思い出せるのもこの作品の特徴です。

    大阪と東京を舞台に、食べて、怒って、笑って、泣いての一年を綴った、とても楽しくて愉快な作品。それでいて登場人物それぞれの感情の微妙な揺れまで伝わってくる絶妙な表現の数々が人情豊かな人々の力強い生活を感じさせてくれました。そして、何よりも関西弁の会話がとてもいい味を出していたのが強く印象に残りました。

    強烈な書名と表紙のインパクトからなかなか手が伸びなかった作品でしたが、これ『ほんまに』お薦めです。読んで良かったです。

  • まず、表紙の絵が気に入った。
    そしてタイトルが、そのフォントが面白そうな雰囲気。
    そんな理由で読んだ本。結果正解、面白かった!

    人が心の中で思っていることは、実は他人には正確に伝わってない。その時の態度だけで判断すると、意外に誤解が生じる。小さな誤解がどんどん積み重ならないように、お互いを理解するにはまずコミュニケーション。

    ...なーんて簡単にいけば、揉め事なんて起こらないよねえ。家族間だったら照れや恥ずかしさが先にたってますます言えないよねえ。でもね、年月が経って気付いたら、実はそうだったの?....っていうお話でした(ん?)。
    最後はもちろんきちんとほっこり。

    この本を読んで気付いたのですが、会話が関西弁のところはノリツッコミで読むので、読むスピードが異常に速くなるんですよー。そんなアホな。

  • のっけから「関西」全開で始まる。ついていけるのか少し不安だ。どっこい、へたすると本物の漫才より面白い。コメダ珈琲店でずっと下を向いて噴いている自分がいた。まずい、面白すぎる。誰かページをめくる手を止めてくれ、と。
    瀬尾さんがすごいのか、関西がすごいのか、いや、どちらもだろう。
    物語は進み、故郷を離れたからわかる故郷の人々や家族との絆、兄弟のあれやこれやもすっと心にはいってくる。
    兄弟が周囲の人々との出会いと別れの中、それぞれの明日を見つけていく。なんて爽やかな読後感なんだ。

  • 久しぶりの瀬尾まいこさん。
    『戸村飯店青春100連発』

    大阪の下町にある超庶民的中華料理店、戸村飯店の2人息子 ヘイスケとコウスケの青春物語。

    関西の気質とか東京との違いとか物凄い分かる。
    そうそう、大阪と東京って両方都会なんだけど、似て否なるだよなぁって・・・
    いやいや、全然似てないのだ笑
    大学時代を大阪で一人暮らしして、就職後に転勤で関東に出て来た私には、共感する所が多すぎる作品だった。

    そして物語の随所に出てくるコテコテの大阪弁でのやり取りがとっても懐かしく響いた。吉本新喜劇のくだりとか、上手いこと表現されてる。
    流石は大阪生まれの瀬尾まいこさん!
    いつも優しく温かな言葉で癒される作品が多いのだが、いや〜やっぱり関西弁喋らせたら完璧なんやろなぁ笑

    性格も見た目もまるで違う兄弟だけど、お互い相手のことを実はしっかり想っている。ラストは心温かく目頭が熱くなった。兄弟を囲む周りの友人やバイト先、戸村飯店の常連さん、可愛い彼女さん達も、みんな大好きになってしまった。

    時として幼い頃の記憶は、本人が思っていた事と、側から思われていた事が相違することも多い。自己表現がまだまだ未熟だからこそ、家族であっても思い違いをしている事はあるだろう。それでも互いを尊重し思いやる気持ちは変わらない。
    本作の主人公ヘイスケとコウスケも同様で、特に兄のヘイスケは周りからのイメージと自身の思いのギャップが大きく、更に傍には単純でノリが良く愛されキャラの弟コウスケがいるため、自分の居場所探しが必要だったんだと思う。
    親元の大阪から東京に出たことで、みえる世界や気付きがヘイスケを成長させたのだから、やっぱり一度は親元を離れるのって大事だよなぁとつくづく感じた。
    きっとこれからも兄弟の絆を少しずつ深めながら逞しく生きていくんだろうと明るい未来が感じられて、優しい気持ちに包まれる作品だった。
    進路に悩める学生さんにもオススメしたい。

    岡野と戸村兄弟の今後も気になるし、ヘイスケの仕事ぶりや、コウスケの大学生活も気になる♪
    これは是非続編も見てみたいと思った。

  • 良かった。二人の友情(?)がいいなー、と思った一冊。

  • 瀬尾まいこさんの小説に出てくる男子というのは、どうしてこう、オバさんの心を射抜くのだろう…。

    全くタイプの違う兄弟で、仲良いわけでもないけれど、2人ともそれぞれ親のことを思い、兄、弟のことを互いに思っている。

    こんな孝行息子に育ったら、言うことありませんわ!
    やっぱり子どもは、自由にさせてあげんといかんですな。
    2021.8.12

  • 大阪の中華料理屋の兄弟の話
    要領が良く大人しめに見えてしまう兄
    アホだけど責任感が強いタイプの弟

    料理屋を継ぐものだと考えている弟
    とにかく騒がしい大阪を離れ東京で暮らす兄の日々が描かれる。

    私にも弟がいるけど、この本で言うと逆で私は弟に似てて、私の弟はこの本では兄に近いかもしれない。

    出てくる人たちが良い人ばかりで、終わりに近づくとちょっと読み終わりたくないなと思ってしまった。
    ちょっとした会話が楽しく、大阪弁も心地よい。
    二人の視点から見てる風景の違い。自分の兄弟にもあるはずで、色々と考えてしまった。万年反抗期のような弟が、久しぶりに実家に帰ってきた時
    「お久しぶりです」とバカ丁寧に挨拶さした時のことを思いだし少し笑う。

    古嶋、良いやつだな…こんな友達欲しい。

  • まさに青春!兄弟(姉妹)間のモヤモヤした気持ち、親への反発、将来やりたいことが決まらない焦り、周囲の友人がまぶしく見える、自己嫌悪、失恋…あぁそんな感情で頭の中がいっぱいの時期もあったなー。瀬尾まいこさんの小説は温かいですね。

    • koalajさん
      ゆうママさん、こんばんは。いつも11時頃には寝てしまうんですが、なんか今日は眠れなくて…「元彼」表紙がかっこよくて気になってましたがまだ読ん...
      ゆうママさん、こんばんは。いつも11時頃には寝てしまうんですが、なんか今日は眠れなくて…「元彼」表紙がかっこよくて気になってましたがまだ読んでません。今ゆうママさんお薦めの「島はぼくらと」佳境に入ってます。私は読むのが遅くて、ゆうママさん程は読んでいませんが、瀬尾まいこ「あと少しもう少し」道尾秀介「透明カメレオン」ローラン「ミッテランの帽子」が面白かったです。また情報交換よろしくです!
      2021/06/17
    • koalajさん
      ゆうママさん、追伸。
      あとこの前レビューを書いた獅子文六「悦ちゃん」はお薦め!三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズもすごく面白いです(...
      ゆうママさん、追伸。
      あとこの前レビューを書いた獅子文六「悦ちゃん」はお薦め!三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズもすごく面白いです(こちらはシリーズ7冊+新シリーズ2冊が出てるから読むのが大変かな?)
      2021/06/17
    • アールグレイさん
      こんにちは、koalajさん!
      昨夜は大変失礼しました!せっかくの就寝中に申し訳ございませんでした!
      koalajさんは、お若い方?ご主人の...
      こんにちは、koalajさん!
      昨夜は大変失礼しました!せっかくの就寝中に申し訳ございませんでした!
      koalajさんは、お若い方?ご主人のいらっしゃる方?もしご主人が怒っていたらお詫びを伝えて下さい
      <m(__)m>
      我が家では、主人が帰るのは9時半頃、それから食事、後片付けが終わると10時半を過ぎます。時々ドラマを見てしまうと11時過ぎです。いつもは早く帰る息子が今日は8時半から9時だそうです。
      そんな事情であの時間は我が家にとって、まだまだ早いと言うことになります。勝手でごめんなさい(^-^;
      本のことを・・・・道尾秀介さんの「透明カメレオン」もしかしたら読んだかも知れません。が、これっぽっちも覚えていないのです!
      情けなァ~ふぇーん読もうと思います。あと少しもう少し、は絶対に読むつもりで本棚に並べてあります。私は駅伝が好きで、三浦しをんさん「風が強く吹いている」これは超いい!駅伝をよく知らない人でも絶対に感動もの。
      島はぼくらと、終わりましたか?衣花の網元の娘という立場に涙する場面がありました。ラストシーンはすごくいい!爽やかで、目に浮かびます。ラストばかり、何度も読みました!koalaさんのレビュー、待っています!
      (^-^)/
      2021/06/17
  • めっちゃよかったぁ。 

    何度もほろりと涙ぐんでしまいました。
    大阪下町の戸村飯店という中華料理屋さんで
    育った一つ違いの兄弟がのお話です。

    同じ親から生まれた兄弟であっても
    性格がまるで違うというのは
    本当どこのお家でもそうやと思います。
    お互いなんとなく、ライバル的に複雑な気持ちもあり、リスペクトする気持ちもある。
    相手を羨ましく思ったり、理解できへんと思ったり腹が立つと思うこともあります。

    近すぎると見えない相手に対する感情も
    少し離れると認められるようになったり
    心配もできるようになったり。

    本当に自分のことも兄弟 親の気持ちも
    わからないし居心地が悪く離れたいと感じる時もあるけれど、やっぱり家族っていいなぁ。と心から思いました。

    温かく本当に優しいお話で、大好きな本になりました。

  • 「そして、バトンは渡された」の解説で、上白石萌音さんが、瀬尾麻衣子さんのイチオシ本として挙げてたことで、気になって手に取りました。

    読んだら面白くて、
    元気になりたい時、ちょっと読書したい時、たぶん大体どんなシチュエーションで読んでも、さらさら読める本だと思いました。

    外に出て、いろんな環境や人に触れることって、自分には予想しない形で、役にたつ時があるのだろうなと感じました。
    私はヘイスケと同じ長男ですが、器用でもないし、卒なくこなせるタイプでもないけど、ストロガノフをサラッと作ってあげれて、自分はお茶を飲んで、ニコッと笑っていられるお兄ちゃんになりたいと思いました笑

  •  弟のコウスケ目線から始まる本作。次の章は兄のヘイスケ目線。そこで、最初に抱いたヘイスケの印象はがらりと変わりました。そこから各章、弟、兄の目線で交互に展開される本作。コウスケはザ、大阪人といった性格。逆にヘイスケは少し不思議な感じ。
     
     言葉を交わさないだけで、相手が何をどのように考えているのか分かった気でいるけど、実際には違う。それは他人だけではなく家族とでも…。男兄弟の関係は想像以上に複雑なのかも…と思えた作品でした。

     ヘイスケの最後の展開に少しだけ、うるっときました。

  • ヘイスケとコウスケ。
    器用なようで器用でない兄と、不器用なようでやっぱり不器用な弟が離れて暮らす時間でそれぞれ変わっていくさまが面白い。
    コウスケに感情移入したり、ヘイスケに感情移入したり忙しかったけれど、最後がよかった!
    コウスケと岡野さんもどうかうまくいってくれ!
    思うようにぬらないのが青春だとしても。

  • 年末に読むのにぴったりの面白くて、人情を感じる温かい作品。大阪の下町で町中華を営む両親のもと育った兄弟ヘイスケ・コウスケが交互に語り手となって話が進んでいく。高校生活やアルバイト、恋に進路に悩んだり、こういう人いるな、こういう感じあったなととても親近感が持てた。加えて両親やお店の常連客のさりげない優しさにもじんわりする。瀬尾さんの本は初めて読んだが、人気なのもうなずける。大満足の1冊。

  • 大阪の下町にある中華料理店で生まれ育った2人の男兄弟の青春物語。
    クールで要領のいいお兄ちゃんと不器用でまっすぐな弟。キャラクターは違えどお互いがお互いを心の中では認め合っているけれど、決して表面上は繋がり合おうとしない、このくすぐったい感じ。
    登場人物すべてが素敵な人間で、あぁこんな場面でこんなこと言える男になりたかったなぁ、みんなの器の大きさに自分に言い聞かせるように読んだ。
    折に触れて読み直したい、最高な1冊でした。

  • 上白石萌音ちゃんの解説を読んで。
    大阪の超庶民的中華料理店、戸村飯店の息子、ヘイスケとコウスケ兄弟の物語。
    面白い。大阪の笑いのシビア?さに、自分は生きていける気がしないけど、単純に面白くて。さらにきょうだいの距離感や心情に共感できるところもあって、のめり込んでしまった。
    きょうだいってなんなんだろう。味方のようなライバルのような、拗れてやっかいになることもあるけれど。ヘイスケ・コウスケ兄弟を見ていると、いいもんだなぁとしみじみ思う。現実は素直になれないし、大なり小なりいろいろあるけど笑。
    温かい気持ちになる物語。戸村飯店でご飯食べたいなぁ。

  •  笑いあり、涙あり。再読したいと思えた素敵な一冊。

     こてこての大阪ワールドに、何度も笑えた。

     一緒にいる時は分かりあえなくても、離れてから存在のありがたさに気づく。そんな素敵な家族の物語に、温かさを分けてもらえた。

     器の大きいお父さんが大好きになった。彼の言動から泣きそうになった。

  • 全く好みじゃないタイトルと表紙!(すみません!)でも、瀬尾まいこさんだから…と思って、読んだら、めちゃくちゃ面白くてあっという間に読んでしまった。
    正反対のタイプの兄弟のお話なのですが、どっちもいい男の子!!うちの子もこういう風に育ってくれないかなーと思いました。高校生ってまだ思春期だよね?って思うほど、家族や周りの人への思いやりに溢れてる。特に弟のコウスケの思考が面白すぎて可愛すぎて、爆笑でした。逆に兄のヘイスケは、切なくてキューっとさせられた。
    嫌な登場人物が全くおらず、穏やかな気持ちでサラッと読めた。特に北島くん、品村さんのキャラが良かった。

  • いい小説だった。
    私は関東人だから、東京と大阪の違いをそんなに意識してなかったが、この小説が言うように案外違いは大きいのかもしれない。
    体に染み付いた望郷の念を1年東京で暮らして思い出すノスタルジックな青春小説でした。

  • 兄弟どちらも主人公な話だけど、最後は実はお兄さんだったか…。
    うちの夫は関西に帰りたくないという。濃すぎるらしい。笑 帰るとしたら、神戸の品の良い地域でって言ってる。私も同意。
    関西って、ほんまよくも悪くも全てが濃い。最初は東京の人って冷たいと思って、恐る恐る働き始めたけど、全然そんなことなかった。ステキで優しい人多い。
    そんな経験もありお兄さんに肩入れ。最後はちょっと違うけど。

  • 性格も容姿も全く違う一つ違いの兄弟、ヘイスケとコウスケ。
    地元の高校を卒業して先に家を出て東京に行った兄と、自分は店を継ぐものだと思い込んでいたのに、見当違いだった弟。
    二人は反発しあっているように見えて、実はお互いのことを最も理解できる間柄だったのではないかな。
    大阪弁がガンガン飛び交い、人間愛に溢れてる。何かすごくいい話。
    悩み多き青春時代。いいものがいっぱい詰まりすぎてて、泣けてくる。

  • 男兄弟って 一番近くにいるライバルなんだな~って思う。
    意識せずにはいられないだろう。親からどう思われてるとか・・

    進路を決めるとき、親や先生じゃなく 兄のひと押しで進学をきめたコウスケ。そうそう、兄弟ってこう、いざって時に頼りになる。
    こんな兄弟っていいな~って思う。

    瀬尾さんのお話は、日常がリアルに描かれているから面白い。
    東京と大阪の違いってので、生まれも育ちも関西の私にはわかる~っていうのが多かった。

    • kuroayameさん
      瀬尾さんの作品で、まだ読んでいない本ですので、レビューを拝見させていただきすぐにでも読んでみたくなりましたd(^_^o)。
      瀬尾さんの作品で、まだ読んでいない本ですので、レビューを拝見させていただきすぐにでも読んでみたくなりましたd(^_^o)。
      2012/10/27
    • しをん。さん
      すごい面白いお話ですね♪兄弟物語(*^_^*)
      エッセイではなく、物語ですよね?

      >瀬尾さんのお話は、日常がリアルに描かれているから面白い...
      すごい面白いお話ですね♪兄弟物語(*^_^*)
      エッセイではなく、物語ですよね?

      >瀬尾さんのお話は、日常がリアルに描かれているから面白い。

      私は、まだ瀬尾さんの作品に触れたことがないのでこれを機に手に入れたいと思います♪

      素敵なレビューありがとうございました(^^♪
      2012/10/30
  •  大阪の下町にある町中華『戸村飯店』の2人息子のお話し。

     器用になんでもこなし、女子にもモテモテだけど、何考えてるか分からない長男ヘイスケは高校卒業後に小説家を目指して東京へ。

     不器用だけど頑張り屋で、女子にはモテないけど人気者の次男コウスケは、(勝手に責任感を感じて?)実家の中華料理店を継ぐつもりでいる。

     大阪弁での掛け合いは面白いし、大阪の人情はあたたかくてちょっと鬱陶しそうで羨ましい。男の子兄弟って会話がなくても仲が悪いわけじゃなくて、姉妹とは違った繋がり。

     長男の高三から次男の高三までのお話なので、進路の選択を通して成長する2人の姿が微笑ましい。

     2人を信じて背中を押せるお父さんも、優しく見守れるお母さんも素敵でした。

  • さらっと読める一冊。
    兄弟ってこんな感じなのかなと憧れる。

    自分について客観的にみれていない。
    人に言われて気がつくことも多いし、勝手に決めつけてる節もある。
    時に自分を見つめ直す機会を持ちたいと思わせてくれるくれる、そんな一冊。

    お土産で東京バナナ買うけど、食べたことないかも。。何でバナナなのか??

  • 兄弟のそれぞれの葛藤と愛情が胸を打つストーリー。

  • 兄弟それぞれの視点で描かれた青春小説。淀みのまったくないキレイな世界が広がっている...。たまにこういう世界に浸ると、体から悪いモノが排出される感覚になるのだが、また悪いモノが蓄積されたら著者の本を手に取ろう。ただ、私は帰りたくはない、あの頃、あの場所には...。

    「俺もいつか、こんな風に走ろう。駅のホームはちょっと抵抗あるけど、コーラ飲んでようが、横っ腹痛かろうが、気にせず全速力で走れる男になりたい。」

  • 文庫で再読。

    コテコテすぎるけど、兄のヘイスケが「ごめんください。どなたですか?戸村飯店の長男、戸村ヘイスケです。長い間勝手して迷惑かけました。ほんま、すんません。お帰りなさい。ありがとう。」と言って家に帰るところは、泣かされました。

    「ギャグはタイミングが大事なのだ!」

    ・・・ほんまや!

  • ところどころに見え隠れするさりげないユーモアのセンス。
    それまで真面目に文章を追っていたのに、突然、噴き出しそうになる。
    この独特の立ち居振る舞いが、瀬尾まいこ作品の面白さだ。

    自宅は中華料理店を営む高校生の兄弟。
    繊細で、女の子にもてて、スマートな兄のヘイスケは小説家を目指し、故郷を離れ東京に出て行く。
    がさつで、お笑い精神があり、でも本音は気の弱い弟のコウスケ。
    一見、正反対の二人。でも本当は──。
    兄が卒業して一年。弟は、親の中華料理店を継ぐために地元に残ろうとするが。

    コウスケがほのかに恋心を寄せている仲良しのかわいい女の子、岡野。
    この岡野さんが愛らしい。
    瀬尾さんの作品に出てくる女性はいつも愛らしいという表現が嵌る。
    しっかり者で、でもかわいい。

    さて、この兄弟二人、高校卒業後まったく違った道を歩もうとするが──。
    本当の自分は何をしたいのだろう? 成長するに連れ、二人とも、それにようやく気付き始める。
    なんともハートフルな青春ストーリー。
    相変わらずの瀬尾作品の持つ温かさ。
    楽しく、関西弁がいい味を出している、心がほっこりする物語でした。

  • 大阪の下町にある庶民派中華店『戸村飯店』の2人の息子たちは青春真っ只中。
    兄のヘイスケと弟ケイスケの想いがそれぞれの目線で交代に語られていく。

    兄のヘイスケは顔も要領も良くて軽やかに人生を歩んでいるように見えるけれど実はそうでもなくて……。私は自身が長子だからか(顔も要領も良くないけれど)ついついヘイスケに肩入れをして読んでしまい、単純で愛されキャラの弟ケイスケが眩しく思えた。

    テンポよく読み進められるのであっという間に読み終わってしまった。もう少しこのお話しを読んでいたかったな。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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