どれくらいの愛情 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2009年8月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784167772017

みんなの感想まとめ

愛や人生、つながりについて深く考えさせられる一冊で、特に「目に見えないものの確かさ」というテーマが印象的です。4つの中編から成るこの作品は、運命という普遍的なテーマを丁寧に描き出し、日常の中に潜む人間...

感想・レビュー・書評

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  • あとがきの「目に見えないものの確かさ」は愛、人生、つながりなど考えさせられます。

  • 4つの中編からなる重厚な一冊。白石作品の多くに共通して見られる、運命というテーマが深く丁寧に描かれている。

  • 表題作を含む4つの短編(中編?)が入っています。
    どれもテーマは愛かな?
    「20年後の私へ」「ダーウィンの法則」「どれくらいの愛情」の3編は、真実の愛を追究したり、自分の気持ち(愛)に正直に生きようとしたりする人々を描いている。
    「20年後の私へ」はもう若くはない、仕事を持つ女性が、本当はキャリアウーマンになりたかったわけじゃないのにだんだんと仕事の責任が重くなり、人がうらやむような素敵な男性にプロポーズされ、そっちに逃げることもできるけど…という展開で、私にはなかなか共感できるものがありました。19歳のときに、20年後の自分宛に書いた手紙の内容はなかなか泣けました。
    「どれくらいの愛情」は色んな障害を乗り越えて真実の愛を見つけていく主人公の正平に文字通り惚れました。柄にもなく、“真実の愛ってこういうものかなー”と思ったりしてしまいました。
    でもひねくれ者の私の心に一番ぐっっっっと来たのが、やっぱり愛のなんたるかがよく分からなくなってしまう「たとえ真実を知っても彼は」という作品でした。
    真実の愛を貫く3つの作品の中にこれが1つ入っているのが効いてると思います。

  • 作者あとがきに書かれている、「目に見えないものの確かさ」とは、それぞれの作品で描かれている人間の想いや繋がりではないかと私は考えます。また、世界の流れ、というか、陳腐ですが運命といったものではないかと。それはよく目を凝らせば日常に溢れているのでしょう。
    あとがきでは、目に見えないものを見ることが「自分とは何か?」という最も大切な問いに対する答えを出すために必要であると再三述べられています。
    自分とは何でしょうか。即答できるような質問ではありませんよね。日常で考える機会もそうそうない質問です。私はまだまだこの答えを出せそうにありません。
    ただ、それを考えることで、今まで気づかなかったことに目を向けられるのではないでしょうか。
    自分とは何か。目に見えないものの大切さとは何か。そんなことを考えながら、この作品を読むと見える世界が変わるかもしれません。

  • -20年後の私へ-
    この作品は白石先生らしい福岡を舞台に社会的に自立した離婚歴のある女性の物語。
    40歳を目の前に迎えて、今後このまま独りで人生を送っていくのか、それともある種の妥協の言い訳を自分に言い聞かせながらでも伴侶を得て世間一般的に普通らしい人生を送るのか…そんな分岐点に立って、これまで気づいていなかった愛情に気づく…ほんと白石先生らしい展開の物語でした。100頁程の短い物語なのでそんな感動すると言うほどのものではありません。彼らしさを感じられる作品として受け止めれば良いかと思います。

    -たとえ真実を知っても彼は-
    これはとても面白かったです!
    作家と編集者という戦争を共に戦うような仕事を越えた濃密な関係性を構築する二人と双方の妻…それぞれ夫婦としての評判は高く、一方は親子共に仲睦まじく幸せな家庭だった。作家が急逝して明るみに出た真実、ドラスティックにうねりを上げて崩壊する家族関係とどう向き合い、どう折り合いをつけるのか?そこが読み処でドキドキしながら読ませてもらった。結果、作家の残した言葉通りであったが、それまでのあらましと逡巡…結論までの持っていきかたに白石先生らしさを感じた。
    -ダーウィンの法則-
    白石先生による夫婦間におけるセックスレスに関する考察が非常に興味深くて、そこへ結婚という夫婦間に横たわる倫理や節操という束縛を絡めて、すでに冷えてしまっている妻や家族との生活を守る人生と結婚後に出会った人であっても息の合う人と一緒の人生と、本当に幸せなのはどちらなのか?
    「運命のヒト」…白石一文先生が描く物語には常にそのテーマが潜んでいる。そんな運命のヒトと出逢ってしまった男女が見せる葛藤や苦悩のような感情を通して「今を生きている自分は」一体何をどう感じて生きているのか?諦観や妥協じゃなく自分の自然な欲求に正直に生きるって事がどれほど大事なことかを伝えていると感じます。僕が白石一文先生が好きな理由がそこだと思う。これはとても良い作品でした。
    -どれくらいの愛情-
    この作品では作者の言いたいことの全てを「先生」が担っていて、他者を愛するという行為、他者を思うという行為とはどういうものであるのか?…それを喝破していたように感じました。二人一緒になりたいだけなのに目の前に立ちはだかる障害の数々を乗り越えて「愛するということの意味」に辿り着く…白石先生の頭の中にうずまく想いを叩きつけたような言葉だった。とてもいい読後感です。あとがきも素晴らしかったです。この本は、おススメです。

  • 私は博多ではないけど、他の本でも自分が住んでるところが作品に取り上げられると読んでても親近感がわいて、さらに作品に入り込める気がする。

  • 正直なことを書くと、最初の作品に、少しだけれど女性軽視されてる表現を見つけて戸惑った。

    ダーウィンの法則での触れ合いについての持論も、最初は納得行ったけど、父親も子供と触れ合うのだから父と母の関係性が悪くなるのはおかしいような?

    でも、目には見えない愛についてのお話は良かったな。
    絶望は希望の種。心から相手のことを思う気持ちがあればそれで十分に愛し合えるんだ。
    愛って何だろうって、自分の中にある愛のこと、もっと考えたいと思った。

    後書きがとても好きでした。

  • 「20年後の私へ」
    「たとえ真実を知っても彼は」
    「ダーウィンの法則」
    「どれくらいの愛情」
    の4作から成る一冊。

    うーん、あまり好きじゃなかったです。
    ところどころ、強く印象に残る文章はありましたが、小説としては、スッキリしないものでした。

    都合よくいきすぎというか、フィクションで許される範囲を越えちゃっていたかな、と。

    印象に残った文章達。

    「人間は誰かに幸せにして貰うことも、自分だけが幸せになることもできないのだろう。人間にできるのは、恐らく誰かを幸せにすることだけなのだ。」
    「お互いを思いやるとは、要するに互いに心配をかけ合うということでもある。
    そして、人は心配されるよりも相手を心配しているときの方がきっと心は満たされるのだろう。」

    この作品はあまり満足できませんでしたが、白石氏の愛・運命・死についての考え方はやはり好きです。

  • 白石一文氏の作品は福岡が舞台であることが多く、とても親近感がわく。この作品も福岡、老舗のぜんざい屋のオーナーが主人公、見知りした地名や場所が次々出てきて情景を想像しやすくたのしめた。
    目にしたものが真実ではないことがある。悲しみや辛さを味わった人の思慮深さや優しさ懐の深さを強く感じた作品でした。終わりがとてもほっこり。

  • 久方ぶりに再読した。「20年後の私へ」安西晴夫の「もう誰かに幸せにして貰おうなんて虫のいいことを考えるな、そのかわりに誰かを幸せにしようと思え」という台詞が心に響いた。そんな気持ちでいただろうかと自分に問うた

  • この著者らしい、相変わらず理屈っぽい文体が素晴らしい(好きなのです)、短編集。

  • 下記を今朝登録したのだが、時間が経つにつれ、段々印象が上向いてきたので、評価星ひとつ増やす。

    『絶望した側が、戦いに勝つことがよくある…』

    『辛いときこそ、心のエネルギーを失ってはならない。人間は幼い時からその体に太陽エネルギーをたくさん蓄えてきたのだから、苦しいときこそ、それを放出して、自分の内部や周辺に渦巻いている暗黒のエネルギーを吹き消せばよい。少なくともそうイメージすることで、人間は溌剌となれるのだ…』

    今、手元に本がないので、語句、文章は正確ではないが、そのような内容だった。
    なぜか、その2点がじわーっと込み上げてきて、思わず修正。



    表題作のほか3編。
    博多弁が面白い。
    表題作の『どれくらいの愛情』以外は何とも心に残らなかったのだが、4編目のこれだけは、しんみり読めた。
    宗教的な匂いもするのだが、その言葉は結構印象に残った。


    としても…私はなぜこの本を買ったのかしら。
    その時はそういう気分だったのかなぁ。
    ワカラン。

  • 小説、殊にこういったリアリズムに基づく小説というのは、現実の「ままならなさ」に対する別の可能性の提示なのではないか、とも思う。
    現実ではこうなるしかなかったけれど、こういう展開もあったのかもしれない。
    もしくは、実際の、現実的な結末はこうだったけれど、こういう終わり方だってできたはずだ、という。

    世界は矛盾していて不安定だからこそ、生きていくことは苦しくて、こころがぐらぐら揺れてしまう。
    白石一文さんの小説は、そういう「違和感」や「揺らぎ」を冷静に捉え、一人の個人としての無力さ、ままならなさをきちっと言葉にして突き付けてくる。だから、読んでいて苦しくなったり、こころがぐらぐら揺れてしまうのだろう。

    確かなものの中にある不確かさ、不確かなものが持つ一片の確かさ、ということが、巻末の著者あとがきにもあるように、この4つの小説全体から問いかけられている。
    人生について、運命について、愛について、この世界そのものについて。
    それらのどうしようもなく「ままならない」物事すべてに対して、作家が示す、4通りの「可能性」。

  • 妻である自分には、ちょっと苦しさを感じる物語も。夫に言い訳したくなる。そして、離れて暮らす夫に会いたくなる。どの物語も、空気の密度が濃くて、湿度を感じる。愛することと、人生を共にすることは、一筋縄ではいかないな…

  • 「愛する人を失うこと自体が恐怖なのではなく、愛する人を失うのではないかという不安こそが、その恐怖の実体なのだ。」

  • すごく真面目なひとなんだろうなあ、というのが
    白石さんの本を読むたび真っ先に感じることで
    今回もやはり、ストレートでない恋愛を描いていながら
    同じことをおもった。
    かたちのないものの大切さに言及するあとがきまで含めて
    全てに正しさを求めなくても、
    いいんじゃないかなあ、と。

    不倫や別離の困難もふくめた
    若すぎはしない大人たちの恋のはなし
    感じいる台詞はいくつかあったけど
    この本もわたしにとっては
    通りすぎる本のひとつみたい。

  • 初めて読む作家さんのものでこんな言い方は不適切なんだろうけど、‘魂の片割れ’ってやつなんでしょうね。
    最良の組み合わせは失敗の後であるから実感する、と言えばいいのか。
    「20年後の私へ」が好きでした。
    安西の優しさと‘私’の役割が心に残ります。

  • 読みながら結末が見えてしまうものもあり、底が浅く、今回の直木賞作家だから読んでみるかの期待は過剰だった。

  • p.2009/8/18

  • 白石氏の作品はこれで二作目。

    前回読んだ『僕の中の壊れていない部分』が見事なまでのダメンズ小説!?であったので、今回もきっとスかした女ったらしみたいな主人公がわぁわぁいう小説かなあと勝手なイメージを描いていました。ところが、かなりほっこり系の作品でした。

    ちなみに本作、短篇二つと中篇一つの計三篇からなる作品となっております。

    ・・・
    なかでも印象的であったのは表題作の中篇「どれくらいの愛情」です。

    内容は言ってしまえば、オクテな甘味店経営者が一度別れたスナック嬢と最終的に結ばれる、という筋。

    なんて書くと、女性慣れしていない小金持ちが、手練れの器量よしとなんだかんだでくっつく、みたいな印象かもしれません。まあそれはあながち間違ってはいないものの、一番印象に残ったのは以下の部分。

    「彼が仕事以外のことで何かを気にかけたり、心配したり、思い煩ったりできるのは、結局この晶に対してだけだった。そして、彼女と別れてからの五年のあいだ、彼にはそういう対象がいなかったせいで、いかに仕事がうまく進んでいても、心の空虚さを埋めることができなかった。それがここ一週間足らず、この病院に足しげく通うようになっただけで心境は一変してしまった。誰かのことを思いやれることで、こんなにも心が満たされるとは・・・。正平は今更ながら驚くばかりだった。
    ―――自分のことを心配してくれる存在も大事だが、それと同等かそれ以上に、こうして自分に心配をかけてくれる存在が大切なのだ。」(P.355)

    散々振り回されるホステス嬢のことを言っているのですが、ふと自らを振り返ると、思い当たるところが。

    私の場合は子どもたち、ですかね。

    高校・大学と学費のピークに差し掛かっています。加えて、孤独を貫いた激しい反抗期を過ごした私に似ず(良かった!)、親が金を出すなら旅行はどこでもついてくるという子どもたち。予算繰りをしたうえではあるものの、なんだかんだでお金を出してしまう親の我々。ちなみに進路だってどうなるのか良く分からんし。

    お金の心配を家内に話すと「そうやってお金を出せるのだって今のうちだけだよ。あっという間に二人とも社会人よ」とたしなめられるのです。

    むう、なんていう分かったような、分からないような返事をすることが多いのですが、上記の引用を読んだときに、すっと腑に落ちた感じです。

    面倒を見れるうちがハナだなということですね。

    因みに、結末はクサーい(アマーい)セリフでハッピーエンドで終わります笑

    物語の舞台が博多で言葉遣いも博多弁。方言が雰囲気を醸し出します。

    ・・・
    それ以外の短篇も良かったです。

    「20年後の私へ」は航空会社で働くバツイチ女性の話。四十手前でキャリア?再婚?どちらもそこまで興味ないし…みたいなときに届いた過去の自分からの手紙に、一歩踏み出す勇気をもらう、みたいなお話。

    「たとえ真実を

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著者プロフィール

白石 一文(しらいし・かずふみ):1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋勤務を経て、2000年『一瞬の光』でデビュー。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で第22回山本周五郎賞、10年『ほかならぬ人へ』で第一四二回直木賞を受賞。著書に『不自由な心』『すぐそばの彼方』『僕のなかの壊れていない部分』『草にすわる』『どれくらいの愛情』『この世の全部を敵に回して』『翼』『火口のふたり』『記憶の渚にて』『光のない海』『一億円のさようなら』『プラスチックの祈り』『ファウンテンブルーの魔人たち』『我が産声を聞きに』『道』『松雪先生は空を飛んだ』『投身』『かさなりあう人へ』『Timer 世界の秘密と光の見つけ方』等多数。

「2024年 『代替伴侶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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