企業買収 バイアウト (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2009年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784167773168

みんなの感想まとめ

金融の世界を舞台にした企業買収の物語は、主人公相馬顕良の巧妙な戦略と人間ドラマが絡み合い、緊迫感あふれる展開を見せます。専門用語が多く使われているものの、親子のストーリーを通じて読みやすさが保たれてい...

感想・レビュー・書評

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  • 金融用語たっぷりではあるけれど、バックの親子のストーリーがあるおかげか読みやすい。
    「お金儲けが悪いことなのか」「自分が儲かれば、血の通った企業なんて後はどうなっても知らない」「法に触れることをしても、巧く振り切ればいい」、、、等々、お金儲けと人情との行ったり来たりの中、主人公はどんな結末を下すのか、、、圧巻でした。

  • ファンド業界にさっそうと登場した相馬顕良が仕掛ける、壮絶な企業買収オペレーション。外資系証券会社の優秀なセールスとして彼に加担する広田美潮にも、彼女自身の思惑があった... これですよこれ。こういうのが読みたくて幸田真音作品を手に取ったのです。専門用語盛りだくさん。素人にはわかりにくい実践的ディテールの解説。本筋の邪魔にならない程度に厚みのある登場人物。見応えのあるプロット。過不足なく楽しめました。

    小説で説明されている「任意約定」という手法が現在でも通用するのか、そもそも実在したのかはわかりませんが、ともかく、相馬は買収したい会社の株を数社の証券会社を仲介して買っておきながら、実際に決済をして株式の保有者になるのは任意の期間先延ばしにするという取引きを繰り返しています。名義や議決権は決済日まで売り手の元に残しているので、株主総会前日になってはじめて出現する大口株主に、買収される会社も、他の株主たちもびっくり!というシナリオです。そして権限を掌握し、買収した会社の資産を自由に売却する、と。う〜ん、これだけ見るとやはり違法行為に思えます。

    相馬は小規模ながら山の手沿線に多くの土地を保有する、ヴァーグ・ミュージック社に目をつけます。正確には、目をつけている会社があることに目をつけます。インサーダー取引を糾弾されても仕方ないソースからその情報の裏をとった相馬は、株式公開買付け (= TOB) が始まる前に、水面下でヴァーグ社株を買い集めます。(ここで広田美潮が暗躍。) 蓋を開けてみると、買収を企んでいた七福神に加えて、DPキャピタル、サカマキ・ファンド、の二社が名乗りを上げ、事態は三すくみの熾烈なTOB合戦になだれ込みます。

    各社の買付け成立、不成立の条件が明記されていないので少々ややこしいのですが、要するに三社ともできるだけ多くの株を買いこむつもりらしく、次々に価格を引き上げていきます。相馬は買付け期限ぎりぎりとなった時点で、一番条件の良い会社に、かき集めておいたヴァーグ社株をすっかり売却、という算段です。ヴァーグ社経営陣も、順当に働いて健全に収益を上げてきた会社を黙って手放すつもりはなく、借金を重ねて自社株を買い集めたり、公開買付けに応じないよう既存株主を説得したり、資産を一時的に売却したりして必死に抵抗します。なかなか読み応えのある一冊です。

  • 買収は怖い。
    金が絡むと色々ありますよね。
    必ずしも会社の価値や業務と関係ない
    金というフィールドで会社の価値を決められるのは
    怖いですね。

  • いっきに読みおえた。展開の速さが、魅力。

  • 村上ファンドをモチーフにしているのは明らか。
    登場人物の人物描写が非常に浅いと感じるものの、スピード感を大事にした展開を行うのであれば致し方ないか。
    タイトルの「バイアウト」に関し、一般的には「株式のマジョリティ取得を狙ったファンドによるM&A」が定義であるのに対し、本書ではマイノリティ投資にも関わらず「バイアウト」という単語が使用されているのが残念。
    鞘抜きを狙うファンド、不動産価値に重きを置く事業会社、そして人的資産に着目する事業会社・・・
    本書では最終的には人的資産に着目した事業会社が独り勝ちをしたが、個人的には儲けの手法はプレーヤーによって様々で、その手法に長短や是非はないと考えている。
    その点、嫌金融、嫌ファンド、嫌資本主義の大衆感情に迎合している。
    発売当時と異なり、投資家との対話に関し、重要視されている現在の風潮からすると違和感がある内容。
    現在の風潮に合い、かつ本来の意味の「バイアウト」を反映するような、新作の上梓に期待したい。

  • 企業買収をめぐる残念物語。TOBとかホワイトナイトとか、当時良く聞いた単語がたくさん出てきたライブドア事件を思い出す。

  • ライブドアの件を物語にしたのかなぁと。

    でもなんか、イマイチ。

    クソみたいな親子愛なんかいらない。ハリウッド映画が全ての物語に恋愛を持ち込むのと同じくらい不要。

    もっと泥臭い企業買収を見せて欲しかった。それができなくてチンケなサイドストーリーをつけるなら出さないでほしい。

  • 証券会社の広田美潮が、ファンドの有名人との取引、企業買収のステージを基軸に、その中で広田自身の人生や生き方、それを取り巻く同僚や顧客の生き方が見えていく。展開も最後までわからず、楽しく読み切った。

  • なんか既読感があったのだが、それはまぁそれなりに楽しめました。
    村上ファンドの事件を下敷きにしているのはよくわかりますが、ちょっと見方が一方的かな、と思うのと、登場人物の描写の甘さは彼女の小説の基本になってしまっているのが残念。主人公や歌手の苦悩ももう少し掘り下げて欲しかったし、いくら業界が違ってもあんなに短期間で取引をうまいこと成功させることが現実的でないことはわかるので、そこは小説という逃げ場を作ってほしくなかったかも。

  • バイアウトはハゲタカⅡと同じタイトル。でもハゲタカⅡより出来はいまひとつ。モデルは村上ファンドか。

  • ホリエモン/堀江貴文 や 村上ファンド が想起される。
    日本の社会では ものづくりするものは 尊く
    金で金儲けするものは 下賎なもの という風潮がある。

    企業買収という 会社が商品となる という時代がおとづれ
    そのなかで 会社とは『なにか』を
    考える時代が やってきた・・・・

    株の世界は 不思議な力が 発揮される。
    TOBにたいして どう対応するのか?

    どこからが インサイダーであり
    株価操作なのか それが よくわからないことが
    わかった。
    プロとしての 法律知識が いるんですね。

    広田美潮は 父親への復讐 憎悪・・・・
    それを 落としこめ 勝とうとするが
    自分の中で 葛藤が起こり 意外な結末が 待っていた。
    父と娘は永遠のテーマ。
    美潮は りりしく やさしい。肝力がある。

  • 金融小説?。
    最初のほうは面白かったんだけどな。
    (今となってはだいぶ昔のことになってしまったけど、)金融関係の話題の人物や事件を盛りだくさんにしました!みたいな話だった。

    いろいろ登場人物が出てきて、いろんな視点からTOBをみて、、、誰にも感情移入できずに終わった。

    # わくわく感という意味では、ハゲタカ、感情移入という意味では、生保破綻、が、やっぱり面白かったです。


    あ、でもひとつ、「企業の価値っていったい何なのか?」という問いかけ(?)の部分は、心に少し残りました。

    この本は、プロ(金融業界で働くひとたち)には面白いのかなぁー。

  • こういった経済小説、特にM&Aものは、いつも「自分を奮い立たせる」為に読んでいます。

    さて、作品について。
    正直最初から中盤以降に掛けて、いつものM&Aものやなって感じで読んでいました。
    しかし、最後は「人の心」が勝つ。という展開。
    そして私自身も、仕事ってやっぱりそうなんや、それが「人の心」が大切なんやと思い知る。
    そして原点に気持ちが戻ります。
    これを何度も繰り返し自分自身に言い聞かせていくには経済小説はいいなと思います。

    今回、自分自身にとって、経済小説を読む意義をもう1つ見出だせました。

  • 真田さんの小説は文庫になるたびにちょくちょくチェックしています。

    今回は、小さな音楽会社を巡って、
    ファンドや事業会社がTOBを仕掛けるハゲタカ小説。
    各社のTOB合戦は読み応えがあるし、
    社内で繰り広げられる喧々諤々とした議論も面白い。

    企業のM&Aについて楽しく学べる一冊。
    個人的趣味を言うと、
    ファンド内にもう少し「日本をよくするだー!」的な
    ヒーローがいてもよかったかなぁ。。
    (安っぽい小説に成り下がっちゃいますが…。)

    最後の終わり方があんまり好きじゃなかったですが、
    これはあくまで人それぞれの好みでしょう。

    最近、こういうそれなりに深くて楽しめる小説が出てきて嬉しい限りです。

  • 物語後半の展開が急過ぎて、無理やりドラマチックな展開に持っていってるように見えた。

    「バイアウト」というタイトルとは異なり、主人公の相馬がやっていることは企業アービトラージに近い投資手法。

    企業再生を目的としない企業買収ファンドもあるために、業績不振の企業の株価を下落させる事のみを目的とする空売りファンドの方が市場での存在意義は大きいかもしれない。

  • なにより大切なのは出口シナリオだ―。ファンド業界の風雲児、相馬顕良が仕掛ける、壮絶な企業買収オペレーション。外資系証券会社で働く広田美潮はこのディールに加担することでいったい何を得て何を失うのか。日本経済の希望を描き続ける著者渾身の長篇小説。「会社」は誰のものなのか、を問う倉都康行氏との対談を併録。

  • 図書館で借りた本。買収する側とされる側、両方の心理がとてもよく描かれている気がして、すごく面白かった。機会があれば、この作家さんの他の作品も読んでみたい。

  • ファンドや事業会社によるTOB合戦を若干ドロドロした人間ドラマと共に描いた金融小説。
    “会社は誰のものか”という命題を考えるためには良い本かもしれない。
    とても読みやすいし法律関係のことも勉強になるが、ストーリー自体にはひきこまれなかったので星3つ。

  • 経済小説は多く読んでいますが、とても読みやすく時間を忘れます。
    外資系証券会社の女性を主人公とした、企業買収や彼女の生い立ちに
    おける葛藤がおもしろいです。

  • ハゲタカが好きな人は読むといいかも。
    男の人が好きそうな小説です。

    最後は父娘のホロっとした家族愛なんかも描写されていて
    ビジネス小説としては読み終わった後、あったかい気持ちになれました。

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著者プロフィール

1951年生まれ。米国系投資銀行等で債券ディーラー、外国債券セールスを経て、1995年『小説ヘッジファンド』で作家に。2000年に発表した『日本国債』は日本の財政問題に警鐘を鳴らす作品としてベストセラーになり、多くの海外メディアからも注目される。2014年『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で第33回新田次郎文学賞を受賞。主な著書は『日銀券』『あきんど 絹屋半兵衛』『バイアウト 企業買収』『ランウェイ』『スケープゴート』『この日のために 池田勇人・東京五輪への軌跡』『大暴落 ガラ』『ナナフシ』『天稟(てんぴん)』のほか、『マネー・ハッキング』『Hello, CEO.』『あなたの余命教えます ビッグデータの罠』など、時代に先駆けてITの世界をテーマにした作品も多い。

「2022年 『人工知能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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