ワーキング・ホリデー (文春文庫 さ 49-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167773335

作品紹介・あらすじ

「初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変!突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で…!?ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。文庫版あとがき&掌編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 夏の眩しく力強い太陽と、空へぐんぐん茎を伸ばす向日葵。そんなイメージの父子でした。
    二人が過ごすハートウォーミングなひと夏の物語に元気がもらえます。
    どこかに行かなきゃ、ご馳走食べなきゃ、だって今日は記念日だもん!いえいえ、優しい思い出をつくるのに特別なことなんて必要ないようです。毎日のなんてことのないやり取りや会話が、実は忘れられない思い出となっていることに、いつか気づくときがきます。

    カンカン照りの夏のお日さま。ベランダから取り入れたばかりのお日さまの匂いがするお布団。ほかほかふかふかのお布団に飛び込む子どもたち。そんな何気ない夏のひとときに幸せを感じていたことを思い出させてくれました。

    そして、宅配便のドライバーの皆さん。いつもありがとうございます。だんだん暑くなってきましたが、どうぞお体にはお気をつけて……

  •  初めて出会った父と息子の夏物語。お互い初体験のことばかり。すれちがったり、恥ずかしかったり、泣いたり、笑ったり。面白いのに奥が深い作品だと思った。

     主人公(大和)が父親としての喜びを体験していく過程がほのぼのする。

     子供(進)がしっかり者で、大和の生活を整えていくところが何とも面白い。

     周りの人たちが優しく、二人の事を応援してくれていた。その温かさに胸を打たれた。

    「死ぬより悲しいことは、忘れられること」
    「進は子供だからこの夏を忘れるかもしれない。けど、俺は忘れない。それで今は充分だ」このフレーズが大好きで泣けた。

  • 「お菓子のアン」を読んでの購入。ヤンキーのキャラとか変わった人が多く出てくることと食べ物のことが出るのは同じようだ。
    ホストの主人公の前に突然現れる息子。(最後まで本当の息子なのかと疑うが・・)
    その息子が出てきたこともあって、ホストから運送屋に鞍替えするのも両方のオーナーをしているおかまの上司のおかげ。この息子が良くできた子供で、自堕落な父親を少しづつまともな人間に変えてゆく。ホスト時代の仲間やお客様にも支えられる。短いような長いような夏休みが終わる頃には、二人の父子の間には離れがたい感情がでてくる。何ともTVドラマ的ではあるが、ほっこりさせられる。続きも購入しているので即読もうと思う。

  • 親より子供の方がしっかりしているな、と思うことがある。子だけではなく親自身も成長していくのだと感じた。
    突然現れた我が子に逃げずに向き合う姿勢に好感が持てたし、状況を手助けする周りの人たちがとても素敵だ。

    ご都合主義と言えばそうなのだが、登場人物たちが幸せになったいく物語は読んでいて気持ちが良い。
    シリーズ物のようなので、この後も楽しみ♡

  • 元ヤンキーで、元ホストの沖田大和、ある日、突然訪ねてきた進の出現によって、突然父親に

    普通なら逃げてしまいそうなところ、大和さんは、逃げなかった

    大丈夫かいな?と私も不安に思ったが、この大和さんすごかった
    真正面から進に向き合い、全力でぶつかっていった

    ハニービー・キャリー(リヤカー ) を引きながら、荷物を配達する姿を進に見られそうになり、大和はとっさにリヤカーの陰にウンコ座りをする
    息子に気づかれなかった安心感と訳のわからないむかつきにいらつく
    隠れなきゃならないほど俺は悪いことをしたのか?
    いや、してねえ
    じゃあなんで隠れたりするんだ?
    そりゃあ、息子に見せたいような姿じゃないからに決まってる

    (どんな食い物も食い物に変わりはない、なんて言ってたのはどこのどいつだって話だよ)
    食べ物に上下がないように、仕事にも上下はないはずだ。そのことがわかるまで、ちょっとばかり時間がかかった。けど今なら分かる。この仕事はカッコ悪くない。リヤカーだってダサくはあるが、カッコ悪くない。本当にカッコ悪いのは、てめえの息子に嘘をつくような心。それだけだ

    もう取り繕う気もなくなった俺は、窓の向こうの進に軽く手を振ってみた。無視されるかな。それともそっぽを向かれるのかな

    雨のカーテンで遮られた進の表情は見えにくい。けれど大きく両手を丸にした姿は、離れていてもよくわかった

    息子に何を伝えるべきなのかを考え、葛藤する大和さんが、カッコいい その真っ正直さは、嘘偽りがない

    そして、その心をしっかり受け止める進

    まだ、始まったばかりのこの親子としての交流は、読んでいても、危なっかしいが、ほのぼのとして、幸福を運んでくれる

    進は、夏休みを終え、母親の元に帰っていったが、また、次回作で再会するだろう 楽しみだ

  • 子供最強!人間味あふれる話でした。

  • 最初 ホストの お話と 思いましたが。

    宅配便の 話でした。
     
    各エリアの題名は

    宅配なら シールで 貼られているものですよね。

    親子の関係が 修復されていく 様子が 良かったですね。

    お仕事 小説 好きかも。

  • ホストをしていたヤマトのもとに突如子供と名乗る小学生の男の子が現れ、更にひょんなことから宅配業者に転職し、夏休みを共に過ごすストーリー。
    相変わらず口は悪いけれど、ヤマトが進と過ごしているうちにどんどん日向の心地よさに目覚めていく様子や、宅配便のお兄さんになったのにホストあがりの癖が抜けない所に面白くもほっこりする。キャラの濃い他の登場人物も楽しい人たちばかり。

    宅配のお仕事は本当に大変そうだなと常々思っていたけれど、この本を読んだら更に感謝の気持ちを覚えた。

  • ホストの父と小学生の息子はいきなり初対面を果たす。ホストをクビになったヤマトは宅配便会社に再就職して息子の進と夏休みを一緒に過ごす事になった。色々なエピソードを織りまぜながら夏休みは終わりに近づく....。楽しく読了。家族が一緒に暮らせる幸せを大切にしたい。続編のウィンター・ホリデーも読もうと思う。

  • 心温まるお話でした。

    軽い感じで読みやすくほのぼのなお話。
    こんな息子いたらいーですね!

    続編も読んでみよーと思います。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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