街場のアメリカ論 (文春文庫)

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レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167773687

感想・レビュー・書評

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  • 最近多作すぎて、読むのが追いつかないが、信頼してる書き手だ。

    トクヴィルも読んでみよう。

  • 日本のナショナル・アイデンティティは、「アメリカにとって自分は何者であるのか」という問いをめぐって構築されてきたという観点から、日米関係について考察をおこなっています。さらに、ファスト・フードや戦争、児童虐待、訴訟社会、キリスト教といったテーマを取り上げ、アメリカという国家のあり方を解き明かそうとしています。

    いつから内田樹は岸田秀になってしまったのか、と言いたくなるような、精神分析的な観点からのアメリカ社会の考察が展開されています。個々の議論ではおもしろいところも多々あったのですが、全体の枠組みについていけないところもあります。これまで著者に対して共感するところも多かっただけに、ちょっと残念です。

  • 楽しかったではあるけど、推論推論の組み合わせで話が構成されているから、たまに読んでいて大丈夫かなと不安になる。 でもアメリカでは、何故あんなにも太っている人が多いのか。何故ハリウッド映画は、子供嫌いを演出をしているのか、面白い答えを示していると思う。 しかし、アメリカは独特な国だな。てか、変な訴訟が多すぎる。。

  • 単にアメリカの文化、習俗を解説する本ではなかった。現代日本を知るための他者としてのアメリカ。アメリカなくして現代の日本はない。アメリカという国を具に観ていくことでこの日本をより深く知る。そのためのアメリカ論。
    そういう理路に根差した本だった。
    内田先生の炯眼が光る。
    合点のいくアメリカの捉え方。そしてそれはそのまま日本という国のあり方の理解、再認識に繋がっていく。

  • ファストフードやアメコミ、統治システム、サイコ(シリアルキラー)などなど、いつものレヴィナスではなく、トクヴィルというフランス貴族の「アメリカにおけるデモクラシーについて」という著作をもとに書いたアメリカ論。トクヴィルの著作は19世紀のものにもかかわらず、底から読み取れるアメリカという国の本質がほとんど建国当初から変わっていない事に驚き。

  • 内田先生の本は定期的に読むんですが、何を期待してるかと言うと、
    コンテンツではなくマナーなんですよね。
    話の内容もさることながら、ものの考え方を学ぼうということです。
    ものの書き方や、悪口の言い方なんかもけっこう学べます。

    で、今回のアメリカ論なんですが、元ネタは2003年の授業だとか。
    10年経った今でも十分にリーダブルでした。
    つまり、本質にかかわる記述が、分かりやすく書かれているということです。

    と言う訳で、今回はコンテンツ的にも収穫大ということで、星4つでございます。

  • かつて盲信的なハードロック少年だった私にとって、アメリカの原初的なイメージは「ハードロック王国」です。
    私がハマったのはモトリー・クルー、ガンズアンドローゼズ、メタリカ、ハードロックではないですがレニー・クラヴィッツほかいろいろ。
    日本人が逆立ちしたってかなわないハードロック王国。
    もちろん、軍事力も経済力も超一流。こんなことは自明過ぎて、誰も言わないほどに強大な国、アメリカ。特に冷戦終結後は、史上に冠絶する超大国として世界に君臨しました。
    「しました」と過去形で書いたのは、近年の凋落ぶりが著しいからですね。
    自動車の都・デトロイトの財政破綻に象徴されるように自動車産業の衰退は著しいですし、財政面でも機能不全が目立っています。良くも悪くも中国の存在感が増すことで相対的に国際的地位は低下しているのが現状ではないでしょうか。
    国力が減退してくると、それまで目立たなかった負の部分が露わになってくるもの。
    「この国、本当に大丈夫か?」と私が割と真剣に心配し始めたのは、堤未果著「ルポ貧困大国アメリカ」(岩波新書)を読んで以降ですから、5年前ですか。
    それまでわが国の「宗主国」であるアメリカの病的な実相を正面から取り上げた著作は珍しかったですから(だからこそあれだけ売れたのでしょう)、注目して読みました。
    こういう本が出版されて受け入れられること自体、アメリカという国の没落を物語っているような気がします。日本人にアメリカに対する疑念が芽生えていたのでしょう。
    読後の私の率直な感想は「あ、やっぱり、おかしい、この国」でした。
    でも、アメリカって、そもそもどんな国なのだろう。私は今まで真剣に考えたことはありませんでした。
    その疑問に明快に答えてくれるのが本書です(前置きが長くなりました)。
    大著「アメリカにおけるデモクラシーについて」を170年前に著したアレクシス・ド・トクヴィルを援用しながら、アメリカという国の本質をむき出しにします。
    アメリカがかくも好戦的なのは何ゆえか。内田先生はアメリカの歴史を紐解きながら、「戦争しないことよりも戦争に勝つことの方が同盟者を増やすうえでは効率的である」(P130)というアメリカ人が採用しているロジックを摘出してみせます。
    アンドリュー・ジャクソンやジョージ・W・ブッシュなど、しばしば無能な大統領を選んでしまうのは、「アメリカの建国の父たちは、『アメリカが今よりよい国になる』ための制度を整備することより、『アメリカが今より悪い国にならない』ための制度を整備することに腐心したからです。(中略)建国の父たちは『多数の愚者が支配するシステム』の方が『少数の賢者が支配するシステム』よりもアメリカ建国時の初期条件を保持し続けるためには有効であろうと判断したのです」(P117~118)などという指摘には膝を打ちました。
    アメリカ人が、「指を切り落とすとか、角を生やすとか、猫になってひげを生やすとか、蛇になって舌を真ん中からスプリットタンにしちゃう」(P198)など、常識的な日本人には理解できない奇行に及ぶのは、「身体を道具」だと考えているから。ワークアウトに熱心なのも、ドーピングへの抵抗が希薄なのも「身体を道具」だと信じて疑わないからでしょう。
    困ったものです。
    アメリカの政治、文化、社会構造に対して全編、辛辣な批判を加えていますが、どれも説得力に富んでいて頷けます。
    しかも、どうして私がこれまでアメリカという国の本質について考えてこなかったのか、その理由まで明らかにしてくれます。最後の最後、「文庫版のためのあとがき」にはこう書かれています。
    「その理由はやはり先の大戦での敗戦経験があまりに壊滅的だったからでしょう。あまりに徹底的に敗北したために、日本人は眼を上げて相手を見つめることさえできなくなってしまった」(P271)
    アメリカを理解しようとしなかったのは、どうやら私だけではなさそうで安心しました。
    本邦の指導層にもぜひ読んでほしい1冊です。そして問うてみたい。「本当にこの国についていって大丈夫ですか?」と。

  • 根本的に考えてみるというのは楽しいことだなあ。なるほどなあということがいっぱいあった。

  • 内田先生がアメリカや中国(中国論はまだ読んでないけど)についても、鋭い考察を繰り広げることができるのは、視野の広さもあるけれど、専門分野に対する切り込みの深さもあるのだろうなあ。本当にいつもすごいと思ってしまうし、納得させられっぱなしだ。

  • さすが内田先生。 暴力や戦争といったアメリカ社会の典型的な論点について、独特の切り口から掘り下げている。 

    時間をあけて再読したい。

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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