武士道シックスティーン (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.09
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本棚登録 : 5283
レビュー : 718
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167780012

作品紹介・あらすじ

武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず「お気楽不動心」の早苗。相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて誉田哲也さんの作品を読みました。誉田哲也さんと言えば、警察小説とか、結構グロイのを描く人と言うイメージでしたが、実に意外。なんと爽やかな青春スポーツ小説だことか。

    香織と早苗、対局にあるような二人。香織の凄まじいまでの勝負へのこだわり、只ならぬか殺気、生きるか死ぬか、ただ目の前の敵をぶった斬ると、周りが全部敵に見える香織。一方、日舞が続けられなくなり、なんとなく中学から剣道を始めた早苗。おっとり天然で、勝敗にはこだわり無し。そんな二人が中学の最後のマイナーな大会で戦ってから、運命は大きく動き出す。同じ高校に入った二人は、ぶつかり合い続けるが、ある時香織に転機が訪れる、、

    作者は剣道経験者なんだろうか。実に剣道に関する記述が丁寧で分かりやすく説明されている。そしてその剣道の部活を通じて性格の全く違う二人が葛藤・苦悩し、いつしか大事な大事な気付きを得て行く様子が実に鮮やかでスカッと描かれている。最後の方は、大きく成長した二人の様子に感動し、たまらなくジタバタしたい気分になりました^ ^

    武士道、憧れる言葉です。青春時代に全力で取り組み、心が成長していく様は実に爽快。主人公の二人を取り巻く人達との関わり、関係性が変化していく心理描写も見事と言うほかない。次作も必ず読むつもりです。

  • 題名を見た時から面白そうな本だなと思っていた。
    案の定、本当に面白い青春スポーツ小説であった。
    笑って、ハラハラしてしかもちょっと感動できる。
    言う事なしですね。

    主人公は二人の女子高生剣道部員。
    この二人のライバルを軸にして話が展開する。
    (ライバルと書いたがライバル視しているのは一人だけでもう一人はそんなこと思ってません)
    二人の主人公の性格が好対照で面白い。
    一人は、父兄共に剣道をやっている剣道ファミリーで育った筋金入りの剣道少女 磯山香織。
    剣道に全てを賭け、幼いときから実戦的な激しい稽古を行う道場で鍛錬し、勝つことのみを追い求める。
    心の師匠は、宮本武蔵で「五輪書」を愛読しているという戦闘的な兵法者である。

    もう一人は、中学校に入るまでは日本舞踊をやっていたという異色の経歴を持つ少女 西荻早苗。
    性格はおっとりしており、勝負に勝つよりも自分の技術が向上することなどに喜びを見出すタイプ。
    現在家庭にちょっと問題を抱えており、名字が変わっている。
    家族は様々な才覚を持った人ばかりである。
    父は元町工場の社長の技術者、母は絵本作家、姉はティーンズファッション誌のモデル。

    話はこの二人の主観で交互に語られる形式で進んでいく。
    この構成が本当にうまくいっていると思う。
    性格の全く異なる主人公たちの書き分けが非常に巧みなので、章が変わるごとの雰囲気の変化が面白い。
    同じシーンでも二人の感じ方の落差があって笑ってしまうこともある。

    様々な思い違いやそれぞれの葛藤などを乗り越え、彼女達は人として成長していき、最後は青春スポーツ物の王道の様なエンディングとなる。
    ホント素晴らしいエンターテイメント小説をありがとうと言いたい。

  • いや~青春だ~。自分が突き進むべき道...。その目的や目標は?見失うこともあるし、思い悩むこともある...。そんなプロセスが必要な時期もある。次作を早く読みたい衝動にかられる良作でした。

  • 0062 2018/09/19読了
    剣道全く分からないけど、面白かった!
    対照的な2人の剣道がよい。
    あと掛け合いもおもしろい。暴力は良くないけど!
    章立てが2人を交互に見せてるのが面白かった。
    五輪書も読んでみたくなった( ˘ω˘ )
    横浜の話というところも良かった。しかも場所のチョイスが。
    2007年ということでドンピシャに刺さる…。
    高校の時に読んでいたかったなあ。

  • 勝つために手段を選ばない人物というのは、スポーツ物ではライバルとして登場することが多いのですが、この作品では主役の一人に据えているのがとても新鮮でした。
    この二人と同年代だったなら、磯山香織の考えに同調したような気がしますが、さすがに主人公たちの世代が子供でもおかしくない年齢にもなると、香織は青いとしか感じられませんでした。
    もちろん、青いままでは終わらず、自分の剣道に対する姿勢に迷い、剣道に対する姿勢が変わってくるのですが、それは、もう一人の主役である西荻早苗も同じこと。制限時間がある試合の中で勝つために、自分の理想とする剣道を捨てなければならない局面というのは、強い相手と戦う機会が増えるほど、回数が増えていくはずです。そのときに早苗にどんな変化をもたらすのか。そのときが楽しみでなりません。

  • 攻撃的な戦い方と、日本舞踊仕立ての柔和な戦い方をする剣道女子の青春小説
    誉田哲也と聞いたらストロベリーナイトやジウなど警察小説のイメージが強いけど
    スポ根やってます。

    対極にあるふたり、磯山のキャラクターが武士っていうよりも、中二病感あって最初はやや引いてました。
    だんだん読むうちにタイトルの意味が理解できるようになってきて
    二人が成長して支え合う姿は、良いです。

    キャラクター構成に、ほんのりと漂う
    ジウ臭

  • なんて爽やか!

    思い込みが激しい学生時代って誰にでもある。
    みんな、誰かと出会ったり、なにかを乗り越えたり、挫折したり、いろんなことがあって成長してく。
    その過程をちょっと極端なパターンだけど、無理がないくらいに上手に描いている。気付かないことのほうが多いけど、導いてくれるひとが誰にでもいる。
    この1年の間で大きく成長した主人公たちだけれど、まだまだ終わらない。人生ずっとそうやって成長していくのだ。
    この本は、まだ続いてて、その先も見れるっていうんだから素敵!うんうん言いながら成長していく彼女たちを見て、私ももっともっと成長を続けていきたいと思う。

  • この本はとてもいい話だった。
    はじめは、私は剣道のことなんて知らないから、この本を読んでもよく分からないのではと思っていた。しかし、剣道のことを詳しく知らなくても、女の子二人の友情や家族の思いなどにとても感動した。二人の女の子は、性格が全然違うのに、次第に相手のことを認め合っていくところがすごく良かった。
    この本を通して、誰でもいろんな人に支えられながら生きているんだなと改めて感じた。

  • ある剣道バカの成長を通した二人の少女の友情の物語。
    高校1年でここまで悩めば、すごいことだと思う。
    それに救いの手を差し伸べる周囲の人たちがいい。
    反目していた父親との和解の様が不器用な親子としてほほえましい。
    それぞれの側面から心の描写をしていくが、意外とすんなりと読めた。

  • 最初の数ページの段階では、「今どき、『戯言』とか『うつけ者』なんて言う女子中学生なんていないよ!不自然だよ!都合良過ぎだよ!」と本を置きたくなったのですが…

    20ページくらい読んだあたりから物語の術中にはまり、寝る間も惜しんで読んでしまい…気づいたら、一週間でシリーズ3作目の「武士道エイティーン」まで一気読みしてしまいました。はい、寝不足注意です。

    ジャンル的にはヤングアダルト向けの青春小説なんでしょうけど、いい年した人間が読んでも、「自分も毎日を一生懸命生きよう!」と思わされちゃうような、心に迫るものがありました。

    ところで、誉田さんの本をはじめて読んだのですが、この方は本当に男性なんですかね?10代女子の、刻々と移ろう心理の描写が、あまりに自然かつ魅力的で、なんでこんなの書けるんだろう?と思ってしまいました。

    あと、構築力もすごい。正反対の性格を持つ主人公2人の、それぞれの視点からの物語を、同じクオリティで書き分けて、でも描写力がすごいからどちらにもスルスルっと感情移入できる。

    二つの要素を対置的に扱おうとすると、構造が先立ってなんかゴツゴツした流れになったり。逆に心理描写を優先すると全体がそちらに引っ張られてアンバランスになりがちですが、このシリーズは、面白いだけでなく、小説の教科書のようでもあります。それくらい見事!

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著者プロフィール

誉田 哲也(ほんだ てつや)
1969年、東京都生まれの小説家。学習院中・高等科を経て学習院大学経済学部経営学科卒業。卒業後にミュージシャンを目指していたが、椎名林檎の存在で断念。格闘技ライターを経て作家活動に入る。
2002年、『妖(あやかし)の華』でムー伝奇ノベル大賞優秀賞を獲得しデビュー。2003年『アクセス』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。
代表作は、映画化もされた『武士道シックスティーン』に始まる「武士道」シリーズ。姫川玲子シリーズの『ストロベリーナイト』はドラマ化・映画化された。ほか、『ジウ』シリーズ、魚住久江シリーズ『ドルチェ』『ドンナ ビアンカ』や、『ケモノの城』『プラージュ』などがある。

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