花や散るらん (文春文庫 は 36-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167781033

作品紹介・あらすじ

京の郊外に居を構え静かに暮らしていた雨宮蔵人と咲弥だったが、将軍綱吉の生母桂昌院の叙任のため、上京してきた吉良上野介と関わり、幕府と朝廷の暗闘に巻き込まれてしまう。そして二人は良き相棒である片腕の僧、清厳とともに江戸におもむき、赤穂・浅野家の吉良邸討ち入りを目の当たりにする事となるのだが。

感想・レビュー・書評

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  • 雨宮蔵人と咲弥夫妻に、いつの間にか香也という娘がっ。

    話に、徳川綱吉と吉良上野介が出てくると、これは忠臣蔵か?というわけで、京の郊外に静かに住んでいた夫妻も巻き込まれていきます。

    巻き込まれていても、お互いがお互いを思い、何があってもぶれない夫婦に感動です。

  • 「いのちなりけり」の続編
    今度は忠臣蔵に絡めてのストーリ展開です。
    前作よりも知っている登場人物が多いせいか、少しは読みやすかった(笑)

    テーマはやはり「いのち」「いきざま」そして「人間の情」
    どのようにいのちの花を咲かせ、どの様に生き、散らせるか?
    悪人のように思われる吉良上野介や神尾与右衛門も最後は見事に散っていく様がある意味美しい!

    ストーリとしては、京の郊外にひっそりと暮らす蔵人と咲弥、そして娘の香也。幕府、朝廷、大奥の暗闘、思惑に巻き込まれていきます。
    将軍綱吉の母桂昌院が生きているうちに、従一位を朝廷から授かるよう画策する柳沢保明と吉良上野介。
    一方でそれを阻止しようとする大奥。
    その流れの中、松の廊下での刃傷沙汰。浅野長矩が追いつめられた末の切りつけが描かれています。
    そして、浅野家断絶、家臣たちの討ち入りという流れになるわけですが、ここに蔵人、咲弥、香也が巻き込まれていきます。

    大奥に入る事になってしまった咲弥。
    綱吉の目にとまり、柳沢家で伽を命じられてしまいそうになります。
    蔵人と清厳の二人で咲弥を救い出そうとします。無事救い出すことが出来るのか?
    また、香也の出生にも秘密が..
    そんな香也も行方不明になり、吉良邸にいることが判明。
    討ち入りの吉良邸から蔵人は香也を救い出すことが出来るのか?
    最後の展開はかなり強引な感じですが(笑)、吉良上野介の散りぎわが潔いです!

    最後の蔵人のセリフ
    「いのちの花が散っているのだ」
    お勧め!

  • 忠臣蔵を表舞台にした構成の物語、雨宮蔵人と咲弥と娘の香也の親子の情景が浮かぶようだった。宿敵である神尾与左衛門も憎めない人柄だった。スピード感も読み応えも十分だったがどこまでが史実でどこがフィクションか分からくなった。12月14日が討ち入りの日、この時期に読んで良かった。

  • いい。
    忠臣蔵を題材としている。
    敵も味方もいい。儚い美しさを貫いている。
    だが、それは脇役で夫婦・親子の愛を描いているのだ。

    いかにせん都の春も惜しけれど慣れし東の花や散るらん

  • 傑作です。西に東に物凄い勢いで物語が動いていきます。忠臣蔵の物語を背景にしつつ、数多くの登場人物が動きます。有名な史実や歴史上の人物を背景にした葉室作品は初めてでした。解説で島内さんが書かれていましたが、(ある意味で)醜い人々が、蔵人と咲弥(という鏡)に接することによって、自分の本当の姿を見つけていく。後半にどっと物語が動きますので、登場人物を整理しながら読むことをお勧めします。お気に入りの葉室さんにまたしてもやられました。また大好きな葉室作品が増えました。

  • 子供の頃、年末年始になると必ず放送されていた時代物でした。少し懐かしさを感じながら読み進めましたが、この目線は新鮮でした。

    武家と貴族、色々な思惑が絡まり合う様子は現在の思考ではややこしい限りですが、各々の四季を愛でる姿は感性の豊かさを感じさせます。

    いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん

    忠臣として描かれた人びとも悪人として描かれてきた人物も、誰かにとっては大切な人。史実を背景にした物語はとても好きだけど、別の視点から考えると常に残酷だと思わされます。

    単行本を読んだけど、検索しても文庫本しか出てこなかったのは何故?

  • 雨宮蔵人と咲弥の生き方を通して忠臣蔵を描くという珍しい構成です。
    今でも桜や紅葉の名所として美しい姿を残している六義園ですが、綱吉と柳沢吉保が出てくるとどんな作品でも薄汚く感じてしまいますね。
    それはさておき葉室氏が描く武士道は本書でも健在で、忠臣蔵でさえ単なる主君の汚名を晴らすだけの忠義物語に留まらず、大奥における公家のプライドや尾形光琳や荷田春満といった絵師や国学者の観点まで絡めて非常に多面的かつ奥深い作品でした。

  • 第142回直木賞
    付箋
    ・ひとに教えることは学ぶことでもあります。
    ・まことの恋とは忍ぶもの 誰にも知られず、おのれの心にすら告げぬ恋

  • 蜩ノ記を読み葉室麟さんに興味を持った所題名に惹かれて読んでみた作品。
    知識がなく大奥部分の人物像もすんなり入ってこずなかなか手こずり、それでもなんとか読み終えました。
    途中からやっと吉良という名前や赤穂浪士という言葉でやっと忠臣蔵なんだと理解。
    そこからはなんかスっと頭に入ってきてドラマかなんかで忠臣蔵は見ていたが、所々補完していく感覚で読んで良かったと思えました。
    主人公の強さと後半へのワクワク感も個人的には好きでした。

  • 8月-19。3.5点。
    いのちなりけりの続編。三部作読了のため再読。
    蔵人夫婦に女の子、三歳の娘。
    忠臣蔵の重要なファクターに。
    ムリのないストーリー、さすが。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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