天才までの距離 美術探偵・神永美有 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2012年8月3日発売)
3.44
  • (5)
  • (21)
  • (33)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 230
感想 : 17
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167782023

作品紹介・あらすじ

美術探偵・神永美有が活躍する人気シリーズ第二弾



日本近代美術の黎明期にオルガナイザーとして君臨した岡倉天心が自ら描いたという仏像画は果たして本物なのか? 表題作など五篇

みんなの感想まとめ

美術探偵として活躍する神永美有と大学准教授の佐々木昭友が織り成す、知的好奇心を刺激する連作短編の第二弾。作品は岡倉天心や古い切り絵、柱時計、山水画、レンブラントの模写といった多彩な美術品を題材にし、そ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 美術品コンサルタントとなった神永美有と、大学の准教授となった佐々木昭友のコンビの連作短編の2作目。
    語り手である佐々木の拠点が東京から京都に移った事が本作のタイトルの意味の一つとなっている。
    今回のネタは、岡倉天心、古い切り絵、古い柱時計、山水画、そしてレンブラントの模写の5作品。美術や当時の歴史的背景についての薀蓄が豊富なのはもちろんだが、登場人物のヒューマンドラマの部分もエンターテイメントとしても読み応えのある一冊。

  • 美術探偵・神永美有シリーズ第二弾。第二弾は、相棒の美術講師佐々木が、東京から京都へ渡り、別の大学で准教授になるところから始まり。佐々木から神永への思いが、友情から依存になることを恐れて、これぞ遠距離恋愛ならぬ遠距離敬愛とほどよい距離感に一安心してた平穏を、かき乱しにくるのはやはり今や元教え子となったイヴォンヌ。今回のお題はボッティチェリ、岩波文庫の表紙、岡倉天心、柱時計、牧谿に端を発した日中どちらかに肩入れしたひとびとの調停。最終話、教え子に恋してしまった佐々木の、悪徳画商もかくやといわんばかりの仲介ぶり、奮闘ぶり、次々とあかされていくパッと見価値がないかに見える絵画に秘められたストーリーに興味がいや増しました。

  • 先に第三弾を読んでいるから里中琴乃と佐々木の関係がどうなるかわかっているけど、一学生に準教授がこんなに肩入れしてもいいわけ?
    彼女も自分が内定とか決まった後に学費の事打ち明けるなんて、絶対に佐々木の好意に気づいるでしょ。自分から言わなくても、佐々木がお金を用意してくれることを期待しているよ。
    自分の才能をアピールして正面から『自分を援助して!』って言っているイヴォンヌの方が好感持てるわ。



  • シリーズ第二弾。
    美学や文学や政治学は、それ自体が知性と好奇心を刺激する。そこに敷居の高さが伴いやすいのは、素養を問うことの排他性ゆえだろう。
    高踏的な臭みを消し、魅力の核心を伝える語り手がいれば、それは娯楽小説の素材としても輝き得る。
    そんな語り手が門井慶喜氏。

    本書に良い一節があったので、引いてみる。
    「およそ私たちの人生には、たった一語ですっかり思いのたけを表すなんて胸のすく機会はめったにないけれど、語彙の豊かな人のそれにはやや多く訪れる。」
    そうありたいものですな。

  • 作品のテーマと世界の構築は最近の作品と変わらないが,文章が読みにくい.キャラクタも没個性で,世界の奥行きを感じない.

  • 美術品の真贋を舌で見分ける天才美術探偵・神永美有シリーズ第二弾。
    「筆を持たない芸術家」と呼ばれた岡倉天心の直筆画ははたして本物かどうかを推理する表題作『天才までの距離』。
    佐々木の幼馴染の家で見つかった日本画家・平福百穂の切り絵についての話『文庫本今昔』。
    結婚を決意した相手の男性から贈られた古時計の謎を解く『マリーさんの時計』。
    ある文化人の「日本は中国の属国」という発言にイヴォンヌが激昂し、牧谿の水墨画を巡る真贋対決に佐々木が巻き込まれる『どちらが属国』。
    神永美有の父親や佐々木と因縁のある人物からの依頼により再び岡倉天心の真筆かを推理する『レンブラント光線』の五作品。

    前作のラストで、いつまでも神永に依存してはいけないと、神永と決別をした主人公の佐々木先生がどのような経緯でまた神永と関わるようになるのか読む前から気になっていたのですが、結構なし崩し的に復縁したので佐々木先生の決意はなんだったのか・・・とちょっと思いました。
    また二人の推理合戦が読めるので勿論嬉しいですが!

    前作同様、今作でも、美術品の真贋を追及していくと結果的に視点をずらされたり、もっと大きな枠組に視点が拡大したりしていて趣向に富んでいました。
    衒学的なうんちくが鼻につくこともありますが、登場人物たちの細やかな情感を練りこまれた文章や会話が滋昧に満ちていてしみじみと感じ入りました。

    時折登場する佐々木の元教え子・イヴォンヌもインパクト大。
    彼女は問題を持ち込んでくるトラブルメーカーなのですが、物語のアクセントというか、話を進行させたりひっかきまわしたり、話の締めにも使えるキャラでもあるのです。
    実は話を盛り上げる一番の重要な脇役だと思うので、とんちんかんなことを言ってても憎めません。

    また次作でもイヴォンヌの活躍を期待してます。

  • 続き(3冊目)あるのかな?

  • 美術探偵神永美有シリーズの第2弾。
    今回からは、ワトソン役(?)の佐々木さんが京都に移ってしまい、離れ離れではあるのだが、頻繁に行き来し、特に問題の無い様子。
    美術史に絡むミステリーであり、おそらく取材は大変なんだろうなと感じるが、軽い気持ちで読めるのがいいところ。次作が待ち遠しい。

  • 古本をネタにしたものはこれまでに読んできましたが、この本は古い美術品をネタにしています。イヴォンヌというキャラクターが個性的で面白いです。

  • 佐々木先生が自説を披露した後に
    神永さんによる真説上書き待ちをしてしまうところが
    おもしろかったです。

全10件中 1 - 10件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

門井慶喜の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×