私の男 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 905
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167784010

感想・レビュー・書評

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  • 10年以上前に読んだのでうろ覚えですが…流氷のシーンがやけに印象に残っています。物語が、現在から過去へさかのぼっていくのに、何故か進んでいるという不思議な感覚も。

  • すこし前に直木賞をとった桜庭一樹さんの『私の男』
    ありえなくて現実的「養父との困った関係」
    内容を言うとネタバレになるから困るが...
    現実的というところが現代の家族関係の希薄さを露呈しているような
    ファザーコンプレックスの裏返しのような
    なんともすごいのがさらりと

    彼女の読書日記『少年になり、本を買うのだ』はおもしろいし
    とても参考になる一冊しか読んでないが、その読書欲には感心した
    もっと読みたし、でも読みたい本が増えるのは困る

  • いまいち?!
    第138回直木賞受賞作
    「禁断の愛」「切なくも美しい、究極のエンターテイメント」とありましたが、どろどろっと暗く切ないストーリ。
    「利休にたずねよ」同様に、過去にさかのぼって事実が明らかになっていく語り方。

    なので、ストーリを語るのは難しいですが、主人公「花」が結婚するところから始まります。
    その花が語る「私の男」がその花の養父である「淳悟」。
    花と淳悟の関係は?
    花の過去とは
    淳悟の過去とは
    隠された事件とは

    と言ったところが、過去に遡り、明らかになっていく物語。

    ぶっちゃけ、二人は親子の関係を超えた肉体関係なわけですが、淫靡な関係でもあり、切ない関係でもあります。
    結局のところ、花は淳悟の実の娘で、その実娘でありながら、淳悟が花に求めたものは、母親。
    また、花が求める家族像、男像。

    そんな世界観なわけですが、そもそも、9歳の実娘にそういうことする?
    ちょっと受け入れがたい。

    さらに、そんな二人は殺人事件も起こしています。
    しかし、その殺人事件については、二人の関係性を物語るエピソードとして描かれていると思いますが、それでいいの?って感じ。殺人だよ..

    インモラルな世界観とそこで生きる男と女を描いているのだと思いますが、ちょっといまいちでした。

    好きか嫌いかでいうと嫌いな部類です

  • 父と娘を繋ぐ、禁断の愛。

    こんな設定のものを読む日がくるなんて思っていませんでしたが、映画化に合わせてインパクトのある装丁に惹かれて、なんとなく読んでみました。

    現在から過去へ、視点を変え、場所を変え、緩やかに巻き戻っていく歴史はなんだかどこか冷たくて、それでいて一定の熱を持っていて、不思議な世界観に引き込まれました。

    存在感がなさそうなのに、淳吾の存在感が常に浮き彫りになっていて、花のことよりも気持ちがそちらに向いてしまう。
    どこか壊れている淳吾。
    でも、憎めない存在。
    彼の心情にあまり触れられていないからこそ、気になってしまうのかもしれない。

    読み終わった後はなんだか切ない。

  • 孤児の花と養父の淳悟の親子2人の、悲しく寂しく爛れた恋愛、もしくはそれに近い何かの話。
    いわゆる共依存に近いのかなと思いますが、それを美しく描いています。

    桜庭一樹さんの本というとライト文芸系の作品しか読んだことなかったのですが、こういうしっとりした恋愛ものも書くんだなと感動しました。面白かったです。

  • 圧倒的に濃密な文体で語られる腐野淳悟と花の話。
    20歳そこそこにして愛欲に倦んだ花は、「その年齢の娘らしく」幸せな結婚をするが…。

    桜庭一樹は「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」と「赤×ピンク」で知った。
    新婚旅行の旅先で時間潰しに入った駅構内の書店で、表紙買いした。確か角川書店版で花柄の表紙だった。
    気に入ったので新刊が出ると買っていたが、本書と「ファミリーポートレート」はそれまでの桜庭一樹作品とは少し毛色が違うように思った。どこがどう、とは言えないけれど。

    禁断の関係と殺人事件、なぜ秘密は甘い蜜の味がするのか。

  • 2020年5月4日読了。結婚式を間近に控えた花とその養父・淳悟の関係には、深い愛と秘密が隠されていた…。第138回直木賞受賞作。まずは結婚式の現在から始まり、話者を変えつつ過去にさかのぼっていく構成のテクニカルさに唸らされた。二人のどうにもならない絶望ややるせなさを、「すでに知っている未来に向かって進む物語」を読むことによって一読者である自分も同じ気持ちを追体験させられるような気持ちになった、単純に時系列に読まされていてはこんな気持にはならなかったろう…。「愛する」とか「家族」って正しいものとか唯一のものではないし、傍から見て歪に見えても当人にとっては「それしかない・かけがえのない」ものなのかもなあ、自分だって愛や家族が何か、分かっているとは言えないもんな。登場人物は全員一生懸命・善意を持って生きているのにすれ違ってしまう様が悲しい。冬の北海道が目に浮かぶ、さむーい小説。

  • 初めて桜庭一樹さんの作品を読みました。
    これは、、この本は、感想を書くのが難しいですね…

    ひとりぼっちだった花と淳悟
    お互いを求めるようにして生きた15年間

    歪んだ愛。親子愛?

    ごく普通の家庭で育った私には、理解できるわけもない関係なのだと思いますが、
    なぜか妙に納得させられるというか、分かるような気にさせられるのが、本著の不思議なところです。

    花は、これからどのようにして生きていくんだろう…


    あとは、海の描写がとても多いのが印象的でした。
    特に、紋別から見るオホーツク海は、奈落の底のように暗く、怪物のように恐ろしいもののように描かれていて、この作品の雰囲気とぴったりだと思いました。

  • 時間の経過に応じてこころの変化もあって良い。桜庭先生の暗い感じはなかなか好きかも。
    逆から読み進めてみても面白いのかもしれないと思った。
    七竈 とかも読んでみたい。

  • 久しぶりにガツンとくる本に出会いました。ミステリーで直木賞作品という事ですが、むしろ純文学ですね。倫理的に嫌悪感を抱く人もいるかと思いますが、ある種の人間の業みたいなものを迫力ある筆致で描いています。この作家の作品を読んだのは初めてなのですが、他の作品も読みたいと思いました。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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