- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167784010
感想・レビュー・書評
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はじめまして、こんばんは。
”チェインギャング”、ブルーハーツの曲のことですよね? たしかに言い得て妙で、目からウロコでした!はじめまして、こんばんは。
”チェインギャング”、ブルーハーツの曲のことですよね? たしかに言い得て妙で、目からウロコでした!2012/07/06
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面白かった。
最初は淳悟が気味悪く、24歳の花のように嫌悪感を抱く。
品が良く優雅で、花に愛情を傾ける描写があっても、やはり歪んで壊れて見えるし、だからこそ好きになりきれない。
そして淳悟と花の関係性にも、序盤は謎が多くある。
読み進めているのに過去に遡っていく。
ページも進むし、読み手の抱く謎が解明され、
物事は進んでいくように感じる。
そして遡るほどに淳悟が若く、良い男になっていく。
ひどく壊れ、腐っていくも、どこか美しい男から、
美しく、そして人懐っこい、どこか気づかない部分で壊れた男へ。
序盤はあんなに気味が悪かったのに、魅力的に蘇っていく。
1章で小町は淳悟のことを「ゾンビ」と表現したが、過去へ進み淳悟が魅力的になっていく様子は、蘇りと呼べるはずだ。
読み終わった後にもう1度、1章を読みたくなる。
この男が、どこまで腐って枯れたのか。 -
泥を飲んだような気持ちになった。なんだろう、この読みやすいのに重い、気持ち悪いのに惹かれる、忘れようとしても忘れられないお話。
最後の章を読み終わったときに最初の章に戻って来て、花が淳吾と同じ道を歩む様を示唆するような描写を読み返すと、もう淳吾はどこにもいないんだっていうことがわかって胸がギュってなっちゃった。章ごとに逆行していく手法がすごい。最後の章では「ずっとこのひとの隣にいるんだと思った」って花は感じて本は終わるのに、最初にされた未来の話では、それが実現しないってこと、読んでる人間はわかっているの。ほんと、すごい。
倫理観とかほぼない。世間というものや良識の擬人化である(って勝手に思ってる)大塩さんがああ言うふうになるんだから。小町さんは俗世の擬人化。
大塩さんや小町さんはかわいそうだが、それでも、読んでよかった。
それにしても湿ったにおいの描写がすごいなあ。汗のしみた布団、湿気を多く含んだ冬の空気、指にまとわりつく女の気配、雨のにおいのする男。
正直、めちゃ暗い話だが嫌な気持ちになるわけじゃなくて、やりきれん寂しさが残るようなお話だった。 -
初めは義理の父親と娘の禁断の関係という風で好奇心で読み進めていたが、途中で花と淳悟の本当の関係が明かされ、とても驚いた。花を通して描かれる淳悟の愛と執着と花の淳悟に対する愛が読んでいるうちに自分の想像していた以上のものでだんだんと怖さが勝ってきた。互いが失った部分を互いに与え合うような二人の姿は、美しくも暗く、恐ろしいと感じた。
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好き〜〜〜〜〜。私には想像もつかないような依存の愛がこうして存在するのかもね、ってぴらぴら見せられた感じ。
フィクションだからこうして美しいと思えるんだよ。 -
一言で言えば、近親相姦。まさに、歪んだ愛の形だが、むしろ2人が愛し合う姿は純愛に見えてくる。過去に近づくにつれ、ずっとこの2人を見守っていたいという気分になる。
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どの立場から読んでも、終始重苦しい。
薄暗い世界を生きる花と惇悟。二人の世界がねっとりとした湿度を伴って、自分にまとわりついてくるような感覚でした。その感覚がどんどん麻痺して、読み進めて行くうちに、どっぷりハマっていたみたいです。
絶対に理解できないような世界が、桜庭さんの描写にかかると、なぜか少しだけ理解できるような感覚に陥りました。現実にあったら、拒否反応だけど、小説だから受け入れられる、そんな世界。小説の醍醐味なのでしょう。久しぶりに物書きの偉大さにひれ伏した。