ブルースカイ (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2012年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784167784058

みんなの感想まとめ

時を超えて旅する女子高生と、彼女を追うシステム管理者たちの物語は、複数の異なる世界を舞台に展開します。主人公たちがそれぞれの箱庭で直面する試練や謎は、思春期の心情や「少女」という概念の変遷に触れていま...

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだ著者の『本当の花を見せにきた』を読んで、それがなかなか良かったので、桜庭さんの初期の傑作長編と言われている本書を読んでみた。

    結論的にいうと、すごく物語の雰囲気や文章は良いのだが、最終的に何が言いたかったのか解らなかった。

    『中二病』にかかった女子高生が現実逃避するように時空を超えていろいろな世界に飛んでいき、最終的に行きつくところに行き着いたという話なのか?

    「SF的」というか「夢落ち」というか「走馬灯をみている」というか、ちょっと表現が難しい。
    たぶん、リアルな女子高生や女子中学生が読んだら、この思春期女子特有の気持ちなのかどうかよくわからないが、共感できる部分がたくさんあるのかもしれない。

    40をとうに過ぎた中年男子には本書はちょっと難しすぎました。
    修行が足りないようなので出直します。

    ただ、『「少女」という概念が、近代になって産み出された』というセンテンスには頷かされる。

    • まことさん
      kazzu008さん♪こんばんは。
      今、『ケイトが恐れるすべて』のラスト60ページまで読んでいるのですが、前回「楽しみです」とコメントしま...
      kazzu008さん♪こんばんは。
      今、『ケイトが恐れるすべて』のラスト60ページまで読んでいるのですが、前回「楽しみです」とコメントしましたが、もの凄く変なレビューを書くかもしれないですが、kazzu008さんとは、全く関係ないので、気になさらないでください(^^♪

      そして、桜庭一樹さんのこの本と前回、紹介されていた本は未読なのですが、桜庭さんは初期の頃『赤朽葉家の伝説』でファンになり、あとは『少女七竈と七人の可愛そうな大人』などが特によかったです。あとはラノベ系。直木賞の『私の男』は映画は二階堂ふみさんがコケティッシュで面白かったけど、今ひとつと思いました(星4つくらい)桜庭さんの読書日記は全部読んでます♬
      2020/01/11
    • kazzu008さん
      まことさん。こんにちは!
      コメントありがとうございます。

      『ケイトが恐れるすべて』もう少しなのですね。かなり盛り上がってきているとこ...
      まことさん。こんにちは!
      コメントありがとうございます。

      『ケイトが恐れるすべて』もう少しなのですね。かなり盛り上がってきているところで僕もあっという間に読了したと思います。

      桜庭さんの小説はすごく読みやすいのですが、やはり「女性の心の内部」的な表現が多いので理解するのに時間がかかりますね。特に本書は高校三年生の女の子が主人公の第三部は、理解にちょっと苦しみました。
      直木賞を受賞した『私の男』はぜひ読んでみたいと思います。映画化もされているのですね。情報ありがとうございます!
      2020/01/12
  • 時を超えて世界を旅する事になってしまった、17歳の女子高生と、彼女を追う、世界の「システム」の時空管理官たち。
    3つの世界で共通するパスワードは、「ブルースカイ」。

    第一の箱庭。
    舞台は、1627年のドイツ。城壁に囲まれた町、レンスの外れにある水車小屋で、祖母と二人でひっそりと暮らす、珍しい黒髪の少女、マリーが主人公です。マリーは10歳ですが、5歳以前の記憶がなく、また、祖母には何か秘密がある様子。
    実は、祖母は「システム」にアクセス出来るのですが、二人はやがて吹き荒れる魔女狩りに巻き込まれ、窮地に陥ります。
    そんな時、マリーを救ったのは、突然空から降ってきた女子高生でした。

    祖母の正体には、驚きました。後、マリーの両親の名前が気になります・・・。


    第二の箱庭。
    2022年のシンガポール。
    情報漏えいを防ぐ為、外界からはたった1本の橋を通ってしか入れない、セントーサ島で、グラフィックデザイナーとして働く、24歳のディッキー。
    彼やその仲間達、何処か中性的な男性達は、同世代の女性達から、「青年」と呼ばれています。
    仕事で中世ヨーロッパが舞台のゲームを手掛ける事になったディッキーは、AIを搭載された、黒髪の少女のキャラクターと接するうち、絶滅した「少女」について考えます。
    そんな彼が、3Dで昔の映画を観ていると、突然、「少女」そのものの女子高生が降ってきます。

    何となく、開発途中のゲームの中の世界が、第一の箱庭っぽい感じがします。
    そこがリンクして、「システム」にアクセスしてしまったようだし・・・。
    昔は、少女という時期がなく、子供から突然大人になる為、少女というものは近代に生まれた、という話は、前に何処かでも読んだ事があるけれど、面白いです。


    第三の箱庭。
    2007年の鹿児島。
    17歳の女子高生、青井ソラは、平凡に生きている、筈でした。
    でも、突然起こった、未曾有の大噴火が、運命を変えてしまいます。
    その瞬間、携帯を使用中、即ち、システムにアクセスしていた10代の少年少女たちは、時空の穴に飛ばされてしまいます。

    3人の主人公がそれぞれのラストシーンで感じたのは、「繋がり」。そして見たものは、頭上に広がる青い空。

  • 3つの世界と1人の少女のお話。

    作者さんのお名前は存じていたけれども作品を読んだことがなかったので手に取ってみました。

    逃げ惑うセーラー服の少女がブルースカイと呼ばれる理由が一番スッキリした点。
    他は世界ごとにちらほらと謎が残ります。でももやもやはしないかな。「余地がある」がしっくりきます。

    魔女狩りの話は本当に苦手。
    他人のための無意味な暴力。

  • 「少女」近代のクリーチャー

    中世のマリーは、年齢こそたった10歳だが、少女ではない。
    現代のソラは、少女。
    近未来のディッキーは年齢はいってるが、少女(的なもの)

    第一部、第二部、それぞれの世界観が良すぎて、一つずつ小説として読みたいくらい。

    私も自分はもう年齢的には少女ではないけど、まだ中二病で、幼くて、ディッキーに近い感じだと思った。近代の概念である少女、青年、マージナルマン、増えてるのかな。。想定される寿命が伸びることも関係しているはず。

    桜庭一樹、二作目だけど、好きだな。好きな作家さんが増えるの嬉しいな。

  • 早川書房版を読んだのはいつだったろうか。高校生の時か。その時は、この作品だけは桜庭一樹の中で、理解できないというか、好きになれなかった。



    今、文春文庫版を手にとって。やはり人の感性はかわっていくのだなぁと改めて感じた。



    特に第二部、ディッキーの終末、崩壊に対する思索は、多分に桜庭一樹本人のものが投影されている。少女性についてもだ。無力だからこそもがき、カルチャーを生み出す時代のクリーチャー。近代の産物。桜庭一樹の根本を理解する上では良質なテクストだ。



    再びこの本に出会えて良かった。青い空を探したこの本に。

  • 解説に「桜庭版『時をかける少女』」とありましたが、まさにそんな感じ。ただ、面白くは読めたけど、自分たちが生きているこの世界の外側に、上位階層とでもいうべき(一種の神的な)ものが存在するかもという発想自体はけして目新しいものではないし、正直もう一押し、ラストになんかしら捻りが欲しかったかなあ。三部構成の一部の時代背景が詳細でキャラクター設定も魅力的だっただけに、終わり方と対比すると頭でっかちで、ギャップが激しかったのかも。

  • 『中世ドイツ、近未来のシンガポール、そして現代日本。3つの世界を行き来する少女の正体とは?』みたいな惹句に惹かれて買ってみた。
    第1部、中世のドイツ。小さな街の人々とそこに起こった魔女狩りを、作者独特の雰囲気で克明に描いて読ます。そして、その街並みに現れる異物、現代の日本の女子高生。このパートは、何が何だか分からねど、良く出来た映画の一部分を見ているようで、ばら撒かれた伏線めいたものを回収してしまう長編で読みたいような余韻あり。
    第2部、舞台変わって近未来のシンガポール。既に男と女の役割が変化している時代に、それを背景に小難しい性や世代に関する考察が入る。ちょいと小難しく思わせ振りな割に、今ひとつ、ノペッとした話。
    第3部、2007年の日本。どういう風に落ちるのかと思っていたらこういうことだったとは分かるけど、これまで蒔かれた謎は謎のまま、その意味は語られること無く、読む人に委ねられて閉じる。
    ドイツもシンガポールも、それぞれの意味で「少女」が存在しなかった時代に、時空を飛ばされてしまった2007年の少女が現れたことで詳らかになった〈存在〉と〈繋がり〉、みたいな話と思うけど、お話全体としては設定が深すぎて未消化に終わった印象。

  • この物語には”少女”が生きている。
    時をかける少女が現代にいたら、こんな少女なのだろうか。時代をこえて、少女と”少女”が出会う。繋がりを求めていた少女は、”少女”と出会い、何を思ったのだろうか。そう考えだけで、私の目の前にも、青い空が広がっているような気がした。
    とても不思議なお話だった。

  • 17世紀ドイツ、2022年シンガポール、2007年日本、
    3つの時代を少女が逃げるタイムトラベル。

    システムの運用者とプレイヤーを思わせる構図と、
    『箱庭』的に接続していく各時代は、
    ゲームを思わせる。

    全体としては荒削りで即興的な展開も感じられて
    『習作』という印象を受けた。

    何を思えば良いのかよく分からないラストだが、
    何故か清々しい読後感。

  • 三部構成からなるタイムトラベル小説。第一部の魔女狩り絡みの雰囲気は、とても良かった。マリーの出生に纏わる思わせぶりな謎の部分もうまく引っ張ってるし、ときどき出てくる時空管理官の数行がいかにもSF的で、中世ドイツのゴシックな雰囲気と相まってて面白かった。それに比べて二部、とくに三部は中身も量も軽い印象だったせいか、オチも「そうか」という感じ。もう少し物語を膨らませるか、一部と同じくらい書き込んで欲しかったなぁ。いつもながら、漫画を読んでいるように進む語り口は、桜庭さんお見事。

  • 再読。のはずだがほとんど記憶になかった。時空を逃げ回るという設定は面白かったが、テーマがよくわからなかったかな。

  • 第1部が長くていちばん描写が丁寧で、途中まで、ドイツのマリーが主人公かと勘違いしてしまうほどだった。
    でも読み進めていくとセーラー服の日本人の女の子が出てきて、それが、時空を旅してるヒロインの女の子(青井ソラ)だってことが途中からわかって、おもしろかった。

    マリーの境遇も去ることながら、全体的にずっと憂鬱感があって、物語に勢いのようなものがあるわけではないのに、読むのをやめられないおもしろさがあった

    ケータイもパソコンもなかった中世ドイツから、AIがもっと進歩してる2022年までを通して、「繋がる」がテーマになっていた。
    2022年シンガポールに生きるディッキーが、人との繋がりを実感することの困難さに悩む一方、辛く悲しく、過酷な境遇に置かれたマリーは、大切な人すべてを失っても、決して彼らを忘れない、いつまでも繋がっているということを感じていて、経済的な豊かさや発展と、人との繋がりによって感じられる温もりは反比例なのかなとか、どっちがいい時代なんだろうって考えてしまうような作品だった

    あと全然関係ないけど、マリーが、時空を超えてやってきた少女のことを「アンチ・キリスト」って呼んでるのがまじで爆笑だった

    村上春樹的なファンタジーが好きなわたしにとって、はすごく好みな話
    中学時代にハマった桜庭一樹の小説は、思春期の世代が感銘を受けそうな内容が多いのかと思ってしばらく読んでいなかったけれど、まだまだおもしろいものがたくさんありそうだ

  • 伏線が回収されていない。それが気持ち悪い。

    著者が途中で回収する気を失ったのか、もともと伏線ではなかったのか。あるいは回収されているのを読み解けなかったのか、それはわからない。

    いずれにせよ読後感がスッキリしない。

    第一部から第二部、そして第三部と緻密さが失われていき情緒的な表現に変わっていく。これは狙いなんだと思うが、ラストは乱雑すぎ。

  • いったい、今この国ほどに多くの人が「物語」を求めているところがあるだろうか?
    古本屋を覗きに行けば、小説や漫画の棚で立ち読みする人がわんさかいる。
    インターネット上には多くのアニメ動画がアップされて、それに対してのコメントも溢れている。
    私たちは日々「物語」を求めている。
    それはきっと、退屈でありふれた日常から一時の間離れ、仮想、すなわち "ifで始まる世界" を体験したい、そういう欲望なのだ。
    この本を読んだ後で考えたのは、そういうことだった。

    つまり私は、中世のドイツの暗澹たる仮想世界に、そして近未来のシンガポールのキッチュな仮想世界にアクセスして、マリーとディッキーという二人の魅力的なキャラクターに思いを重ねた。

    そして思うのは、この物語で一番の重要人物である「17歳の少女」もまた、私たちと同様にごくありふれた日常を送る高校3年生だということだ。彼女はひとつの疑問を抱く。私も当たり前に大人になっていくんだろうか?と。

    ”どこかで時間軸がボコッと外れて、大人になれない子もいるんじゃないかな”

    この問いこそが、奇想天外なストーリーの鍵になっているとも言える。
    当たり前に思っているけれど、もしかしたら実は……?
    どういう「物語」であれ、それが作られる発想の源は問いであり、その解だ。

    この作品の素晴らしい魅力は、その問いと解の「配置」の妙である。

    まずは中世のドイツという世界。10歳にして自分の運命を受け入れ、背負い、懸命に生きるマリー。見た目こそほんの子供であっても、「ある日突然大人になる」自分の将来をまっすぐに見据えているその姿。それこそ、「大人になることが想像できない」ソラにとっての、あるひとつの解だ。

    その一方ディッキーの生きる世界は、「ケータイ」の時代よりいくぶんか技術が進歩している。
    AIに感情をプログラムすることさえできる、バーチャルの発達した世界。そこでディッキー自身は、現実に人と人どうしが「つながる」ことの難しさを常に問うている。
    ディッキーはソラに惹かれ、自分の生きる世界を投げうって旅立とうとする。けれど、目の前の「友達」であるチャムとは離れたくない、一緒にいたいという自分の気持ちに気づく。
    これは、ソラが提示している「私は世界とつながっている」という「解」が、ディッキーの抱く問いに着地点を示したかたちだろう。

    なんだかこねくり回した文章になってしまったけれど、とても良い作品だった。
    退屈しているすべての人にとって、魅力的なテーマを提示してくれるそんな物語だと思う。

  • 今年の読書の収穫は桜庭一樹と森博嗣を知ったこと。食わず嫌いで今まで手にしなかったことが悔やまれた。

    「ブルースカイ」は前半は魔女狩りが横行する中世ドイツが舞台。「図書館の魔女」にはまったひとなら確実に夢中になる世界観。ところが後半は近未来のシンガポールへ。男女の立ち位置が微妙に変化した先進世界。
    全てに登場するのは携帯(今ならSNS)による繋り。しかしラストで血の繋がり、愛の繋がりが主人公たちを助ける。

    ただし、本当は中世ドイツのマリーの話を最後まで追って欲しかった。そうなれば星5間違いなかった!

  • 途中で投げだそうかと思うくらい、桜庭一樹作品の中では断トツで読みにくかった。

    前半の第一部は本当に苦痛。
    後半の第二部、三部になると著者の意図がわかってきて、一気に読破。

    この作品は対比と繰り返しだ。
    ただひたすらに主人公たちは前を向き、ブルースカイは逃げ続ける。

    桜庭一樹の実験的で、残酷なまでの好奇心を
    これでもか見せつけられている気がした。

  • 誰かと一緒なら、どんな世界も怖くない。
    最初から何も持ってないと思えば怯えずに済むのかもしれない。
    それでも誰かと、世界と繋がっていたいと思ってしまう。
    その思いは時代も時空も超える。
    浩史がかっこよかった。

  • 最初から理解ができそうにないなぁ…と読み進めて行って、やっぱり理解できなかったです。

    火山の噴火で死ぬ前に時間を飛んだ。ってことはわかりましたが、飛んだからなんだ?結局下の時間に戻されて死んでるじゃん?何のために飛んだの?なにが解決されたの?何が変わったの?って感じでした。

  • 薄暗くて、不穏で、ざわざわしながら読み進める感じで、幕切れはあっけなかった。謎のキーワード<ブルースカイ>って何かと思ったら青井ソラちゃんっていう女子高生の名前だった。
    でも、曇天と晴天のシーンのコントラストは単純だけど綺麗だった。

  • 2012/8

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著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば・かずき):1971年鳥取県出身、小説家。1999年、「夜空に、満天の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞し、翌年デビュー。『GOSICK』シリーズが注目され、さらに04年発表の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価される。07年に『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を、翌08年に『私の男』で第138回直木賞を受賞。おもな著書に『少女を埋める』『紅だ!』『彼女が言わなかったすべてのこと』『名探偵の有害性』など、またエッセイ集に〈桜庭一樹読書日記〉シリーズや『東京ディストピア日記』などがある。

「2025年 『読まれる覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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