ブルースカイ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.13
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  • (89)
  • (40)
  • (11)
本棚登録 : 757
感想 : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167784058

作品紹介・あらすじ

1627年、魔女狩りの嵐が吹き荒れるドイツ・レンスで10歳の少女マリーは、「アンチ・キリスト」と遭遇する。2022年、近未来のシンガポールで、青年のディッキーは、かつて絶滅したはずの「少女」という生物と出会う。そして、2007年、鹿児島。私は、青い空の下にいた-。三つの空を見た、ある少女にまつわる物語。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだ著者の『本当の花を見せにきた』を読んで、それがなかなか良かったので、桜庭さんの初期の傑作長編と言われている本書を読んでみた。

    結論的にいうと、すごく物語の雰囲気や文章は良いのだが、最終的に何が言いたかったのか解らなかった。

    『中二病』にかかった女子高生が現実逃避するように時空を超えていろいろな世界に飛んでいき、最終的に行きつくところに行き着いたという話なのか?

    「SF的」というか「夢落ち」というか「走馬灯をみている」というか、ちょっと表現が難しい。
    たぶん、リアルな女子高生や女子中学生が読んだら、この思春期女子特有の気持ちなのかどうかよくわからないが、共感できる部分がたくさんあるのかもしれない。

    40をとうに過ぎた中年男子には本書はちょっと難しすぎました。
    修行が足りないようなので出直します。

    ただ、『「少女」という概念が、近代になって産み出された』というセンテンスには頷かされる。

    • まことさん
      kazzu008さん♪こんばんは。
      今、『ケイトが恐れるすべて』のラスト60ページまで読んでいるのですが、前回「楽しみです」とコメントしま...
      kazzu008さん♪こんばんは。
      今、『ケイトが恐れるすべて』のラスト60ページまで読んでいるのですが、前回「楽しみです」とコメントしましたが、もの凄く変なレビューを書くかもしれないですが、kazzu008さんとは、全く関係ないので、気になさらないでください(^^♪

      そして、桜庭一樹さんのこの本と前回、紹介されていた本は未読なのですが、桜庭さんは初期の頃『赤朽葉家の伝説』でファンになり、あとは『少女七竈と七人の可愛そうな大人』などが特によかったです。あとはラノベ系。直木賞の『私の男』は映画は二階堂ふみさんがコケティッシュで面白かったけど、今ひとつと思いました(星4つくらい)桜庭さんの読書日記は全部読んでます♬
      2020/01/11
    • kazzu008さん
      まことさん。こんにちは!
      コメントありがとうございます。

      『ケイトが恐れるすべて』もう少しなのですね。かなり盛り上がってきているとこ...
      まことさん。こんにちは!
      コメントありがとうございます。

      『ケイトが恐れるすべて』もう少しなのですね。かなり盛り上がってきているところで僕もあっという間に読了したと思います。

      桜庭さんの小説はすごく読みやすいのですが、やはり「女性の心の内部」的な表現が多いので理解するのに時間がかかりますね。特に本書は高校三年生の女の子が主人公の第三部は、理解にちょっと苦しみました。
      直木賞を受賞した『私の男』はぜひ読んでみたいと思います。映画化もされているのですね。情報ありがとうございます!
      2020/01/12
  • 時を超えて世界を旅する事になってしまった、17歳の女子高生と、彼女を追う、世界の「システム」の時空管理官たち。
    3つの世界で共通するパスワードは、「ブルースカイ」。

    第一の箱庭。
    舞台は、1627年のドイツ。城壁に囲まれた町、レンスの外れにある水車小屋で、祖母と二人でひっそりと暮らす、珍しい黒髪の少女、マリーが主人公です。マリーは10歳ですが、5歳以前の記憶がなく、また、祖母には何か秘密がある様子。
    実は、祖母は「システム」にアクセス出来るのですが、二人はやがて吹き荒れる魔女狩りに巻き込まれ、窮地に陥ります。
    そんな時、マリーを救ったのは、突然空から降ってきた女子高生でした。

    祖母の正体には、驚きました。後、マリーの両親の名前が気になります・・・。


    第二の箱庭。
    2022年のシンガポール。
    情報漏えいを防ぐ為、外界からはたった1本の橋を通ってしか入れない、セントーサ島で、グラフィックデザイナーとして働く、24歳のディッキー。
    彼やその仲間達、何処か中性的な男性達は、同世代の女性達から、「青年」と呼ばれています。
    仕事で中世ヨーロッパが舞台のゲームを手掛ける事になったディッキーは、AIを搭載された、黒髪の少女のキャラクターと接するうち、絶滅した「少女」について考えます。
    そんな彼が、3Dで昔の映画を観ていると、突然、「少女」そのものの女子高生が降ってきます。

    何となく、開発途中のゲームの中の世界が、第一の箱庭っぽい感じがします。
    そこがリンクして、「システム」にアクセスしてしまったようだし・・・。
    昔は、少女という時期がなく、子供から突然大人になる為、少女というものは近代に生まれた、という話は、前に何処かでも読んだ事があるけれど、面白いです。


    第三の箱庭。
    2007年の鹿児島。
    17歳の女子高生、青井ソラは、平凡に生きている、筈でした。
    でも、突然起こった、未曾有の大噴火が、運命を変えてしまいます。
    その瞬間、携帯を使用中、即ち、システムにアクセスしていた10代の少年少女たちは、時空の穴に飛ばされてしまいます。

    3人の主人公がそれぞれのラストシーンで感じたのは、「繋がり」。そして見たものは、頭上に広がる青い空。

  • 「少女」近代のクリーチャー

    中世のマリーは、年齢こそたった10歳だが、少女ではない。
    現代のソラは、少女。
    近未来のディッキーは年齢はいってるが、少女(的なもの)

    第一部、第二部、それぞれの世界観が良すぎて、一つずつ小説として読みたいくらい。

    私も自分はもう年齢的には少女ではないけど、まだ中二病で、幼くて、ディッキーに近い感じだと思った。近代の概念である少女、青年、マージナルマン、増えてるのかな。。想定される寿命が伸びることも関係しているはず。

    桜庭一樹、二作目だけど、好きだな。好きな作家さんが増えるの嬉しいな。

  • 早川書房版を読んだのはいつだったろうか。高校生の時か。その時は、この作品だけは桜庭一樹の中で、理解できないというか、好きになれなかった。



    今、文春文庫版を手にとって。やはり人の感性はかわっていくのだなぁと改めて感じた。



    特に第二部、ディッキーの終末、崩壊に対する思索は、多分に桜庭一樹本人のものが投影されている。少女性についてもだ。無力だからこそもがき、カルチャーを生み出す時代のクリーチャー。近代の産物。桜庭一樹の根本を理解する上では良質なテクストだ。



    再びこの本に出会えて良かった。青い空を探したこの本に。

  • 解説に「桜庭版『時をかける少女』」とありましたが、まさにそんな感じ。ただ、面白くは読めたけど、自分たちが生きているこの世界の外側に、上位階層とでもいうべき(一種の神的な)ものが存在するかもという発想自体はけして目新しいものではないし、正直もう一押し、ラストになんかしら捻りが欲しかったかなあ。三部構成の一部の時代背景が詳細でキャラクター設定も魅力的だっただけに、終わり方と対比すると頭でっかちで、ギャップが激しかったのかも。

  • 『中世ドイツ、近未来のシンガポール、そして現代日本。3つの世界を行き来する少女の正体とは?』みたいな惹句に惹かれて買ってみた。
    第1部、中世のドイツ。小さな街の人々とそこに起こった魔女狩りを、作者独特の雰囲気で克明に描いて読ます。そして、その街並みに現れる異物、現代の日本の女子高生。このパートは、何が何だか分からねど、良く出来た映画の一部分を見ているようで、ばら撒かれた伏線めいたものを回収してしまう長編で読みたいような余韻あり。
    第2部、舞台変わって近未来のシンガポール。既に男と女の役割が変化している時代に、それを背景に小難しい性や世代に関する考察が入る。ちょいと小難しく思わせ振りな割に、今ひとつ、ノペッとした話。
    第3部、2007年の日本。どういう風に落ちるのかと思っていたらこういうことだったとは分かるけど、これまで蒔かれた謎は謎のまま、その意味は語られること無く、読む人に委ねられて閉じる。
    ドイツもシンガポールも、それぞれの意味で「少女」が存在しなかった時代に、時空を飛ばされてしまった2007年の少女が現れたことで詳らかになった〈存在〉と〈繋がり〉、みたいな話と思うけど、お話全体としては設定が深すぎて未消化に終わった印象。

  • この物語には”少女”が生きている。
    時をかける少女が現代にいたら、こんな少女なのだろうか。時代をこえて、少女と”少女”が出会う。繋がりを求めていた少女は、”少女”と出会い、何を思ったのだろうか。そう考えだけで、私の目の前にも、青い空が広がっているような気がした。
    とても不思議なお話だった。

  • 17世紀ドイツ、2022年シンガポール、2007年日本、
    3つの時代を少女が逃げるタイムトラベル。

    システムの運用者とプレイヤーを思わせる構図と、
    『箱庭』的に接続していく各時代は、
    ゲームを思わせる。

    全体としては荒削りで即興的な展開も感じられて
    『習作』という印象を受けた。

    何を思えば良いのかよく分からないラストだが、
    何故か清々しい読後感。

  • 三部構成からなるタイムトラベル小説。第一部の魔女狩り絡みの雰囲気は、とても良かった。マリーの出生に纏わる思わせぶりな謎の部分もうまく引っ張ってるし、ときどき出てくる時空管理官の数行がいかにもSF的で、中世ドイツのゴシックな雰囲気と相まってて面白かった。それに比べて二部、とくに三部は中身も量も軽い印象だったせいか、オチも「そうか」という感じ。もう少し物語を膨らませるか、一部と同じくらい書き込んで欲しかったなぁ。いつもながら、漫画を読んでいるように進む語り口は、桜庭さんお見事。

  • 再読。のはずだがほとんど記憶になかった。時空を逃げ回るという設定は面白かったが、テーマがよくわからなかったかな。

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著者プロフィール

1999年デビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞、08年『私の男』で第138回直木賞を受賞。21年2月、小説『火の鳥』刊行予定。

「2021年 『東京ディストピア日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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