廃墟に乞う (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1215
レビュー : 194
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167796037

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。
    仙道さん、1話読む度に復帰が遠くなるような気がするのですが……

  • 私にとってはカウントダウンに続く2作品目となる佐々木譲先生の作品
    カウントダウンは友人からいただいた本だが、、、こちらも同じ友人からいただいた

    カウントダウン同様に北海道を舞台にした作品
    主人公は休職中の刑事という変わった設定の小説

    しかしなるほど
    刑事でありながら休職中という事になると自由度が増すというのか
    それでありながら刑事の洞察力もあり面白い展開ができるものだなと
    どうして休職中になっているかは最後に明らかになる

    本作は短編集となっており、多くが知り合い等から「休職中ならちょっと聞いてくれないかな」というような感じで相談を受けて始まる
    北海道の地理にはそれほど詳しくないですが、主人公は結構色々なところからお声がかかりつつ、それらエリアの所轄警察署に知り合いがいる
    警察官も色々なところで勤務を行うものなのだなぁと

    あとがきに書いてありましたが、佐々木先生は北海道の色々なところを描きたかったとの事ですね
    それに都合が良いのではないかと考えたのが「休職中の警官」という設定との事でした
    描きたい話がありきの設定だったのですね


    毎回、まずは現場を確認したり、聞き込みまではいかないながらも近辺の人に話を聞いて
    と進んでいくのだが、休職中であるがゆえの不自由さもある
    現場担当でも無いのになんでこんなところに来ているのか、なんで聞き込みみたいな事をしているのかという感じで同じ警官側から煙たがられたり

    逆に遺体が見つかっていない(ので事件化できていない)が殺人と思われるような事案にも首を突っ込めるという自由もある

    このキャラクター設定は秀逸
    小説として聞いた事がなく目新しく感じただけかも知れませんが面白いと感じました
    友人からもらった佐々木先生の作品はカウントダウンと本作の2作品だけですが、、、別の作品も読んでみたいですね

  • 仙道さんはいったい何があって休職に追い込まれてしまったのか気になりながら読み進めた。最後でそれがわかって『やっぱりな』という感じで腑に落ちた。ちょっと今までにない警察小説でした。

  • ミステリーの短編というと中途半端な謎解き物を想像し、ほとんど期待しないで読んだのですが、これはそういった類の物語ではなく、いい意味で期待を裏切られました。
    北海道各地の疲弊の色を帯びた都市を舞台に、そこで起こる其々の事件の背景で繰り広げられる人間模様を、トラウマを抱える求職中の刑事の目を通して描いたヒューマンドラマです。
    1話1話がくどくどとした説明過多ではなく、絶妙の長さと締めくくり方に非常に好感が持てます。
    内容的には弘兼憲史のコミック「人間交差点(ヒューマンスクランブル)」を彷彿させます。というか、そのまま人間交差点の原作にしてしまっても違和感ないくらい作品コンセプトが近いと感じました。

  • 直木賞作品を初めて読破しました。なんだろ、PTSDの治療の中、様々な依頼を受けて真相を突き止めていく刑事の姿に感動を覚えました。

  • 休職中の刑事が「お手伝い」と称して次々と事件を解決に導く。連ドラにできそう。

  • 北海道を舞台にした、警察モノの短篇集。主人公は過去の事件のトラウマに悩みつつ、職務とは離れて、私立探偵のようなことをしていく。
    日本の探偵物の、「警察との関係が非現実」というところを上手くフォローしている。
    とてもおもしろい一冊。

  • 細かな視点や会話から捜査展開に創造性を膨らませ、
    余韻ある終わり方が気持ち良い刑事小説。
    表題作を含む6話の短篇集を一気に読ませる。
    欲望、嫉妬、怨恨、人間の本性とは何か描かれている。

    休職中の道警の敏腕刑事・仙道。
    衝撃の殺人現場の遭遇とその捜査失態によりPTSDになった。
    そんな彼のもとに、相談が持ち込まれる短編集。

    捜査権限の無い仙道の推理は、
    会話や面識を通じての人間性やその関係を汲み取ることだ。
    多くは語らずに、相手から聞き出したり、想像させる。

    守りたい想い、あるいは、陥れたい想いと、
    難解に見える事件も、手がかりは単純な人間の本性であると気づかされる。

    特に、表題作「廃墟に乞う」の描写が良かった。
    殺人犯の生まれ故郷の廃墟になった炭鉱町に立ち、
    殺人犯の生い立ちを感じ取り、心境を思う仙道。
    極貧とは、人間性を狂わせるのだ。

    ゆったりした感覚の進行で、6話を一気に読めた。
    第142回直木賞受賞作

  • 受賞する作品にははずれは少ない。
    警察ものの推理小説は世に多くあれど、
    読みやすく、でも先をあまり読ませない。
    考えさせずにオンタイムでその世界を読み進められる作品は少ない。

  • PTSDで休職中の刑事・仙道が主人公の短編集。

    休職中の彼にいろいろな相談が持ちかけられる。公務ではなく、でも完全に一般人ではない彼が、事件を警察とは違う視点から見つめ、事件の本当の姿を見つけていく。

    彼が犯人を捕まえるわけでも、トリックを暴くわけでもなく、派手な展開は無いのだけれど、淡々と被害者や被疑者の生い立ちや心のうちを見つけていく描き方が良かった。

    派手な警察小説を求めている方には物足りないかも。

著者プロフィール

一九五〇年三月、北海道生まれ。七九年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。九〇年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。二〇〇二年『武揚伝』で新田次郎文学賞を、一〇年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。他に『ベルリン飛行指令』『疾駆する夢』『昭南島に蘭ありや』『警官の血』『代官山コールドケース』『獅子の城塞』『犬の掟』など著書多数。

「2017年 『武揚伝 決定版(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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