廃墟に乞う (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.24
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本棚登録 : 1215
レビュー : 194
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167796037

作品紹介・あらすじ

十三年前に札幌で起きた殺人事件と、同じ手口で風俗嬢が殺害された。道警の敏腕刑事だった仙道が、犯人から連絡を受けて、故郷である旧炭鉱町へ向かう表題作をはじめ北海道の各地を舞台に、任務がもとで心身を耗弱し休職した刑事が、事件に新たな光と闇を見出す連作短編警察小説。第百四十二回直木賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • H31.4.1 読了。

     休職中の刑事の事件簿。連作短編集。格闘なし。銃撃戦なし。そのためか警察小説にしては、読んでいて物足りなさを感じた。

  •  登場する北海道の町々の姿が,その独特の空気感をも感じさせてくれる。地元を舞台にした小説のありがたさ。今現在、その描写は、古くなっていない。

  • 休職中の刑事にプライベートを通じて捜査依頼が来るというのはなかなか考えにくいのですが、日本では不倫調査ぐらいしかしない私立探偵の代わりにと考えれば若干リアリティーは有ったりします。
    或る事件に関わってPTSDになってしまい、それを癒すための休職なのですが結構逆効果になりそうな内容も有ったりで、大丈夫か?仙道?と心配になる事もちらほら。
    表題作がとにかく面白いのでお勧めではあるのですが、一番PTSDに悪いのではないかと思うような話でもありました。
    表題作の題名は本の題名でもあるのである意味リーダートラックなのでさすがの出来で、廃墟と貧困と殺人が絡み合ってやるせない気持ちになりました。

    僕にとっては「警官の血」で受賞出来なかった時点で直木賞に不信感が有ったりしたのですが、佐々木譲さんが受賞したのは単純にうれしかったです。でも、なんでこれやねんと読みもしないでぶーたれていたのは内緒です。
    読んでみたらば十分に面白かったので特に異論も無いのですが、やはり受賞作を中心に読んでいく人達にはこの作品よりも「警官の血」から入って佐々木譲の豊饒な魅力にはまって欲しかった。これ読んで分かった気になって欲しくないというのが偽らざる正直な気持ちでした。

  • ベテランらしく、そつが無い短編集。しかしイマイチ魅力に欠けます。でも直木賞受賞作品。エッ!佐々木譲ってこれまで直木賞を獲ってなかったの。『警官の血』や『エトロフ発緊急電』の方が直木賞に相応しいと思うのですが…。そう言えば北村薫も漸く『鷺と雪』で直木賞受賞。直木賞といえども所詮、出版社の販売促進の一環。少し悲しくなりました。

  • 短編集。
    仙道さん、1話読む度に復帰が遠くなるような気がするのですが……

  • 佐々木譲の刑事物短編集。
    あれほどワクワクさせてくれた大戦3部作の勢いは影をひそめ、静の刑事物だった。
    刑事物のミステリーは読者が多く売れるとは思うが、また大戦物、スパイ物を書いて欲しい。

  • お酒を飲みつつ読みはじめたら、この1冊を読む間に何度も寝そうになり、頭をシャンとさせてから翌日読み直す✖️3回ぐらいで、思いのほか読了までに日数を要しました。だからって、直木賞受賞作ですもの、面白くないということではありません。

    休職中の刑事が、知人や元同僚からなんだかんだで助言や協力を求められて捜査に関わるはめに陥り、いくつかの事件を解決へと導きます。公務ではないと称しつつ休職中も仕事しているようなものだから、頭も心も休んじゃいないのですが、関わることがリハビリになっているわけで。

    面白いのに何度も寝そうになってしまったのは、淡々としていて、地味すぎるから。泣かせにかかるようなあざといシーンも無駄もなし。だから余計に心にぽっかり穴が空く。

  • 私にとってはカウントダウンに続く2作品目となる佐々木譲先生の作品
    カウントダウンは友人からいただいた本だが、、、こちらも同じ友人からいただいた

    カウントダウン同様に北海道を舞台にした作品
    主人公は休職中の刑事という変わった設定の小説

    しかしなるほど
    刑事でありながら休職中という事になると自由度が増すというのか
    それでありながら刑事の洞察力もあり面白い展開ができるものだなと
    どうして休職中になっているかは最後に明らかになる

    本作は短編集となっており、多くが知り合い等から「休職中ならちょっと聞いてくれないかな」というような感じで相談を受けて始まる
    北海道の地理にはそれほど詳しくないですが、主人公は結構色々なところからお声がかかりつつ、それらエリアの所轄警察署に知り合いがいる
    警察官も色々なところで勤務を行うものなのだなぁと

    あとがきに書いてありましたが、佐々木先生は北海道の色々なところを描きたかったとの事ですね
    それに都合が良いのではないかと考えたのが「休職中の警官」という設定との事でした
    描きたい話がありきの設定だったのですね


    毎回、まずは現場を確認したり、聞き込みまではいかないながらも近辺の人に話を聞いて
    と進んでいくのだが、休職中であるがゆえの不自由さもある
    現場担当でも無いのになんでこんなところに来ているのか、なんで聞き込みみたいな事をしているのかという感じで同じ警官側から煙たがられたり

    逆に遺体が見つかっていない(ので事件化できていない)が殺人と思われるような事案にも首を突っ込めるという自由もある

    このキャラクター設定は秀逸
    小説として聞いた事がなく目新しく感じただけかも知れませんが面白いと感じました
    友人からもらった佐々木先生の作品はカウントダウンと本作の2作品だけですが、、、別の作品も読んでみたいですね

  • 直木賞受賞作品というのは知らなかった。
    電車の中での暇つぶしに。(失礼)

    刑事物?にしてはどの話も読みやすかった。
    ただ、1つ読み終え、次に進む時になんとなく気が重くなるというか…どっこいしょ(笑)という感じで。
    どの話も明るい話ではないからか。
    読み終えるたびにパワーが吸い取られる感じ、と言ったら大げさかもしれないけど。
    ということで、2話くらい残して(図書館に)返却してしまった。(内容がどうの、というわけではないことにする。)
    だから、仙道さんが休職の理由がわからないまま。
    今度また借りようかな。

  • 仙道さんはいったい何があって休職に追い込まれてしまったのか気になりながら読み進めた。最後でそれがわかって『やっぱりな』という感じで腑に落ちた。ちょっと今までにない警察小説でした。

  • ミステリーの短編というと中途半端な謎解き物を想像し、ほとんど期待しないで読んだのですが、これはそういった類の物語ではなく、いい意味で期待を裏切られました。
    北海道各地の疲弊の色を帯びた都市を舞台に、そこで起こる其々の事件の背景で繰り広げられる人間模様を、トラウマを抱える求職中の刑事の目を通して描いたヒューマンドラマです。
    1話1話がくどくどとした説明過多ではなく、絶妙の長さと締めくくり方に非常に好感が持てます。
    内容的には弘兼憲史のコミック「人間交差点(ヒューマンスクランブル)」を彷彿させます。というか、そのまま人間交差点の原作にしてしまっても違和感ないくらい作品コンセプトが近いと感じました。

  • 短編集。
    ある事件によって休職を余儀なくされた仙道。
    心療内科の医師が、勤務復帰OKの診断を下さない限り、本来の勤務に復帰できない刑事・仙道。
    療養生活に入ってから11ヶ月が経ち、症状も改善した。
    それでも人事課は復帰を認めない。
    時間だけはたっぷりとある療養生活を送りながら、仙道は知り合いに依頼されたりたまたま遭遇した事件と関わっていく。
    当然事件は管轄の刑事が仕切っており、仙道は目立たぬように事件の筋を追っていく。
    警察手帳を持たない警察官には、多くの制約が課せられる。
    もちろん逮捕権はない。
    物語は仙道に復帰のきざしが見えたところで終わっている。
    彼には乗り越えなければならない記憶があり、助言者として動いていく経験の中で徐々に「記憶に乾き」を与えていったのだ。
    封印するでもなく引きずるのでもない。
    「乾き」という表現がしっくりとくる、そんな仙道の言葉だった。
    堂場さんが描く刑事像はどこか暗い。
    けれど、その暗さもキャラクターの魅力となって溶け合っている。
    無駄な説明文ではなく状況や心情が伝わってくるのもいい。
    明日が見えるような希望を見せての終わり方もよかった。

  • 直木賞受賞作品…。佐々木譲さんなら、この作品よりもっと受賞にふさわしい作品が沢山あるのに、と思いながら読了。
    短編集なのでさらっと読めるのと、事件にあまり深入りせずヒントだけを残して立ち去るスタイル。
    休職中の仙道がなかなか優秀で、トラウマになった事件での失態と繋がらないのだけど、そこも3年という時間の経過によるものかな、と無理矢理納得。まあ面白かった。

  • 北海道を感じながら読み進めると、いつの間にか読了。
    特に手の込んだプロットではないので、するりと読めるのがよかった。

  • 面白く一気に読んだ。読後に余韻が残る短編もある。

  • 直木賞作品を初めて読破しました。なんだろ、PTSDの治療の中、様々な依頼を受けて真相を突き止めていく刑事の姿に感動を覚えました。

  • もっとゆっくり休養とってください

  • 直木賞受賞作品をたぶんほとんど読んでいないが、他の佐々木譲作品の方が面白い気がする。
    直木賞かぁ…俺には向いていないって事だね、きっと。
    という事で内容についてのレビューは無しで。

  • 私は競馬が好きなので、以前は静内や浦河まで馬を見に行ったりもして、そんなこともあって、北海道は、何と言うか、また行ってみたいなぁという土地ですね。
    そんな北海道の各地を舞台に、ある事件をきっかけにPTSDとなり休職中の刑事が、関係者に頼まれるなどして事件に首を突っ込むこととなり、独自の方法で真相に近づいていく…という連作短編集。
    正式な捜査権限が無い警官という辺り、制服警官を主人公にした『制服捜査』と似たような設定で、全体に暗めのトーンも、真相を突き止めたところでやりきれないやるせない結末になるところもまた同じ。概ね仄めかされる真犯人や動機だけど、最後は読者に委ねられるところもそうで、この辺は好みが分かれるところと思うけど、私としてはもう少しスッキリと片を付けて欲しいところ。
    『警察小説なんだけど、私立探偵小説の雰囲気も出してみたいと思いました』と作者は語るけど、そうしたジャンルとして読むと、事件は起伏に乏しく、PTSDが主人公の行動や推理に影響を与える訳でもなく、今ひとつの物足りなさはあり。直木賞受賞の際に色んな声があったけど、まあ、そうかな。
    寧ろ、札幌ですらうらぶれて見える北海道の寂れた町を舞台に、それぞれの土地柄を映し出した、刑事を主人公にした町の人々のお話として読むほうが、作者の描写の確かさやその地方に寄せる心情に沿うような感じ。

  • 休職中の刑事、仙道に所に個人的に舞い込む謎解きの依頼を追う短編集。ここのところ、なぜか取る本取る本短編集なので、他の短編集と平行に読んでみた。

    オーストラリア人が集まるようになったニセコで、オーストラリア人が経営していたコテージで女性が殺された。当然持ち主が疑われるが、友人たちはそれはないと信じている。真犯人は誰か。

    一応それぞれの作品が謎解きであり、犯人は誰かを考えさせられるのだが、それぞれ突然終結する。ミステリでは有るのだが、純文学的な手触りの作品群である。というのも、オチの部分は叙情的でありぼんやりと終わらせている作品が複数有る。

    全体にかなり強めの動機が用意されているため、オチの部分はぼんやりとしていても、普通の読解力があれば、誰がどう関わったのかというのはわかるはずだ。

    ただ全体に、わかるけど弱い作品となってしまっているのも、強い動機に依存しすぎているところが有るのではないか。

    直木賞をとったらしい作品で、わかりやすさと読了感はよかったものの、6本もいらないから2本くらいの中編にしてほしかったと思う。仙道のところを頼りに来る一般人が多すぎるのも鼻についた。

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著者プロフィール

一九五〇年三月、北海道生まれ。七九年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。九〇年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。二〇〇二年『武揚伝』で新田次郎文学賞を、一〇年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。他に『ベルリン飛行指令』『疾駆する夢』『昭南島に蘭ありや』『警官の血』『代官山コールドケース』『獅子の城塞』『犬の掟』など著書多数。

「2017年 『武揚伝 決定版(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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