小説通商産業省 烈風 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2011年7月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167801403

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

政治の裏側に潜む人間関係の複雑さを描いた本作は、1993年の通商産業省内での人事抗争を中心に展開します。実際の事件を基に、派閥争いや保身、出世欲といった人間の本質が、国家公務員の職務にどのように影響を...

感想・レビュー・書評

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  • 通産省内の抗争を書いた本。
    派閥や妬みなどに左右されずに国益を最優先•最大限に考え、行動することが国家公務員に求められる。
    今の原発処理や東北創生がなかなか進まないのも、企業、役所、政治家の体質から生じるのだろう。

  • かつての上司の部屋から拝借した一冊。

    1993年に実在している通産省の人事抗争を忠実に再現した一冊。
    といっても1993年の政治事情なんて記憶にあるはずもなく、純粋にノンフィクション小説として読みました。

    いや、これがまさに政治の世界なんだなと素直に驚きました。
    もちろん役人なんで、公僕であり何よりも国家発展のために仕えなければならないというのはあれど、やっぱり実際は派閥争いだったり、保身だったり、出世だったりと、人間の嫌な人間関係が永田町に渦巻いているということを思い知らされました。

    政治が絡んでるんで、民間のそれよりよっぽどたちが悪い印象。しかも学歴的にはみんながみんな頭のキレる方々。
    でも国家の一大事に私怨による人事抗争があったという事実は、冷静に考えるとゾッとしますね。

    役所のあり方、役所への政治の介入、一朝一夕では体質なんて変わらないけど、この事件当時よりマシになっていることを願うばかりです。

    楽しく読ませてもらいました。

  • 1990年代前半、自民党が下野し、細川連立が政権した中で起こった、通商産業省内ののドロドロの人事抗争。省内敵対勢力による怪文書と、それを利用して辞職を迫る大臣、それに抗えないことなかれ主義の次官の手で、次官候補の大物局長が退陣を余儀なくされる。

    本書は、若干名前を変えつつ実際に起こった事件をリアルに描写していて迫力がある。関係者それぞれのその後が気になるなあ。

    事件のベースには、日本をリードしてきたとするエリート官僚の傲りと、役所の役割の変化=地盤沈下、があるんだろうなあ。

    図書館利用。

  • 細川・羽田内閣期に実際にあった通産省の人事抗争をモデルとした小説。
    まるで実際に見聞きしてきたかのような内容で、かなりリアリティがあった。実在の人物をモデルとした多くの登場人物について、かなり詳細な人物評がされており、興味深かった。通産省の組織文化も垣間見えた。良い悪いは別にして、中央省庁も結局は人の好き嫌いで動いているということがよくわかる。
    ただ、実際の人事抗争をベースにしているだけあり、ストーリーとしては、特段、面白いことはない。また、あまりにリアリティある内容なので、どこまでが本当で、どこまでが著者の創作なのかがわからないというもやもやが残った。

  • 実際にあった通産省の事件を小説風に描いたものです。過去にそんな事件があったと思い出しました。なんというか、そんなことに力さくぐらいだったら、もうちょっと国がうまくいくようにしてください。と、いいたくなるような内容です。あくまで「小説」ですけど、実態も同じ感じではないのかな?と、思います。
    天下りとかありますが、官僚に対する雇用制度もおかしいような気がします。組織の制度がしっかりしていないからこういうことを生み出すのかな?とも思います。民間企業ならありえないな。と、思うような内容です。
    先日の川口代議士が委員会の議長を罷免されましたけど、ほんとに政治家は臨機応変がないというか、「子供のケンカしてる場合?」っていいたくなりますねえ。

  • <作品紹介>
    「通産省若手有志一同」と書かれ、ばらまかれた怪文書がすべての発端だった。人事権掌握を至上主義とする霞が関、永田町に巧妙に仕掛けられた罠。それを巡って通産官僚、マスメディア、財界を巻き込む大スキャンダルに発展する。実在の事件をモデルに迫真のタッチで闇のかけひきを描く、高杉良の傑作小説。

  • ある怪文書から崩れていく通産省内の人間関係。

    主人公青山は中堅官僚であり、彼の尊敬している斉藤室長の辞任問題や彼の同期との省内の動きを垣間見る。

    怪文書でここまでも崩れていくものなのだろうか。

    人間のもろさや感情にほだされる部分を感じる作品であった。
    また青山の人間としての軸には見習いたい部分が多く感じた。自分が尊敬している人を尊敬し続け、自分が正しいと思えば上司にその信念を伝える強さ。
    また、自分の勤務している通産省を“企業”として評価している視点にも大変興味深さを覚えた。

    またどんな時にでも話し合える“同期”の繋がりの強さを感じた。

    企業に働く自分自身にも考えさせる部分が多くある読みがいのある作品であった。

  • 文章力はあまりないですかね(失礼・・・)

    でも高杉良の本は結構読んでますね。内容がすごいですもん。

    今回は通産省の官僚たちが題材。

    お国のために働かないといけないのに、己の保身、利益のために動く官僚、政治家。嫌になりますね・・・

    本当に偉い官僚はとっとと見切りをつけて辞めてしまいますしね。

    官僚にはまったく縁のない私ですが、この本を読むと官僚なんてなりたいくないですね(まあ、なれませんが)

  • 20110730読了
    出る杭は、打たれる。官僚の世界も、事務次官が毅然とした態度をとらないと、政治家の思いのままにやられてしまう。

  • 通産省を舞台に、人事抗争への政治介入をめぐる官僚の葛藤を描いた話。ディティールは新聞記事顔負け。ただ、「お茶をがぶっと飲む」という表現が何度も出てきて、最後は笑ってしまった。

  •  '93年に実際にあった通産省の局長更迭をモデルとしている。今につながる政による官圧迫の先駆けとなった事件ではあるが、政と官の主導権争い以外にも官の腐敗、官内部での主導権争いなどが複雑に絡み、そこへ小沢一郎の意を受けた当時の新生党政権熊谷通産大臣が仕掛けた局長更迭は、政治による官僚人事権の奪取を意味する。
     なぜ省の大臣が人事権を行使しないことが慣例だったのか?大臣たる者リーダーとして膝下の官僚の人事権を行使することは当然ではないのか?深く考えなければそう考えて当然だろう。
     小説中での一官僚の大臣に対する公開質問状で国家公務員法による公務員の身分保障について簡潔に語られる。「政治家というものは自らの政治的利害に左右される。その際に大臣が自由に人事権を行使できるようであれば、公務員に必要な政治的中立性は保障されない。それゆえの身分保障である。」
     民主主義を守るためにあちこちに仕掛けがされているのである。官が強すぎても政治が強すぎてもバランスを欠くと民主主義は危うくなる。片側の意見に偏った支持を与えた時国民は自ら主権を失う第一歩に踏み込んでいくことになる。
     この事件から20年近く経たが、その場その場に耳に心地よい言説に惑わされ、国民自ら民主主義を守る仕組みを破壊していく風潮は留まる事がない。一度失いでもしないとわからないのかもしれない。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。専門誌記者や編集長を務める傍ら小説を書き、75年『虚構の城』でデビュー。83年、退職し作家に専念。緻密な取材に基づく企業・経済小説の問題作を次々に発表する。代表作は『小説日本興業銀行』『小説ザ・外資』の他『金融腐蝕列島』シリーズ全5部作など。

「2023年 『転職』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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