株式会社という病 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2011年10月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167801557

感想・レビュー・書評

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  • 電通残業自殺問題が最近の大きな話題である。みなさんご存知の通り、残業が続いたため若手女性社員が自殺してしまったという事件である。

    まだ社会経験も少ない若手女性社員を自殺まで追い込む電通という会社組織に大きな問題があることは間違いないのだが、この事件の本質と問題点はどこにあるのだろうか。

    それを解くカギは、「会社とはいったいなんなのか」と「会社というものに対するわれわれの抱く幻想」にある。

    結局のところ会社というのは利潤追求の組織。それ以上でも、それ以下でもない。しかしながら、人がつくったはずのこの会社という組織が、あたかもモンスターのように人を支配し、社会に影響を与え、もはやその暴走を人がとめられなくなりつつある。

    そして、"会社から給料をもらってるんだから"と思考停止してしまった幹部たち。

    この本は、会社というものの本質、そしてわれわれはそれを自覚したうえで会社というものと付き合っていかなければならないこと、を教えてくれる。

    若きビジネスマンたち、これから社会に出ようとする就活中の学生たちに一読おすすめしたい。

    そして、若き命を絶ってしまった女性社員のご冥福をお祈りしたい。

    【このひと言】
    〇株式会社というシステムが、その内に病を抱え込んでいるとするならば、それは人間の病でもあるわけである。

  • 株式会社はその初発から病を抱えている、という考え方。氏の書いた『株式会社の歴史』を読んで理解を深めたい。
    貨幣は人々が物資を交換するにあたっての便利なツールであったが、金で金を買う金融資本主義が一般化する中で、経済がバブル化した、という論は、その通りだと思う。昭和30年代はそれほど多額の貨幣を持たずともそこそこの生活はできていたのだ。

  • ビジネス

  • 株式会社のやり方だけで全てがうまくいくと思うのは変だ。そういうことがわからなくなってる。

  • 株式会社について触れている間は良かったが、
    4章あたりから論を広げ、そこからは議論がぼやけたあやふやな感が否めない。株式会社という存在を考察するためには人間の本性を探らなければいけないという著者の言う文学的な姿勢は正しそうだが、十分に処理しきれていないようだ。

    とはいえ不祥事の原因などを株式会社の歴史、性質をかいつまみながら説明しているところは興味深い。

  • 株式会社を学校現場と読み換えても、共通するところが多々あった。
    多くの人に読まれるべき著作と思う。

  • 読んで登録忘れ

  • 内田樹さんの本によく出てくるのでいずれ読みたいと思っていてやっと読んだ。
    こういう本に出会えるから読書はやめられない。
    頭がいいというか、複眼的に思考できるとはこういう人のことを言うのだと思った。
    現時点で絶対かなわない。その敗北感が心地よい。
    単に感情的にぶった切るのではなく、論理的に解説するのでもなく、否定するのでもなく、違和感や直感という物を大切にしながら、ファクトベースで思考されている。
    その解説が圧倒的にわかりやすい。
    思考トレーニングにもなる。

  • 資本主義至上主義に一石を投じる。

  • 121027朝日 b.

  • 就活の時に読んでおきたかった一冊という言葉を見て読んでみた。思想的(哲学的?)な話も絡んできとって、全部理解できたとは思えんかったけど、これから先、期間をあけながら何度も読み返す事で消化できていくんやろうな、と思った。

  • 経済本かと思いきや、やはり平川さん、思想の話になっちゃいました。


    「神の見えざる手」〜フリードマンが提唱する自由主義経済は、しかしアダム・スミスが「国富論」で唱えた理想の社会とは異なっている。

    株式会社というものが構造上人間の欲望を増幅させるものであり、(お金以外の)人間の幸福とは乖離するものであると知る必要がある。

    会社価値と株主価値とは異なるものである。

    なぜ個人は会社のために法をも犯すのか。

    なぜものづくりよりも「カネでカネを売買する」金融のほうがはるかに儲かるのか。

    そんなことについて深く考えさせられる。

    そして筆者は単純な二項対立を厳しく戒める。どっちが正しいか、という幼稚な議論がおそらく社会を悪い方向に進めていくのだ。

    この本が書かれた2007年より、確実に事態は悪化しているように見えるが、若い人たちを中心に行きすぎた経済偏重主義に疑問を持つ人間は確実に増えていると思う。その声を拾い上げて行きたいと思う。

  • 株式会社という病・病とはそれをつくり出す(醸し出す?)ものの中に内包している。善悪ではなく、それはどういうものなのかに対して冷静にそして普通のビジネス書では触れない側面から捉えようとする。直接間接を問わず、株式会社という病にわれわれは「epidemos」している。その表層だけ捉えて美しい、美しくないと言うのは問題を捉え違えているのではないか、と再三平川氏は疑問を投げかける。それは光の差す範囲と方向を見すえる目を失った盲目のゴルギアスか。株式会社の存在を再見する興味深い著書。

  • この本で指摘されている、企業の論理を適用すべきでない領域にまで適用しようとする傾向というのは自己評価の低い人や鬱傾向の人を多く生み出しているのではないかと思った。生産性の低い従業員はリストラすべきで、劣った企業は市場から退場すべきだという論理はたやすく自分自身を襲う。そんなとき、企業の論理を内面化しすぎて個人の論理と区別が付かなくなっていれば、反論することができずに自己否定に向かう。そんな絶望、する必要ないのに!

  • 「株式会社という病、それは欲望の異名。」(p 142)
    会社「の」病ではなく、会社「という」病。この洞察力が平川さん。
    企業による不祥事は、悪い社員や悪い経営者によってたまたま起きたと考えるのではなく、会社の本質として内在していた何かの出現と考える方がよい、と言う。
    中の人(株式会社の現役経営者)だけど外の視点を持つ人が、ゆっくり噛みしめるように検討してキラッと光る言葉を置いていく。
    「ビジネスの本質は交換」「知識を積み重ねても知性にはならない」など。
    『国家の品格』にも、『ウェブ進化論』にも、釈然としないものを考じるというその感性もいい。論理はなるほどと思うが感情が嫌がる、といいその理由を掘り下げる。そして、前者には他者への敬意が欠けていることを、後者には知というものを量で測ろうとする姿勢があることを指摘する。なるほど。
    ただし、堅くて読みにくい文体。この本に限らずブログでもエッセイでも共著でもいつも同じことを感じる。取っ付きにくくて閉口する。

  • 私事ながら今日、新入社員の分際で会社の上司と衝突した。詳しいことは書かない。

    このとき、うちの会社の実態は全体主義と管理主義を思考停止で隠しているものの、異物が現れたときの矯正処置の徹底さは異常であることがよくわかった。恐ろしさすら感じる。

    この本読んだのは、2週間前なのだが、「会社は個人を平気で裏切ることは覚えておくべき」ということが書かれていたのを思い出した。

  • 株式会社というシステムの内包する矛盾を自覚する事の大切さ。

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著者プロフィール

平川克美(ひらかわ・かつみ)
1950年東京生まれ。早稲田大学理工学部機械工学科卒業。文筆家。「隣町珈琲」店主。空手道場辛夷会指導員。著書に『小商いのすすめ』『21世紀の楕円幻想論』『共有地をつくる』(以上、ミシマ社)『俺に似たひと』(医学書院)『移行期的混乱』(筑摩書房)『言葉が鍛えられる場所』(大和書房)『ひとが詩人になるとき』(ミツイパブリッシング)『マル』(集英社インターナショナル)など多数。

「2025年 『三歩あるけば、旅の空』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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