おひとりさまの老後 (文春文庫 う 28-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801625

作品紹介・あらすじ

結婚していてもしていなくても、長生きすれば、最後はみんなひとりになる。社会学者で、自らもおひとりさまである著者が、数多くのケーススタディをふまえ、ひとりで安心して老い、心おきなく死ぬためのノウハウを、住まいやお金などの現実的な問題から心構えや覚悟にいたるまで考察。75万部のベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 一人きりの老後

    【動機】
    人生の折り返し。
    身体の不調もあり、生きること、働くことの尊さを改めて認識する毎日。

    そんななかで、弁論がたつ上野さんの考え方に触れたくなる。

    【内容】
    2011年の発刊。
    高齢になると必ず直面する事象を網羅的に論じる。
    正解うんぬんではなく、上野さん冒頭の、老後のハードではなく、ソフトの部分の受け入れ方。

    【こんな感じで過ごせたら、、、】
    1.介護
    ①受け入れるこころ構え。
    歳を重ねる。
    弱くなることを受けいれる。
    ②自身でできること、出来ないこと。
    自覚する。伝える。
    ③介助を受けて
    ○、▲のフィードバックを行う。
    そして、介助者への感謝、ありがとうを伝えること。

    2.お金
    残すならば、自身が残したいひとへ。
    それは、第三者でもよい。
    寄付の視点。

    3.付き合い
    自身が自身らしくいられる時間。
    それが大切。
    広げるのではなく、見極め。

    4.時間
    3.同様。
    上野さんが自然、山麓そばで仕事をする理由。
    それは、ただ、そこにただずみだけで、1人きりで時間を過ごせること。
    それが心地よいから。

  • 東大入学式における上野千鶴子名誉教授の祝辞が話題になっている。詳しくは​ヤフーニュースを読んでほしい。日本における女性学のパイオニアである。とは言っていも、平成よりは少しまえにしか始まっていない若い学問である。なんでも取り上げた分だけ学問になる。だから、「おひとりさまの老後」問題もパイオニアだった。けれども売れた。理由は一つしかない。学問として提示する前に、既に社会の方が変わっていたからである。大学入試における女性差別も、社会におけるさまざまな差別も、どうも(男)社会だけが気が付いていない場合が多いようだ。日本における「女性」とつく問題は、たいていこの体のようだ。さて、閑話休題。この本を読んだ。

    文庫本が出たのが、2011年12月である。私は、その時読もうと思ったが、図書館に予約すると、数年待たなくては順番が回ってこないほどの予約が入っていた。しばらく予約していたが、途中で諦めた。当時は今ほど積極的に文庫本を買っていなかったのだ。今回本屋に平積みされていて、何も考えずに買ったのだが、実は単なる重版出来だったのである。この本にも書いているが、2007年に単行本が出た時は、こんなに売れるとは予想しなかったらしい。11年段階で28刷75万部、現在文庫本16刷だから軽く累計100万部は超えている。図書館の予約状況を見ると、300万人以上は実際に読んでいることになるだろう。この本にも書いているが、高齢化社会を迎えて、女性はやがては「おひとりさま」になる。なあんだ、シングルも家族持ちも同じじゃないか。だとすると、「1人で暮らす」ためのノウハウと「心構え」を書いたこの本が売れるのは、理の当然だったというわけだ。さらに言えば、オトコはかなりの数がシングルのまま生活している。ここに書いてあることは、ほとんど男にも当てはまることなのである。私が、読もうとしたのも理の当然なのである。

    介護保険を使いどんな状態になっても満足して最期を迎えるノウハウに関しては、この本では具体性に欠けていて、既読の​『上野千鶴子が聞く 小笠原先生、ひとりで家で死ねますか? (朝日文庫)』​の方がよっぽど為になる。この本には、まだ実現していないそのような社会になる前の、社会意識みたいなものが見えるということ。そして「おひとりさま」になるための心構えが読めることに意義があるだろう。

    「おひとりさまで生きるためには、必ずしも家族は必要ない。けれども友だちは必要だ」その他「ピンピンコロリはファシズムだ」とか「介護される側の心得10カ条」とか「孤独死を恐れない。数日で見つけてくれれば十分OK」とか「遺言の書き方」とか、心構え的なことで十分読んで良かったと思った。

    2019年4月読了

  • この作品は2007年に書かれたようです。
    著者は、1948年生まれなので、著者が59歳位の時に書かれたものと思われます。

    私が読んでいるのは、文庫本で、こちらは2011年に刊行されています。
    その文庫本のあとがきによると、最初の単行本は、28刷75万部売れたそうです。

    94頁まで読んで、図書館に返す。


    2021年3月28日、追記。

    本日読了。
    上野千鶴子さん、どのような方かと思い、ウィキペディアを見てみた。
    以下は、引用です。

    上野 千鶴子(うえの ちづこ、1948年(昭和23年)7月12日 - )は、日本のフェミニスト、社会学者。専攻は、家族社会学、ジェンダー論、女性学。東京大学名誉教授。

    NPO法人ウィメンズアクションネットワーク (WAN) 理事長、日本社会学会理事、元関東社会学会会長(2005年(平成17年度)- 2006年(平成18年度))、元日本学術会議会員(現在は連携会員)、シューレ大学アドバイザー、「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」共同代表を務める。 慰安婦問題の解決をめざす会に所属。

  • 人間死ぬときは一人。
    誰もが迎えうる「おひとりさま」の老後ライフを充実させるための心得を説いた本。

    住居、おつきあい、介護、終末期の始末。
    単行本の初版は今から10年以上前で、その間類似テーマの本は数多く出版されており、それほど目新しい内容ではない。
    ただ、介護を「する方」ではなく「される方」の心得が挙げられているのはなるほど、と思った。
    コミュニケーションは双方向なので、当然「される方」の心得も必要なはずだが、意外にその目線からの本はないのではないだろうか。

    自分自身がどう生きていきたいのかしっかり考えること、お金も含めて実現に必要な準備をすること、コミュニケーションを大事にすること。
    「おひとりさま」でなくても、「老後」でなくても必要なことである。悔いのないよう、今から心しておこう。

  • 10年前くらいの本なのでなんとも言えないし 筆者の生活水準を想定して考えればうなずけるのだろうけど...
    世の中はもっと生活水準が低い人達の方が多いのでないかと思ってしまう。
    自分の思いは間違ってるのかなぁと感じたことが1つありました。今の自分は認知症になってわからなくなってまで長生きしたくないと強く思っています。けれど歳をとってその立場になった時 死にたくない生きていたいとやっぱり思うのかなぁ...と...
    その頃の自分もやはり自分なのだし...
    でもやっぱり子供達にだけは迷惑かけたくないなぁ...と思ってしまうのよのね。自分の親がどんどん歳を取っていくのを見ていると 将来を悲観的に考えてしまう。
    楽しみがなく愚痴ばかりの毎日...そんな老後は過ごしたくないと 楽しみを増やしていきたいと思いながら 日々を過ごしているけど...
    今の私は孤独死でいいかな?とも考えている。それが寂しいことだとかあまり思わないかなぁ。ひとりでいるのが1番楽だしホッとする。その次に家族といる時...
    自分は冷たい人間なのかなぁ...と考える時がたまにある。
    けれど、もうムリ!と思うことに対して スルーすることに決めたらちょっと楽になったんだよね。
    スルーする自分に対しての周りの目は全く気にならないと言えば嘘になるけど どう思われているかなんて考えてもわからないことを気にして病むより 心穏やかに過ごしたいかな...

  • 生きていれば誰でもそこに向かう「老後」
    20 代よりも30代40代50代と年代がすすめば、ヒタヒタと近づいてくるわけで、不安が増すばかり。
    この本は、「大丈夫よ、だってこうでしょ」と
    根拠も統計も書籍も私見も混ぜて、励ましてくれる本でした。
    サバサバした語り口なので、思わず笑ってしまったり、あるあると頷いたり。

    病院や施設にいると、「家に帰りたい」と思う。
    それは「家族と一緒に暮らしたい」という希望なのか、「自分の家というスペース」に帰りたいのか、周囲の人は取り違えているのではないか、という部分は、たしかに!と思いました。
    夫や子供がいても、いなくても、(子供は巣立つもの)おひとりさまは多くなっている。
    ひとりの家に帰るのなら、なんの問題もない。
    むしろ帰ることを拒むのは同居人たちだ。

    老後は100%やってくる。
    あらかじめ準備することは可能なこと。
    おひとりさまの老後にはスキルとインフラが必要。
    住む場所、お金、友達、介護されることの勇気、
    漠然とした心配や不安が、解消まではいかなくても、なんとかなりそう、と思えました。
    地域的に選択肢が少なくても、自分で決めていいことはたくさんある。
    介護に関しては、その質と対価は一致しない。
    自分なりに考えて、しっかり準備しておこうと思います。

  • おんな一人の老後をどうやって過ごすべきか、心構えと現実をエッセイ風に読ませる内容だった。

    我々男性からすると、所々で引っかかる表現があって、「じゃあ俺たちはどうしたらええの?」とか「早く去るのに取られるばっかりかよ?」みたいな気持ちになる。

    とは言え、全体的には現状(と言っても本作が書かれたのはもう15年程前のことになるのだが)を冷静に正しく分析されており、老後への備えとしての考え方など、男性にも参考になり有用な、うなづけるところが多数あった。

    「おひとりさまで生きるためには、必ずしも家族は必要ない。けれども友だちは必要だ」とか、「ピンピンコロリはファシズムだ」とか、「介護される側の心得10カ条」とか、「孤独死を恐れない。数日で見つけてくれれば十分OK」とか、どなたかも感想に書かれていたが、自分もそう思う点が多く、読んで役に立つ作品だと思う。

  • おひとりさまが楽しく過ごすコツ…上野千鶴子さん「さみしいと言えることが重要」|DANRO:ひとり時間を楽しむメディア
    https://danro.asahi.com/article/12125252

    いつか必ず来る「おひとりさまの老後」、知っておきたい心構えと準備(上野 千鶴子) | 現代ビジネス | 講談社
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51203

    文春文庫『おひとりさまの老後』上野千鶴子 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167801625

  • エッセイにすべきか、ノンフィクションにすべきかw
    2011年発行。
    実は上野先生の著作をひとつも読んでいないので手に取ってみた。もっと概念論みたいなものかと思っていたが、さすが社会学者、データや参考文献、有名も無名も含んだ数々のおひとりさまエピソードなどなどがこれでもかとばかりに詰め込んである。だが、さらっと書いているのでとても読みやすい。おひとりさまができる人は当時快哉を叫んだだろうし、いつまでもぐずぐずとしている人には「私には無理」と思わせただけかもしれない。

  • ◆2021/09購読
    老後にそなえて、介護をどのように捉え、介護サービスをどう活用していけばよいかの心構えが指南してある本です。老後って漠然と不安があったりするものですが、この本をよむと、なんだか楽しく、ポジティブになれます。上野先生だけに社会問題にも切り込んでいて面白く学べます。

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの・ちづこ)東京大学名誉教授、WAN理事長。社会学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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