おひとりさまの老後 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 511
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801625

作品紹介・あらすじ

結婚していてもしていなくても、長生きすれば、最後はみんなひとりになる。社会学者で、自らもおひとりさまである著者が、数多くのケーススタディをふまえ、ひとりで安心して老い、心おきなく死ぬためのノウハウを、住まいやお金などの現実的な問題から心構えや覚悟にいたるまで考察。75万部のベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 東大入学式における上野千鶴子名誉教授の祝辞が話題になっている。詳しくは​ヤフーニュースを読んでほしい。日本における女性学のパイオニアである。とは言っていも、平成よりは少しまえにしか始まっていない若い学問である。なんでも取り上げた分だけ学問になる。だから、「おひとりさまの老後」問題もパイオニアだった。けれども売れた。理由は一つしかない。学問として提示する前に、既に社会の方が変わっていたからである。大学入試における女性差別も、社会におけるさまざまな差別も、どうも(男)社会だけが気が付いていない場合が多いようだ。日本における「女性」とつく問題は、たいていこの体のようだ。さて、閑話休題。この本を読んだ。

    文庫本が出たのが、2011年12月である。私は、その時読もうと思ったが、図書館に予約すると、数年待たなくては順番が回ってこないほどの予約が入っていた。しばらく予約していたが、途中で諦めた。当時は今ほど積極的に文庫本を買っていなかったのだ。今回本屋に平積みされていて、何も考えずに買ったのだが、実は単なる重版出来だったのである。この本にも書いているが、2007年に単行本が出た時は、こんなに売れるとは予想しなかったらしい。11年段階で28刷75万部、現在文庫本16刷だから軽く累計100万部は超えている。図書館の予約状況を見ると、300万人以上は実際に読んでいることになるだろう。この本にも書いているが、高齢化社会を迎えて、女性はやがては「おひとりさま」になる。なあんだ、シングルも家族持ちも同じじゃないか。だとすると、「1人で暮らす」ためのノウハウと「心構え」を書いたこの本が売れるのは、理の当然だったというわけだ。さらに言えば、オトコはかなりの数がシングルのまま生活している。ここに書いてあることは、ほとんど男にも当てはまることなのである。私が、読もうとしたのも理の当然なのである。

    介護保険を使いどんな状態になっても満足して最期を迎えるノウハウに関しては、この本では具体性に欠けていて、既読の​『上野千鶴子が聞く 小笠原先生、ひとりで家で死ねますか? (朝日文庫)』​の方がよっぽど為になる。この本には、まだ実現していないそのような社会になる前の、社会意識みたいなものが見えるということ。そして「おひとりさま」になるための心構えが読めることに意義があるだろう。

    「おひとりさまで生きるためには、必ずしも家族は必要ない。けれども友だちは必要だ」その他「ピンピンコロリはファシズムだ」とか「介護される側の心得10カ条」とか「孤独死を恐れない。数日で見つけてくれれば十分OK」とか「遺言の書き方」とか、心構え的なことで十分読んで良かったと思った。

    2019年4月読了

  • 10年前くらいの本なのでなんとも言えないし 筆者の生活水準を想定して考えればうなずけるのだろうけど...
    世の中はもっと生活水準が低い人達の方が多いのでないかと思ってしまう。
    自分の思いは間違ってるのかなぁと感じたことが1つありました。今の自分は認知症になってわからなくなってまで長生きしたくないと強く思っています。けれど歳をとってその立場になった時 死にたくない生きていたいとやっぱり思うのかなぁ...と...
    その頃の自分もやはり自分なのだし...
    でもやっぱり子供達にだけは迷惑かけたくないなぁ...と思ってしまうのよのね。自分の親がどんどん歳を取っていくのを見ていると 将来を悲観的に考えてしまう。
    楽しみがなく愚痴ばかりの毎日...そんな老後は過ごしたくないと 楽しみを増やしていきたいと思いながら 日々を過ごしているけど...
    今の私は孤独死でいいかな?とも考えている。それが寂しいことだとかあまり思わないかなぁ。ひとりでいるのが1番楽だしホッとする。その次に家族といる時...
    自分は冷たい人間なのかなぁ...と考える時がたまにある。
    けれど、もうムリ!と思うことに対して スルーすることに決めたらちょっと楽になったんだよね。
    スルーする自分に対しての周りの目は全く気にならないと言えば嘘になるけど どう思われているかなんて考えてもわからないことを気にして病むより 心穏やかに過ごしたいかな...

  • おもしろかった。既婚でも未婚でも死ぬときはおひとりさま。引き続き上野先生の著作を追っかけていきたい。

  • イデオロギーが合わなくても読ませられる人っているよね。この人はそういう人だと思う。

  • いまや市民権を得た言葉、「おひとりさま」。結婚しない人は、女性のみならず男性にも増えている。一方、結婚したとしても、子どもを授からなかったカップルも増えているし、老後、子ども達と一緒に生活したり、看病・介護してもらえる人がどれほどいるのか。他方、「一緒に住まない?」という子どもたちの申し出を「悪魔のささやき」と称したり、要介護の親との同居が嫌なら、親が家を出て施設に入るのではなく、より柔軟性が高く適応力のある若い世代=子ども世代が家を出て行けば良いと説く筆者。成る程、一理ある。

  • 売れてるわけですよ、面白いもの。団塊世代の作者とは何十歳も年が離れてる私ですが、身につまされました!

  • 「平成31年度東京大学学部入学式 祝辞」で話題になった上野千鶴子さんの著書です。(詳細は各自Web検索にてご覧ください)

    女性視点からみた「おひとりさま」の暮らしをいかに快適にするかということに的を絞り、書かれています。
    「ひとりでいることも、だれかといることも、どちらも選べるのがおひとりさまの特権」と述べられているように、いかに「おひとりさま」を楽しむかということを追求されています。

    情報がかなり古い(10年くらい前)のものになるので、当時と今とでは状況がかなり違うのですが、それでもこの時期にこれだけのことを考えていらっしゃったとは。
    「友人は沢山持っておく」とか「自分に介護保険を掛けて快適に暮らす方法」とか「介護を受ける心がまえ」「遺言はどうするか」など、今にも通じる考え方が沢山あり、私も他人事ではないのでとても参考になりました。

    確かに、よくよく考えてみれば一旦結婚した方でもいつかは一人になるのだから、今から備えておこう、というのはとても理にかなっていて、そのための「おひとりさま」の心得、というわけです。

    特に衝撃的だったのは、PPK(ピンピンコロリ)運動(=生きている間は元気で、死ぬときは突然にさっと死ぬ)をファシズムと称したことでしょうか。
    続けて「人間のような大型動物はゆっくりと死んでいくのだからそれは難しい」という結論に至ります。
    その後、「葬式や看取りは死んだ者のためでなく生きている者のため」と続き、このPPK運動も残される人たち(≒介護をさせられる人たち)のために行われているのだ、という一連のつながりを感じました。

    要介護になれば「家族なんだから介護しなければ親不孝と思われる」と内心オロオロされ、「同居する?」という声かけの裏には(本当は嫌だけど良い娘・息子であらねば)という心の声があり、夫婦になれば旅行先でもせっせと夫の面倒を見なければならず、夫の介護では身体の不自由な夫に「誰の年金で食っていると思っている」と杖で叩かれる……。

    そういう方ばかりではないし、今はそういう時代ではなくなったことは十分に理解していますが、この当時、そういう話を身近で日常的に見聞きしていたのなら、「おひとりさまがいちばん」と思う気持ちにはとても共感できるなと思いました。

  • シングルでいることも、死ぬことへの恐怖感も軽減される一冊。
    結局人は産まれてくるときも、死ぬときも一人だと肝に銘じて
    人に左右されない人生を生きたい。

  • 某御方のプロポーズの言葉に対して
    「何から守るんだか」発言は
    「ひぃっ」とおののきました。
    お強い方です…。

  • 子供も成人し、親の介護も経験すると自分の老後を考えるようになった。既婚でも50代からは夫と死別し一人になる妻もぐっと増えるらしい。それに例え寿命を全うしても女は男性より長生きする傾向があるから、夫が亡くなってもおひとりさまで過ごす時間は結構あるかも。おひとりさまの老後には、家、友人、お金が必要と著者は言う。その通りだと思う。あと一人時間が好きでないと、おひとりさまの老後を楽しめないとも書いてあった。介護の受け方、お墓の事等も書かれていて興味深く読了。

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの ちづこ)
1948年富山県生まれの研究者。専攻は社会学で、女性学やジェンダー研究の第一人者として知られる。東京大学名誉教授。著書に『近代家族の成立と終焉』、『家父長制と資本』(岩波書店)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい』(紀伊國屋書店)、『ケアの社会学』(太田出版)、『サヨナラ、学校化社会』など多数。

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