午後からはワニ日和 (文春文庫 に 19-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801779

作品紹介・あらすじ

「イリエワニ一頭を頂戴しました。怪盗ソロモン」凶暴なクロコダイルをどうやって?続いて今度はミニブタが盗まれた。楓ヶ丘動物園の飼育員である僕(桃本)は解決に乗り出す。獣医の鴇先生や動物園のアイドル七森さん、ミステリ好きの変人・服部君など、動物よりもさらに個性豊かなメンバーが活躍する愉快な動物園ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 動物園を舞台にした物語。ある日、「怪盗ソロモン」を名乗る人物にイリエワニを盗まれた。希少動物というわけでもないワニを盗んだ犯人と理由は?
    動物園の飼育員がメインキャラクターなので、動物が大好きな個性的な人々(やたらと動物にベロベロ舐められるサバンナ担当主人公、クールビューティー鴇先生、アイドル的存在な小動物担当七森さん、変態で爬虫類担当服部くんなどなど…)が好感が持て、動物園の裏側も見れたようで面白かった。久々に動物園に行きたくなってきた。

  • おもろかった。久々の活劇ミステリ(大げさ)。動物園でおきるイリエワニなど動物の誘拐殺害事件。典型的な主人公の男性はアノニモス的なちょっとドジっ子。獣医兼猛禽館担当の鴇先生がすばらしくかっこいいキャラ(現実感のなさが特に良い)。多人数系アイドルのような七森さんもよいし、園長や服部くんなど魅力的。ともかく、バイオレンスでミステリで事件でもあるんですが、全て良い意味でバランスが優しい感じで、すっきりした読了感。

  • 動物園から盗まれたワニ。誰が盗んだのか、飼育員たちが犯人を見つける話。

    動物園の飼育員目線で、面白かった。

  • 動物ネタがもう少し多いともっと楽しめる気がする。あくまで動物園が舞台の人間模様。シリーズ通して読んでみる。

  • 友達にオススメされて読みました。
    似鳥さんの動物シリーズの1巻目。

    動物園がテーマとなっているミステリーは新鮮で、
    読み終わり動物園に日常が戻るとホッとする読後でした。
    動物は「器物」扱いなんだ、とか、飼育員さんの働いているときの葛藤とか、どれも知らないことばかりで興味深い。動物園という場所について、テーマパークのようなイメージしかもっていなかったが、考えが変わりました。

  • 動物園からワニが盗まれた。そこには「怪盗ソロモン」という貼り紙が…
    凶暴なワニをどうやって盗んだのか、そして何故…
    その後今度はミニブタが盗まれて、飼育員たちが解明に乗り出した。
    まず動物園のお仕事小説として面白かったし、キャラが立っているのもいい。そして軽いラノベかと思いきや、最後はなかなかハードな内容で考えさせられた。

  • このシリーズ、続きも読もうと決意。わたしこの作家さん好きだ。
    取材・調査に基づいたのであろう動物園知識を盛り込めるぶんだけ盛り込み、キャラクターを立たせて、おまけに犯人探しのどストレートな楽しさも。サービス精神あふれる書き振りが楽しい。

  • ★いえ、七森さん、あなたはすでに齧歯類です(p.293)

    ・短編集かと思ったら長編でした。次々と盗まれてゆくさほどお金にはならない種類の動物たち。誰がなんのために、どうやって(特に最初の事件)。暴力団がからんできたあたりでそもそもの原因は察しがつきましたがなぜこういうことになってしまったのかは解けませんでした。
    ・サブタイトルの付け方が梶尾真治さんの「エマノン」シリーズみたいですね。
    ・動物がらみやし、似鳥鶏さんは読んでってみようと思ってたし、イラストのスカイエマさんに最近惹かれてるのとで手に取りました。

    ■楓ヶ丘動物園についての簡単なメモ■

    【一行目】動物園の飼育員は腰のベルトに様々なものをぶら下げている。

    【アイ】ミニブタの雌、六歳。
    【あにまる通信】飼育員たちによる動物園ブログ。
    【ウァレフォル】謎の人物。元の意味はソロモン王が使役する七十二柱の悪魔の一柱。手持ちのド=プランシー『地獄の辞典』によると天使の姿ないしは、ライオンの顔にガチョウの脚、野兎の尾という姿で現れ人間に才気と大胆さを与えるとなっている「ヴァラファール」がこれになるか。他の説では人間に盗みをそそのかす悪魔というものもあった。
    【ウララ】シマウマの雌、六歳。
    【江川】獣医兼レッサーパンダ担当。
    【N作戦】「泣いた赤鬼作戦」の略。友人のためにあえて悪役をするという憧れのシチュエーション。服部くんがしたがっていた。
    【遠藤】広報係。女性。プライベートでも広報係という厄介なお人。
    【大久保】南署の若い刑事。
    【オードリー】フタコブラクダ。もうじき出産。
    【楓ヶ丘動物園】舞台となる動物園。
    【グレゴリー】たぶんフタコブラクダ。雄。
    【コータロー】グレービーシマウマの雄、八歳。
    【ココ】ダチョウの雌、十六歳。おとなしい性格。
    【コン】イリエワニ。一番小さく一メートル二十センチ。
    【佐世保修/させぼ・おさむ】三代目園長。長身で上品な白髪、知的なまなざしの紳士。アフリカゾウの飼育を二十年間担当した職人肌の飼育員だった。
    【サトシ】イリエワニ。二番目に大きいがルディとそう変わらない。
    【飼育員】二割は動物好き。三割は動物マニア。五割は動物バカ。
    【ジェシカ】アミメキリンの雌、九歳。
    【ショコラ】モルモット。
    【ソロモン】怪盗。イリエワニのルディを盗んだ。
    【高橋】庶務。
    【都筑/つづき】南署の刑事。
    【テレビカメラ】《テレビカメラというのは、向けられる人にとっては銃口のようなものだった。》p.131
    【動物園】犯罪現場には向かない現場。言うことを聞かない生き物がぞろぞろおり危険だしいろいろ制限もあるのでとても捜査しにくい。
    【動物園不要論】根強く存在する考え方ではある。個人的にはぼくも「なくてもいい」とも思っているのですが、その教育的価値の高さは認めています。ただ教育的価値のために動物の自由を奪うのがゆるされるのかとか、でも実のとこ動物園で飼われている動物たちは野生よりもシアワセなのかもとか、まあいろいろ考えて結論は出にくいです。
    【鴇/とき】獣医兼猛禽館担当。髪をひっつめにしている。長身で姿勢がいい。思い切りと度胸もいい。この人に指示されると誰もがつい姿勢を正してしたがってしまう
    【時田】渉外係。
    【七森さや/ななもり・さや】ふれあい広場担当。園のアイドル。動物の名前にも「さん」をつけて呼ぶ。折り紙をよくしてる。
    【盗まれた動物】イリエワニ一頭ルディ。ミニブタ二頭アイとハナ。インドクジャクの雌一羽。
    【服部】爬虫類館東側担当。文学青年だったゆえか作中一番の変人ゆえか「あにまる通信」に載せる文章もときおり耽美に走ったり変態的なのでむしろ評判がよかったりする。《服部君の辞書にデリカシーという単語はない。》p.230
    【ハナ】ミニブタの雌、十一歳。
    【はにかみ屋】桃くん御用達の弁当屋。何を選んでも必ず異常に塩辛い謎の漬け物がついてくる。
    【BL】ブリーディング・ローン。動物園同士での動物の貸し借り。
    【伏見】爬虫類館西側担当。
    【ププル】オランウータンの雄、二歳。
    【ふれあい広場】動物に触れるスペース。
    【ボコ】ダチョウの雄、十七歳。なぜか人間の雌を見分けることができ求愛する。
    【本郷】先輩。どこの動物園にも一人はいる熊ヒゲの飼育係。
    【村田】広報係。以前は工場に勤めていた。
    【メイ】アミメキリンの雌、三歳。人懐っこい。桃さんの顔を舐めたがる。
    【モモ】ミニブタ。
    【桃本/もももと】語り手。だいたい「桃さん」とか「桃くん」とか呼ばれる。オランウータンとミニブタに「モモ」がおり他園に引っ越したコビトカバにも「モモ」がいるので「人間の方のモモ」と呼ばれることもある。アフリカ草原ゾーン担当。動物に舐められやすい。皮膚から美味しそうな何かを分泌しているのかもしれない。
    【モルコ】モルモット。
    【ヤヨイ】ミニブタ。
    【リリィ】シマウマの雌、五歳。コータローを物憂げに見ている。
    【ルディ】イリエワニ。
    【ワリー】イリエワニ。一番大きく二メートル近い。

    【第一章 のたのたクロコダイル】二メートル近くある危険なイリエワニが「怪盗ソロモン」とやらにさらわれた。いつ、どうやって、なんのために? 桃くんが疑われてるみたい?
    【第二章 ごろごろポットベリー】七森さんの周囲が不穏な感じがしたので食事に誘ってみたが…。そしてふれあい広場のミニブタ二頭がさらわれた。鴇先生とのコンビ誕生。
    【第三章 ばさばさピーコック】鴇先生と桃くんの捜査と危機。そして桃くんが襲われた。
    【第四章 がっかりホモサピエンス】七森さんとの会話から少しずつ謎がほどけてゆき鴇先生、服部くん、園長なども参戦。

  • 動物園ミステリーは動物好きとして気になってしまった。
    ライトな感覚でサクサク読めて楽しめた。

  • いや〜、面白かった!!(^o^

    動物園を舞台に、飼育員を主人公に据えた、
    立派な「お仕事小説」としてまず面白い(^ ^
    実は密かにあこがれていた職業である、
    動物園の飼育係の生態(?)がよく分かり、
    非常に興味深く読めました(^ ^

    飄々とした主人公と、彼を取り囲む
    「濃いキャラ」の面々のやり取りが楽しい(^ ^
    彼らの日常を追うだけで、一般人には非日常で
    非公開の世界だから、もうそれだけで充分な(^ ^;

    その上、事件が発生して、謎解きをしていくのですが、
    その事件が本格的(?)で(^ ^

    主人公の「飄々さ(?)」に惑わされがちだが、
    起きている事件は重大で申告で(^ ^;
    主人公も結構なピンチに遭ったりする(^ ^;

    動物園で起きた、動物園ならではの事件。
    それが意外な広がり(?)を見せていき、
    最後までぐいぐいと引き込まれてしまった(^ ^

    例によってミステリなので、細かくは書けませんが...
    いや〜、これは面白かった(^ ^
    続編に大期待(^o^

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著者プロフィール

1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。「市立高校」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズの他に『難事件カフェ』『迫りくる自分』『きみのために青く光る』『シャーロック・ホームズの不均衡』『レジまでの推理~本屋さんの名探偵~』『101教室』『彼女の色に届くまで』『100億人のヨリコさん』『名探偵誕生』『叙述トリック短編集』『そこにいるのに』『目を見て話せない』『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』などがある。

「2023年 『育休刑事 (諸事情により育休延長中)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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