不揃いの木を組む (文春文庫 お 55-2)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167801786

作品紹介・あらすじ

「不揃いでなくちゃあかんのや。いいのもいる、悪いのもいるっていうのがいいんだ」。法隆寺最後の宮大工、故西岡常一の内弟子を勤めた後、鵤工舎を設立。多くの後進を育てた宮大工の親方の金言の数々。「他人のことより自分を見つめろ」「言葉でストレートに教えないわけ」。人を育てるとは何か?全ての働き学ぶ人の心に響く言葉。

感想・レビュー・書評

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  • 不揃いでよいのである
    不揃いが総持ちすることによって強固に組みあがる
    よい言葉でした

  • "宮大工の小川さんが宮大工になるまでの経験と現在若者の育成の場ともなっている鵤工房での日常を語ったもの。
    人生を歩むうえで様々な示唆に富んだコメントが豊富。"

  • 宮大工の鵤工舎で、人をどのように育てていくかを棟梁が話し、それを聞き書きした本。国宝級の寺の修復という素晴らしい仕事をしているのに、その気負いのようなものは感じられず、ばらばら性質を持った弟子たちをどのように導き教えてきたか、棟梁としての逡巡を交えた本。

    宮大工の工法などの話かと思って読み始めたので、自分としては期待外れだった。また、話が行きつ戻りつしているため、もどかしい感じもしたが、それが棟梁としての迷いを表すものともなっているのだなと思った。

  • 「働く」ということについて考える時に読んでもいい、この本を読んで「働く」ことをもう一度見つめ直してみるのもいい。就職前後の若い方から、部下をもってバリバリと働いている方まで、幅広い世代に響く本だと思います。

    所謂「職人」としての仕事を選んでいる方にはもちろんだし、会社員30歳の私が読んでも勉強になった。特に最後の数章は将来を考える上でグッと来るものがある。文章から伝わってくる小川さんの人間性も魅力的。
    日本の伝統文化への見聞を広める意味で読んでも○

  • 故西岡常一氏の元で宮大工の内弟子修行を重ね、鵤工舎を設立した筆者が説く、独自の教育論を作家の塩野米松氏がまとめたものです。現在、筆者は一線を退いているそうですが、時を越えて読む人の心を打つものです。

    現在は後進に道を譲ったそうですが、故西岡常一氏の元で宮大工の内弟子修行を積んだ後、自らの大工集団であり、後に会社法人となる鵤工舎を設立し、多くの後進を育てた宮大工の親方である筆者が語る教育論をまとめたものであります。

    宮大工の修行期間は10年。その間に寝食を大勢の人間と共にし、現場で仕事を通して人を育てるがゆえに、学校教育ではない実践に即した教育がここでも限らず、多くの建築関係の現場では行われております。大工になる、建築関係の職人になるという人間の多くは、中学を卒業、もしくは高校を卒業もしくは中退して、修行の世界に飛び込んでくる人が多かったなというのが個人的な感覚で、なかには大学や専門学校を卒業した人間も来ることは来ると、ここでも書いているのですが、大工に即した体を作る、ということや道具、特に刃物の研ぎ方には本当に心血を注いだり、先輩職人の食事や掃除などの修行に耐えかねて、修行の道をあきらめるという人間も多い中で、長い歳月を耐え抜いて、一つ一つの現場を踏んで、修行してきた人間は多く筆者の元を巣立っているということを聞きました。

    ここで語られるのは筆者が自分の仕事を切り盛りしていくなかで、もしくは宮大工を志す人間を以下に使いこなすなかで積み重ねられてきた『人を使う』ためのノウハウでもあるかと思っております。筆者の友人で作家の塩野米松氏が筆者の言うことの『意図』を組んで活字化しているので、筆者と膝を合わせて話を聞いているような感覚を読んでいるうちに味わうことが出来ました。こういう哲学や教育法は鵤工舎で現在も修行に励む宮大工の間にはもちろんのこと、筆者の元を巣立って独立し、人を使う立場になった人間のもとにも脈々と息づいているかと思っております。

  • 2012/08/02-22:56 ポツポツと響く所があって良いなぁ

  • 法隆寺最後の棟梁、西岡常一氏の直弟子である、小川三夫氏の聞き書き。

    飾りのない語り口で人を育てることの本質を語る小川氏の言葉。
    「木のいのち 木のこころ」で西岡氏が語っていたこととがそのまんま、小川氏に伝わったんだな、とジンとくる。

    人を育てることの本質が詰まった一冊。

  • 不揃いでなくちゃあかんのや。多くの後進を育てた宮大工の言葉は思い。
    何もも自ら教えなくても必要な事は必要なとき自分で考え答えを出す。
    何百年先の宮大工に恥ずかしい仕事をしない為にも正直に仕事にしている。
    普通は5年程度で独立するところを木と同じ様に人も寝かせ、10年時間を掛ける。大切に守り続けられる伝統建築。

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